このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

鎌倉夢語り 〜 大姫と源義高 番外編 〜


〜 夢現 春の初めに贈る物 〜


まず、物語を始める前に・・・

簡単ですが、今回の物語に登場する神社とお店などの説明をします。

「小町通り」

鎌倉駅の近くにあります。

「若宮大路」とほぼ平行に道が通っています。

「小町通り」をそれぞれの方向から歩くと鶴岡八幡宮と鎌倉駅にたどり着きます。

和菓子屋・甘味処・喫茶店・洋食屋・蕎麦屋・おもちゃ屋などいろいろなお店があります。

「鎌倉周辺にあるお店」

登場人物達が立ち寄っているお店ですが、この物語の発表時(2006年2月)に在るお店を参考にして書きました。

申し訳ありませんが、店名は伏せさせて頂きました。

「段葛」

鎌倉にある若宮大路の中央にある一段高い参堂です。

鎌倉駅の近くにあります。

「段葛」を歩くと鶴岡八幡宮にたどり着きます。

大姫の弟の万寿(後の源頼家)の安産祈願のために造られています。

大姫や源義高や海野小太郎幸氏達がいる時代にはあった参道です。

現在は「段葛」の一部のみが残されています。

「鶴岡八幡宮」

鎌倉にあります。

「若宮大路」・「段葛」を歩くと鶴岡八幡宮の鳥居の前に来ます。

境内には池や美術館や有名な大銀杏などがあります。

全ての施設ではないですが大姫や源義高や海野小太郎幸氏の時代にはあった八幡様です。

「本宮」

鶴岡八幡宮の本宮の事です。

大姫達が居る時代に造られています。

大銀杏を見上げながら階段を上っていく先にあります。


では、本文へどうぞ。




*      *      *      *      *      *




時は平成となっている。

立春を過ぎて数日が過ぎている。

まだ寒い日は続いているが、時折、暖か日がある。

しかし、春はもう少し先の事。


鎌倉駅で一人の少女が電車から降りた。

改札を通りすぎて外へ出た。

少女は考え込みながら呟いた。

「今年は何を買おうかな。義孝さんも幸氏さんも、チョコをあげてもあまり喜んでくれないのよね。」

辺りを見回すと駅前のせいか人は多い。

少女は微笑みながら呟いた。

「でも、まだ当日まで日があるから、決まらなくても良いよね。今日は下見だと思って次でも良いよね。」

少女は道沿いに歩き出した。


ここは、大姫や源義高や海野小太郎幸氏が住んでいる小御所。

大姫が元気良く源義高の部屋を訪れた。

源義高と海野小太郎幸氏は、普通の表情のまま大姫を見た。

大姫は源義高を見ながら笑顔で話し掛ける。

「義高様! こんにちは!」

源義高は大姫をいつもと同じ表情のまま黙って見ている。

大姫は源義高を見ながら笑顔で話し掛ける。

「お出掛けしませんか?」

源義高は大姫の話しをあまり気の乗らない表情で聞いている。

大姫は源義高を不思議そうに見た。

海野小太郎幸氏は源義高を見ながら微笑んで話し掛ける。

「義高様。大姫様と一緒にお出掛しませんか?」

源義高は海野小太郎幸氏を面倒そうな表情で見ている。

海野小太郎幸氏は苦笑しながら源義高を見ている。

大姫は源義高を笑顔で見ながら話し掛ける。

「義高様。お出掛けしましょう。」

源義高は大姫を見ながら普通に話し掛ける。

「寒い。」

大姫は源義高を笑顔で見ながら話し掛ける。

「寒いですよね。」

源義高は大姫を見ながら普通に頷いた。

大姫は源義高に笑顔で話し掛ける。

「弓のお稽古をしている時も寒いですか?」

源義高は大姫を不思議そうに見た。

大姫は源義高に笑顔で話し掛ける。

