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鎌倉夢語り 〜 大姫と源義高 番外編 〜


〜 夢現 紅葉夜景 〜



〜 改訂版 〜


物語を始める前に。

簡単ですが、今回の物語に登場する神社やお店などの説明をします。

「鶴岡八幡宮」

鎌倉に在ります。

「若宮大路」・「段葛」を歩くと鶴岡八幡宮の鳥居の前に来ます。

境内には池や美術館や有名な大銀杏などが在ります。

全ての施設ではありませんが、大姫や源義高や海野小太郎幸氏の時代に在った八幡様です。

「本宮」

鶴岡八幡宮の本宮です。

大姫達が生きていた時代に造られました。

大銀杏の傍に在る階段を上った先に在ります。

「舞殿」

鶴岡八幡宮の境内の中に在ります。

静御前が舞殿で舞を奉納したと伝えられています。

源義高の死後に造られました。

「江ノ電」

鎌倉駅と藤沢駅を運行している電車です。

2〜4両ほどの車両で運行しています。

江ノ電が運行を開始したのは、明治三十五年(1902年)になります。

当初は、藤沢から片瀬の間の運行だったそうです。

「長谷寺」

鎌倉時代より前から在るお寺とされています。

天平八年(736年)の創建といわれているそうです。

長谷寺の観音様は有名です。

観音様の背景など、鎌倉時代や以降に奉納された物もあります。

江ノ電の最寄り駅は「長谷」です。


では、本文へどうぞ。




*      *      *      *      *      *




今は秋。


時は平成。


ここは、鎌倉。


紅葉や銀杏が、綺麗に色付いている。

寺の拝観、季節の花を見る、美味しい物を味わう、などの様々な目的で、たくさんの人達が訪れている。


ここは、鎌倉駅の改札。


二人の少年と一人の少女が、改札を通って出てきた。


二人の少年の名前は、義孝と幸氏。

少女の名前は分からないが、義孝と幸氏と良く一緒に居る。


少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「義孝さん。幸氏さん。大銀杏を見に行きましょう。」

義孝は少女に普通に話し出す。

「数日前に大銀杏を見たが、大銀杏は黄色に色付いていなかった。数日後に大銀杏が黄色に色付くと思えない。別な場所に行こう。」

少女は義孝を残念な様子で見た。

幸氏は義孝に微笑んで話し出す。

「せっかく鎌倉に来たから、鶴岡八幡宮に在る大銀杏の様子を見よう。」

少女は幸氏を微笑んで見た。

義孝は幸氏と少女に普通の表情で頷いた。


義孝は普通に歩き出した。

少女は微笑んで歩き出した。

幸氏も微笑んで歩き出した。


少し後の事。


ここは、鶴岡八幡宮。


境内。


少女は微笑んで居る。

義孝は普通に居る。

幸氏は微笑んで居る。


大銀杏は緑色の葉をたくさん残しながら、黄色に色付き始めている。


少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「もう少し経つと、長谷寺で夜間拝観を行なうの。一緒に見たいな。」

義孝は少女に普通に話し出す。

「寒いぞ。」

幸氏は義孝に苦笑して話し出す。

「長谷寺の夜間拝観は、長い時間は実施しないから、防寒対策を注意すれば大丈夫だよ。」

義孝は幸氏に普通に話し出す。

「幸氏も長谷寺の夜間拝観が見たいのか?」

幸氏は義孝に微笑んで話し出す。

「俺も長谷寺の夜間拝観を見たいと思っているんだ。」

義孝は幸氏に普通に話し出す。

「分かった。一緒に行くよ。」

少女は幸氏に微笑んで話し出す。

「幸氏さん。ありがとう。」

義孝は少女に僅かに拗ねて話し出す。

「なぜ俺に礼を言わないんだ?」

少女は義孝に笑顔で話し出す。

「義孝さん! ありがとう!」

義孝は少女を苦笑して見た。


時は遡る。


平成時代の人達が鎌倉時代と呼ぶ時代。


ここは、鎌倉。


鶴岡八幡宮。


境内。


大銀杏は緑色の葉をたくさんの残しながら、綺麗な黄色に色付き始めている。


大姫は笑顔で来た。

源義高は普通の表情で来た。

海野小太郎幸氏は微笑んで来た。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様! 小太郎殿! 大銀杏が少しずつ黄色くなっています!」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

源義高は大姫に普通に話し出す。

「見れば分かる。説明の必要はない。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「義高様! 明日は紅葉を見に行きましょう!」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「紅葉は小御所で見られるだろ。」

大姫は源義高に寂しく話し出す。

「姫は義高様と小太郎殿と一緒に出掛けたいです。」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「大銀杏と紅葉が、綺麗に色付いたら、一緒に出掛けよう。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「はい!」

源義高は大姫を普通の表情で見た。

大姫は海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「小太郎殿! 約束を忘れないでくださいね!」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「承知しました。」

