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〜 鎌倉夢語り 大姫と源義高 番外編 〜
〜 夢現 桜への想いに願いを重ねて 〜
〜 改訂版 〜
物語を始める前に、簡単になりますが、今回の物語に登場する神社やお店などの説明をします。
「鶴岡八幡宮」
鎌倉に在ります。
「若宮大路」・「段葛」を歩くと鶴岡八幡宮の鳥居の前に来ます。
境内には池や美術館や有名な大銀杏などが在ります。
全ての施設ではありませんが、大姫や源義高や海野小太郎幸氏の時代に在った八幡様です。
「段葛」
鎌倉の若宮大路の中央に在る一段高い参道です。
「段葛」を歩くと鶴岡八幡宮にたどり着きます。
大姫の弟の万寿(後の源頼家)の安産祈願のために造られたそうです。
大姫や源義高や海野小太郎幸氏達の時代に出来た参道です。
「一ノ鳥居」は、由比ガ浜の傍に在ります。
「二ノ鳥居」は、鎌倉駅の近くに在ります。
「三ノ鳥居」は、鶴岡八幡宮の前に在ります。
現在は「二ノ鳥居」から「三ノ鳥居」までの「段葛」の一部が残されています。
現在の段葛には、染井吉野を中心とした桜が植えられています。
「岩船地蔵堂」
岩船地蔵堂には30cm前後のお地蔵様が祀られているそうです。
このお地蔵様は大姫の守り本尊といわれています。
大姫の守り本尊として知られています。
一説には、大姫の妹の三幡姫の守り本尊ともいわれているそうです。
いつ頃から在るかについては、はっきりと確認は取れませんでしたが、いろいろな点から考えると、源義高の死後に造られたようです。
2005年頃から数年ほど前に、外装の立替がありました。
「物語の中に会話だけで登場するお店」
2007年4月の時点で書いています。
皆様が物語を読む時点では状況が変わっている可能性があります。
では、物語の世界へどうぞ・・・
* * * * * *
時は平成と呼ぶ頃。
今は春。
ここは、鎌倉。
染井吉野が咲き始めている。
たくさんの人達で賑わう鎌倉が、更に賑わう季節を迎えようとしている。
ここは、岩船地蔵堂。
大姫、源義高、海野小太郎幸氏が居る。
大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。
「義高様! 小太郎殿! 段葛で染井吉野が咲き始めました! 見頃になったら三人で手を繋いで段葛を歩きたいです!」
源義高は大姫に気乗りしない様子で話し出す。
「染井吉野の咲く頃の段葛は、たくさんの人が訪れるぞ。落ち着かないぞ。」
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「夜になって人が居なくなってから、三人で手を繋いで段葛を歩きましょう! 月明かりと町の明かりを受けて咲く染井吉野を見ながら、段葛を歩くのも良いと思います!」
源義高は気乗りしない様子で考え込んだ。
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「義高様。染井吉野の咲く頃の日中の鎌倉は、普段より訪れる人が多く、落ち着かない状況が多くなります。陽が沈み、月が現れてから暫く経つと、人の姿が少なくなります。私も月明かりと町の明かりを受けて咲く段葛の染井吉野を見ながら歩きたいです。」
源義高は大姫と海野小太郎幸氏に考え込みながら話し出す。
「分かった。」
大姫は源義高に嬉しそうに話し出す。
「義高様と小太郎殿と三人で手を繋ぎながら、染井吉野の咲く段葛が歩けます! 嬉しいです!」
源義高は大姫を微笑んで見た。
海野小太郎幸氏は大姫と源義高を微笑んで見た。
それから少し後の事。
ここは、岩船地蔵堂。
二人の少年と一人の少女が訪れた。
二人の少年の名前は、義孝と幸氏。
少女の名前は分からないが、義孝と幸氏と良く一緒に居る。
少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。
「段葛の桜が見頃になったら三人で出掛けたいな。」
義孝は少女に気乗りしない様子で話し出す。
「一年の中で確実に込むと分かる時期の段葛に出掛けるのか? 見頃を避けて段葛に出掛けよう。」
少女は義孝に微笑んで話し出す。
「桜が見頃の段葛に出掛けたいの。」
幸氏は義孝に微笑んで話し出す。
「桜がほとんど散った頃や葉桜の頃の段葛を訪れたら、見頃の間に出掛けたかったと思うだろうな。」
義孝は幸氏と少女に気乗りしない様子で話し出す。
「桜の咲き具合で変わるけれど、いつ出掛けようか?」
少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。
「天気の良い平日の学校が終わってから出掛けない?」
義孝は少女に普通に話し出す。
「分かった。」
幸氏は少女に微笑んで話し出す。
「分かった。」
少女は義孝と幸氏を微笑んで見た。
それから数日後の事。
ここは、鎌倉。
綺麗な青空が広がっている。
染井吉野が少しずつ見頃へと向かって咲いている。