「弓のお稽古は外でやっています。」

源義高は大姫に微笑んで話し掛ける。

「さぁ、どう思う?」

大姫は不思議そうに源義高を見ている。

源義高は大姫を見ながら微笑んで話し掛ける。

「ひ、み、つ。」

大姫は源義高を見ながら、少し大きな声を出して話し出す。

「義高様! また姫を子ども扱いしましたね! 何度も言っていますが姫は大人です! 義高様の許婚です!」

源義高は大姫を見ながら微笑んで話し掛ける。

「まだまだ、こ、ど、も。」

大姫は源義高を見ながら、少し大きな声を出して話し出す。

「子供じゃありません!」

源義高は大姫の様子を微笑んで見ている。

海野小太郎幸氏は苦笑しながら二人の様子を見ている。


ここは鎌倉駅前。

駅の改札をたくさんの人達が出入りしている。

二人の少年が改札から出てきた。

少年がもう一人の少年に話し掛ける。

「幸氏。先に、八幡宮に行ってもいいかな?」

幸氏と呼ばれた少年はもう一人の少年に返事をする。

「いいよ。義孝。段葛から八幡宮に行ってもいいかな?」

義孝と呼ばれた少年は幸氏を見ながら頷いた。

二人は段葛へ向かって歩き出した。


ここも同じく鎌倉駅の改札。

少女が改札から出てきた。

少女は少し楽しそうに呟いた。

「さぁ、今日こそ買わないと!」

楽しそうに辺りを見回すと、元気良く小町通りへと歩き出した。


ここは鎌倉の小御所。

大姫は源義高の部屋を元気良く訪れた。

しかし、源義高は部屋に居ない。

海野小太郎幸氏が大姫に申し訳なさそうに話し掛ける。

「義高様は出掛けています。でも、直ぐに戻ってきます。」

大姫は残念そうな表情で、海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「そうですか。」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し掛ける。

「大姫様。一緒に待ちませんか?」

大姫は残念そうに海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「姫は部屋に戻ります。」

海野小太郎幸氏は微笑んで大姫に話し掛ける。

「お部屋までお供いたします。」

大姫は海野小太郎幸氏を見ながら微笑んで話し掛ける。

「一人で大丈夫です。小太郎殿はここで待っていてください。」

海野小太郎幸氏は大姫を見ながら微笑んで頷いた。

大姫は寂しそうに戻っていった。

海野小太郎幸氏は大姫の様子を心配そうに見た。


源義高が部屋に戻ってきた。

海野小太郎幸氏が源義高に微笑んで話し掛ける。

「お帰りなさいませ。」

源義高は海野小太郎幸氏を見ながら頷いた。

海野小太郎幸氏が微笑んで源義高に話し掛ける。

「義高様。先程大姫様がいらっしゃいました。」

源義高は海野小太郎幸氏を普通に見ている。

海野小太郎幸氏は源義高に申し訳なさそうに話し掛ける。

「お待ち頂く様にとお話しは致しました。しかし、ご自分の部屋に戻られると言ってお帰りになりました。」

源義高は海野小太郎幸氏を見ながら普通に話し掛ける。

「小太郎。悪いが一緒に来てくれ。」

海野小太郎幸氏は源義高を見ながら黙って頷いた。

二人は部屋から出て行った。


源義高と海野小太郎幸氏は大姫の部屋を訪れた。

しかし、大姫が居ない。

源義高と海野小太郎幸氏は、そのまま部屋へと戻る事にした。


ここは、源義高の部屋。

源義高は心配そうに海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「大姫が部屋に来た時に、変わった様子はなかったか?」

