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■ 近世 ■

日本史  (ルイス・フロイス)
フロイスの目で見た日本を描いた作品。西洋人との生活や文化習慣の違いを比較していたり、何かと面白かった本でした。よく日本人は顔立ちからいつも笑っているように見られるみたいですが、この本にもそんな一文もあったりして。やはり先祖代々進化なし?織田信長にも触れ、「我らが知っている事は、その声だけでなく、その名だけでも万人を戦慄させていた人間が、毛髪といわず骨といわず灰燼に帰さざるものは一つもなくなり、彼のものとしては地上になんら残存しなかった事である」という彼の最期についての文が印象的。そしてフロイスといえば大河ドラマ『信長−KING OF ZIPANGU−』ですね。こちらもフロイスの視点からみた「信長像」を描いたものでした。あのドラマでも前記の文と呼応する「あの方らしい。髪の毛一本残さないとは」(だったかな?)の台詞が良かったです♪影の主役・加納随天がもグーでしたけどね(笑)。あの人も良く分からない存在だった(笑)。
西鶴諸国はなし  (井原西鶴)
軽口の読み物でとても面白かったです。いろいろなお話の中で印象に残っているのは『義経記』でもお馴染みの常陸坊海尊が武蔵坊弁慶を評して「またなき美僧(この世に2人といない美僧であった・・・)」といっているところですね〜。弁慶が美僧!!ももかの中では美僧というと道鏡だったりするんですけど(^^;)。対する主君義経に関しては「ひとつもとりえなし(丸顔で鼻が低く門歯が抜けていて、やぶにらみで縮れた髪をしていて横太りしていてとりえがない方であった)」なんていってるの。一応「志が大将の器」とフォローしてましたけど(笑)。
本朝二十不孝  (井原西鶴)
様々な不孝話を描き、それによる因果応報を盛り込んでいます。当時も相当な不忠不孝の者がいたものです。
好色一代男  (井原西鶴)
財産家で好色物の父親と名のある太夫との間に生まれた浮世之介こと世之介がその54年の生涯に織り成す、江戸時代のマメ人日記(笑)。とはいえ業平よりはマメではなく陶朱之介よりは薄情でもなく東のカサノヴァらしいところが世之介といったところでしょうか。最後は更なる向上心を煽ってか、その道の極みを深める為にか女護島を目指して旅立ってしまうのです。天晴れかな(笑)。そして女護島といえば『平家女護島』を連想(笑)。
好色五人女  (井原西鶴)
好色物といっても『好色一代男』や『好色一代女』とは一風変わった趣向をした作りになっていますね。当時の有名な恋愛事件を描いたもので、印象深かったのはやはり『お夏清十郎物語』ですね。演劇の世界でも取り上げられている事は勿論の事、美術の世界でも描かれている題材の一つ。ももかは池田輝方の『お夏狂乱』が好きです。呉服屋の娘として生まれたお夏が清十郎を亡くして狂うのですが、その乱れた着物の色彩と図柄の美しい事♪他に『八百屋お七物語』なども馴染み深いお話ですね。
好色一代女  (井原西鶴)
元禄時代のあらゆる階級の女性の愛欲の世界を懺悔形式で描いた作品。一代という言葉から『好色一代男』の世之介物語の女性版かと思いきやそうでもなく一話ごと違った内容となっています。
一谷嫩軍記  (並木宗輔ら)
『平家物語』でも涙を誘う一ノ谷の合戦。ここでの見どころは熊谷直実と平敦盛ですね。この作品もこれを踏まえているのですが、その中でもよく上演されるのが「熊谷陣屋」です。こちらはももかも観劇した事があるのですが、やはり「一枝を切らば一枝を切るべし(「一子を斬らば一子を斬るべし」の意味が裏にあるのです)」の台詞にはじ〜んとしました。しかしその舞台には余りにも悲しい出来事が!ラスト近くの直実、泣き崩れるの場面で「以上で公演を終了します」のアナウンスが流れてしまって〜(笑)。役者はまだ舞台の上、お客さんも役者さんも固まってしまったのです。あんなハプニングは初めてでした。そしてそれがももかの歌舞伎初観劇だったのです。
武家義理物語  (井原西鶴)
武士の精神の根底を流れている「義理」を描いた作品。なかなか義理の世界も難しい(笑)。一部『男色大鑑』に似ている義理もあったりします。
男色大鑑  (井原西鶴)
