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■ 中世 ■

無名草子  (藤原俊成女?)
平安時代から鎌倉時代にかけての『源氏物語』や『古今和歌集』を始めとする物語や歌、女性などを批評した作品。ここに記された『枕草子』の作者・清少納言の酷評(?)は後の時代の清少納言像に大きく影響したのだとか。ということはももかにも影響しているのかな(笑)。『源氏物語』では「見どころ多き巻」に「帚木」、「いとあはれなる巻」に「柏木」などを取り上げています。確かに「柏木」はあはれなる巻ですね。
方丈記  (鴨長明)
鴨川を思い浮かべる時、この冒頭が頭に過ぎります。鴨長明は賀茂社正禰宜である長継を父に持ちながら、若き頃に父が亡くなった事から家を継ぐ望みを失ってアウトローな人生を送った人(^^;)。『徒然草』と並び賞され、平安時代末期から鎌倉時代初期の出来事を綴っています。
新古今和歌集  (藤原定家ほか)
後鳥羽上皇自らが中心となり編纂した八番目の勅撰和歌集。編者には藤原定家を含む6人が参加しています。『万葉集』や『古今和歌集』に比べてみるとこれこれというものを思い浮かべる事が出来ないですね(^^;)。「秋の夕暮れ」の歌とか「ますらおぶり」がちらりと残っていますが。
平家物語  (作者未詳)
好きな軍記物の1つです。平家の盛衰を描いた作品で、この本からももかの「カマクラー」は始まったのかもしれません(笑)。好きなお話は沢山。唱歌「青葉の笛」に歌われた平敦盛や忠度の話、瓶子が倒れる様を見て喜んだ公達の話、木曾義仲と猫間中納言などなど。ちょっと地味な描写で好きなのは平忠盛の木賊刀のお話です。木賊刀といえば大河ドラマ『炎立つ』でもちょっと出てきましたよね。この本を読むと何故か自分がアンチ・ヨリトモになるから不思議です。(←そう、「頼朝」ではなく「ヨリトモ」)。この物語は琵琶法師などの弾き語りで伝わったともいわれていますが、その琵琶の持ち方は今とはちょっと違います。絵巻物をご覧になれば一目瞭然♪
保元物語  (作者未詳)
『平家物語』よりも先に出来たのではという説があるのですが、ももかの資料では後になっています。どうもここのところは良く分かっていないようですね。鳥羽院の誕生から崇徳院の廟が出来るまでの約80年を保元の乱を中心に描いた軍記物。あの辺りの皇位継承の事や後に崇徳天皇が怨霊となってしまう訳や『台記』の悪左府藤原頼長サマの行動についてはここで明らかに(^^;)。
平治物語  (作者未詳)
こちらも似た時期に出来たと考えられる軍記物。この名の通り平治の乱を中心に描いた作品。同じ時代を描いた『平家物語』の印象が強くて、ももかの中では殆ど被ってしまっているような気がします(^^;)。
水鏡  (中山忠親?)
この本はももかのお気に入りで、四鏡の1つです。作者は中山忠親さんともいわれています。天皇についての記述が載った本なのですが、ももかの注目は飯豊皇女が天皇の一人として数えられている事、天智天皇行方不明事件などですね。図書館でずっと岩波文庫本を借りて読んでいたのですが、やはり手元に置きたいと思ってネット古書店で購入。ボロボロを承知で原価よりも高く買ったのに、思った以上にボロボロなので、買い直そうかと思っていたりします(笑)。
梁塵秘抄
この題名を見るとどうしてもくるくると舞い興じる後白河上皇を思い浮かべてしまいます。ざっと読んだだけでは残りませんでした。やはり舞い歌う姿を見てこそ。
愚管抄  (慈円)
平家の台頭と栄華、没落をその身に実感していた慈円。彼は摂関家の生まれで、比叡山天台座主まで勤めた人。兄弟姉妹の中には摂政、関白、中宮の位に就いている人も。彼の生きた時代は貴族社会から武家台頭の過渡期。この本は『平家物語』と同じ時代を描き、『平家』が虚構を織り交ぜた物語だとしたら、こちらはそれを払った実話に近い話という事になります。
宇治拾遺物語  (作者未詳)