海野小太郎幸氏は申し訳なさそうに源義高に話し掛ける。

「私が見た限りでは、いつもの大姫様と同じでした。」

源義高は海野小太郎幸氏に、考え込みながら話し掛ける。

「大姫は、部屋に戻るのを止めて、もしかしたら外に出掛けたのかもしれないな。」

海野小太郎幸氏は源義高に、考え込みながら話し掛ける。

「その可能性はありますね。」

源義高は海野小太郎幸氏を見ながら普通に話し掛ける。

「小太郎。一緒に来てくれ。」

海野小太郎幸氏は源義高を見ながら黙って頷いた。


義孝と幸氏は鶴岡八幡宮に来ている。

本宮でお参りをするとそのまま石段を降りてきた。


石段を降りると義孝と幸氏は立ち止まった。

鎌倉で良く見かける女の子が居た。


大姫は義孝と幸氏を見て笑顔になった。

幸氏は大姫のもとに来ると微笑んで話し掛ける。

「姫ちゃん。こんにちは。」

大姫は微笑んで幸氏に返事をする。

「こんにちは。」

義孝も大姫のもとに来て微笑んで話し掛ける。

「こんにちは。」

大姫は微笑んで義孝に話し掛ける。

「こんにちは。」

幸氏は微笑んで大姫に話し掛ける。

「姫ちゃんは、一人なのかな?」

大姫は幸氏を見ると笑顔で頷いた。

幸氏は笑顔で大姫に話し掛ける。

「何をしているの?」

大姫は笑顔で幸氏に話し掛ける。

「最近、義高お兄ちゃんの元気がありません。お兄ちゃんの喜びそうな物を探しています。」

幸氏は微笑んで大姫に話し掛ける。

「ここで探しているの?」

大姫は笑顔で幸氏を見ながら頷いた。

義孝は大姫を見ながら普通に話し掛ける。

「だったら、チョコでも買ったらどうだ?」

大姫は不思議そうに義孝を見ながら話し掛ける。

「ちょこ?」

義孝は大姫を見ながら普通に話し掛ける。

「今日はバレンタインデーだから、チョコを買ったら喜ぶと思うぞ。」

大姫は不思議そうに義孝を見ながら話し掛ける。

「ばれんたいんでー?」

義孝は大姫を見ながら普通に話し掛ける。

「バレンタインデーの事を知らないの?」

大姫は義孝を見ながら黙って頷いた。

義孝は大姫に微笑んで話し掛ける。

「バレンタインデーは、女の子が好きな男の子に、チョコをあげる日なんだよ。」

大姫は嬉しそうに義孝に話し掛ける。

「姫もちょこを買います! ばれんたいんでーをやりたいです!」

義孝は微笑みながら大姫を見ている。

大姫は急に考え込むと、不安そうに義孝に話し掛ける。

「でも、姫はお金を持っていません。ちょこが買えません。」

義孝は大姫に微笑んで話し掛ける。

「買ってあげるよ。」

大姫は義孝に申し訳なさそうに話し掛ける。

「でも、姫はお金を返せません。」

義孝は大姫に微笑んで話し掛ける。

「気にしなくていいよ。お礼だから。」

大姫は不思議そうに義孝を見ている。

幸氏は微笑んで義孝に話し掛ける。

「確かにお礼だね。」

大姫は二人を見ながら微笑んで話し掛ける。