『諸艶大鑑』と比較して描かれたといわれ、この世の男色に関する事柄を表したもの。男色を賞賛し、数々の逸話が盛り沢山。男色の嗜みも伺えて、当時の理念みたいなものを感じ取れるような気もします。しかし美形で想いをかけられる若衆の年齢はうら若き元服前ばかり(笑)。その剃り落とさない前髪に心惹かれてしまったんでしょうね〜。稲垣足穂の『少年愛の美学』に通じるものがありますよね〜。面白いのは「世界一切の男美人なり。女に美人稀なりと安倍晴明が伝へし(世界の全ての男は美しい。女に美人は稀だ、と安倍晴明は言い伝えている)」と一行、晴明が登場すること(笑)。こんなところにも引き合いに出されるなんて(^^;)。
世間胸算用  (井原西鶴)
大晦日という時間に統一された中で繰り広げられる20篇のお話を描いています。当時の大晦日状態を垣間見る事が出来ます。これを読んだ時、太陰暦から太陽暦へと暦が変更した時に決済などに苦労したというお話を思い起こしてしまいました。
日本永代蔵  (井原西鶴)
このタイトルの「永代」を深く考えさせられました。商人達の失敗話、成功話など様々なお話が収録。親が何年もかかって身代を築き上げたというのに2代目で没落してしまうお話などはやりきれないですよね。コツコツ貯める事っていうのは現代でも通用するような。でもその倹約ぶりはなかなか真似出来ない(^^;)。西鶴はさらりと面白い筆遣いでそれを書き表しています。
西鶴置土産  (井原西鶴)
西鶴の遺稿を門人の北条団水が編集して出版した遺稿集。上層の町人の凋落などを描いています。この作品で注目したのは「うきは餅屋つらきは碓ふみ」での三毛猫♪ここで登場する三毛猫は雄猫なのです。三毛猫で雄は珍しいんですが、わざわざそれを踏まえて登場させているところが心憎いのです(笑)。
万の文反古  (井原西鶴?)
西鶴の第四遺稿集で、『西鶴置土産』の後に出版。目録題は『万の文反古』、外題を『西鶴文反古』といいます。戦前は西鶴の作品である事が疑われていましたが、戦後に至り一部他人の手が加えられたものと推察されつつも大部分は西鶴の作品という説が出てきました。老若男女様々な人々の手紙を収録し、最後に作者の見聞が添えられるという構成です。ちょっと注目してしまった事は「首巻き」。つまり襟巻の事なんですけど、文中に登場します。江戸時代の人も襟巻!これを見て中村主水の襟巻もあながち時代考証を外れていないのねと納得してしまったのでした。
好色敗毒散  (夜食時分)
まずはこの作者名に笑ってしまいました。このペンネームにはいろんな意味合いが込められているようです。本名は不明なのだとか。大坂(新町)・京(島原)・江戸(吉原)などの遊里でのお話を含めた短編集。印象的なのは亡き扇屋の小紫に馴染んだ客が、太鼓持ちの秘術によって小紫の幻影を見る事が出来たというところですね。これは安倍晴明さんから伝えられし秘術なの。江戸時代でも彼の秘術は伝わっていたんですね。それも何故か「太鼓持ち」さんに。職業に貴賎はないとはいいますが、何故に?
浮世親仁形気  (江島基磧)
俗に「気質物」と呼ばれる作品の1つ。そのあらゆる「親父」の姿が微笑ましいです。世の中にはいろんな「親父」がいるものですね〜。江戸時代、といいますか昔にしかみられない変わった趣味を持たれる「親父」の姿もありますよ(笑)。
露殿物語  (作者未詳)
上・中・下の絵巻物。昭和9年発行の『浮世絵芸術』に紹介されて以来、この名で通っていますが元々題名はありませんでした。朝顔の露のすけこと美貌の露殿の恋愛物語。この頃の読み物は古典を引用している事が多いのですが、この本でも随所に見られますね。特に吉野太夫と武蔵野を駆け落ちするところは『伊勢物語』を準えています。露殿はこの駆け落ちに失敗し、出家する為に旅に出かけます。その旅先でまた女性の色香に惑わされますが、最後には決心し思いを遂げるのでした。全体的にゆったりとして雰囲気があるように感じられます。
田夫物語  (作者未詳)
男色・女色の両色を問答体という形で優劣を競う展開で構成。男色愛好者は「華奢者」・・つまり風流な伊達者として、女色支援者は「田夫者」・・つまり田舎者、軽くいえば女好きとしていい表わされています。戦国時代の風習を残した江戸初期頃と推定される年代の、当時の風俗讃美(笑)。最後に作者は軍配を女色支援者にあげています。
浮世物語  (浅井了意?)
元の名は瓢太郎、出家して浮世房という「浮きに浮いて瓢金なる」法師の物語。この浮世房って憎めないのですが可笑しな人物です。この変な法師を伺候させていた主君なる人物も相当な変わり者ではないかと思ってしまいます(笑)。それもこの浮世房の変な部分を理解した上での召しかかえとしか思えないんですよね。この浮世房、お米の事に関してはかなりシビアな部分を見る事が出来ます。作者はお米にかなり難儀していたのかもしれません。そして最後には幽体離脱・・・やっぱり変な人だわ〜。
元のもくあみ  (作者未詳)
都の西山の辺りに住んでいた木阿弥が主人公。木阿弥は木食と身間違えられる程の貧乏でしたが、ある時立身しようと思い立ち、下向。着いた江戸で大金を手にするも全ては邯鄲一炊の夢の如しというお話です。だからタイトル通り。
奥の細道  (松尾芭蕉)
『奥の細道』といえば印象深いのが「平泉」ですね。芭蕉作の「夏草や兵どもが夢の跡」が藤原三代の隆盛を語り、その滅び行く様を草に見、風に見るという感じがします。「三代の栄耀一睡の中にして、大門の跡は一里こなたに有。秀衡が跡は田野に成て、金鶏山のみ形を残す」という文には、やはりそれを踏まえた杜甫の『春望』の「国破山河在(国破れて山河在り)」がクローズアップされてきますわ。後、「壷の碑」。多賀城址に行った時、この片隅にこの碑があったのですが余り気に求めていなかったのですよ。有名だったんですね〜(笑)。「奥の細道」紀行に芭蕉と連れ立ったのが河合曾良。彼はももかの地元出身の人だったりします。変なとこで繋がりが(笑)。
菅原伝授手習鑑  (竹田出雲)
歌舞伎の世界では『義経千本桜』『仮名手本忠臣蔵』と並ぶ三大歌舞伎の一つとなっていますが、延享3年8月に大阪の竹本座において人形浄瑠璃として上演されたのが始まりです。この題名でも分かる通り、菅原道真こと丞相を取り上げ、左大臣藤原時平の讒言による九州への流刑、そして丞相一族を取り巻く人々の思惑と犠牲を織り込んだ作品です。この「伝授」とは筆道の伝授の事ですね。
仮名手本忠臣蔵  (竹田出雲ら)  
忠臣蔵を描いた作品で、12月になると恒例の如く上演されていますね。初演は寛延元年で、大阪の竹本座で人形浄瑠璃として上演、すぐに歌舞伎という形で上演されました。もっとも忠臣蔵を扱った作品は、義士が切腹して僅か2週間後に上演されていました(でもこちらはお咎めがあったのです)。忠臣蔵といえば「雪月花」の美しさを持ち合わせた作品で、ももかも12月の討ち入りの日が近づくと何だかそわそわ。江戸時代から現代まで当たりを取っているという事実には日本人の心の琴線に触れる何かがあるという事なのでしょう。作品中では登場人物の名や年代は違うのですが、それもまた面白いですよね。浅野内匠頭を塩谷判官、吉良さんを高師直(あんまりかも〜)、大石内蔵介を大星由良助としてあるところなんですけど。この中の名台詞は「遅かりし由良助」でしょうか、やっぱし。
妹背山婦女庭訓  (近松半ニ・三好松洛ら)
とある歌舞伎全般を扱う雑誌で見た一枚の舞台写真から、読んでみたくなって借りてきたといういきさつのある本です。吉野川のほとりを舞台に適わぬ恋を描いた作品。これに蘇我入鹿や天智天皇、藤原鎌足なんていう人物が登場するのも面白いです。勿論、ここでは蘇我入鹿は大悪人。三笠山御殿なども建てちゃってる(笑)。人形浄瑠璃として初めて上演され、後に歌舞伎で上演されています。
雨月物語  (上田秋成)
剪枝畸人という名で発表され、長い間その作者が秋成という事は知られていませんでした。畸人=秋成だという事が明かされたのは彼の没後の事。この妖しげな本、好きなんですよ〜。『雨月』といえば「白峯」「菊花の約」「浅茅が宿」「蛇性の淫」「青頭巾」などなど。どれもこれも根底に流れる妖しくも優美な空間がなんともいえないのです(笑)。「青頭巾」に至っては死肉を喰らう究極の愛ですよね。そういえば宝塚でも「浅茅が宿−秋成幻想−」というタイトルで「菊花の約」「浅茅が宿」「蛇性の淫」をベースにした作品がありました。実はこれ、ももかの初宝塚観劇作品なんです♪衣装担当が辻村ジュサブロー氏(現在は辻村寿三郎氏)ということで観に行ったんですけど、構成もお衣装もなかなかでした♪
