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鎌倉夢語り 〜 大姫 編 〜
〜 星月夜 繋がる想い 〜
まず、はじめに。
この物語の主な登場人物の年齢についてです。
大姫は、七歳。
海野小太郎幸氏は、十二歳。
河越重頼の娘[仮名−真澄]は、十七歳前後
以上を想定して書きました。
では、物語の世界へどうぞ・・・
夏の名残の残暑を感じなくなった。
代わりに、秋の涼しさや寒さを感じるようになった。
ここは小御所の中。
大姫は海野太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「小太郎と一緒に、星空を見ながら、虫の声を聞きたいです。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「お体の方は大丈夫ですか?」
大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「姫は大丈夫です。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「政子様のお許しが出れば、星空を見ながら、虫の声を聞きましょう。」
大姫は海野小太郎幸氏の手を掴むと、寂しそうに話し出す。
「お母様の確認は必要ないです。姫は小太郎と一緒に、星空を見ながら、虫の声が聞きたいです。小太郎。姫と一緒に居てください。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「大姫様。私には、本日の任務がまだ残っています。任務が終われば、大姫様と一緒に居る事が出来ると思います。それまで、お待たせする事になると思います。大丈夫ですか?」
大姫は海野小太郎幸氏の手を掴みながら、微笑んで話し出す。
「わかりました。姫は小太郎の仕事が終わるのを待ちます。姫は義高様をずっと待っています。小太郎を待つ時間は短いです。だから姫は待つのは平気です。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「出来るだけ早く任務を終わらせます。大姫様。もう一つお願いがあります。星空を見て虫の声を聞いている時に、お疲れになってしまうかもしれないので、今のうちに少しお休みになってください。」
大姫は海野小太郎幸氏の手を掴みながら、微笑んで頷いた。
海野小太郎幸氏は大姫と別れると、北条政子の部屋を訪れた。
北条政子は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「小太郎殿。何かありましたか?」
海野小太郎幸氏は北条政子に普通に話し出す。
「御台所様。大姫様が、私と一緒に星を見ながら虫の声を聞きたいと、お話しをされていました。お許しを頂きたいと思い、御台所様のもとに参りました。」
北条政子は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「小太郎。大姫と一緒に居てください。」
海野小太郎幸氏は北条政子に普通の表情で軽く礼をした。
北条政子は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「いつも大姫の事を気に掛けてくれてありがとう。」
海野小太郎幸氏は北条政子に普通の表情で軽く礼をした。
北条政子は海野小太郎幸氏を微笑んで見ている。
海野小太郎幸氏は北条政子に軽く礼をすると、部屋から出て行った。
北条政子は海野小太郎幸氏が部屋を出た直後に、寂しそうにため息を付いた。
ここは河越の庄。
少し前の出来事になるが、河越重頼の娘の真澄と源頼朝の弟の源義経との間に、縁談が持ち上がった。
河越重頼の一族は、源頼朝の信頼も厚く繋がりも深い。
源頼朝の乳母を務め、源頼朝が伊豆に居た時代から傍で支え続け、源頼朝の嫡男の源頼家の乳母の一人を務めている。
源頼朝の肝いりとして嫁げば、河越の一族の立場は更に強くなるはず。
河越の一族にとっては、断る理由の無い縁談となる。
河越重頼は源義経と真澄の縁談を、快く承諾した。
真澄は、この縁談が正式に調えば、源義経の居る京に、正室として嫁ぐ事になる。
時は過ぎて、源氏と平家の戦いが終結し、平家の負けが決まった。
源頼朝の立場と力が更に強まった。
僅かずつではあるが、いろいろな事が以前変わり始めた。
鎌倉の源頼朝と京の源義経の間で、僅かずつではあるが、歪みが表に現れ始めた。
源義経は源頼朝との歪みに気が付かずに、京に重きを置いて行動している。
鎌倉側では、源義経を快く思わない者が現れ始めた。
平家が滅亡に近い状態となり、源氏の力が強まった事によって、いろいろな人達の思惑が複雑に絡み始めた。
縁談が持ち上がった当初は、今を時めく源義経の正室ならば、一族にとっても、真澄にとっても、良い出来事だと考えて承諾の返事をした。
源義経の立場に変化が起こり始めたため、河越の一族の中からは、今回の縁談に難色を示す者が現れ始めた。
源頼朝からは、真澄と源義経の縁談のための連絡がこない。
河越の一族では、源頼朝は源義経と真澄の縁談を諦めたのではないか、または、源義経の態度を見ているうちに、今回の縁談は立ち消えになるのではないか、などの意見も出てきた。
