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鎌倉夢語り 〜 大姫 編 〜


〜 盛夏 七年後の蝉時雨 〜


はじめに。

この物語の主な登場人物の年齢についてです。

大姫は、十三歳。

海野小太郎幸氏は、十八歳。

三幡(※大姫の妹)は、五歳。

以上を想定して書きました。




では、物語の世界へどうぞ・・・




今は夏。


ここは、鎌倉。


毎日のように暑い日が続いている。


毎日のように蝉時雨が響いている。


今日は青空に純白の雲が浮かんでいる。


ここは、小御所。


大姫の部屋の前に在る縁。


大姫は寂しそうな表情で蝉時雨を聞いている。


三幡が大姫の傍に心配そうに来た。


大姫は三幡を微笑んで見た。

三幡は大姫に心配そうに話し出す。

「姉上。お元気ですか?」

大姫は三幡に微笑んで話し出す。

「私は元気よ。三幡も元気ね。」

三幡は大姫を笑顔で見た。

大姫は三幡を微笑んで見た。

三幡は大姫に微笑んで話し出す。

「姉上。蝉の声がたくさん聞こえますね。」

大姫は三幡に微笑んで話し出す。

「三幡。蝉は幼い頃は、土の中で長い年数を掛けて過ごすの。長い年月を掛けて過ごした後に、土から出てきて成長した蝉の姿になるの。」

三幡は大姫に感心しながら話し出す。

「姉上はいろいろな出来事を知っているのですね!」

大姫は三幡に微笑んで話し出す。

「何年も前の夏に、蝉についての教えてもらったの。」

三幡は大姫に微笑んで話し出す。

「父上に教えてもらったのですか?」

大姫は三幡に寂しそうな微笑みで首を横に振った。

三幡は大姫に微笑んで話し出す。

「母上に教えてもらったのですか?」

大姫は三幡に不思議な微笑みで首を横に振った。

三幡は真剣な表情で考え込んだ。

大姫は三幡を微笑んで見た。

三幡は大姫に笑顔で話し出す。

「分かりました! 小太郎殿に教えてもらったのですね!」

大姫は三幡に微笑んで首を横に振った。

三幡は真剣な表情で考え込んだ。

大姫は三幡を微笑んで見た。

三幡は大姫に考え込みながら話し出す。

「姉上。分かりません。」

大姫は三幡を微笑んで見ている。

三幡は大姫に考え込みながら話し出す。

「姉上に蝉について説明した方の名前を教えてください。」

大姫は三幡に微笑んで話し出す。

「秘密。」

三幡は大姫を不思議そうに見た。

大姫は空を微笑んで見た。

三幡は空を不思議そうに見た。


それから少し後の事。


ここは、小御所。


三幡の部屋。


海野小太郎幸氏は真剣な表情で訪ねてきた。


三幡は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「小太郎殿。待っていました。」

海野小太郎幸氏は三幡に微笑んで話し出す。

「三幡様。何かありましたか?」

三幡は海野小太郎幸氏に心配そうに話し出す。

「少し前に、姉上と蝉の声を聞きながらお話しをしました。姉上は急に寂しそうな表情になりました。」

海野小太郎幸氏は三幡に微笑んで話し出す。

「大姫様のご様子を確認してきます。」

三幡は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「小太郎殿。よろしくお願いします。」

海野小太郎幸氏は三幡に微笑んで軽く礼をした。

三幡は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。


海野小太郎幸氏は微笑んで部屋を出て行った。


それから僅かに後の事。


ここは、小御所。


大姫の部屋。


海野小太郎幸氏が微笑んで訪ねてきた。


大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「小太郎を呼ぼうと思っていたの。私の気持ちが誰かに通じたのかしら。」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「鶴岡八幡宮に行きたいの。小太郎。一緒に来て欲しいな。」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「大姫様の供は喜んで受けますが、外は今の時間は暑いです。日を改めて早い時間に出掛けられた方が良いと思います。」

大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「どうしても今日中に鶴岡八幡宮に行きたいの。小太郎が供をしなければ、私は一人で出掛けるわ。仮に鶴岡八幡宮で何か遭ったとしても、小太郎に迷惑は掛けないから安心して。お父様のために忙しい小太郎の邪魔をして悪かったわね。父上のために仕事に戻って良いわよ。」

海野小太郎幸氏は大姫に心配そうに話し出す。

「大姫様。お供をします。」

大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「小太郎。ありがとう。一緒に出掛けられて嬉しいわ。」

海野小太郎幸氏は大姫に心配そうに話し出す。

「大姫様。無理をしないでください。調子が悪くなる前に、私に教えてください。」

大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「分かったわ。」

海野小太郎幸氏は大姫を心配そうに見た。

大姫は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。


それから少し後の事。


ここは、鎌倉。


鶴岡八幡宮。


境内。


たくさんの木が茂っている場所。


蝉時雨が響いている。


大姫は微笑んで来た。

海野小太郎幸氏も微笑んで来た。


大姫は辺りを微笑んで見た。

海野小太郎幸氏は大姫に気を配りながら、辺りを微笑んで見た。

大姫が海野小太郎幸氏を見ると、微笑んで話し出す。

「小太郎。大体この場所だと思うの。」

海野小太郎幸氏は大姫を不思議そうに見た。

大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「七年前の夏に、義高様と私と小太郎の三人でこの場所に来て、蝉を見たわよね。小太郎は覚えている?」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