「お願いします。」

幸氏は義孝に考え込みながら話し掛ける。

「でも、どのお店に行けばいいんだろう。」

大姫は義孝と幸氏に微笑んで話し掛ける。

「お菓子を売っているお店を知っています!」

義孝は大姫を見ながら微笑んで話し掛ける。

「良いよ。姫ちゃんが知っているお店に行こう。」

三人は鶴岡八幡宮から居なくなった。


少女は鎌倉駅の近くに居る。

すると、鎌倉で良く見掛ける二人の少年の姿が見えた。

二人の少年の名前は源義高と海野小太郎幸氏。

しかし、源義高は義高、海野小太郎幸氏は小太郎と、少女達には名乗っている。

少女は二人のもとに近づくと微笑んで話し掛ける。

「こんにちは。義高君と小太郎君だよね。」

源義高と海野小太郎幸氏は少女を見ると黙って頷いた。

少女は微笑んで二人に話し掛ける。

「何かあったの?」

源義高が少女に困った様子で話し掛ける。

「姫を探しています。」

少女は不思議そうに源義高に話し掛ける。

「姫ちゃんを探しているの?」

源義高は少女を見ながら黙って頷いた。


大姫と義孝と幸氏の三人は鎌倉駅近くのお店に来ている。

大姫は、ガラスケースに並んでいるケーキを、真剣な表情で見ている。

義孝は微笑んで大姫に話し掛ける。

「姫ちゃん。それはケーキだよ。チョコはあっちだよ。」

大姫はガラスケースの中のお菓子を指しながら、笑顔で義孝に話し掛ける。

「あの丸いふわふわしたお菓子が良いです。」

義孝は大姫が指したお菓子を見ながら話し掛ける。

「あのお菓子でいいの?」

大姫は嬉しそうに義孝を見ながら頷いた。

義孝が微笑んでお店の人に話し掛ける。

お店の人は、義孝が頼んでいるふわふわの丸いお菓子を袋に詰めている。

大姫はお店の人から袋を受取ると、嬉しそうに手に持った。


大姫と義孝と幸氏の三人がお店から出てきた。

大姫は大事そうに袋を持ちながら、嬉しそうに義孝と幸氏に話し掛ける。

「ありがとうございました!」

義孝は大姫を見ながら微笑んで頷いた。

大姫は微笑んで義孝と幸氏に寒椿を手渡しながら話し掛ける。

「お礼です!」

二人は寒椿を微笑んで受取った。

大姫は笑顔で義孝と幸氏に話し掛ける。

「ありがとうございました!」

義孝は大姫に微笑んで話し掛ける。

「お兄ちゃん元気になるといいね。」

大姫は笑顔で義孝を見ながら頷いた。

義孝と幸氏は大姫を微笑んで見ている。

大姫は礼をすると静かに居なくなった。


少女は源義高と海野小太郎幸氏は、鎌倉にある一軒のお店の中に居る。

源義高と海野小太郎幸氏は不思議そうにお菓子を見ている。

少女はお菓子を買っている。

三人は少女の買い物が終わったので店を出た。


少女は源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「今日はバレンタインデーだから、二人にチョコをあげる。姫ちゃんと一緒に仲良く分けて食べてね。」