そんなある日の事。
真澄は父親である河越重頼に呼ばれた。
真澄は河越重頼の部屋を訪れた。
河越重頼は真澄に困惑した様子で話し出す。
「義経様のもとに嫁ぐ話しが、本格的に動き始めた。」
真澄は河越の重頼を、驚きと当然の事という両方の気持ちが入り混じる表情で見た。
河越重頼は真澄に困惑した様子で話し出す。
「真澄。今なら縁談を断れるかも知れない。」
真澄は河越重頼を不思議そうに見た。
河越重頼は真澄に困惑した様子で話し出す。
「頼朝様と義経様との関係が、少しずつ悪くなり始めている。お二人の関係が、修復出来るのか、駄目になるか、微妙な状況になっている。」
真澄は河越重頼に微笑んで話し出す。
「私はお父様のご意見に従います。」
河越重頼は真澄を見ながら考え込み始めた。
真澄は河越重頼を微笑んで見ている。
それから少し後の事。
真澄が京に居る源義経に嫁ぐ事が、正式に決まった。
真澄は縁談の礼と挨拶を兼ねて、京に向かう途中に、鎌倉に寄る事になった。
真澄達一行は河越の庄から鎌倉に向かって出発した。
ここは鎌倉の小御所に在る大姫の部屋の中。
大姫は体調が良くないために、床に横になっている。
海野小太郎幸氏は大姫の部屋を訪れた。
大姫は体を起こすと、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「小太郎。こんにちは。」
海野小太郎幸氏は大姫に心配そうに話し出す。
「大姫様。ご気分はいかがですか?」
大姫は体を起こしたまま、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「小太郎が姫に会いに来てくれたので、元気になりました。」
海野小太郎幸氏は大姫に申し訳なさそうに話し出す。
「大姫様。私の注意が足りないために、大変なご迷惑をお掛けしてしまいました。お詫びのしようがありません。」
大姫は体を起こしたまま、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「小太郎は関係ないです。姫は大丈夫です。心配しないでください。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「お気遣い頂いて、ありがとうございます。」
大姫は体を起こしたまま、海野小太郎幸氏を微笑んで見ている。
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「大姫様。真澄様が鎌倉に来られるそうです。」
大姫は体を起こしたまま、海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。
「本当ですか?!」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「真澄様は義経様に嫁ぐそうです。ご挨拶とお礼を兼ねて、鎌倉に来られるそうです。真澄様と話しをする時間が、少しはあると思います。」
大姫は体を起こしたまま、海野小太郎幸氏に嬉しそうに話し出す。
「楽しみです!」
海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見ている。
大姫は体を起こしながら、海野小太郎幸氏を笑顔で見ている。
そんなある秋の日の事。
真澄が鎌倉に到着した。
真澄は、今回の縁談の礼と挨拶を兼ねて、源頼朝や北条政子などの重要な人達のもとを、慌しく訪れている。
御所に居る人達は真澄にいろいろと話し掛けている。
大姫と真澄が話しをする時間は、当分先の事に感じる。
大姫と海野小太郎幸氏は、真澄の様子を少し離れた場所から見ている。
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「大姫様。私から真澄様に様子を確認してみましょうか?」
大姫は真澄を見ながら、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「確認しなくていいです。真澄は姫の所に必ず来ます。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「真澄様が大姫様のもとに早く来られると良いですね。」
大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「姫は部屋に戻ります。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「お供いたします。」
大姫と海野小太郎幸氏は、大姫の部屋へと去っていった。
真澄は大姫と海野小太郎幸氏が縁を歩いている姿を見た。
周りに居る人達が大姫を見ると、真澄に心配そう話し出す。
「大姫様もお可哀想な事です。」
「義高様が亡くなられてから、良く寝込んでいるそうです。」
「義仲殿が亡くなられなければ、このような事にはならなかったのに。」
「大姫様は義高様を一途にお慕いしていらっしゃる。」
「大姫様は貞女の鏡。」
「貞女の鏡とは大姫様の事。」
真澄は周りに居る達の話しを複雑な表情で聞いている。
陽が暮れ始めた。
真澄は陽の暮れる様子を見ながら、軽くため息をついた。
辺りを見回したが、話し掛けてくる様子の人は居ない。
真澄は大姫の部屋へと向かった。
