このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

鎌倉夢語り 〜 大姫と源義高 番外編 〜


〜 夢現 秋色 鎌倉花めぐり編 〜


〜 第三版 〜


物語を始める前に、簡単になりますが、今回の物語に登場する神社とお寺などの説明をします。

「段葛」

鎌倉の若宮大路の中央に在る一段高い参堂です。

鎌倉駅の近くに在ります。

段葛を歩くと鶴岡八幡宮に着きます。

大姫の弟の万寿(後の源頼家)の安産祈願のために造られました。

源義高や海野小太郎幸氏が鎌倉に居る時には、既に在った参道です。

現在(2008年10月)は、「段葛」の一部のみが残されています。

「岩船地蔵堂」

この地蔵堂には、30cm前後のお地蔵様が祀られているそうです。

このお地蔵様は大姫の守り本尊といわれています。

一説には、大姫の妹の三幡姫の守り本尊ともいわれているそうです。

いつ頃から在るかについては詳細な確認が出来ませんでしたが、いろいろな点から考えると、源義高の死後に造られたと思われます。

2005年頃から数年ほど前に、外装の立替がありました。

「鶴岡八幡宮」

鎌倉に在ります。

段葛を歩くと鶴岡八幡宮の鳥居の前に来ます。

境内には池や美術館や有名な大銀杏などがあります。

全ての施設ではありませんが、大姫や源義高や海野小太郎幸氏の時代にあった八幡様です。

「舞殿」

鶴岡八幡宮の境内の中に在ります。

静御前が「舞殿」で舞を舞ったといわれています。

源義高の死後に建てられました。

「本宮」

鶴岡八幡宮の本宮です。

大姫が鎌倉に居る時代に造られています。

大銀杏を見上げながら階段を上った先に在ります。

「宝戒寺」

鎌倉に在ります。

鶴岡八幡宮から少し離れた場所に在ります。

北条氏の霊を弔うために後醍醐天皇が足利尊氏に命じて造らせたお寺です。

ちなみに、源頼朝の正室の北条政子の妹達の嫁ぎ先は、確認できる範囲になりますが、ほとんどが北条氏によって滅ぼされています。

唯一の残った嫁ぎ先といって良いのが、源氏の流れを汲むといわれる「足利氏」です。

後に、足利氏を中心にした組織によって、北条氏を中心とする鎌倉幕府は倒されます。

歴史の不思議を感じます。

大姫の死後かなり経ってから造られたお寺です。

白萩で有名なお寺です。

「物語に登場するお店や施設」

物語の掲載時、または、物語を読まれている時には、設定などが変わっている場合があります。


では、本文へどうぞ。




*      *      *      *      *      *




今は平成と呼ぶ時代。


秋の季節。


ここは、鎌倉。


たくさんの人達で賑わっている。


ここは、鎌倉駅の前。


たくさんの人達が居る。

二人の少年と一人の少女が居る。


二人の少年の名前は、義孝と幸氏。

少女の名前は分からない。


少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「今日はいろいろな花が見られて嬉しいな。」

義孝は少女を普通の表情で見た。

幸氏は義孝に微笑んで囁いた。

「詰まらないのか?」

義孝は幸氏に普通の表情で囁いた。

「俺は写真や絵やガーデニングを趣味にしていない。詰まらなくない。普通だな。」

幸氏は義孝に微笑んで囁いた。

「せっかくだから楽しもうよ。」

義孝は幸氏に普通の表情で頷いた。

幸氏は義孝を微笑んだ表情で見た。