鎌倉時代の成立した説話集で、その面白さは『今昔物語集』に匹敵するかも。安倍晴明や小野篁さまのお話も登場♪三条中納言が水飯ダイエットに挑戦するお話では大伴家持の「石麻呂にわれもの申す夏やせによしといふものぞむなぎとりめせ」を思い出してしまいました。もっともこの石麻呂さんは痩せていたんですが、その実大喰らいでもあったのだとか(笑)。
住吉物語
『落窪物語』と並ぶ継子いじめの物語。こちらはそれでも父・中納言が入内させようとしたりやんごとなき貴公子を探してきて姫君の婿に据えようとするところが『落窪物語』の父・中納言よりは面倒見が良いかな。それでも継母の画策は並ではないですね(笑)。耐えかねた姫君が住吉に隠れ住み、最後は前から姫君に想いをかけていた中将と結ばれてハッピー・エンド♪
建礼門院右京大夫集  (建礼門院右京大夫)
藤原定家より新勅撰和歌集の撰進に際して提出を求められた時、出されたといわれている日記風の歌集。建礼門院といえば平清盛の娘で高倉天皇の中宮、安徳天皇の母である平徳子。右京大夫はその徳子に仕え平資盛との恋愛で知られた女性です。彼女を描いた作品は数多くありますが、その中でもももかのお気に入りは意外な運命を辿ってしまった(?)NHKドラマ『武蔵坊弁慶』。この中の右京は平知盛さんを好きになってしまうのです。しかし源氏憎し!の知盛さんは右京の事よりも源氏、源氏(いえあれは義経ね)で、一向に振り向いてくれず最後には「鬼にもなろう」なんて感じに。同じ頃右京に想いを寄せていた資盛と結ばれるものの、やはり心の奥底では知盛さんを忘れられないというような女性なのです。この歌集には資盛への想い出が溢れています。
小倉百人一首  (藤原定家)
ご存知『百人一首』。藤原定家により『古今集』『後撰集』『拾遺集』『後拾遺集』『金葉集』『詞葉集』『千載集』『新古今集』『新勅撰集』『続後撰集』から選ばれて作られました。この名の「小倉」は定家の別荘小倉荘の襖の色紙に書かれていた事が由来となっています。参議篁こと小野篁さまの歌は「わたのはら」で、嵯峨上皇の逆鱗に触れて隠岐に流される時に歌ったもの。大映ドラマの『アリエスの乙女たち』では崇徳院の「瀬をはやみ」が登場。覚えている方、いらっしゃいます?この歌がどのような情景で詠まれたものなのかは記録が残っていないのですが、ももかは隠岐に流される時に中宮聖子に向けて詠んだのではと勝手に想像していました。その為、ドラマでこの歌が使われていた時、凄い執念を感じてしまったのです(^^:)。だってその後、崇徳院は大乗経に血で大魔縁となる誓いを書き付け怨霊になられたんですから。
正法眼蔵随聞記  懐奘
すなわち随聞記。懐奘禅師が道元禅師の言葉を書き留めたもの。良い言葉が多いので自分を振り返る時に読んでみても良いかもしれません。
歎異抄  (唯円)
意義なることを歎く、という意味。親鸞の教えを受けた唯円により、親鸞の死後に様々な解釈をなされる教義に対し元に立ち返るようにと記された本です。親鸞の思想が一番はっきり示されているといいます。この本が伝わる経緯は特異で、蓮如が一般人には刺激が強すぎるという事で公開されず、明治時代を待たなければなりませんでした。
とはずがたり  (後深草院二条)
後深草院の寵愛を受けた二条による赤裸々な告白本。実は生々しい感じがして余り好きになれない本だったりします(^^;)。持明院統と大覚寺統が分かれた頃のお話なので、時代背景を見ていくのは興味深いんですけどね。この本の中で印象に残ったのは後深草院と斎宮の逢瀬。後深草院の薄情なところは勿論のこと、二条も二条よ〜と思ってしまいます(^^;)
徒然草  (吉田兼好)
田兼好こと卜部兼好の作品。彼は京都の吉田神社の神官の家に生まれ謎の生涯を送り、晩年は双ヶ岡に住んでいたのだとか。これって鴨長明と同じくアウトロー?この本の中で印象深いのは「仁和寺の法師」でしょうか(笑)。興に乗って足鼎を被ったのだけれど取れなくて難儀をした法師のお話です。仁和寺に行くとこの光景が脳裏に浮かんでくるのです。それから「猫また」ですか?滑稽なお話もあって面白いですよね。
太平記  (小島法師?)
