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鎌倉夢語り 〜 大姫と源義高 番外編 〜


〜 夢現 真白き夢の贈り物 〜


まず、物語を始める前に・・・

簡単ですが、今回の物語に登場する、神社とお寺とお店などの説明をします。

「小町通り」

鎌倉駅の近くにあります。

「若宮大路」とほぼ平行に道が通っています。

「小町通り」をそれぞれの方向から歩くと、鶴岡八幡宮と鎌倉駅にたどり着きます。

和菓子屋・甘味処・喫茶店・洋食屋・蕎麦屋・おもちゃ屋などいろいろなお店があります。

「鎌倉周辺にあるお店」

登場人物達が立ち寄っているお店ですが、この物語の発表時(2006年3月)に在るお店を参考にして書きました。

申し訳ありませんが、店名は伏せさせて頂きました。

「段葛」

鎌倉にある若宮大路の中央にある一段高い参堂です。

鎌倉駅の近くにあります。

段葛を歩くと鶴岡八幡宮にたどり着きます。

大姫の弟の万寿(後の源頼家)の安産祈願のために造られています。

大姫や源義高や海野小太郎幸氏達がいる時代にはあった参道です。

現在は「段葛」の一部のみが残されています。

「鶴岡八幡宮」

鎌倉にあります。

「若宮大路」・「段葛」を歩くと鶴岡八幡宮の鳥居の前に来ます。

境内には池や美術館や有名な大銀杏などがあります。

全ての施設ではありませんが、大姫や源義高や海野小太郎幸氏の時代にはあった八幡様です。

「本宮」

鶴岡八幡宮の本宮の事です。

大姫達が居る時代に造られています。

大銀杏を見上げながら階段を上っていく先にあります。




では、本文へどうぞ。




*      *      *      *      *      *




時は平成。

場所は鎌倉。


少しずつ暖かい日が増えてきた。

鎌倉駅の改札から二人の少年が出てきた。

一人の少年が一緒に居る少年に話し掛ける。

「義孝。ホワイトデーのお返しはどうするんだ? 何も買っていないだろ。」

義孝と呼ばれた少年は、話し掛けてきた少年に普通に返事をする。

「幸氏は買ったのか?」

幸氏と呼ばれた少年は、義孝と呼ばれている少年に、苦笑しながら話し掛ける。

「だって、バレンタンイデーに俺達にチョコをくれただろ。だったら、ホワイトデーに何か贈らないと駄目だろ。」

義孝は考え込みながら幸氏に話し掛ける。

「やっぱり何か買わないと駄目だよな。何を買えばいいのかな?」

幸氏は考え込みながら義孝に話し掛ける。

「取りあえず、小町通りを歩きながら考えよう。」

義孝は幸氏を見ながら頷いた。

二人は小町通りへ向かって歩き出した。



ここは鎌倉の小御所。

源義高が部屋の外の様子を気にしている。

海野小太郎幸氏が不思議そうに源義高に話し掛ける。

「義高様。何かありましたか?」

源義高が不思議そうに海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「大姫が来ない。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「心配ですか?」

源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し掛ける。

「だって、大姫が俺に話し掛けてこない日はないだろ。それなのに、なぜか今日は来ていないだろ。予定が立てられなくて困るんだ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「では、大姫様のお部屋に行って、予定の確認をしてきます。」

源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し掛ける。

「行かなくて良いよ。大姫が舞い上がって喜ぶだろ。騒がしいまま部屋に来るだろ。うるさくなる。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「では、大姫様のご様子だけを確認してきます。」

源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し掛ける。

「勝手にしろ。俺は出掛ける。」

海野小太郎幸氏は源義高に不思議そうに話し掛ける。

「どちらへお出掛けですか?」

源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し掛ける。

「小太郎は大姫のご機嫌伺いをするんだろ。だったら、俺がどこに出掛けるかは、関係ないだろ。」

海野小太郎幸氏は源義高に申し訳なさそうに話し掛ける。

「義高様。ご一緒いたします。ですから、お一人で出掛けられるのは、止めてください。」

源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し掛ける。

「何を心配しているんだ?」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「義高様に何かあったら困ります。ですから、お供をいたします。」

源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見ている。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「馬に乗りますか? 用意をして参ります。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「出掛けないよ。大姫の様子を見てきてくれ。」