少女は義孝と幸氏に不思議そうに話し出す。

「義孝さん。幸氏さん。何を話しているの?」

義孝は少女に普通に話し出す。

「これから出掛ける場所について話していた。」

少女は義孝を微笑んで見た。

義孝は少女に普通に話し出す。

「早く行こう。」

少女は義孝に微笑んで頷いた。

幸氏は義孝に微笑んで頷いた。


義孝は普通に歩き出した。

幸氏は微笑んで歩き出した。

少女も微笑んで歩き出した。


それから僅かに後の事。


ここは、段葛。


たくさんの彼岸花が躑躅の緑色の葉に隠れながら咲いている。


何人もの人達が歩いている。

義孝、幸氏、少女も歩いている。


少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「彼岸花が綺麗に咲いているね。」

義孝は段葛を普通の表情で見た。

幸氏は少女に微笑んで頷いた。

義孝は少女を見ると、普通の表情で頷いた。

少女は義孝と幸氏を微笑んで見た。


ちょうど同じ頃。


ここは、岩船地蔵堂。


大姫と源義高が居る。

海野小太郎幸氏は出掛けているために居ない。


大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「義高様! 萩を見に行きたいです!」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「興味ない。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「白い萩を見に行きましょう!」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「色が違うだけだろ。興味ない。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「藤袴を見に行きましょう!」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「藤袴の見頃は今ではないだろ。更に興味ない。」

大姫は源義高に大きな声で話し出す。

「義高様! 酷いです!」

源義高は大姫を不思議そうに見た。


大姫は悲しそうに走り出した。


源義高は大姫を驚いた表情で見た。


大姫は悲しそうに走って、静かに居なくなった。


源義高は辺りを心配そうに見た。


海野小太郎幸氏が微笑んで、静かに現れた。


源義高は海野小太郎幸氏を僅かに困惑して見た。

海野小太郎幸氏は源義高に心配して話し出す。

「義高様。何かありましたか?」

源義高は海野小太郎幸氏に僅かに不安に話し出す。

「大姫が花を見に行こうと言った。俺は興味ないと返事をした。大姫は機嫌を悪くして、走って居なくなった。」

海野小太郎幸氏は源義高に心配して話し出す。

「大姫様が義高様に見たいと話した花は何ですか?」

源義高は海野小太郎幸氏に考え込んで話し出す。

「萩、白い萩、藤袴。」

海野小太郎幸氏は源義高に僅かに困惑して話し出す。

「藤袴の見頃は今ではありませんが、萩と白萩は、今は見頃ですね。綺麗に咲く場所や名所はたくさんありますね。」

源義高は海野小太郎幸氏に考え込んで話し出す。

「大姫は俺に花を一緒に見に行こうと言った。名所や綺麗に咲く場所に一人で出掛けないと思う。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「義高様。名所も含めて、思い付く限りの場所を捜しましょう。」

