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鎌倉夢語り 〜 大姫と源義高 番外編 〜
〜 夢現 薔薇の花の物語 〜
まず、物語を始める前に・・・
簡単ですが、今回の物語に登場する、神社とお寺とお店などの説明をします。
「小町通り」
鎌倉駅の近くにあります。
「若宮大路」とほぼ平行に道が通っています。
「小町通り」をそれぞれの方向から歩くと、鶴岡八幡宮と鎌倉駅にたどり着きます。
和菓子屋・甘味処・喫茶店・洋食屋・蕎麦屋・おもちゃ屋などいろいろなお店があります。
「鎌倉周辺にあるお店」
登場人物達が立ち寄っているお店ですが、この物語の発表時(2006年6月)に在るお店を参考にして書きました。
申し訳ありませんが、店名は伏せさせて頂きました。
「鶴岡八幡宮」
鎌倉にあります。
「若宮大路」・「段葛」を歩くと鶴岡八幡宮の鳥居の前に来ます。
境内には池や美術館や有名な大銀杏などがあります。
全ての施設ではありませんが、大姫や源義高や海野小太郎幸氏の時代にはあった八幡様です。
「鎌倉文学館」
江ノ電の「由比ヶ浜駅」から歩くと8分〜10分ほどで着きます。
前田侯爵の鎌倉別邸を文学館として開館したそうです。
鎌倉縁の作家、鎌倉縁の地の物語などの作品を展示しています。
大姫達の居る時代にはもちろんない施設です。
「江ノ電」
鎌倉駅と藤沢駅の間を走っている路線の事を言います。
単線だったり、電車内や駅から海が見えたりなど、いろいろな風景が楽しめます。
では、本文へどうぞ。
* * * * * *
時は平成。
場所は鎌倉。
鎌倉駅の改札から、二人の少年と一人の少女が通り抜けてきた。
少女が二人の少年に微笑んで話し掛ける。
「駅を出てしまってから言うのも何だけど、バラが見たいな。」
一人の少年が少女に呆れた様子で話し出す。
「確かに、何だよな。」
もう一人の少年は先に話し出した少年に苦笑しながら話し出す。
「義孝。駅を出て直ぐに話したのだから、良いじゃないか。」
義孝と呼ばれた少年は、話し掛けてきた少年に微笑んで話し掛ける。
「幸氏に免じて許そう。」
幸氏と呼ばれた少年は苦笑しながら義孝を見た。
少女は義孝と幸氏に微笑んで話し掛ける。
「文学館に行きたいな。」
幸氏は義孝に微笑んで話し掛ける。
「もう直ぐ江ノ電の出発する時間だよな。」
義孝は少女に普通に話し掛ける。
「早く江ノ電に行こう。」
少女は義孝を見ながら微笑んで頷いた。
義孝、幸氏、少女の三人は、江ノ電の改札へと向かって歩き出した。
時は鎌倉。
ここは、鎌倉の小御所。
大姫は源義高の部屋に元気良くやってきた。
源義高は大姫を普通の表情で見た。
大姫は源義高に笑顔で話し掛ける。
「義高様! お花を見に行きませんか?!」
源義高は大姫に普通に話し掛ける。
「何の花を見に行くんだ?」
大姫は源義高に笑顔で話し掛ける。
「義高様の見たいお花はありますか?!」
源義高は大姫に普通に話し掛ける。
「ない。」
大姫は源義高を不思議そうに見た。
源義高は大姫に普通に話し掛ける。
「大姫はどんな花が見たいんだ?」
大姫は源義高に笑顔で話し掛ける。
「義高様! 由比ガ浜にお出掛けしませんか?!」
源義高は大姫に普通に話し掛ける。
「大姫。花を見に行く話はどうしたんだ?」
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「義高様も由比ガ浜ならお出掛けしますよね!」
源義高は大姫に普通に話し掛ける。
「小太郎が居ないんだ。戻ってきてからでもいいかな?」
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「はい! わかりました! 姫は自分の部屋に戻ります! 小太郎殿が戻ってきたら、呼びに来てください! お願いします!」
源義高は大姫を普通の表情で見ながら黙って頷いた。
大姫は源義高の部屋を元気良く出て行った。
ここは江ノ電の由比ガ浜駅。
義孝、幸氏、少女の三人は、江ノ電を降りた。
少女は義孝と幸氏に笑顔で話し掛ける。
「早く文学館に出掛けましょう!」
義孝は少女を見ながら普通に頷いた。
幸氏は少女を見ながら微笑んで頷いた。
義孝、幸氏、少女の三人は、鎌倉文学館へと向かって歩き出した。
ここは、鎌倉幕府の小御所。
源義高の部屋に海野小太郎幸氏が戻ってきた。
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。
