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鎌倉夢語り 〜 大姫と源義高 番外編 〜


〜 夢現 夏 蓮の花と大銀杏と鰻の話 〜


物語を始める前に、簡単になりますが、今回の物語に登場する神社やお店などを説明します。

「鶴岡八幡宮」

鎌倉に在ります。

「若宮大路」・「段葛」を歩くと鶴岡八幡宮の鳥居に来ます。

大姫や源義高や海野小太郎幸氏の時代には、八幡様に「大銀杏」、「源氏池」、「平家池」などの一部は在りました。

現在の境内には、美術館なども在ります。

「段葛」

鎌倉の若宮大路の中央に在る一段高い参道です。

「段葛」を歩くと鶴岡八幡宮に着きます。

大姫の弟の万寿(後の源頼家)の安産祈願のために造られたそうです。

大姫が鎌倉に居る時代に出来た参道です。

「一ノ鳥居」は、由比ガ浜の傍に在ります。

「二ノ鳥居」は、鎌倉駅の近くに在ります。

「三ノ鳥居」は、鶴岡八幡宮の前に在ります。

現在は、二ノ鳥居から三ノ鳥居までの段葛の一部が残されています。

「江ノ電」

鎌倉駅と藤沢駅を運行する電車です。

2〜4両ほどの車両で運行しています。

明治35年(1902年)に、江ノ電が運行を開始したそうです。

その時は、藤沢から片瀬の間の運行だったそうです。

「物語の中に会話だけで登場するお店」

2007年4月の時点で書いています。

皆様が物語を詠まれた時には、状況が変わっている可能性があります。


では、物語の世界へどうぞ・・・




*      *      *      *      *      *




時は平成。


季節は夏。


ここは、鎌倉。


たくさんの観光客で賑わっている。


ここは、鎌倉駅の改札の傍。


二人の少年と一人の少女が、改札の傍に居る。


二人の少年の名前は、義孝と幸氏。

少女の名前は分からないが、義孝と幸氏と良く一緒に居る。


少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「蓮の花が見たいな。」

義孝は少女に普通に話し出す。

「蓮の花が綺麗に咲く様子を見られるのは早朝だろ。早起きは辛いな。」

幸氏は義孝に微笑んで話し出す。

「蓮の花が、一番に綺麗に咲くのは早朝だけど、天候や場所によっては、午前中も蓮の花が咲く様子を見られるらしいよ。」

義孝は幸氏に普通に話し出す。

「早朝でなければ出掛けても良いよ。」

少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「鶴岡八幡宮の源氏池と平家池に咲く蓮の花が見たいな。」

義孝は少女に普通に話し出す。

「分かった。」

幸氏は少女に微笑んで頷いた。

少女は義孝と幸氏を笑顔で見た。

義孝は僅かに困惑して幸氏を見ると、義孝に小さい声で話し出す。

「早朝に近い午前に出掛ける気がしてきた。」

幸氏は義孝に微笑んで、小さい声で話し出す。

「早朝に近い午前に出掛けないように、後で話すよ。」

義孝は幸氏に僅かに困惑して、小さい声で話し出す。

「頼む。」

幸氏は義孝に微笑んで頷いた。

少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「早く帰ろう。」

義孝は少女に普通の表情で頷いた。

幸氏は少女に微笑んで頷いた。

少女は義孝と幸氏を微笑んで見た。


数日後の朝の事。


ここは、鎌倉。


鶴岡八幡宮。


境内。


早い時間のため、観光客や参拝客は少ないが、蓮の花を見るために訪れた数人が居る。

義孝、幸氏、少女も居る。


義孝は眠い様子であくびをした。

少女は義孝に微笑んで話し出す。

「眠そうね。」

義孝は少女に眠い様子で頷いた。

幸氏は義孝に微笑んで話し出す。

「少し休もうか。」

義孝は幸氏に普通に話し出す。

「平気。」

幸氏は義孝を微笑んで見た。

少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「一人で源氏池に咲く蓮の花を見るから、二人でベンチに座って休んだら?」