たくさんの人達で賑わっている。
ここは、岩船地蔵堂。
大姫と海野小太郎幸氏が居る。
大姫は海野小太郎幸氏に不思議そうに話し出す。
「小太郎殿。義高様は出掛けているのですか?」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「はい。」
大姫は海野小太郎幸氏に寂しそうに話し出す。
「義高様は直ぐに戻ってきますか?」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「長い時間は留守にしないと話をされてから出掛けました。」
大姫は海野小太郎幸氏を寂しそうに見た。
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「大姫様。もしよろしければ、私と大姫様の二人で段葛に出掛けませんか?」
大姫は海野小太郎幸氏に不思議そうに話し出す。
「義高様の帰りを待たなくても良いのですか?」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「今日の段葛で咲く染井吉野は、見頃より少し早いです。段葛を訪れる人も見頃の頃より少なめです。昼間に出掛けるとしたら、今日が一番の良い日だと思います。」
大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「分かりました。今から一緒に出掛けましょう。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。
大姫は微笑みながら、静かに居なくなった。
海野小太郎幸氏も微笑みながら、静かに居なくなった。
それから僅かに後の事。
ここは、段葛。
二ノ鳥居の前。
満開には少し早い染井吉野だが、淡い色の花が段葛を屋根のように覆っている。
たくさんの人達が歩いている。
大姫と海野小太郎幸氏は、二ノ鳥居の前に居る。
大姫は海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。
「小太郎殿! 染井吉野が綺麗に咲いていますね!」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。
大姫は海野小太郎幸氏に手を差し出すと、笑顔で話し出す。
「小太郎殿! 手を繋いで段葛を歩きましょう!」
海野小太郎幸氏は大姫の手を微笑んで取ろうとした。
義孝の穏やかな声が、大姫と海野小太郎幸氏の横から聞こえた。
「姫ちゃん。小太郎君。こんにちは。」
大姫は手を戻すと、横を微笑んで見た。
海野小太郎幸氏は手を取るのを止めると、横を微笑んで見た。
義孝が大姫と海野小太郎幸氏を微笑んで見ている。
大姫は義孝に笑顔で話し出す。
「お兄ちゃん! こんにちは!」
海野小太郎幸氏は義孝に微笑んで話し出す。
「こんにちは。」
義孝は大姫と海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「これから親に頼まれた和菓子を受け取りに行くんだ。せっかくだから段葛を歩こうと思って来たんだ。もし良ければ段葛を一緒に歩かないか?」
大姫は義孝に笑顔で話し出す。
「はい!」
海野小太郎幸氏は義孝に微笑んで話し出す。
「はい。」
大姫は海野小太郎幸氏に手を差し出すと、笑顔で話し出す。
「手を繋いで歩いてください!」
海野小太郎幸氏は大姫の手を微笑んで取った。
義孝は大姫と海野小太郎幸氏を微笑んで見た。
大姫は海野小太郎幸氏と手を繋ぎながら、三ノ鳥居へと笑顔で歩き出した。
海野小太郎幸氏は大姫と手を繋ぎながら、三ノ鳥居へと微笑んで歩き出した。
義孝は三ノ鳥居へと微笑んで歩き出した。
ちょうど同じ頃。
ここは、鶴岡八幡宮。
三ノ鳥居の前。
三ノ鳥居の前には信号が在る。
信号は赤色になっている。
たくさんの人達は信号が青色に変わるのを待っている。
少女は信号が青色に変わるのを微笑んで待っている。
源義高が染井吉野の小枝を持ちながら、少女の横を普通に通り過ぎた。
少女は源義高に微笑んで声を掛ける。
「義高君。こんにちは。」
源義高は染井吉野の小枝を持ちながら、不思議そうに立ち止まった。
少女は源義高を微笑んで見た。
源義高は染井吉野の小枝を持ちながら、少女に微笑んで話し出す。
「こんにちは」
少女は源義高に微笑んで話し出す。
「姫ちゃんに桜の花をあげるんだ。」
源義高は染井吉野の小枝を持ちながら、少女に微笑んで頷いた。
少女は源義高に微笑んで話し出す。
「桜が綺麗に咲いているから、段葛を歩いて鎌倉駅に行こうと思っているの。義高君も一緒に段葛を歩かない?」
源義高は染井吉野の小枝を持ちながら、少女に微笑んで話し出す。
「二ノ鳥居だと行き過ぎるので、途中まで一緒に歩いても良いですか?」
少女は源義高に微笑んで頷いた。
信号が青色に変わった。
たくさんの人達が横断歩道を歩き出した。
源義高は染井吉野の小枝を持ちながら、横断歩道を微笑んで歩き出した。
少女は横断歩道を微笑んで歩き出した。