蕪村句集  (与謝野蕪村)
蕪村の句集。これは何かと思い入れのある本で、学生時代の夏の課題に全文筆写した事があります。また一句一句をここまでもかというくらい読み解くという授業がとても楽しかったですね。例えば「秋きぬと合点させたるくさめかな」では、『古今集』を例に平安時代の貴族は秋を風の音で知るのに対し、江戸時代の人々は足の下の寒さ、くしゃみからそれを知る・・・なんて事とか。「隣家の女とは?」と問われ、「顰に倣うでしょ」と即答したことも良い想い出です(笑)。
伽羅先代萩  (奈河亀輔)
仙台藩54万石で起こった伊達騒動を元にした作品。伊達騒動といえば原田甲斐〜♪そして『伊達の十役』(ば〜い『慙紅葉汗顔見勢』)〜♪このお話を知ったのは歌舞伎を解説している本だったかと思います。何となく面白そうだなと思って伊達騒動を調べてみて原田甲斐に惚れ、更にこのお話を読んでみたという感じ。その後『樅の木は残った』を読んだんですよね。松島を旅行した時にたまたま原田甲斐直筆の文を見ることが出来て、嬉しかった!歌舞伎という形で上演され、後に人形浄瑠璃として上演。細川勝元さまもかっこよく登場し、なかなか面白いのです。でもやはり政岡が一番♪
椿説弓張月  (曲亭馬琴)
源為朝の一代記。この作品により馬琴はその人気作家の地位を築いたといっても過言ではないのだとか。かなり昔に読んだので感想らしい感想が出てこない(笑)。
春雨物語  (上田秋成)
怪奇物語として描かれましたが、『雨月物語』の方が有名かな。秋成の没する直前まで書かれていた作品であり、江戸時代にはその存在が知られながらも欠本となっていた部分があったのだとか。『春雨物語』十巻の全貌が明らかにされたのは何と戦後の事だったらしいです。この本の中で印象深いのは歴史モノ三篇(笑)の中でも「血かたびら」ですね。時代は平城天皇朝で、仲成・薬子兄妹が出てきますし、早良親王まで夢に登場♪勿論嵯峨天皇も。得した気分のももかなのでしたv v
古今奇談英草紙  (都賀庭鐘)
都巣庵こと都賀庭鐘の作品。中国白話小説の翻案といわれています。ももかにとって意外だったのは、今まで手に取らなかったのが嘘なくらい面白いお話が多かったという事!中でも爆笑してしまったのは、第三巻第五編の「紀任重陰司に至り滞獄を断くる話」。主人公が地獄に至り定められた刻限まで、閻魔大王の代わりに訴訟を裁くという筋書きなのですが、ここに登場する告人(原告)・被告のやりとりに注目。中でも養和之幼主言仁(安徳天皇)が、「波の下にも都がありますよ」と幼児を騙して入水させた廉で二位尼(平時子)を訴えているのが印象に残りましたね〜。その他にも後醍醐天皇が教養ある人物であったとか、『太平記』の御馴染みの顔ぶれも少々見る事が出来ます♪
西山物語  (建部綾足)
明和5年に愛宕郡で起こった渡邊源太事件を元に、古物語のように書き表した小説。七郎の妹・かへは、同族の八郎の息子・宇須美と密かに言い交わす仲でした。しかし2人の仲を知った兄・七郎の仲介も空しく八郎は2人の結婚を拒み、為に七郎は妹を殺してしまったのでした。源太事件を縦糸に、七郎が固持した楠木正成所縁の宝刀(既にこの時点では妖刀と化しているような)を絡ませ、古歌を散りばめた構成となっています。
南総里見八犬伝  (曲亭馬琴)