海野小太郎幸氏は不思議そうに源義高を見ている。

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「冗談だよ。小太郎は真面目すぎだよ。」

海野小太郎幸氏は源義高を複雑な表情で見ている。

源義高は心配そうに海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「小太郎? 大丈夫か?」

海野小太郎幸氏は源義高に普通に話し掛ける。

「大丈夫です。では、大姫様のお部屋に行きます。」

源義高は心配そうに海野小太郎幸氏を見ている。

海野小太郎幸氏は微笑んで源義高に話し掛ける。

「義高様。私のために、そのような顔をしてはいけません。」

源義高は心配そうに海野小太郎幸氏を見ている。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「私はずっと義高様のお傍に居ます。ご安心ください。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「小太郎。ありがとう。」

海野小太郎幸氏は源義高に軽く礼をすると、部屋から出て行った。


ここは鶴岡八幡宮。

大姫は不思議そうに辺りを見回しながら呟いた。

「姫は、どうして八幡様に居るのでしょうか? 大銀杏もこの前見た時より大きくなっています。不思議です。」

大姫は本宮へと続く階段を、ゆっくりと上って大銀杏に近づいた。


ここも鶴岡八幡宮。

義孝は辺りを不思議そうに見ながら呟いた。

「幸氏が居ない。それより、俺は何で八幡宮に居るんだ?」

辺りを不思議そうに見ると、本宮へと向かう階段の途中に、鎌倉で良く見掛ける女の子の姿が見えた。

義孝は本宮へと続く階段をゆっくりと上った。


大姫は階段を上ってくる少年の姿を見ると嬉しそうに話し掛ける。

「義孝のお兄ちゃん!」

義孝は大姫に近づくと微笑んで話し掛ける。

「姫ちゃん。こんにちは。今日も一人?」

大姫は義孝を見ながら微笑んで頷いた。

義孝は大姫に微笑んで話し掛ける。

「姫ちゃんが選んだバレンタインのチョコのお菓子を、義高のお兄ちゃんは喜んでくれたのかな?」

大姫は笑顔で義孝に話し掛ける。

「はい! 喜んでいました! ありがとうございます!」

義孝は大姫に微笑んで話し掛ける。

「今日はホワイトデーだね。姫ちゃんは、お兄ちゃん達から何かもらった?」

大姫は不思議そうに義孝を見ている。

義孝は微笑んで大姫に話し掛ける。

「バレンタインデーを知らなかったから、ホワイトデーも知らないか。ホワイトデーは、バレタインデーにチョコをもらった人がお返しをする日だよ。」

大姫は微笑んで義孝に話し掛ける。

「今度は、姫がお兄ちゃん達から、ちょこをもらうのですか?」

義孝は大姫に微笑んで話し掛ける。

「チョコ、クッキー、キャンデー、マシュマロとかを、お返しにあげるかな?」

姫は笑顔で義孝に話し掛ける。

「姫はお兄ちゃん達から、何かもらえるのですね! 楽しみです!」

義孝は大姫に微笑んで話し掛ける。

「姫ちゃん。一緒にホワイトデーにあげる物を選んで欲しいんだ。いいかな?」

大姫は義孝を見ながら笑顔で頷いた。

大姫と義孝は段葛の方へ向かって歩き出した。


少女は鎌倉駅の改札を出た。

幸氏が後ろから少女に微笑んで声を掛けた。

「こんにちは。」

少女は後ろを向くと、微笑んで幸氏に声を掛ける。

「幸氏さん。こんにちは。」

幸氏は少女に微笑んで話し掛ける。

「義孝を知らない? さっきまで一緒にいたのに急に居なくなったんだ。」

少女は申し訳なさそうに幸氏に話し掛ける。

「鎌倉に今着いたばかりなの。わからないわ。ごめんなさい。」

幸氏は少女に微笑んで話し掛ける。

「そうだ。ホワイトデーにあげる物を買うつもりで鎌倉に来たんだ。せっかくだから一緒に買いに行こう。好きな物を選んで良いよ。」

少女は幸氏に微笑んで話し掛ける。

「気にしなくても良いのに。」

幸氏は少女に微笑んで話し掛ける。

「バレンタインデーにチョコをくれたお返しだよ。だから、気にしなくてもいいよ。」

少女は微笑んで幸氏を見ながら話し掛ける。

「そうしたら、言葉の通り甘えても良いの?」

幸氏は少女に微笑んで話し掛ける。

「いいよ。何か買ってあげる。一緒に行こう。」

少女は幸氏を見ながら微笑んで頷いた。

幸氏と少女は一緒に歩き出した。


幸氏と少女が歩き出して直ぐの事。

二人の視線の先に、鎌倉でいつも見掛ける一人の男の子が居た。

少女は不思議そうに幸氏に話し掛ける。

「義高君だよね。」

幸氏は少女を見ると黙って頷いた。

幸氏と少女は源義高に向かって歩き出した。


源義高は幸氏と少女を見ると、微笑んで話し掛ける。

「こんにちは。」

少女は源義高に微笑んで話し掛ける。

「こんにちは。」

源義高は不思議そうに少女に話し掛ける。

「どこかへお出掛けですか?」

幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「ホワイトデーの贈り物を買うんだ。」

源義高は不思議そうに幸氏を見ている。

幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「ホワイトデーを知らないのかな?」

源義高は幸氏を不思議そうに見ている。

幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「ホワイトデーは、バレンタインデーのお返しをする日だよ。」


源義高は幸氏に普通に話し掛ける。

「ほわいとでーには、何をお返しに贈るのですか?」

幸氏は源義高に考え込みながら話し掛ける。

「普通は、チョコ、クッキー、マシュマロ、キャンデーとかを贈るかな。」

源義高は幸氏に普通に話し掛ける。

「他の物でも大丈夫なのですか?」

幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「相手が喜ぶなら違う物でも良いんだよ。でも、ホワホイトデーの贈り物は、姫ちゃんにあげるんだろ?」