「遅くなりました。」
源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。
「小太郎。お帰り。」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。
「義高様。何かありましたか?」
源義高は海野小太郎幸氏を不思議そうに見た。
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。
「大姫様はまだお見えになられていないのですか?」
源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し掛ける。
「来たよ。小太郎が戻ってきたら、三人で海に行く約束をしたんだ。」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。
「では直ぐに大姫様のお部屋に行きませんか?」
源義高は海野小太郎幸氏を見ながら黙って頷いた。
源義高と海野小太郎幸氏は、部屋を出ていった。
義孝、幸氏、少女の三人は、鎌倉文学館の傍まで来た。
少女は義孝と幸氏に笑顔で話し掛ける。
「早く行きましょう!」
義孝は少女を見ながら黙って頷いた。
少女は坂になっている小道を歩き出した。
義孝と幸氏は、少女の後に続いて歩き出した。
源義高と海野小太郎幸氏は、大姫の部屋に来た。
大姫の出迎えはなく、代わりに侍女が現れた。
侍女が源義高に申し訳なさそうに話し出す。
「大姫様は先程からお休みになられています。」
源義高が侍女に普通に話し掛ける。
「大姫様は体調が優れないのですか?」
侍女は源義高に普通に話し掛ける。
「体調が悪い様子ではありませんでした。ただ、義高様とお出掛けするまでの間、少しお休みしたいとお話しをされていました。寝床の準備をしようと思っていたのですが、気が付いたら眠っていらっしゃいました。」
源義高は侍女に普通に話し掛ける。
「大姫様がお目覚めになられましたら、私と小太郎は、用があって出掛けたと伝えてください。」
侍女は源義高を見ながら黙って礼をした。
源義高と海野小太郎幸氏は、大姫の部屋を出て行った。
義孝、幸氏、少女の三人は、鎌倉文学館の庭に居る。
少女は義孝と幸氏に笑顔で話し掛ける。
「早くバラを見に行こうよ!」
幸氏は少女を見ながら微笑んで頷いた。
義孝は庭から見下ろす先に見える海を見ながら呟いた。
「由比ガ浜が見える。」
少女は庭から見える由比ガ浜を見ながら、義孝と幸氏に微笑んで話し掛ける。
「海が見えるね!」
幸氏は少女を見ながら微笑んで頷いた。
少女は義孝と幸氏に笑顔で話し掛ける。
「海は後でゆっくりと見ようよ! 早くバラ園に行こう!」
義孝は少女に何かを話し掛けようとした。
少女はバラ園へと歩き出した。
義孝と幸氏は、少女の後を追い掛けて行った。
源義高と海野小太郎幸氏は、部屋の外に出た。
海野小太郎幸氏は源義高に不思議そうに話し掛ける。
「義高様。用と言うのは何ですか?」
源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し掛ける。
「ない。」
海野小太郎幸氏は源義高を不思議そうに見た。
源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し掛ける。
「大姫は当分起きそうにないから、近くを散歩しよう。ついでに、何か良い花があったら、大姫にあげよう。」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。
「はい。大姫様もきっと喜ばれると思います。」
源義高と海野小太郎幸氏は、小御所から出掛けて行った。
義孝、幸氏、少女の三人は、バラ園に居る。
バラ園には色とりどりのバラが咲き乱れている。
少女はバラを笑顔で見ながら香りを楽しんでいる。
義孝は普通の表情でバラの花を見ている。
幸氏は義孝に苦笑しながら話し掛ける。
「せっかく三人で出掛けているのだから、もう少し楽しそうにしてあげなよ。」
義孝は幸氏を見ながら黙って頷いた。
少女は義孝に笑顔で話し掛ける。
「俳優や有名な人の名前のバラがたくさんあるよね!」
義孝は少女を見ながら普通に頷いた。
少女は義孝の返事を確認すると、直ぐにバラを嬉しそうに見始めた。
大姫は目を覚ました。