幸氏は少女に微笑んで話し出す。

「俺は大丈夫だよ。」

義孝は少女に普通に話し出す。

「平気。」

少女は義孝と幸氏を微笑んで見た。


僅かに後の事。


ここは、鶴岡八幡宮。


境内。


源氏池。


源氏池に在る島の一つ。


旗上弁天社が在る。

朱塗りの太鼓橋が在る。

源氏池が、濃いピンク色の蓮の花、白色の蓮の花、緑色の蓮の葉、で覆われている。


少女は蓮の花を微笑んで見ている。


義孝は少女から少し離れた場所で、蓮の花を普通の表情で見ている。

幸氏は少女と義孝から少し離れた場所で、蓮の花を微笑んで見ている。


義孝は蓮の花を見ながら、眠い様子になった。


大姫の明るい声が、義孝の後ろから聞こえた。

「お兄ちゃん! おはようございます!」


義孝は後ろを不思議な様子で見た。


大姫は義孝を笑顔で見ている。


大姫は義孝に笑顔で軽く礼をした。

義孝は大姫に微笑んで話し出す。

「おはよう。」

大姫は義孝に笑顔で話し出す。

「眠いですか?!」

義孝は大姫に微笑んで話し出す。

「予定より早く出掛けたんだ。少し眠いかな。」

大姫は義孝に笑顔で話し出す。

「姫は蓮の花を見たいので、普段より早く寝ました! 眠くないです!」

義孝は大姫に微笑んで話し出す。

「俺も早く寝れば良かったな。」

大姫は義孝に笑顔で話し出す。

「次に蓮の花を見る時に、早く寝ると良いと思います!」

義孝は大姫を微笑んで見た。

大姫は義孝を笑顔で見た。

義孝は大姫に微笑んで話し出す。

「今日も義高君と小太郎君と一緒に来たのかな?」

大姫は義孝に笑顔で話し出す。

「はい!」

義孝は大姫を微笑んで見た。

大姫は義孝に笑顔で話し出す。

「お兄ちゃんは、蓮の花を見るより楽しい出来事がありますか?!」

義孝は大姫に微笑んで話し出す。

「土用の丑の日が近付いてきただろ。鰻丼や鰻重を食べるのが楽しみかな。」

大姫は義孝に不思議な様子で話し出す。

「“うなどん”と“うなじゅう”は、どのような食べ物ですか?」

義孝は大姫に微笑んで話し出す。

「姫ちゃんは土用の丑の日に鰻丼や鰻重を食べないのかな? 鰻丼とうな重について、簡単に説明するね。鰻丼や鰻重は、ご飯の上に焼いた鰻を載せて、甘辛いたれをかけて食べる料理だよ。器が丼ならば、鰻丼と呼んで、器が丼ならば、鰻重と呼ぶんだ。」

大姫は義孝に微笑んで話し出す。

「姫も鰻を食べますが、“うなどん”と“うなじゅう”は、食べた記憶がありません。」

義孝は大姫に微笑んで話し出す。

「姫ちゃんは鰻を食べるのならば、鰻丼や鰻重を食べたと思うよ。義高君や小太郎君に確認を取ってみたら?」

大姫は義孝に微笑んで話し出す。

「はい。」

義孝は大姫を微笑んで見た。

大姫は義孝に微笑んで話し出す。

「姫は大銀杏を見に行きます。次に逢った時もお話ししてください。」

義孝は大姫に微笑んで頷いた。

大姫は義孝に笑顔で軽く礼をした。


大姫は朱塗りの太鼓橋に向かって、元気良く歩き出した。


少女の不思議な様子の声が、義孝の後ろから聞こえた。

「義孝さん。何か遭ったの?」


義孝は後ろを不思議な様子で見た。


少女は義孝を不思議な様子で見ている。

幸氏も義孝を不思議な様子で見ている。


義孝は幸氏と少女に普通に話し出す。

「少し前まで、姫ちゃんと話していたんだ。姫ちゃんも義高君と小太郎君と一緒に、蓮の花を見に来たらしいよ。俺は姫ちゃんのみと話したから、義高君と小太郎君には会っていないんだ。」

幸氏は義孝に不思議な様子で話し出す。

「全く気付かなかった。」

少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「江ノ電の和田塚の駅の近く在るお店で、“豆かん”を食べたいな。開店時間になるまで、由比ガ浜を見たいな。」

義孝は少女に普通の表情で頷いた。

幸氏は少女に微笑んで頷いた。

少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「江ノ電に乗る? 歩く?」

義孝は少女に普通に話し出す。

「勿論、江ノ電に乗る。」

幸氏は少女に微笑んで話し出す。

「俺も江ノ電に乗りたい。」

少女は義孝と幸氏に微笑んで頷いた。


義孝は普通に歩き出した。

幸氏は微笑んで歩き出した。

少女も微笑んで歩き出した。


時が戻る。


平成時代の人達が、鎌倉時代と呼ぶ頃。


ここは、鎌倉。


鶴岡八幡宮。


大銀杏の近く。


源義高は大銀杏を普通の表情で見ている。

海野小太郎幸氏は大銀杏を微笑んで見ている。


大姫の明るい声が、源義高と海野小太郎幸氏の後ろから聞こえた。

「義高様〜! 小太郎殿〜!」


源義高は後ろを普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は後ろを微笑んで見た。


大姫が源義高と海野小太郎幸氏の元へと、笑顔で走る姿が見える。


源義高は大姫を見ながら、海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「楽しそうだな。」

海野小太郎幸氏は大姫を見ると、源義高に微笑んで話し出す。

「はい。」

源義高は大姫を普通の表情で見た。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏の傍に笑顔で来た。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「蓮の花を見ながら、“うなどん”と“うなじゅう”について話しました! 土用の丑の日に、“うなどん”と“うなじゅう”を食べるそうです!」

