このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
山口線での蒸気機関車復活以来、各地で蒸気機関車が復活運転され、書店でも蒸気機関車の解説書を 多くみかけるようになった。しばらく、内燃機関から離れ、蒸気機関について、書店に並ぶ解説書で 触れていないようなことを解説する予定。
1970年代前半、国内で蒸気機関車が終焉を迎える頃、俗にSLブームといわれた頃、鉄道系の雑誌などには よく蒸気機関車の構造が解説されていた。
蒸気機関車の動輪の上に載っている大きな円筒部分がボイラで、ここで蒸気をつくる。蒸気機関車のボイラは 煙管ボイラといわれる形式で、チューブの中を石炭を燃やした燃焼ガスが流れ、煙突まで出ていく間に熱が 水に伝わる。チューブの中を水が流れてもよいわけで、このような形状を水管ボイラという。火力発電所の 大型の縦型ボイラがこの形式にあたる。
たくさんの水管をひとまとめにするために「管寄(くだよせ)」というタンクを上下に持っている。
いずれの形状にしても、燃焼ガスで加熱される部分は水で満たされている。水管ボイラも煙管ボイラも 保有水量が多いので点火してから蒸気が出るまでに時間がかかる。
一方、縦型の水管ボイラの保有水量を減らして、縦水管の途中から水を全部蒸発させてしまうボイラもある。 貫流ボイラといわれる形式で、保有水量が少ないから点火して短時間で蒸気が出てくれる。
電気機関車やディーゼル機関車に積んでいる蒸気発生器(昔の客車の暖房用)は貫流ボイラが使われている。 工場などの据付型の小型ボイラとしても多く使われている。
某公園で運転されていた小型の蒸気機関車。運転室(キャブ)に貫流ボイラが据付けてあって、 これで動いていた。
事情を調べてみると、何でも、正規のボイラは傷みがひどくて圧力がかけられない。検査に合格できないの だそうだ。仕方なく、別のボイラを設置したというわけ。正規の煙突から煙は出ない。運転室の横から 風呂釜のような小さな煙突が出ていた。燃料は重油であろう。
運転室の貫流ボイラは工場用の規格品なので安価だし、第一、保有水量が少ないから始動時間が短くて済む。 でも蒸気機関車であることに違いはなかろう。
もし、蒸気機関車の黎明期に今のように貫流ボイラが普及していたら、蒸気機関車は今の電気機関車の ように箱型のボディにボイラを搭載し、台車内にピストンシリンダ機構を組み込んでいたかもしれない。
しかし、煙管ボイラのように、保有水量が多い、ということは、ここに熱エネルギが貯蔵されている、 ということでもある。駅で停車中に蒸気をつくり、このエネルギで一気にスタートダッシュするところは 「火事場のバカ力」というに相応しい。
真空管も、カソードを熱して、通電してもすぐにスタートできないところは、ボイラに似ている。
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