それから僅かに後の事。
ここは、段葛。
たくさんの人達が歩いている。
大姫は海野小太郎幸氏と手を繋いで、段葛に咲く染井吉野を見ながら、二ノ鳥居へと笑顔で歩いている。
海野小太郎幸氏は大姫と手を繋いで、段葛に咲く染井吉野を見ながら、二ノ鳥居へと微笑んで歩いている。
義孝は、大姫、海野小太郎幸氏、段葛に咲く染井吉野を見ながら、二ノ鳥居へと微笑んで歩いている。
源義高は染井吉野の小枝を持って、段数に咲く染井吉野を見ながら、三ノ鳥居へと微笑んで歩いている。
少女は源義高と段葛に咲く染井吉野を見ながら、三ノ鳥居へと微笑んで歩いている。
心地良い風が吹いた。
段葛に咲く染井吉野の花びらが舞い始めた。
義孝は段葛に舞う染井吉野の花びらを微笑んで見た。
大姫は海野小太郎幸氏の手を繋ぎながら、段葛に舞う染井吉野の花びらを笑顔で見た。
海野小太郎幸氏は大姫と手を繋ぎながら、段葛に舞う染井吉野の花びらを微笑んで見た。
少女は段葛に舞う染井吉野の花びらを微笑んで見た。
源義高は染井吉野の小枝を持ちながら、段葛に舞う染井吉野の花びらを微笑んで見た。
染井吉野の花びらは、段葛の地面へと静かに舞い落ちた。
義孝の不思議そうな声が、少女の後ろから聞こえてきた。
「鎌倉に来ていたんだ。」
少女は後ろを驚いた表情で見た。
義孝は少女を不思議そうに見ている。
源義高の不思議そうな声が、大姫と海野小太郎幸氏の後ろから聞こえてきた。
「小太郎。大姫。二人で段葛に来ていたんだ。」
大姫は海野小太郎幸氏の手を掴んだまま、後ろを笑顔で見た。
海野小太郎幸氏は大姫の手を掴んだまま、後ろを微笑んで見た。
源義高は染井吉野の小枝を持ちながら、大姫と海野小太郎幸氏を不思議そうに見ている。
少女は義孝に不思議そうに話し出す。
「お菓子を買うために鎌倉に来たの。段葛に咲く桜が綺麗だから、段葛を歩いていたの。」
義孝は少女に普通に話し出す。
「先程まで、鎌倉で良く会う小太郎君と姫ちゃんと一緒に段葛を歩いていたんだ。でも、小太郎君と姫ちゃんの姿が急に見えなくなったんだ。途中で帰ったように感じるんだ。」
少女は義孝に微笑んで話し出す。
「私は鎌倉で良く会う義高君と一緒に段葛を歩いていたの。義高君の姿も急に見えなくなったの。義高君は途中までしか一緒に歩けないと話をしていたの。小太郎君と姫ちゃんを見付けて一緒に帰ったのかも知れないわね。」
義孝は少女に普通に話し出す。
「せっかく会ったから、段葛を歩いて帰ろう。」
少女は義孝に微笑んで頷いた。
少女は段葛に咲く染井吉野と義孝を見ながら、二ノ鳥居へと微笑んで歩き出した。
義孝は段葛に咲く染井吉野を見ながら、二ノ鳥居へと普通に歩き出した。
大姫は海野小太郎幸氏と手と繋ぎながら、源義高に笑顔で話し出す。
「義高様! 染井吉野を持ってどちらに出掛けるのですか?!」
源義高は染井吉野の小枝を持ちながら、大姫に普通に話し出す。
「今は帰る途中だ。」
大姫は海野小太郎幸氏と手を繋ぎながら、源義高に笑顔で話し出す。
「義高様! 三人で段葛を歩きながら一緒に帰りましょう!」
源義高は染井吉野の小枝を持ちながら、大姫に普通の表情で頷いた。
海野小太郎幸氏は大姫と手を繋ぎながら、源義高に微笑んで軽く礼をした。
大姫は海野小太郎幸氏と手を繋ぎながら、笑顔で歩き出した。
海野小太郎幸氏は大姫と手を繋ぎながら、微笑んで歩き出した。
源義高は染井吉野の小枝を持ちながら、普通に歩き出した。
すると切ない声が聞こえてきた。
「ねぇ、義高様・・・」
「染井吉野の咲く段葛は綺麗でしたね・・・」
「義高様から頂いた染井吉野がたくさん咲く小枝もとても綺麗でした・・・」
「ねぇ、義高様・・・」
「これは夢の中の出来事だったのでしょうか・・・?」
「それとも現の中の出来事だったのでしょうか・・・?」
「ねぇ、義高様・・・」
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語は既に掲載している物語の改訂版です。
改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残しながら改訂しました。
改訂前の物語を掲載するのは止めました。
以上の点、ご了承ください。
ここからは改訂前の後書きを加筆訂正しながら書いていきます。
この物語は、2007年4月の桜が咲く鎌倉を舞台にしました。
大姫と源義高と海野小太郎幸氏、義孝と幸氏と少女、この二組が登場する物語です。
「夢現(ゆめうつつ)」は「夢と現実。夢とも現ともつかない状態。」という意味です。
物語に登場する「夢」と「現」は、「夢(ゆめ)」と「現(うつつ)」と読んでいます。
「現」は「現実」という意味があります。
「現」は「夢」に対して良く使われる言葉でもあります。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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