大姫は源義高と海野小太郎幸氏を笑顔で見た。

源義高は大姫と海野小太郎幸氏を普通の表情で見た。


時は戻る。


時は平成。


平成時代の出来事から数日後の事。


ここは、長谷。


青空は僅かに橙色に染まっている。

陽の落ちる時間が僅かずつ近付いているのが分かる。


ここは、江ノ電の長谷駅の改札の近く。


義孝は普通に居る。

幸氏は微笑んで居る。

少女も微笑んで居る。


少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「長谷寺に在る見晴台から陽の落ちる様子を見たいな。」

幸氏は少女に微笑んで頷いた。

少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「長谷寺に早く行きましょう。」

幸氏は少女に微笑んで頷いた。


義孝は普通に歩き出した。

幸氏は微笑んで歩き出した。

少女も微笑んで歩き出した。


少し後の事。


ここは、長谷寺。


境内。


黄色い銀杏の葉、緑色の紅葉の葉、紅色の紅葉の葉が、周りを鮮やかに染めている。


少女は本道に向かう階段を微笑んで上っている。

義孝は本堂に向かう階段を普通に上っている。

幸氏は本堂に向かう階段を微笑んで上っている。


僅かに後の事。


ここは、長谷寺。


見晴台。


少女は微笑んで来た。

義孝は普通に来た。

幸氏は普通に来た。


由比ガ浜の上に広がる空は、青色と橙色の綺麗な層になっている。


少女は景色を見ながら、義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「綺麗ね。」

義孝は景色を見ながら、普通の表情で頷いた。

幸氏は景色を見ながら、微笑んで頷いた。

少女は景色を微笑んで見た。


少し後の事。


ここは、長谷寺。


見晴台。


由比ガ浜の上に広がる空は、橙色から灰色がかった黒色へと染まっていく。


眼下に広がる家では、次々に明かりが灯り始めている。


少女は景色を微笑んで見ている。

義孝は景色を普通の表情で見ている。

幸氏は景色を微笑んで見ている。


義孝は少女を見ると、普通に話し出す。

「夜間拝観のための照明を灯す時間が近付いていると思う。」

少女は義孝と幸氏を見ると、微笑んで話し出す。

「早く下に降りましょう。」

義孝は少女に普通の表情で頷いた。

幸氏は少女を見ると、微笑んで頷いた。


少女は微笑んで歩き出した。

義孝は普通に歩き出した。

幸氏は微笑んで歩き出した。


少し後の事。


ここは、長谷寺。


境内。


空の色は、橙色と紺色が入り混じっている。


照明の光が、境内を明るく照らしている。


大姫は境内を不思議な様子で見ている。


大姫は境内を見ながら、不思議な様子で呟いた。

「空は暗いのに姫の周りは明るいです。お日様のような明かりです。」


照明の明かりは紅葉を淡く照らしている。

鏡のような池の水面は、紅葉を綺麗に映している。

池を泳ぐ鯉は、鏡のような池の水面に映る紅葉を僅かに揺らしている。


大姫は池を見ながら、微笑んで呟いた。

「綺麗です。」


源義高の普通の声が、大姫の後ろから聞こえた。

「大姫。何をしているんだ?」


大姫は後ろを笑顔で見た。


源義高は大姫を僅かに呆れて見ている。

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見ている。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏に、笑顔で話し出す。

「義高様! 小太郎殿! 鯉が池の水面に映る紅葉を揺らしています! とても綺麗です!」

源義高は大姫に僅かに呆れて話し出す。

「大姫。俺の質問の答えになっていない。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「姫は義高様と小太郎殿と、大銀杏と紅葉が見たいです! 気付いたらこの場所に居ました! 義高様と小太郎殿と、綺麗な紅葉と銀杏を見られました! 姫は嬉しいです!」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「大姫の言う通り、紅葉も銀杏も綺麗だな。直ぐに去るのが、もったいないな。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「はい!」

源義高は海野小太郎幸氏を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。

大姫は境内を笑顔で見た。

源義高は境内を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は境内を微笑んで見た。


少女は紅葉を微笑んで見ている。

義孝は紅葉を普通の表情で見ている。

幸氏は紅葉を微笑んで見ている。


少女は義孝を見ると、微笑んで話し出す。

「池に映った紅葉がとても綺麗ね。」

義孝は少女を見ると、普通の表情で頷いた。

少女は義孝を苦笑して見た。

幸氏は少し離れた場所を不思議そうに見た。

少女は幸氏を見ると、不思議そうに話し出す。

「幸氏さん。何か遭ったの?」

幸氏は少女を見ると、不思議そうに話し出す。

「鎌倉で良く会う子達の姿が見えたんだ。声を掛けようと思った途端に、急に姿が見えなくなったんだ。」

義孝は幸氏に普通に話し出す。

「鎌倉に住むならば、夜間拝観に来ても不思議ではないだろ。家族で来ているはずだ。偶然に会ったら話そう。」

幸氏は義孝に微笑んで頷いた。


数日後の事。


ここは、長谷。


長谷寺の夜間拝観は続いている。


ここは、鎌倉。


鶴岡八幡宮


境内。


大銀杏は、緑色の葉を残しながらも、綺麗な黄色の葉を増やしていく。


大姫は笑顔で居る。

源義高は普通に居る。

海野小太郎幸氏は微笑んで居る。


大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「義高様! 大銀杏が綺麗な黄色に色付き始めています! 綺麗な黄色に色付いた大銀杏が見られる日は近いですね!」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「見れば分かる。説明の必要はない。」