真澄は大姫の部屋に向かっている。
海野小太郎幸氏が真澄の前に現れると、微笑んで話し出す。
「お久しぶりです。」
真澄は立ち止まると、海野小太郎幸氏に微笑んで軽く礼をした。
海野小太郎幸氏は真澄に微笑んで話し出す。
「陽が暮れるまで、少し時間があります。お話しをしたいのですが、お時間は大丈夫でしょうか?」
真澄は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「大姫様とお話しがしたいです。小太郎殿とのお話しは、後ほどいう事でよろしいでしょうか?」
海野小太郎幸氏は真澄に微笑んで話し出す。
「では、明日の朝に、少しだけで構いませんので、お時間を頂けないでしょうか?」
真澄は海野小太郎幸氏を見ながら微笑んで頷いた。
海野小太郎幸氏は真澄に微笑んで軽く礼をした。
海野小太郎幸氏と真澄は、大姫の部屋へと向かって歩き始めた。
海野小太郎幸氏と真澄は、大姫の部屋を訪れた。
大姫は真澄を見ると、嬉しそうに話し出す。
「真澄! お話しに来てくれたのですね!」
真澄は大姫に微笑んで話し出す。
「大姫様。お久しぶりです。」
大姫は真澄に寂しそうに話し出す。
「義高様はお出掛けしています。義高様も真澄と会ったら喜んだと思います。とても残念です。」
真澄は大姫に寂しそうな微笑みを浮かべて話し出す。
「大姫様。義高様がお傍に居なくて寂しいですよね。」
大姫は真澄に寂しそうに話し出す。
「義高様は鎌倉に戻らない時は、姫を迎えに来てくれると言いました。それなのに、義高様は姫を迎えに来てくれません。」
真澄は大姫に微笑んで話し出す。
「義高様が大姫様を早く迎えに来てくださると良いですね。」
大姫は真澄に微笑んで話し出す。
「はい。」
真澄は大姫に微笑んで話し出す。
「私は京に居る義経様のもとに嫁ぐ事になりました。大姫様とお会いする事が、簡単には出来なくなりました。とても寂しいです。」
大姫は真澄に微笑んで話し出す。
「真澄は姫の叔母様になるのですね。嬉しいです。」
真澄は大姫に微笑んで話し出す。
「私も大姫様と縁続きになる事が出来て、とても嬉しいです。」
大姫は真澄に微笑んで話し出す。
「姫は、真澄を叔母様ではなく、今までと同じく真澄と呼びたいです。良いですか?」
真澄は大姫に微笑んで話し出す。
「はい。」
大姫は真澄に微笑んで話し出す。
「姫は小太郎が傍に居るので寂しくありません。真澄は京の義経様の所に、元気にお出掛けしてください。」
真澄は大姫に微笑んで話し出す。
「大姫様。幸せになりたいですね。」
大姫は真澄を不思議そうに見た。
真澄は大姫に微笑んで話し出す。
「京に行っても、楽しい事がたくさんあると良いなと思っています。」
大姫は真澄に微笑んで話し出す。
「真澄は良い人です。きっと楽しい事がたくさんあると思います。」
真澄は大姫に微笑んで話し出す。
「大姫様。お気遣いありがとうございます。京に行くのが楽しみになりました。」
大姫は真澄を笑顔で見た。
真澄は大姫の部屋を出ると、空を見上げた。
空には薄っすらと月や星の輝きが見え始めている。
真澄は夜空の様子を微笑んで見た。
そんな出来事のあった翌朝の事。
早朝のためか、辺りは薄暗い。
真澄はゆっくりと床から起き上がると、静かに部屋を出た。
真澄は部屋の外に出た。
海野小太郎幸氏が真澄の部屋の外に居た。
真澄は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「おはようございます。」
海野小太郎幸氏は真澄に微笑んで話し出す。
「おはようございます。」
海野小太郎幸氏と真澄は、その場から静かに居なくなった。
海野小太郎幸氏と真澄は、小御所から少し離れた場所に居る。
海野小太郎幸氏は真澄に微笑んで話し出す。
「今日は私のために、時間を作って頂いてありがとうございます。」
真澄は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「私も小太郎殿とお話ししたいと思っていました。だから、気を遣わないでください。」
海野小太郎幸氏は真澄に微笑んで話し出す。
「真澄様は義経様のご正室となられる方です。私とは立場が違います。」
真澄は海野小太郎幸氏に寂しそうに話し出す。
「小太郎殿。静御前と言う方を知っていますか?」
海野小太郎幸氏は普通に真澄に話し出す。
「名前と白拍子で舞の名手という事くらいしか、知りません。」
真澄は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。
海野小太郎幸氏は真澄に普通に話し出す。
「気になりますか?」
真澄は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「さぁ、どうかしら?」
海野小太郎幸氏は真澄を微笑んで見た。
真澄は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「周りの人達は、私に京の噂をいろいろと教えてくれます。」
海野小太郎幸氏は真澄に普通に話し出す。
「真澄様。落ち着かなくて大変だと思います。」
真澄は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「頼朝様、御台所様、父上、母上などと、たくさんお話しをしました。でも、私は、一人の女性として、義経様のもとに嫁ぐ事に決めました。」