源義高は海野小太郎幸氏に僅かに困惑して頷いた。


海野小太郎幸氏は微笑んで、静かに居なくなった。

源義高は普通の表情で、静かに居なくなった。


それから僅かに後の事。


ここは、宝戒寺。


境内。


酔芙蓉、白萩、白い彼岸花が、辺りに僅かに涼しさを与えながら綺麗に咲いている。


義孝、幸氏、少女が居る。


少女は白萩と酔芙蓉を笑顔で見ている。

義孝は酔芙蓉を不思議そうに見た。

幸氏は義孝に微笑んで話し出す。

「義孝。何かあったのか?」

義孝は幸氏を見ると、不思議そうに話し出す。

「咲いている花は、白色というか淡いピンク色だけど、しぼんでいるのは、濃いビンク色だな。不思議だなと思って見ていたんだ。」

幸氏は義孝に微笑んで話し出す。

「酔芙蓉は、朝は白色だけど、時間が経つに連れてピンク色へと変化していくだろ。しぼむ時点では濃いピンク色になっているだろ。」

義孝は幸氏に感心して話し出す。

「詳しいな。」

幸氏は義孝に微笑んで話し出す。

「数日ほど前に、三人で酔芙蓉の話をしただろ。」

義孝は幸氏を見ながら、何かを思い出した表情になった。

幸氏は義孝を微笑んで見た。

少女は義孝と幸氏を見ると、笑顔で話し出す。

「次は鶴岡八幡宮に行きましょう!」

義孝は少女を見ると、普通の表情で頷いた。

幸氏は少女に微笑んで頷いた。


義孝は普通に歩き出した。

幸氏は微笑んで歩き出した。

少女も微笑んで歩き出した。


それから僅かに後の事。


ここは、段葛。


大姫は一人で居る。

辺りに人の姿は見えない。


大姫は彼岸花を見ながら、寂しく呟いた。

「姫は義高様と一緒に花を見たいです。寂しいです。」


大姫は寂しく歩き出した。


それから僅かに後の事。


ここは、宝戒寺。


源義高は普通の表情で、静かに現れた。

海野小太郎幸氏は心配な表情で、静かに現れた。


大姫の姿は見えない。


海野小太郎幸氏は源義高に心配して話し出す。

「大姫様はいらっしゃいませんね。」

源義高は海野小太郎幸氏に僅かに心配して頷いた。

海野小太郎幸氏は源義高に心配して話し出す。

「別な場所を探しましょう。」

源義高は海野小太郎幸氏に僅かに心配して頷いた。


源義高は普通の表情で、静かに居なくなった。

海野小太郎幸氏は心配な表情で、静かに居なくなった。


それから僅かに後の事。


ここは、鶴岡八幡宮。


境内。


舞殿。


幾人かの参拝客が居る。

義孝、幸氏、少女も居る。

たくさんの鳩も居る。


少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「早くお参りしましょう。」

義孝は少女に普通に話し出す。

「楽しそうだな。」

少女は義孝に微笑んで話し出す。

「小紫式部と桔梗も見たいの。想像するたけで、楽しい気持ちになるの。」

義孝は少女を不思議そうに見た。

少女は義孝を微笑んで見た。

幸氏は義孝と少女を微笑んで見た。


鳩が一斉に飛び立った。


少女は鳩が空へと飛ぶ様子を微笑んで見た。

義孝は鳩が空へと飛ぶ様子を普通の表情で見た。

幸氏は鳩が空へと飛ぶ様子を微笑んで見た。


数羽の鳩が舞殿に舞い降りた。


少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出そうとした。


義孝と幸氏の姿はない。


少女は辺りを不思議そうに見た。


辺りに居るはずの参拝客や関係者の姿も見えない。


少女は不思議そうに考え込んだ。


数羽の鳩が舞殿に舞い降りた。


義孝は少女を普通の表情で見ようとした。

幸氏は少女を微笑んで見ようとした。


少女の姿はない。


大姫が少女の居た場所で境内を寂しく見ている。


幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「こんにちは。姫ちゃんだよね。今日も一人なのかな?」

大姫は幸氏を見ると、寂しく話し出す。

「幸氏お兄ちゃん。お久しぶりです。姫は一人です。」

義孝は大姫を不思議そうに見た。

幸氏も大姫を不思議そうに見た。

大姫は義孝と幸氏に寂しく話し出す。

「姫は義高お兄ちゃんに花を見に行こうと言いました。義高お兄ちゃんは興味がないと言いました。姫は寂しいです。」

幸氏は義孝を苦笑して見た。

義孝は幸氏を普通の表情で見た。

大姫は義孝に寂しく話し出す。

「義高お兄ちゃんは、必ず鶴岡八幡宮に来ます。だから姫は先に一人で来ました。」

義孝は大姫に微笑んで話し出す。

「早く来ると良いね。」

大姫は義孝に微笑んで頷いた。

幸氏は義孝と大姫を微笑んで見た。

大姫は前を笑顔で見た。

義孝は大姫を不思議そうに見た。

幸氏も大姫を不思議そうに見た。

大姫は義孝と幸氏を見ると、笑顔で話し出す。

「お兄ちゃん達が来ました! ありがとうござました!」

幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「良かったね。」

大姫は幸氏に笑顔で話し出す。

「はい!」

義孝は大姫に微笑んで話し出す。

「気を付けて出掛けろよ。」

大姫は義孝に笑顔で話し出す。

「はい!」

義孝は大姫を微笑んで見た。

大姫は義孝と幸氏に笑顔で礼をした。


大姫は元気良く走り出した。


大姫は元気良く走って、静かに居なくなった。


義孝は大姫を不思議そうに見た。

幸氏も大姫を不思議そうに見た。


少女の気配を幸氏と義孝の後ろから感じた。


幸氏は後ろを不思議そうに見た。

義孝は後ろを普通の表情で見た。


少女が義孝と幸氏を僅かに驚いて見ている。


義孝は少女に普通に話し出す。

「居たんだ。」

少女は義孝に不思議そうに話し出す。

「私はずっと舞殿の近くに居たわよ。」