大姫が海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「あれから七年も経ったのね。」

海野小太郎幸氏は大姫を心配そうに見た。

大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「今年の蝉は、義高様が鎌倉に居た時に生まれた蝉になるのね。」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

大姫は辺りを寂しそうに見た。

海野小太郎幸氏は大姫を心配そうに見た。

大姫は辺りを見ながら、海野小太郎幸氏に寂しそうに話し出す。

「小太郎。義高様はどこに居るのかしら?」

海野小太郎幸氏は大姫を心配そうに見ている。

大姫は下を見ると、辛そうに軽く息をはいた。

海野小太郎幸氏は大姫を支えると、心配そうに話し出す。

「大姫様。大丈夫ですか?」

大姫は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。

海野小太郎幸氏は大姫を支えながら、心配そうに話し出す。

「大姫様。無理をしないでください。」

大姫は海野小太郎幸氏に辛そうに話し出す。

「無理していないわ。」

海野小太郎幸氏は大姫を心配そうに支えている。

大姫は海野小太郎幸氏に辛そうに話し出す。

「小太郎。義高様も蝉時雨を聞いているのかしら?」

海野小太郎幸氏は大姫を困惑した表情で支えた。

大姫は海野小太郎幸氏に寂しそうに話し出す。

「義高様と一緒に蝉時雨を聞きたいな。」

海野小太郎幸氏は大姫を困惑した様子で支えている。

大姫は海野小太郎幸氏に寂しそうに話し出す。

「義高様と話がしたいな。」

海野小太郎幸氏は大姫を困惑した様子で支えている。

大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「小太郎。七年後にこの場所で蝉時雨を聞きたいわ。」

海野小太郎幸氏は大姫を支えながら、微笑んで話し出す。

「私で良ければご一緒させてください。」

大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「小太郎。七年後も一人で蝉時雨を聞きたくないの。必ず一緒に蝉時雨を聞いてね。」

海野小太郎幸氏は大姫を支えながら、微笑んで話し出す。

「承知しました。」

大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「小太郎。義高様は七年後の蝉時雨を一緒に聞いてくれるかしら?」

海野小太郎幸氏は大姫を困惑した様子で支えた。

大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「七年後のこの場所で蝉時雨を聞く日が楽しみになってきたわね。」

海野小太郎幸氏は大姫を支えながら、微笑んで話し出す。

「はい。」

大姫は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。

海野小太郎幸氏は大姫を支えながら、微笑んで話し出す。

「大姫様。少し休んでから小御所に戻りましょう。」

大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで頷いた。


海野小太郎幸氏は微笑みながら、大姫をゆっくりと座らせた。

大姫は微笑みながら、ゆっくりと座った。


海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで抱いた。

大姫は微笑みながら、ゆっくりと目を閉じた。


蝉時雨が僅かに強まった。


海野小太郎幸氏は大姫を抱きながら、辺りを不思議そうに見た。


辺りに人の気配はない。


海野小太郎幸氏は大姫を抱きながら、心配そうに様子を見た。

大姫は微笑みながら目を閉じて休んでいる。

海野小太郎幸氏は大姫を抱きながら、微笑んだ表情になった。


すると、どこかから囁くような声が聞こえてきた。

「義高様・・・」

「あれから七年が経ちましたね・・・」

「鎌倉は蝉時雨が響いています・・・」

「義高様と小太郎と私の三人で、鎌倉で蝉時雨が聞きたいです・・・」

「叶わない望みなのでしょうか・・・?」

「更に七年経てば叶う望みなのでしょうか・・・?」

「義高様・・・」

「私と小太郎は、蝉時雨の降り注ぐ鎌倉で義高様を待っています・・・」




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

「鎌倉夢語り 大姫と源義高 編 短編 盛夏の頃 七年後の蝉時雨」を書いた時に、七年後の大姫も書きたくなって考えた物語です。

今回の物語は、大姫と源義高が一緒に過ごした七年後の夏という時間設定になります。

大姫と海野小太郎幸氏は、七年後の蝉時雨を同じ場所で聞く約束します。

史実の大姫は、建久八年七月十四日(1197年8月28日)に、二十歳程の若さで亡くなったと伝えられています。

史実に当てはめると、今回の物語の時間設定から約七年後の秋(※当時の暦では七月は秋)に亡くなった事になります。

「蝉(せみ)」は、基本的には地中に居る期間が長いです。

蝉は約七年後に土から出ると説明をする時がありますが、蝉の種類によっては七年も土の中に居ない事があるそうです。

蝉の居る場所や気候などによっては、土の中に居る期間が前後すると説明をする時があります。

今回の物語は、蝉が土の中に居る期間を七年として書きました。

蝉は日没から深夜に掛けて脱皮をする事がほとんどです。

私が蝉の脱皮を見た時は、午前中と朝でした。

まれに、日没や深夜以外に脱皮をする蝉がいるそうです。

陽のある時間の場合は、日陰などの暗い場所で脱皮をするそうです。

私が見た蝉の脱皮は、かなり珍しいと思います。

私が蝉の脱皮を見たのは森の中です。

大姫、源義高、海野小太郎幸氏が、蝉が七年近く土の中に居て、七年後に土から出て脱皮をする事を知っているかについては分かりませんが、今回の物語も知っている設定で書きました。

「蝉時雨(せみしぐれ)」は、「多くの蝉が一斉に鳴きたてる声を時雨の降る音に見立てた言葉」です。

「盛夏(せいか)」は、「夏の暑い盛りの時期。真夏。」という意味です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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