源義高は幸氏を見ながら黙って頷いた。

幸氏は源義高を見ながら微笑んで話し掛ける。

「相手が姫ちゃんなら、お菓子の方が良いんじゃないかな?」

源義高は幸氏に微笑んで話し掛ける。

「僕はお金を持っていません。だから、お金の掛からない物を贈ります。」

幸氏は微笑んで源義高に話し掛ける。

「姫ちゃんが喜んでくれるといいね。」

源義高は幸氏と少女を見ながら、微笑んで頷いた。

少女は源義高に微笑んで話し掛ける。

「義高君。またね。」

源義高は少女に微笑んで軽く礼をすると、静かに居なくなった。


義孝は大姫と一緒にお店の中にいる。

大姫はガラスケースの中を不思議そうに見ている。

義孝は大姫の様子を微笑んで見ている。

大姫は義孝に微笑んで話し掛ける。

「姫は丸いお菓子が良いです。お花の絵が描いてある中に入っているお菓子です。」

義孝は大姫に微笑んで話し掛ける。

「ありがとう。それにするよ。」

大姫は嬉しそうに義孝を見ながら頷いた。

義孝は大姫の気に入ったお菓子を買っている。

大姫と義孝は店を出た。


義孝と大姫の目の前に、海野小太郎幸氏が現れた。

大姫は笑顔で海野小太郎幸氏に抱きついた。

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで抱き止めた。

義孝は海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「姫ちゃんを探していたんだ。」

海野小太郎幸氏は義孝を見ると微笑んで頷いた。

義孝は大姫に微笑んで話し掛ける。

「姫ちゃんが気に入ったお菓子をあげる。選んでくれたお礼だよ。三人で仲良く食べてね。」

大姫は笑顔で義孝からお菓子を受取った。

義孝は微笑んで大姫の様子を見ている。

大姫は笑顔で義孝に話し掛ける。

「ありがとうございます!」

義孝は大姫と海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「またね。」

大姫と海野小太郎幸氏は、義孝に礼をすると静かに居なくなった。


義孝は段葛を鎌倉駅の方向に向かって歩いている。

すると、後ろから義孝を呼ぶ声が聞こえてきた。

義孝が振り向くと、少女と幸氏が自分の所に歩いてくる姿が見えた。

義孝は立ち止まって幸氏と義孝の様子を見ている。


幸氏と少女が義孝の前にやってきた。

義孝は幸氏に普通に話し掛ける。

「どうして居なくなったんだ?」

幸氏は義孝に微笑んで話し掛ける。

「それはこっちが聞きたいよ。」

義孝は幸氏を不思議そうに見ている。

幸氏は義孝に微笑んで話し掛ける。

「でも、会えたから良いか。」

義孝は幸氏を見ながら黙って頷いた。

幸氏は義孝を微笑んで見ている。

義孝は少女に袋を差し出しながら、普通に話し掛ける。

「これ、ホワイトデーのお菓子。あげる。」

少女は義孝からお菓子を受取ると、微笑んで話し出す。

「ありがとう。このお菓子おいしいよね。好きなんだ。」

義孝は少女を微笑んで見た。

少女は嬉しそうに義孝と幸氏に話し掛ける。

「ホワイトデーのお菓子を食べるのが楽しみ! いつ食べようかな?!」

義孝と幸氏は少女を微笑んで見ている。

少女は義孝と幸氏に微笑んで話し掛ける。

「帰ろう。」

義孝と幸氏は少女を見ながら頷いた。

三人は楽しそうに話をしながら、段葛を鎌倉駅の方向に向かって歩き出した。


ここは小御所。

大姫と海野小太郎幸氏は、源義高の部屋にやってきた。

源義高は二人を普通に見ている。