義孝は少女を不思議そうに見た。

幸氏も少女を不思議そうに見た。

少女は義孝と幸氏を不思議そうに見た。

義孝は少女に普通に話し出す。

「早くお参りに行こう。たくさんの花を見る時間がなくなるぞ。」

少女は義孝に笑顔で頷いた。


少女は笑顔で歩き出した。

義孝は普通に歩き出した。

幸氏は微笑んで歩き出した。


ちょうど同じ頃。


ここは、境内。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏の元へと笑顔で走っている。


源義高は大姫を普通の表情で見ている。

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見ている。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏の元に笑顔で来た。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様! 小太郎殿! 待っていました! 早く花を見に行きましょう!」

源義高は大姫に普通の表情で頷いた。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で手を差し出した。

源義高は大姫の手を普通の表情で取った。

海野小太郎幸氏は大姫の手を微笑んで取った。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏と手を繋ぎながら、笑顔で歩き出した。

源義高は大姫と手を繋ぎながら、普通に歩き出した。

海野小太郎幸氏は大姫手と繋ぎながら、微笑んで歩き出した。


時が一気に遡る。


ここは、平成時代の人達が鎌倉時代と呼ぶ時代。


ここは、鎌倉。


小御所。


大姫の部屋。


大姫は床の中で静かに寝ている。


大姫は床の中で気持ち良さそうに目を開けた。


大姫はゆっくりと床から起き上がると、部屋の中を不思議そうに見た。


部屋の中に変わった様子はない。


大姫は部屋を不思議そうに出た。


それから僅かに後の事。


ここは、大姫の部屋の前に在る縁。


大姫は辺りを不思議そうに見た。


源義高が縁を普通に歩く姿が見えた。

海野小太郎幸氏も縁を普通に歩く姿が見えた。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏の前に笑顔で来た。


源義高は立ち止まると、大姫を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は立ち止まると、大姫に微笑んで軽く礼をした。


大姫と源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様! 小太郎殿! おはようございます!」

源義高は大姫を普通の表情で頷いた。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様! 小太郎殿! 今日は花を見に行きたいです!」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「大姫が見たい花は何だ?」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「萩と桔梗を見に行きたいです!」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「食事と着替えを早く済ませろ。準備が出来たら部屋に来い。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「はい!」

源義高は大姫に普通の表情で頷いた。

海野小太郎幸氏は大姫と源義高を微笑んで見た。


すると切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様・・・」

「三人で見た萩の花は綺麗でしたね・・・」

「三人で見た桔梗の花も綺麗でしたね・・・」

「三人で花を見に行く前に、とても不思議な夢を見た気がします・・・」

「義高様も同じ夢を見たのでしょうか・・・?」

「ねぇ、義高様・・・」




*      *       *       *       *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の再改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残しながら改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上の点、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

物語の中心は平成時代の鎌倉です。

鎌倉駅周辺に咲く秋の花を見に行く物語です。

2008年の時点になりますが、登場人物が花を見ている場所で、物語に登場する花を見る事が出来ます。

今回の物語は「秋の七草(あきのななくさ)」が登場します。

「秋の七草」は「萩(はぎ)。桔梗(ききょう)。葛(くず)。撫子(なでしこ)。尾花(おばな。薄[すすき]の事)。女郎花(おみなえし)。藤袴(ふじばかま)。」です。

「秋色(しゅうしょく)」は「秋の景色。秋の気配。秋らしい趣。」という意味です。

「鎌倉花めぐり編」となっていますが、2009年の8月の時点で、続編は未定です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





←前            目次            次→


このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください