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〜 鎌倉夢語り 大姫 編 〜


〜 桜紅葉 秋から冬へ 繋ぐ想い 〜


はじめに。

この物語の主な登場人物の年齢についてです。

大姫は、七歳。

海野小太郎幸氏は、十二歳。

河越重頼の娘[仮名−真澄]は、十七歳前後(※基本的には文だけの登場のため、物語の中での台詞はありません)

以上を想定して書きました。




では、物語の世界へどうぞ・・・




ある秋の日の事。


河越重頼の娘の真澄が源義経の正室となるために、河越の庄から京の都へと出発をした。

京の都に向かう途中に、挨拶とお礼を兼ねて鎌倉に寄る行程となっている。


それから何日か後の事。


ここは、鎌倉の町。


真澄は鎌倉に無事に到着した。


真澄は、源頼朝や北条政子などの重要人物と次々に会って挨拶やお礼をしていく。

北条政子の計らいで、源頼朝と北条政子の嫡女の大姫と会う時間が多めに作られた。

大姫は真澄を笑顔で迎えた。

大姫と真澄は、楽しく話しをして過ごした。


それから何日か後の事。


真澄は鎌倉から京の都へと向かって出発した。


それから数日後の事。


ここは、鎌倉の町。


綺麗な青空が広がっている。


朝から肌寒く感じる。


ここは、小御所。


大姫の部屋の前に在る庭。


大姫と海野小太郎幸氏は、一緒に居る。


大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「真澄は京に無事に着いた頃でしょうか?」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「真澄様が京に着くには、もう少し日数が掛かります。」

大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「真澄が早く京に着くと良いですね。」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。


寒さを感じる風が僅かに吹いた。


大姫は寒そうな仕草を見せた。

海野小太郎幸氏は大姫に心配そうに話し出す。

「大姫様。大丈夫ですか?」

大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「少し寒いです。でも大丈夫です。」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「お体の調子が完全に良くなっていません。早くお部屋に戻りましょう。」

大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで頷いた。

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。


大姫は自分の部屋へと向かって微笑んで歩き出した。

海野小太郎幸氏は大姫の後に続いて、微笑んで歩き出した。


その翌日の事。


大姫は再び体の調子が悪くなり、床に就いてしまった。


ここは、小御所。


大姫の部屋。


大姫は寂しそうに床に就いている。


海野小太郎幸氏は大姫の部屋を心配そうに訪れた。


大姫は床の上に体を起こすと、海野小太郎幸氏を笑顔で見た。

海野小太郎幸氏は大姫に心配そうに話し出す。

「大姫様。お体の調子はいかがですか?」

大姫は床の上に体を起こしながら、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「私は少し熱がありますが大丈夫です。小太郎。元気を出してください。」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「大姫様。お体の調子が悪いのに、私へのお気遣いありがとうございます。」

大姫は床の上に体を起こしながら、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「私が元気になったら、小太郎と出掛けたいです。」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「承知しました。」

大姫は床に体を起こしながら、海野小太郎幸氏を微笑んで見た。


それから何日か後の事。


季節が秋から冬へと移った。


ここは、鎌倉の町。


寒い日が少しずつ増えていく。


ここは、小御所。


大姫の部屋の前に在る庭。


大姫と海野小太郎幸氏は、一緒に居る。


大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「小太郎。私は元気になりました。大銀杏を見にいきたいです。」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「政子様にお許しを頂いてからお出掛けしましょう。」

大姫は海野小太郎幸氏に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「お母様の許しは必要ないです。大銀杏を見に早く出掛けましょう。」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「政子様のお許しを頂ければ、安心してお出掛け出来ます。」

大姫は海野小太郎幸氏に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「分かりました。私は出掛けるのを止めます。」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「大姫様。お出掛けしなくて良いのですか?」

大姫は海野小太郎幸氏に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「直ぐに出掛けられないのなら、今日は大銀杏を見に出掛けません。」

海野小太郎幸氏は大姫を心配そうに見た。


北条政子の侍女が、海野小太郎幸氏と大姫の前に普通に現れた。


大姫は侍女を僅かに不機嫌そうに見た。

海野小太郎幸氏は侍女に普通の表情で軽く礼をした。

侍女は大姫と海野小太郎幸氏に軽く礼をすると、普通に話し出す。

「大姫様。海野様。お話し中のところ申し訳ありません。政子様が海野様をお呼びになっています。」

大姫は侍女を僅かに不機嫌そうに見ている。

海野小太郎幸氏は侍女に普通の表情で話し出す。

「承知しました。」

大姫は海野小太郎幸氏と侍女を不機嫌そうに見た。


侍女は大姫と海野小太郎幸氏に軽く礼をすると、普通に去って行った。


大姫は海野小太郎幸氏に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「小太郎。お母様の所に行くのですか?」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「はい。用件だけを伺ったら、大姫様のお部屋に直ぐに向かいます。大姫様。お部屋でお待ち頂いても良いでしょうか?」