源義高は大姫を不思議な様子で見た。

海野小太郎幸氏も大姫を不思議な様子で見た。

源義高は大姫に不思議な様子で話し出す。

「“うなどん”と“うなじゅう”は、鰻の料理の名前なのか?」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「はい!」

源義高は大姫に不思議な様子で話し出す。

「大姫。誰と蓮の花を見ながら、“うなどん”と“うなじゅう”について話したんだ?」

大姫は真剣な表情で考え込んだ。

源義高は大姫を見ながら、海野小太郎幸氏に小さい声で話し出す。

「大姫は普段より早く起きたから疲れているのかな?」

海野小太郎幸氏は源義高を見ると、小さい声で話し出す。

「私が見る限りは、大姫様はお元気な様子に見えますが、少しお疲れになられたかも知れません。」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「大姫。小御所に戻るぞ。」

大姫は源義高を残念な様子で見た。

源義高は海野小太郎幸氏を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「小御所に戻るのは、少し後にしましょう。お疲れになられた時は、義高様か私に直ぐに教えてください。」

大姫は海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「はい!」

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。

源義高は海野小太郎幸氏に普通の表情で頷いた。


すると切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様・・・」

「早い時間に不思議な出来事が起きました・・・」

「蓮の花を見ながら鰻の料理について話した相手を、今も思い出せません・・・」

「鰻の料理の名前は、気付いたら思い出せなくなっていました・・・」

「三人で鰻の料理を食べたい想いは、今でも覚えています・・・」

「ねぇ、義高様・・・」




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残しながら改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上の点、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

万葉集に「鰻(うなぎ)」について詠んだ歌があります。

その歌は、鰻は夏痩せに良い、という内容を詠んでいるそうです。

この歌の内容から考えると、大姫達は、鰻を知っていて、夏痩せに鰻は良い、夏に鰻を食べると良い、などを知っている可能性があります。

そのため、大姫達は夏に鰻を食べると良いと知っているけれど、「土用の丑の日(どようのうしのひ)」に関する事は知らない、設定にしました。

「土用の丑の日」は、「夏の暑い時期を乗り切る栄養をつけるために鰻を食べる日」となっています。

由来は、幾つかあるようですが、平賀源内が発案した説が一般的だと思います。

江戸時代に、商売が上手くいかない鰻屋が平賀源内に相談したところ、平賀源内は「丑の日に“う”の字が付く物を食べると夏負けしない」という民間伝承をもとにして、「本日土用の丑の日」と書いて店先に貼ったという出来事があるそうです。

その鰻屋が繁盛したので、他の鰻屋もそれをまねるようになったそうです。

それ以降、「土用の丑の日」に鰻を食べる風習が定着したというのが、有名な説だと思います。

「土用入り」の日が、申から丑の日の間の場合は、「丑の日」は二回あります。

二回目の「丑の日」を「二の丑」といいます。

土用の丑の日は、七月二十七日前後です。

土用の丑の日が二回ある年は、七月下旬と八月上旬が多く、隔年が多いです。

2008年と2009年は、土用の丑の日が二回あり、連続していました。

2009年は、「7月19日」と「7月31日」と7月中に丑の日が二回もありました。

土用の丑の日が7月中に二回あるのは、213年ぶりだそうです。

2010年の土用の丑の日は、「7月26日」だそうです。

詳細については各自でご確認願います。

昔は、客の注文を受けてから、生きている鰻をさばくお店は多かったようです。

現在は、客の注文を受けてから生きている鰻をさばくお店は、少なくなっているようです。

客の注文を受けてから鰻をさばく場合は、出来上がるまでに時間が必要です。

私は客の注文を受けてから鰻をさばく鰻屋に行った事があります。

その時は、一人でお店に行きました。

出来るまでに時間が有るので、お酒を飲む、本などを読むなど、待つ間の用意がないと、後半は暇になるように思いました。

土用の丑の日の頃は、蓮の花が咲く頃と重なります。

鶴岡八幡宮の源氏池と平家池には、濃いピンク色と白色の蓮の花が咲きます。

鶴岡八幡宮以外にも、蓮の花が咲く場所は在ります。

土用の丑の日の日付によりますが、現在の鎌倉周辺では、蓮の種類や場所によって違いはありますが、見頃、または、見頃は過ぎた頃のように思います。

「豆かん(まめかん)」は、豆(“赤えんどう豆”を良く使います)と寒天に黒蜜などを掛けて食べる甘味です。

甘味のお店などで見掛ける事があります。

「夢現(ゆめうつつ)」は、「夢と現実。夢とも現ともつかない状態。」という意味です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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