里見八犬伝は岩波文庫版で挑戦。挿絵付というのが江戸時代じみていてよろしいですね(笑)。ももかのお気に入りは犬塚信乃さんと犬阪毛野さんです。特に毛野さんは女田楽師・旦開野(あさけの)としての登場場面から釘付け〜♪NHK人形劇や角川映画でも取り上げられています。NHK人形劇は見た事がないのですが、角川映画はしっかり見てしまいました。原作から離れていたのですが結構楽しめましたし。ただ、映画の原作の方は今一つでしたけど。八犬伝関連でおすすめの本は山田風太郎氏の「八犬伝」。虚の世界と実の世界を織り交ぜた作りになっているのですが、馬琴を少しだけ身近に感じてしまいました。読みやすいのもマル。
東海道四谷怪談  (鶴屋南北)
わずと知れたあの四谷怪談のお話で、実在の人物をモデルに描かれたもの。原作の「どろどろ(効果音)」が印象的ですね。そして、戸板に括り付けられたお岩さんと小平の登場という場面。あれが凄いと思うのです。展開につぐ展開は読んでいるだけでも面白く、舞台を見てみたいという気にさせられます。まだ舞台は見た事がないのですけれど、中村勘九郎さんのものは確か水も滴っているという昔ながらの演出があった筈。濡れる事覚悟で客席と舞台の一体化を味わってみたいなあと思ってしまうのです。でも夏の東京は暑すぎてちょっとね(笑)。
近世説美少年録・新局玉石童子訓  (曲亭馬琴)
曲亭馬琴作の陶晴賢をモデルとした物語。第31回からは改題して「新局玉石童子訓」。この主人公陶朱之介晴賢が美少年で口は上手いのですが、女と金には滅法弱い。そして彼を陥れる人間が多くてそれを見抜けず巻かれる人間ときている。駄目ね〜。陶晴賢という人物は江戸時代には悪者として定着していたそうです。その理由は主君であった大内義隆を滅ぼした事もそうなのですが、その裏には男色相手を滅ぼしたという事があったからなのだとか。この本が流布すると更にその影響は大きくなり、その汚名の返上は近年まで(もしかして大河ドラマ『毛利元就』まで?)待たなければなりませんでした。地元の図書館では館外持出禁書で、ずっと読みたかった本の1つ。館内で読めといわれても一日では読めないですからね。それも原文!!現代語訳本が出るという情報から10年。待った甲斐があってようやく小学館で『新編日本古典文学全集』が刊行。でも馬琴さん晩年の作なので、この話は未完!そんな〜。
日本外史  (頼山陽)
江戸時代の人から見た日本史ってどんなものなのかと思いつつ読んでみた本です。フロイスの『日本史』よりも印象に残っていないですが(笑)。日本初の正統的な歴史書であり、源平時代から江戸時代にかけての武家の興亡を取り上げ幕末にはかなり読まれ、勤皇思想に大きく貢献した書物でした。頼山陽といえば漢詩文で有名な方ですね。脱藩を問われ幽閉生活を送っている時に書き上げられたのだとか。『史記』の司馬遷並の転んでもただでは起きない方であります。
百人一首一夕話  (尾崎雅嘉)
実は百人一首に興味を持ったのはこの本を読んでからなのです。今までただお正月の遊びの1つとしてしか捕らえていなかったのですが、ミニ人物伝のようなお話がとても面白かったんですよね。それに挿絵が良いんです♪発行後、爆発的な売れ行きに紙不足を引き起こしてしまったという逸話も残っているこの本、江戸時代のベストセラーだったのも納得。
勧進帳  (三代並木五瓶)
義経を語る時、弁慶という忠臣を語る時、このお話はなくてならないでしょう。兄・頼朝の手が伸びる中、奥州へと向かう義経主従一行の前に安宅の関が立ち塞がります。富樫左衛門によって嫌疑をかけられ、それを晴らす為に義経を打ち据える弁慶。そして「東大寺の勧進」と称し、白紙の巻物をあたかもそうだといわんばかりに読む。見どころで泣かせる場面とはいえ、やはり感動。この勧進とは平重衡による焼き討ちにより焼失した東大寺を建て直すもので時と選んだ理由も誰が聞いても納得、というところもツボ。歌舞伎十八番の一つです。
南海治乱記  (香西成資)
戦国時代の毛利氏と大内氏を調べる為に読んだ本。戦国時代にあっての南海道、信長・秀吉が天下を治めようとしている時の西日本での情勢などを知る上での一冊。