源義高は申し訳なさそうに少女に話し掛ける。

「何もしていないのに受取れません。」

少女は微笑んで二人に話し掛ける。

「お礼だから。」

源義高と海野小太郎幸氏は不思議そうに顔を見合わせた。

少女は二人の様子を微笑んで見ている。

源義高は少女からチョコを受取ると微笑んで話し掛ける。

「ありがとうございます。」

少女は二人に微笑んで見ている。

源義高と海野小太郎幸氏の二人は礼をすると静かに居なくなった。


少女がいつも感じる温かい気配を感じて後ろを振り向いた。

視線の先には、義孝と幸氏の二人が居た。

義孝と幸氏の二人は不思議そうに辺りを見ている。

少女は不思議そうに二人に話し掛ける。

「何をやっているの?」

幸氏が少女に不思議そうに話し掛ける。

「今さっき、鎌倉で良く会う女の子から寒椿をもらったんだ。でも、寒椿が急にどこかに消えたんだ。」

少女は不思議そうに二人に話し掛ける。

「不思議な話しね。」

三人は辺りを不思議そうに見回している。

しかし、大姫が義孝と幸氏にあげた寒椿は見当たらない。

義孝が少女に不思議そう話し掛ける。

「そういえば、そっちこそ、何をやっているんだ?」

少女は微笑んで義孝に話し掛ける。

「何って、今日は、バレンタインデーでしょ。だからチョコを買っていたの。」

義孝は呆れた様子で少女に話し掛ける。

「今日買うのはいいけど、いつ渡すつもりだったんだ?」

少女は微笑んで義孝と幸氏を見ながら話し掛ける。

「帰ってから渡すつもりだったの。だって、私のあげたい人は、いつも傍に居てくれる頼りになる人達なの。」

義孝は不思議そうに少女を見ている。

幸氏は今にも笑い出しそうな表情で二人の様子を見ている。

少女は微笑んで義孝と幸氏に話し掛ける。

「早く帰ろう!」

義孝と幸氏は微笑んで少女を見ながら頷いた。

三人は鎌倉駅の改札へと向かって歩き出した。


大姫は鶴岡八幡宮へとやってきた。

辺りは大姫がいつも見慣れている景色。

大姫は袋を大事そうに持っている。

源義高が大姫の後ろから呆れた様子で声を掛けた。

「おい。大姫。部屋は小御所じゃなくてこっちにあるのか?」

大姫は笑顔で振り向くと、源義高に大きな声で話し掛ける。

「義高様! お帰りなさい! お待ちしていました!」

源義高は呆れた様子で大姫に話し掛ける。

「本当に俺の事を待っていたのか? 大姫の部屋はこっちじゃないだろ。」

大姫は笑顔で源義高に話し掛ける。

「義高様! 小太郎殿! ちょこのお菓子を差し上げます! 食べてください!」

源義高は、笑顔で袋を差し出した大姫を、呆れた様子で見ている。

海野小太郎幸氏は微笑んで源義高に話し掛ける。

「義高様。きっと大姫様は義高様の事を心配して、こちらに来られたと思います。」

源義高は海野小太郎幸氏を見ながら、普通に話し掛ける。

「そんな事はわかっている。」

大姫は、袋を差し出したまま、不思議そうに源義高と海野小太郎幸氏を見ている。

源義高は大姫を見ながら普通に話し掛ける。

「大姫。これからは、部屋に戻ると言ったら、きちんと戻るように。大姫の部屋にせっかく行ったのに、居なかったから、心配したんだぞ。」

大姫は袋を持ったまま、寂しそうに下を向いてしまった。

源義高は大姫を見ながら微笑んで話し掛ける。

「でも、今日は直ぐに見つかったから許してあげるよ。」

大姫は袋を持ったまま、下を向いて黙っている。

源義高は大姫から袋を受取ると、微笑んで話し掛ける。

「大姫。ありがとう。」

大姫は源義高を見ると笑顔で頷いた。

源義高は大姫に微笑んで話し掛ける。

「大姫。ちょこという名前のお菓子をもらったんだ。三人で一緒に食べよう。」

大姫は源義高を見ながら笑顔で頷いた。

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「小太郎。戻ろう。」

海野小太郎幸氏は源義高を見ながら黙って頷いた。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に手を差し出した。

源義高と海野小太郎幸氏は微笑んで大姫の手を取った。

源義高と海野小太郎幸氏は、大姫を中心に手を繋ぎながら、小御所へと戻っていった。


すると、切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様。お菓子おいしかったですね・・・」

「義高様が、私が選んだお菓子をおいしそうに食べてくれて、嬉しかったです・・・」

「義高様が自分で持ってきたお菓子も、おいしそうに食べていましたね・・・」

「私が食べて苦いって言ったら、まだ子供だからって笑っていましたね・・・」

「義高様はおいしそうに食べているから悔しかったな・・・」

「きっと今なら苦いなんて言わないと思うのに・・・」

「今日は、女の子が好きな男の子に好きだと告白する日です・・・」

「義高様。覚えていますか・・・?」

「私も義高様に言いたいな・・・?」

「ねぇ、義高様、言っても良いですか・・・?」

「ねぇ、義高様・・・」




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

大姫達の時代の暦は陰暦です。

現在の暦のバレンタインデーの日付を、大姫達の暦に直すと、お正月の終わりの頃から一月のなかのどの日かになると思います。

物語の中の時期の設定は現代のバレンタインデーの頃にあわせて書きました。

タイトルですが、旧暦にあわせると「春」となります。

暦の時期と物語のイメージから「春の初め」としました。

「バレンタインデー」についてです。

西暦269年、兵士の自由結婚禁止政策に反対したバレンタイン司教が、時のローマ皇帝の迫害により処刑されました。

それから、この日がバレンタイン司教の記念日としてキリスト教の行事に加えられ、恋人達の愛の誓いの日になりました。

ヨーロッパでは、この日を「愛の日」として花やケーキ、カード等を贈る風習があります。

女性が男性にチョコレートを贈る習慣は日本独自のものです。

1958年にある会社が行ったチョコレートセールが始まりです。

最初の年は、3日間で3枚しか売れなかったそうです。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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