大姫は海野小太郎幸氏に不機嫌そうに話し出す。

「小太郎! 酷いです! 私と大銀杏を見に行く約束は守らないのに、お母様との約束は守るのですね!」

海野小太郎幸氏は大姫に申し訳なさそうに話し出す。

「大姫様。申し訳ありません。」

大姫は海野小太郎幸氏に不機嫌そうに話し出す。

「小太郎は嫌いです!」

海野小太郎幸氏は大姫に申し訳なさそうに話し出す。

「大姫様。申し訳ありませんでした。政子様の用件は伺わずに、直ぐに大姫様のお部屋に向かいます。」

大姫は海野小太郎幸氏に不機嫌そうに頷いた。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「お部屋までお供いたします。」

大姫は海野小太郎幸氏に不機嫌そうに頷いた。

海野小太郎幸氏は大姫を心配そうに見た。


大姫は自分の部屋へと向かって不機嫌そうに歩き出した。

海野小太郎幸氏は大姫の様子を確認しながら、心配そうに歩き出した。


それから少し後の事。


ここは、小御所。


北条政子の部屋。


北条政子は海野小太郎幸氏を心配そうに見た。

海野小太郎幸氏は北条政子に不思議そうに軽く礼をした。


北条政子は海野小太郎幸氏に心配そうに話し出す。

「侍女から小太郎殿が大姫の話し相手になっていたと聞きました。私が小太郎殿を呼び立ててしまったから、大姫の機嫌は悪くなっていますよね。」

海野小太郎幸氏は北条政子を僅かに困惑した表情で見た。

北条政子は海野小太郎幸氏に心配そうに話し出す。

「やはり機嫌が悪くなっていたのですね。」

海野小太郎幸氏は北条政子を困惑した表情で見ている。

北条政子は海野小太郎幸氏に文を差し出すと、微笑んで話し出す。

「河越重頼殿の娘の真澄から大姫宛に文が届きました。小太郎殿から大姫に渡してください。」

海野小太郎幸氏は北条政子から文を受け取ると、普通の表情で軽く礼をした。

北条政子は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。

海野小太郎幸氏は懐に文を丁寧に仕舞うと、北条政子に普通の表情で軽く礼をした。

北条政子は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。


海野小太郎幸氏は普通に部屋を出て行った。


それから少し後の事。


ここは、小御所。


大姫の部屋。


大姫は不機嫌そうに部屋の中に居る。


海野小太郎幸氏は大姫の部屋の中に微笑んで入ってきた。


大姫は海野小太郎幸氏に不機嫌そうに話し出す。

「小太郎! 遅いです! 嘘つきです!」

海野小太郎幸氏は大姫に申し訳なさそうに話し出す。

「大姫様。申し訳ありません。」

大姫は海野小太郎幸氏を不機嫌そうに見た。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「大姫様。真澄様から大姫様に宛てた文が届きました。」

大姫は海野小太郎幸氏を笑顔で見た。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで文を差し出した。

大姫は海野小太郎幸氏から笑顔で文を受け取った。

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。

大姫は文を持ちながら、海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「小太郎! 一緒に文を読みましょう!」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

大姫は笑顔で文を広げた。

海野小太郎幸氏は大姫と文を微笑んで見た。


大姫様へ

お体の調子はいかがですか。

私は元気に過ごしています。

鎌倉の町は寒い日が続いているかと思います。

京の都も寒い日が続いています。

京の都での生活は始まったばかりです。

京の都のしきたりなど不慣れで分からない事の多い中での生活となっています。

義経様は私に優しく接してくださいます。

義経様の主従の者達も、私に親切に接してくれます。

義経様の傍に、静という名前の京の都で育った方がいます。

私に京の都のしきたりなどを親切に教えてくれます。

良い人達に出会えて、穏やかな毎日を過ごしています。

私は、人から幸せかと訊ねられた時に、自信を持って幸せだと返事が出来るようになりたいです。

京の都は遠いので、文のお返事の遅れや出来ないなどの状況が起こると思います。

その時は、お許しください。

大姫様。

お体に期を付けてお過ごしください。

必ず幸せになってください。

源義経室 真澄より


大姫は文を読み終わると、海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「小太郎! 真澄は楽しく過ごしているようですね!」

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。

大姫は海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「私も楽しく過ごしたいです!」

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見ている。

大姫は海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「小太郎! 義高様はいつ私を迎えに来てくれるのでしょうか?! 待ち遠しいです!」

海野小太郎幸氏は大姫を寂しそうに見た。

大姫は海野小太郎幸氏に不思議そうに話し出す。

「小太郎。何かありましたか?」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「何もありません。」

大姫は海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「私も真澄に文を書きます!」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「真澄様も大姫様の文を読んだら喜ぶと思います。」