名将言行録  (岡谷繁実)
戦乱時代を生き抜いた武将達の言行。面白かったです。武将という事でももかの一押し、上杉謙信さんの他、武田晴信、直江兼続も登場。
川中島合戦記  (作者未詳)
「河中島五箇度合戦記」「謙信軍記」「謙信家記」「甲乱記」を収録。戦国上杉寄りの本なので、川中島合戦は謙信さんの勝ちなんだよといっています。中でも「謙信軍記」は参考になりました。
甲陽軍鑑  (作者未詳)
一説に武田信玄の家臣高坂弾正(通称・逃げ弾正♪)によって書かれたといわれていますが、江戸時代初期の成立。武田信玄・勝頼2代を描いた軍書で、江戸時代ではその道のベストセラーだったとか。ももかもいろいろとお世話になっています♪織田信長の焼き討ちに合いながらも「心頭滅却すれば火もまた涼し」といいながら亡くなった快川禅師と、恵林寺。この宝物殿にこの本が。さすが武田のお寺だと思ったものでした。勝頼を制しながらも、越後への睨みをきかせる為に海津城に残った弾正が知ったのは、長篠での惨敗と信玄子飼いの多くの武将達があたかも亡き信玄を追うかのように戦死。弾正は後を追う事も出来ず、ただ勝ち戦をした主人を迎えるように敗将・勝頼を出迎えました。やはり弾正、ただの男ではない・・・。この駒場での在り日を回想するシーンがお気に入りです。
信長公記  (太田牛一)
ご存知、織田信長一代記。史料価値も高い作品です。信長といえば映像や本などでもうお馴染みですが、改めて知ってみたいという方には是非読んで頂きたいですね。
関ヶ原合戦始末記  (酒井忠勝)
関ヶ原合戦東の発端である上杉討伐から米沢減封までの記録。どこにいっても上杉家のチェックに走るももか。
小田原北条記  (江西逸志子)
小田原北条氏こと「後北条」を早雲から小田原評定での後北条氏滅亡までを描いています。実は北条三郎こと上杉景虎さんを調べる上で参考にした本(笑)。やっぱり越後情勢だけでは踏み込めない諸事情がある訳です。この作品読破後に実際に小田原城に行き、また早雲寺で北条氏のお墓参りを致しました。後北条氏の三鱗紋が記憶鮮明。
陰徳太平記  (香川正矩)
『南海治乱記』と並んで、戦国時代の西国の情勢を知る上ではとても参考になる本です。やはり毛利氏と大内氏なのですが、ももかは陶晴賢さんと山中鹿之介さんに注目〜♪西国では個人的に好きなんですよ、このお2人。どちらも毛利氏に敗れているところが心憎いのですが(笑)。特に厳島で敗れた晴賢さんの「ぶよぶよに太っていた」という記述には涙が出そうなくらいな衝撃が(^^;)。判官贔屓のももかとしては若かりし頃、大内さんを夢中にさせた美貌の武者であって欲しかったですからね。
関八州古戦録  (槙島昭武)
歴史家槙島昭武が著した関東八州の戦国期動乱の有様を、小田原攻めを経て豊臣秀吉の手中に入るまでを描いています。武田氏や北条氏の登場してきますし、やはり上杉氏の諸事情を追いかける上でも参考になりました。始めの方は上杉謙信でずっぱりのカルトな作り(笑)。太田資時までスカウトしちゃってるところが笑えました。
上田軍記 
徳川と北条の約定により沼田の地を北条に明け渡し領地替えを打診されたところから話は始まり、真田父子の九度山蟄居までを描きます。徳川を二度も破った真田の心意気、ガンガン感じます♪
おらが春  (小林一茶)
小林一茶といえば信州人なので馴染みが深い筈なのに、余り興味がなかったりします。俳句師といえばどうしても松尾芭蕉の方が先に出てきますし。この作品は身近に起こった事などを取り混ぜて綴った句文集。一茶の句には暖かみのあるものが多いですね。「やせがえる負けるな一茶ここにあり」とか「われときて遊べや親のないすずめ」とか。






































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