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「義高様! 遅くなりました!」

源義高は大姫を見ながら普通に話し掛ける。

「約束をしていないから、遅いも早いもないだろ。」

大姫は源義高を見ながら笑顔で話し掛ける。

「義高様! お菓子を食べましょう!」

源義高はお菓子を見ると微笑んで頷いた。

大姫は源義高の横にある桜の小枝を見ながら、笑顔で話し掛ける。

「義高様! 桜の花ですね!」

源義高は大姫に桜の小枝を差し出すと、普通に話し掛ける。

「あげるよ。」

大姫は笑顔で源義高から桜の小枝を受取った。

源義高は微笑んで大姫の様子を見ている。

大姫は桜の小枝を持ちながら、源義高に笑顔で話し掛ける。

「義高様! ありがとうございます!」

源義高は大姫の様子を微笑んで見ている。

大姫は源義高に微笑んで話し掛ける。

「義高様! 小太郎殿! 早くお菓子を食べましょう!」

源義高は大姫を見ながら微笑んで頷いた。

海野小太郎幸氏も大姫を見ながら微笑んで頷いた。

三人はお菓子をおいしそうに食べ始めた。


すると、切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様。あの時もまた不思議な出来事がありましたね・・・」

「三人で食べたお菓子はおいしかったですね・・・」

「義高様もおいしそうに食べていましたね・・・」

「義高様から桜の花を頂いて嬉しかったです・・・」

「ねぇ、義高様。桜の花は、不思議な言葉のお祝いの日の贈り物ですか・・・?」

「ねぇ、義高様。とても嬉しかったです・・・」

「ねぇ、義高様・・・」




*      *      *      *      *      *




ここからは、後書きになります。

この物語は、「鎌倉夢語り 大姫と源義高 番外編 夢現 春の初めに贈る物」から後の物語となります。

一ヵ月後のホワイトデーの物語です。

現代の物語は、ホワイトデーにあわせて、物語は進んでいます。

大姫達の時代は、大姫達の暦に合わせて物語は進んでいます。

「ホワイトデー」です。

2月14日のバレンタインデーにチョコレートを贈られた男性が、返礼のプレゼントをする日です。

バレンタインデーのチョコレートに対し、キャンデーやマシュマロやチョコレートなどをお返しするのが一般的になっています。

日本でバレンタインデーが定着するにしたがって、若い世代の間で、それにお返しをしようという風潮が生まれました。

これを受けたお菓子業界では、昭和五十年代に入ってから、個々に独自の日を定めて、マシュマロやクッキーやキャンデーなどを「お返しの贈り物」として宣伝販売するようになりました。

この動きをある団体がキャンデーの促進販売に結びつけ、「ホワイトデー」として催事化しました。

1978年に、上記と同じ団体が、1978年に、「キャンデーを贈る日」として制定しました。

2年の準備期間を経て1980年に第1回目のホワイトデーが開催されました。

「ホワイトデー」を3月14日に定めたのは、269年の2月14日に、兵士の自由結婚禁止政策にそむいて結婚しようとした男女を救うため、バレンタイン司教が殉職しました。

その一ヵ月後の3月14日に、その二人は改めて、二人の永遠の愛を誓い合ったと言われていることに由来しています。

楽しんで頂けて嬉しいです。





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