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ディープの挑戦 その1

2006年9月2日
ディープインパクトがフランスへ旅立って3週間余りが経過した。この間ポジティブな情報ばかり伝
わってくるが、本当に不安は無いのだろうか?ネガティブファクターはライバル陣営(今回の場合は
ハリケーンランやシロッコ等)を利する危険も孕むため、箝口令がひかれメディアに載らないことも
多い。ある日突然「ディープ凱旋門賞断念!」なんてニュースが飛び込むことも覚悟しておかなけれ
ばなるまい。
しかし、PINE自身は現段階において「よくフランスまで行ったな」の印象を持っている。昨年も
ボヤいたが、ディープ陣営の海外プランは「絵に描いた餅」のマスコミ、ファン向けポーズで、実際
は国内専念であろうと考えていたからである(詳細は
祝・ディープ3冠でも・・・ 及び 越えられぬル
ドルフの壁 で)。
一方で宝塚記念は余計なレースだったと思っている。逆に宝塚出走を発表したときに、レース後軽い
不安発生〜遠征断念を発表するものと思っていた。本気で勝つつもりなら、キングジョージ〜ステッ
プ1走〜凱旋門賞と春後半から欧州に専念して欲しかった。この凱旋門賞1走のみになった最大の理
由は、入出国検疫の関係で帰国後JC、有馬に走れなくなるためである。だがこれでは「世界制覇」
とは名ばかりで、「国内レース」という逃げ道を残した形での遠征となる。退路を断って世界制圧を
目論んで欲しかったのだが、スッキリしない気持ちを抱くのはPINEだけであろうか。
同様のことはハーツクライにも言える。3月にドバイシーマCを勝って、JC、有馬の走りが本物で
あることを裏付けた。更にキングジョージでは残り100mで先頭。ディープより先に欧州G1制覇
かと痺れかけた直後、まさかの失速で3着。レース後橋口調教師が、先着した2頭(ハリケーンラン
、エレクトロキューショニスト)がJCに来れば必ずリベンジできるという内容の談話を発表した。
しかし、ハーツはまだ挑戦者の立場。ハーツの方から凱旋門賞に挑戦してハリケーンランに雪辱して
欲しかった。ただし、この馬の場合社台の共有馬のため、ディープの様な個人馬主と違い所有会員の
満足度や遠征費用の問題もあるため、イケイケドンドンという訳にもいかないことはわかるのだが。
ハーツによるキングジョージ3着は、そのあまりにも惜しい負け方故、悔しさが未だに残る一方、日
本生産、調教馬もよくここまで来たものだと感慨深いものもある。3月のドバイでは、ハーツの他に
同厩のユートピアがゴドルフィンマイルG2を優勝した。フラムドパシオン、カネヒキリなども入着
している。’80年代までは欧米へ遠征しても全く歯が立たなかった日本馬が、’90年代後半から
外国産馬で欧州G1を勝てる様になり、昨年父内国産牝馬のシーザリオが米国G1を勝つところまで
きた。その間、ドバイ、香港などアジアにおける海外重賞レースでは、日本馬の優勝シーンが当然の
ようにもなってきている。
是非ディープには日本競馬史において、最大の壁、いや「山」である欧州最高峰凱旋門賞の頂点を極
め、世界一の称号を獲得してもらいたい。
最後にあまり考えたくないが、ディープが負ける場合のポイントについて述べる。
「タイキシャトル、エルコンドルパサー、アグネスワールドこの3頭の共通事項は?」と聞かれて、
まず思いつくのは欧州G1制覇の先輩であること、外国産馬であること。そして、もう一つ意外な共
通点がある。それは3頭が遠征前の国内レースにおいて、ダートの重賞を勝っていることである。エ
ルコンドルパサーの場合は、雪のためダート変更になったグレード未格付けの共同通信杯を勝ってい
る。よく「欧州の芝は日本の芝よりパワーを要する」と言われている。この3頭の実績からも欧州の
レースではパワーが不可欠であることを物語っているようである。ディープの不安を挙げればこの部
分であろう。日本調教馬で初めて欧州G1を制したシーキングザパールだけはこの例に該当しないの
で、前例が皆無というわけでもないのだが。
果たしてダート競走未経験のディープはロンシャンの芝を克服できるのであろうか。

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