慌てて起き上がると、源義高の部屋へ向かおうとした。
侍女が大姫に普通に話し掛ける。
「先ほど、義高様と小太郎殿がお見えになられて、用があるので出掛けられるとお話しをされていました。」
大姫は侍女の話を聞くと、慌てて源義高の部屋へと向かった。
義孝、幸氏、少女の三人は、色とりどりのバラのなかをあるいている。
少女は義孝に笑顔で話し掛ける。
「文学館の中に入って、小説の展示を見よう!」
義孝は少女を見ると、黙って頷いた。
義孝、幸氏、少女の三人は、バラ園を後にした。
大姫は源義高の部屋を訪れた。
部屋の中には、源義高も海野小太郎幸氏も居ない。
大姫は源義高の部屋の中に入ると、黙って座った。
源義高も海野小太郎幸氏も居ない部屋。
大姫は座りながら寂しそうに呟いた。
「由比ガ浜に行くと約束したもん。直ぐに戻って来るもん。」
大姫の呟きに返事をするものは誰も居ない。
大姫は源義高と海野小太郎幸氏の帰りを、源義高の部屋の中で待つ事にした。
義孝、幸氏、少女の三人は、文学館内の展示している小説を見終わり外に出た。
少女は義孝と幸氏に微笑んで話し掛ける。
「もう一度、バラ園に戻ってもいいかな?」
義孝は少女を見ながら黙って頷いた。
幸氏は少女を微笑んで見ながら頷いた。
少女は義孝と幸氏に嬉しそうに話し掛ける。
「ありがとう。」
義孝、幸氏、少女の三人は、バラ園へと歩き出した。
大姫は一人で源義高の部屋の中で待っていたが、心配そうに部屋の外を見た。
辺りには源義高も海野小太郎幸氏も居ない。
大姫は寂しそうに呟いた。
「約束したもん。直ぐに戻って来るもん。」
再び不安そうに辺りを見回した。
義孝、幸氏、少女の三人は、由比ガ浜の駅にいる。
少女は義孝と小太郎に微笑んで話し出す。
「鎌倉駅に着いたら、花を買いたいの。」
義孝と幸氏は、少女を見ながら黙って頷いた。
江ノ電が由比ヶ浜駅に到着した。
義孝、幸氏、少女の三人は、江ノ電に乗り込んだ。
海野小太郎幸氏と源義高は、鶴岡八幡宮に居る。
源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し掛ける。
「小太郎。そろそろ小御所に戻ろう。大姫が起きて騒いでいそうな気がする。」
海野小太郎幸氏は源義高を見ながら微笑んで頷いた。
義孝、幸氏、少女の三人は、江ノ電を降りると、小町通りへと向かって歩いている。
少女は義孝と幸氏に微笑んで話し掛ける。
「花を買うように頼まれたんだ。バラを買おうかな?」
幸氏は少女に普通に話し掛ける。
「バラをたくさん買ったらお金が掛かるよ。」
少女は幸氏に微笑んで話し掛ける。
「でも、頼まれ物だから。」
幸氏は少女を微笑んで見た。
大姫は源義高の部屋で寂しそうに座っていたが、静かに立ち上がると、外の様子を見た。
辺りを見回すと、寂しそうに呟いた。
「外にお出掛けすると、義高様と小太郎殿に逢えなくなります。義高様のお部屋で待っていた方が良いですよね。」
再び辺りを見回すと、寂しそうに源義高の部屋へと戻っていった。
義孝、幸氏、少女の三人は、花屋の前に来た。
少女は微笑んで花を選んでいる。
義孝は幸氏に普通に話し掛ける。
「お菓子を買ってくるように頼まれたんだ。忘れないうちに買いたいんだ。でも、直ぐに戻って来るから、そのまま待っていてくれ。」
幸氏は義孝を見ながら微笑んで頷いた。
義孝はお菓子を買うために、幸氏と少女のもとから居なくなった。
少女が後ろを振り向くと、義孝が居ない。
幸氏は少女に微笑んで話し掛ける。
「頼まれたお菓子を買いに行った。でも、直ぐに戻って来るから、ここで待っていてと言っていたよ。」
少女は幸氏を見ながら微笑んで頷いた。
花屋が少女に花束を手渡した。
少女は花束を微笑んで受取った。
辺りを見回すと、幸氏の姿がない。
不思議そうに辺りを見回すと、義高と小太郎という名前の二人の男の子の姿が見えた。
源義高は少女に普通に話し掛ける。
「こんにちは。」
少女は源義高に微笑んで話し掛ける。
「こんにちは。」
海野小太郎幸氏は少女に微笑んで話し掛ける。
「綺麗な花をたくさん持っていますね。」
少女は源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。
「頼まれて買ったの。義高君も綺麗なバラの花を持っているじゃない。姫ちゃんにあげるの?」
源義高は少女を見ながら黙って頷いた。
少女は源義高に微笑んで話し掛ける。
「姫ちゃんが喜んでくれるといいわね。」