こちらも好きな軍記物の1つです。鎌倉幕府の滅亡と室町幕府の成立、南北朝の争乱を語る上では読んでおいて損はないと思います。小説になると大河ドラマの原作になった吉川英治の『私本太平記』などが読みやすいのですが、原作の現代語訳はやはり面白いのです。こちらでは楠木正成を意味する「木の南」のお話とか、二人の日野さん(資朝と俊基)とか、隠岐脱出とか、大塔宮護良親王と鎌倉とか、六波羅と北条さんとか語れば話は尽きません(+^^+)。面白いのは井上内親王がちょこっと登場する場面があるんですよ。これはチェックかも。大河では日野俊基卿や北条高時などが好きでした♪滅びの美学?
神皇正統記  (北畠親房)
北畠親房卿の記された日本史で果ては南朝万歳の本(笑)。親房卿といえば花将軍と称され『増鏡』にもその美貌の程が伺える天才武将・顕家卿のパパ。親子そろって後醍醐天皇に仕えた忠臣として有名ですね。どうもこのお2人には「卿」と呼びたい雅さがあるのでした。『太平記』が足利幕府、つまり北朝を正統としているのに対し、こちらはご存知の通り南朝を正統として書かれています。これをもじった本が『続神皇正統記』で、北朝方の小槻春富による作品(笑)。南北朝の対立は戦の世界からこういうところにも現れているのですね。
御伽草子
日本のおとぎばなしと呼ばれるものの多くがここにあるような気がします。ももかは「鉢かつぎ」などが好きですね。地元組では「諏訪の本地」や「唐糸草子」などが見られます。「唐糸草子」は木曾義仲の家臣手塚光盛の娘で鎌倉に召し出された後、源頼朝が義仲追討の兵を出す事を知り頼朝暗殺を決行するものの失敗。以後、石牢に幽閉の身になります。長じて母親が囚われの身にある事を知った万寿姫は鎌倉に行き、鶴岡八幡宮の舞姫に選ばれその舞いの素晴らしさから頼朝に誉められます。そしてその褒美に母の身を所望して許され、帰国するというお話。諏訪には唐糸・万寿姫の供養塔が残り、また万寿姫コンテストも行われているのです。この前初めて樋口与六こと直江兼続が手塚光盛を祖としている事を知りました。びっくり。
義経記  (作者未詳)
室町時代初期に書かれた源義経の物語。ももかは東洋文庫版の現代語訳がお気に入りです。悲劇の武将と呼ばれる義経、それに従う武蔵坊弁慶などがいきいきと描かれています。これは一読しておくと、後の歌舞伎などの演目(「義経千本桜」「勧進帳」など)も楽しく観る事が出来るんじゃないかなと思います。『義経記』を元にしたドラマ『武蔵坊弁慶』はももかも大好きな作品でしたが、ラストの方で常陸坊が、義経に従ってから後に少しずつ書き留めた自分達の物語『義経記』を息絶え絶えの状態で手渡そうとするところが印象的でした。1度再放映していますが、何度も観たい作品です。
風姿花伝(花伝書)  (世阿弥)
世阿弥元清は能楽の芸の真髄を花として追及し、その美の理念を幽玄という場におきました。これは彼による能楽論の中の一冊で、父親である観阿弥清次の影響も受けているようです。ももかは能は嗜まなくてどちらかといえば狂言の方が好きなのですが、その衣装の華やかさや成立の課程は興味深いと思っています。学生時代の課題図書に『華の碑文 世阿弥元清』(杉本苑子著)があったのですが、ももかの世阿弥像を打ち砕き奈落の底に突き落とされたような感じを受けました(^^;)。それ以来、世阿弥に関する小説は読めません・・・。
塵塚物語
この本を読んでみたのは歌って踊れて絵も上手くて美食家の武将・細川勝元さんに関する逸話があったからなのです。彼の美食家ぶりは凄いんですよ。招かれた屋敷で出された鯉料理の鯉の名産地を口にしただけであててしまったくらいですもの。「この色、このツヤ、この香り・・」とはいいませんでしたが、「遠方から取り寄せたならその産地をいいあててこそ風流」といわしめるんですよね。何をやらせても多芸多才のこの御方が、たった1つの不満があったとすれば子供の事。これがすっきり解決していさえすれば「応仁の乱」は食い止める事が出来たかもしれないのに。






























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