大姫は源義高を笑顔で見た。

海野小太郎幸氏は大姫と源義高を微笑んで見た。


少女は舞殿を笑顔で見ている。

義孝は境内を普通の表情で見ている。

幸氏は境内を微笑んで見ている。


舞殿の上では、白無垢姿の新婦と羽織袴姿の新郎の結婚式が行なわれている。


少女は新郎新婦を見ながら、羨ましく呟いた。

「羨ましいな〜」

義孝は少女を見ると、普通に話し出す。

「着物を着る結婚式は、男性は良いけれど、女性は着物やかつらが重いから大変だよな。」

少女は義孝を僅かに拗ねて見た。

義孝は少女を不思議そうに見た。

幸氏は大銀杏を不思議そうに見た。

義孝は幸氏に不思議そうに話し出す。

「幸氏。何か遭ったのか?」

幸氏は大銀杏を見ながら、義孝に不思議そうに話し出す。

「鎌倉で良く会う子達の姿が、大銀杏の傍で見えたんだ。今回も急に姿が見えなくなったんだ。」

義孝は大銀杏を見ると、小太郎に普通に話し出す。

「大銀杏の傍に在る階段の近くに居るぞ。」

幸氏は大銀杏の傍に階段を見ると、不思議そうに呟いた。

「居た。」

義孝は大銀杏の傍に在る階段を見ながら、不思議そうに呟いた。

「急に姿が見えなくなった。」

幸氏は大銀杏の傍に在る階段を見ながら、不思議そうに頷いた。

義孝は幸氏を不思議そうに見た。

幸氏も義孝を不思議そうに見た。

少女は新郎新婦を羨ましく見た。

義孝は幸氏と少女に普通に話し出す。

「帰ろう。」

幸氏は義孝に微笑んで頷いた。

少女は義孝を見ると、微笑んで頷いた。


少女は微笑んで歩き出した。

義孝は普通に歩き出した。

幸氏は微笑んで歩き出した。


時は遡る。


平成時代の人達が鎌倉時代と呼ぶ頃。


ここは、鎌倉。


鶴岡八幡宮。


境内。


大銀杏は、緑色の葉を残しながらも、綺麗な黄色の葉を増やしている。


大姫は大銀杏を笑顔で見ている。

源義高は大銀杏を普通の表情で見ている。

海野小太郎幸氏は大銀杏を微笑んで見ている。


源義高は大姫と海野小太郎幸氏を見ると、普通に話し出す。

「明日も大銀杏を見よう。」

大姫は源義高を見ると、笑顔で話し出す。

「はい!」

海野小太郎幸氏は源義高を見ると、微笑んで軽く礼をした。

源義高は大姫と海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「小御所に戻るぞ。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「はい!」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。


大姫は笑顔で歩き出した。

源義高は普通に歩き出した。

海野小太郎幸氏は微笑んで歩き出した。


すると、切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様・・・」

「不思議な夢を見ました・・・」

「綺麗に色付いた紅葉が明るい光を受けて輝いていました・・・」

「鏡のような池の水面に紅葉が綺麗に映っていました・・・」

「ねぇ、義高様・・・」

「大銀杏は綺麗な黄色に色付き始めました・・・」

「義高様と小太郎と大銀杏を見たいです・・・」

「ねぇ、義高様・・・」




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の展開や雰囲気を出来るだけ残しながら改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上の点、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

今回の物語の夜景を見る場面は、「長谷」に在る「長谷寺」で、秋の季節に期間限定で行う夜間公開を基にしました。

2006年の夜間公開を基にしていますが、物語の展開の関係で、実際と違う部分があります。

実際にご覧になりたい方、気になる方は、各自でご確認ください。

私は鎌倉に出掛けると、お店の閉店時間や住む場所の関係で、陽の落ちる頃には、ほとんど帰路の途中です。

長谷寺で何年か前から夜間公開を始めた事を知っていましたが、都合が付かないために、見た事がありませんでした。

2006年に都合が付いたので見に行きました。

色とりどりの紅葉や銀杏がライトアップされる様子は、とても綺麗でした。

時期的に寒さが気になるので、防寒対策は必要だと思いました。

鶴岡八幡宮で行なわれた結婚式は、お日柄が合えば見る事が出来ます。

白無垢の新婦さんはとても綺麗です。

今回の物語は、少女と義孝と幸氏、大姫と源義高と海野小太郎幸氏は、直接には逢っていません。

「夢現(ゆめうつつ)」は「夢と現実。夢とも現ともつかない状態。」という意味です。

「夢現」を分けると、「夢(ゆめ)」と「現(うつつ)」になります。

「現」は「現実」の意味があります。

「現」は「夢」に対して良く使われる言葉です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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