源義高は少女を見ながら微笑んで頷いた。
海野小太郎幸氏は少女に微笑んで話し掛ける。
「そろそろ失礼します。」
少女は源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。
「またね。」
源義高と海野小太郎幸氏は、少女に軽く礼をすると、静かに居なくなった。
義孝は頼まれたお菓子を買うと、幸氏と少女のもとに向かっている。
花屋の少し手前で、幸氏と鎌倉でいつも見掛ける姫という名前の小さい女の子が話をしている姿が見えた。
義孝は幸氏と大姫の前に来ると、普通に話し掛ける。
「何をやっているんだ?」
大姫は義孝に寂しそうに話し掛ける。
「義高お兄ちゃんと小太郎お兄ちゃんとお出掛けする約束をしました。それなのに、姫は寝てしまいました。起きたら、義高おにいちゃんと小太郎お兄ちゃんは、お出掛けをしていました。姫は今お兄ちゃん達を探しています。」
義孝は大姫に微笑んで話し掛ける。
「義高お兄ちゃんと小太郎お兄ちゃんは、姫ちゃんがそろそろ起きる頃ではないかと思って、急いで家に戻っているかもしれないよ。それなのに、姫ちゃんが居なかったら心配すると思うよ。早く帰った方がいいよ。」
大姫は義孝に笑顔で話し出す。
「はい!」
義孝と幸氏は、大姫を微笑んで見た。
大姫は義孝と幸氏に礼をすると、走っていなくなった。
少女は不思議そうに辺りを見回していると、目の前に義高と幸氏がいた。
義孝は少女に普通に話し掛ける。
「帰るぞ。」
少女は義孝を見ながら微笑んで頷いた。
義孝、幸氏、少女の三人は、鎌倉駅へと向かって歩き出した。
源義高と海野小太郎幸氏は、部屋に戻ってきた。
源義高は呆れた表情になって、海野小太郎幸氏に話し掛ける。
「なぜ大姫は俺の部屋で寝ているんだ?」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。
「私達の帰りを待っていて、お疲れになったのではないでしょうか?」
源義高は海野小太郎幸氏に呆れた様子で話し掛ける。
「さっきも寝ていたし、今も寝ている。寝る子は育つというけれど、そのわりには、まだまだ子供だな。」
海野小太郎幸氏は源義高を苦笑しながら見ている。
源義高は大姫の傍に来ると、ばらの花を静かに置いた。
大姫は気持ち良さそうな表情になって寝ている。
源義高は大姫の様子を見ながら微笑んで話し出す。
「ばらという名前の花なんだ。姫と同じ呼び名が付いているんだ。大姫も早くばらの花のようになってくれよ。」
海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見ている。
大姫は気持ち良さそうにばらの花の傍で寝ている。
すると、切ない声が聞こえてきた。
「ねぇ、義高様・・・」
「義高様を待っていたら、なぜか寝てしまいました・・・」
「目が覚めたら、不思議な花が目の前にあって驚きました・・・」
「ばらという名前の花だと教えてくださいましたね・・・」
「ばらの花の呼び名を尋ねたら、私と同じ名前と言いましたよね・・・」
「ばらの花の名前は、私と同じ名前というのは、どういう意味ですか・・・?」
「早くばらの花のようになってくれと言いましたよね・・・」
「私は、ばら花のようになっているでしょうか・・・?」
「ねぇ、義高様・・・」
「ばらの花は綺麗ですよね・・・」
「ばらの花と同じ名前なんて嬉しいです・・・」
「ばらの花のようになれたら、義高様に逢えるのでしょうか・・・?」
「ねぇ、義高様・・・」
* * * * * *
こからは後書きになります。
物語の時間設定は、源義高と海野小太郎幸氏が鎌倉に着てから、少し後の物語になります。
源義高が大姫に話しをしていた「大姫と同じ名前のバラ」の事ですが、実際に在る同じ名前のバラをイメージしながら物語を書きました。
「姫」という名前のバラです。
ビンク色のミニバラです。
とても可愛いバラです。
バラの花の名も花の姿と同様、綺麗な名前や姿のバラはたくさんあります。
「夢」という名前のバラは、大姫達の時代にはないバラです。
恐らく「バラ」そのものを大姫達が見ることは、なかったと思います。
バラの花と大姫達の物語が書きたくて考えた物語です。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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