大姫は海野小太郎幸氏を笑顔で見た。


その日の夜の事。


ここは、鎌倉の町。


夜空には月と星が綺麗に輝いている。


ここは、海野小太郎幸氏が住む屋敷。


海野小太郎幸氏の部屋の前に在る縁。


海野小太郎幸氏は一人で居る。


海野小太郎幸氏は夜空を見ながら、微笑んで呟いた。

「真澄様。大姫様は真澄様の文をとても喜んで読んでいました。真澄様も大変な毎日を過ごされていると思います。大姫様と真澄様が幸せに過ごせるように、心から願っています。」


夜空の月と星は綺麗に輝き続けている。


海野小太郎幸氏は夜空を見ながら、微笑んで呟いた。

「義高様。鎌倉の町は、少しずつ寒い日が増えてきました。冬になる前に木曾に戻りたいと考えながらも、寂しがる大姫様を鎌倉に残して木曾に戻る気持ちにはなれませんでした。頼朝様や政子様は、何かと理由を付けては、私が鎌倉に居られる機会や時間を増やしてくださいます。今回は木曾に戻るのを出来るだけ遅くしようと思っています。」


桜紅葉が海野小太郎幸氏の元に舞い落ちてきた。


海野小太郎幸氏は舞い落ちた桜紅葉を微笑んで手に取った。


舞い落ちた桜紅葉は、綺麗な紅色をしている。


海野小太郎幸氏は桜紅葉を見ながら、微笑んで呟いた。

「綺麗な紅色に染まった桜の葉だな。」


桜紅葉が月の光に当たって僅かに光った。


海野小太郎幸氏は桜紅葉を手に持ちながら、微笑んで部屋の中へと入って行った。


すると、どこかから囁くような声が聞こえてきた。

「義高様・・・」

「あの時の私は、真澄からの文を文面通りに理解していました・・・」

「京の都で楽しく過ごしていると思っていました・・・」

「真澄は辛い立場だったはずなのに、気が付きませんでした・・・」

「あの時の私は、何も知りませんでした・・・」

「私は真澄に直ぐに返事を書きました・・・」

「真澄からの文が届く事はありませんでした・・・」

「真澄に文が届いたのかとても気になります・・・」

「義高様・・・」

「真澄がある日を境に京の都から姿を消しました・・・」

「真澄が幸せになったのか確かめる事が出来ません・・・」

「義高様・・・」

「私と小太郎は、たくさんの想いと共に、鎌倉の町で待っています・・・」




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

今回の物語の時間設定は、「鎌倉夢語り 大姫 編 短編 星月夜 繋がる思い」の少し後になります。

「鎌倉夢語り 大姫 編 短編 星月夜 繋がる思い」を掲載した直後に、河越重頼の娘(「鎌倉夢語り」では「仮名−真澄」)の物語をもう少しだけ書きたいと思いました。

今回の物語は、河越重頼の娘は文の中の登場が中心になっているためセリフはありません。

河越重頼の娘は、源義経の正妻として嫁ぎます。

京の都に到着したのは、秋の終わりの夜だったそうです。

源義経の主従達の中には、河越重頼の娘を鎌倉側の間者だと言う人がいたそうです。

源義経自身がどのように思っていたかは分かりません。

河越重頼の娘が到着した頃は、源義経には静御前という愛妾がいました。

源義経は静御前も含めて、数十人程の女性と浮名を流したという説が有ります。

物語の設定時点にも、静御前以外に付き合っていた女性がいた可能性はあります。

源義経と河越重頼の娘の関係は、どのような感じだったのかと思いました。

当時の女性は、愛妾がいても騒ぎ立てる事は少なかったそうです。

そこから考えると、北条政子は当時の女性の中では珍しい人だったと思います。

ただし、北条政子の場合は、源頼朝が北条家を後ろ盾と言うか頼りにしている状況だったため、他の夫婦とは少し違う部分がありました。

河越重頼の娘が鎌倉側の間者かどうかについては、実際のところは分かりません。

ただし、鎌倉側の間者ではないと考えられる状況があります。

源義経の立場が不利になってから、河越重頼は源頼朝から冷たい仕打ちを受けたようです。

河越重頼の娘は、父親の元に戻る事はなかったようです。

河越重頼の娘は、当初の状況は分かりませんが、最後の方は源義経との繋がりが強くなっていたのかなと思いました。

大姫は源義高が亡くなった直後から、体調の良くない日が続いていたようです。

海野小太郎幸氏が鎌倉に居た場合は、季節的には木曾に戻らないといけない時期になっていると思います。

「桜紅葉(さくらもみじ)」は、「秋に桜の葉が紅葉すること。紅葉した桜の葉。」です。

秋の季語です。


楽しんで頂けると嬉しいです。





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