海野小太郎幸氏は真澄に微笑んで話し出す。
「真澄様のお気持ちが、義経様に伝わると良いですね。」
真澄は海野小太郎幸氏を見ながら微笑んで頷いた。
海野小太郎幸氏は真澄に微笑んで話し出す。
「真澄様。鎌倉はお好きですか?」
真澄は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「小太郎殿。鎌倉はお好きですか?」
海野小太郎幸氏は真澄を不思議な微笑を浮かべて見た。
真澄は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。
海野小太郎幸氏は真澄に微笑んで話し出す。
「お返事は、次にお会いした時に、お伺いしてもよろしいでしょうか?」
真澄は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「では、小太郎殿の返事も、その時に聞かせてください。」
海野小太郎幸氏は真澄を微笑んで見た。
真澄も海野小太郎幸氏を微笑んで見た。
朝日が辺りを明るく照らし始めている。
海野小太郎幸氏と真澄は、小御所へと戻っていった。
鎌倉の町には、青空が広がっている。
真澄は大姫の部屋を訪れた。
大姫は真澄を笑顔で見た。
真澄は大姫に微笑んで話し出す。
「大姫様。私は京に行きます。」
大姫は真澄に微笑んで話し出す。
「真澄。義高様に逢ったら、姫は鎌倉で待っていると伝えてください。」
真澄は大姫に微笑んで話し出す。
「はい。義高様にお会いした時には、必ず伝えます。」
大姫は真澄に微笑んで話し出す。
「よろしくお願いします。」
真澄は大姫に微笑んで話し出す。
「大姫様。幸せになりましょう。」
大姫は真澄に微笑んで話し出す。
「はい。」
真澄を大姫を微笑んで見た。
大姫は真澄を微笑んで見た。
真澄は大姫の部屋から出て行った。
すると、どこかから囁くような声が聞こえてきた。
「義高様・・・」
「真澄様が鎌倉に着ました・・・」
「この日が、私と小太郎が真澄と話しをした最期になりました・・・」
「お父様と義経様は決別してしまいました・・・」
「義経様は僅かな共を連れて、京から平泉に行ったそうです・・・」
「真澄も京から居なくなりました・・・」
「義経様のもとに向かったのでしょうか・・・?」
「京を出た真澄と会った者は、鎌倉では誰も居ないそうです・・・」
「真澄は幸せになりたいと話をしていました・・・」
「真澄は幸せになれたのでしょうか・・・?」
「真澄の想いは義経様に通じたのでしょうか・・・?」
「義高様・・・」
「真澄と逢いましたか・・・?」
「もし逢ったら、一緒に鎌倉に着てください・・・」
「姫と小太郎は、鎌倉でずっとお待ちしています・・・」
* * * * * *
ここからは、後書きになります。
この物語は、河越重頼の娘が源義経に正室として嫁ぐために、鎌倉に立ち寄る前から始まっています。
河越重頼の娘が源義経に嫁いだのは、源義高が亡くなった年の秋の終わり頃になります。
鎌倉側の源頼朝と京に居る源義経との間では、考えた方の違いから少しずつ関係に歪みが出てきた頃となるそうです。
そういう事があり、河越の一族の中では、源義経との縁談に慎重になった人も居たようです。
河越重頼の娘が縁談のお礼や挨拶という事で、鎌倉に来た事はあったようです。
ただ、いつ来たのかなどを考えると、良くわからない部分があります。
「鎌倉夢語り 大姫編」は、大姫を主人公にしているために、河越重頼の娘が河越に居る時と、京に行く途中で鎌倉に立ち寄った時だけを、物語の中で書きました。
現在と違い、気軽に立ち寄るのは難しいため、結婚のために京に向かう途中で、挨拶と礼を兼ねて、鎌倉に立ち寄ったという設定にしました。
河越重頼の娘は、名前も生まれた年も亡くなった年も、わかりません。
平泉で、源義経と女性と二人の娘である幼女の三人が自害したという記録があり、その女性が河越重頼の娘らしいという説があります。
その女性の大体の年齢がわかるので、そこから河越重頼の娘の年齢を換算する人達が多いです。
私もその女性の年齢を参考にして物語を書きました。
ちなみに、河越重頼の娘が嫁ぐ頃には、源義経の傍には、愛妾の静御前がいたようです。
河越重頼の娘は、真澄という名前を付けて、「鎌倉夢語り」の物語の中に何度も登場しています。
大姫の話しになります。
源義高が亡くなってからの大姫は、体調の良くない日々が続きます。
河越重頼の娘が嫁ぐ頃には、まだ寝込んでいて、会う事が出来ない事も考えられます。
私は、河越重頼の娘と大姫の二人に、話しをしてもらいたかったので、この物語を書きました。
題名の「星月夜」ですが、謡曲で「鎌倉」を導くために使われている修飾語だそうです。
「星月夜」とは、「空が晴れていて星の光が月のように明るい夜の事。」を表している言葉です。
大姫と河越重頼の娘。
歴史の中で忘れ去られた二人の物語です。
寂しくて悲しい物語となりました。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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