このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

鎌倉夢語り 〜 大姫と源義高 番外編 〜


〜 夢現 春の白い贈り物 〜


〜 改訂版 〜


物語を始める前に、簡単になりますが、今回の物語に登場する神社やお店などの説明をします。

「鶴岡八幡宮」

鎌倉に在ります。

「若宮大路」・「段葛」を歩くと鶴岡八幡宮の鳥居の前に来ます。

現在の境内には、池や美術館や有名な大銀杏などが在ります。

一部の施設は、大姫や源義高や海野小太郎幸氏の時代には在った八幡様です。

「大銀杏」、「源氏池」、「平家池」は、大姫達の時代には在りました。

「岩船地蔵堂」

この地蔵堂には30cm前後のお地蔵様が祀られているそうです。

一般的には大姫の守り本尊として知られています。

一説には、大姫の妹の三幡姫の守り本尊ともいわれているそうです。

いつから在るのかはっきりと分かりませんが、いろいろな点から考えると、源義高の死後に造られたようです。

2005年頃から数年ほど前に外装が立て替えられました。

「会話のみ、または、舞台として登場する、お店や施設」

2008年1月の時点で書きました。

「補足」

2008年1月時点の状況で物語を書きました。

掲載時、または、皆様がこの物語を読まれた時には、状況が変化している可能性があります。


では、本文へどうぞ。




*      *      *      *      *      *




時は平成。


バレンタインデーは終わり、ホワイトデーが近付いてきた。


ここは、鎌倉。


暖かさを感じる時が僅かに増えてきた。


たくさんの観光客や地元の人達で賑わっている。


ここは、鎌倉駅の改札の外。


二人の少年と一人の少女が、たくさんの人達の中に居る。


二人の少年の名前は、義孝と幸氏。

少女の名前は分からない。


少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「鶴岡八幡宮に早く行こう。」

義孝は幸氏と少女に普通の表情で話し出す。

「帰りに喫茶店に寄ってコーヒーか紅茶を飲みたいな。」

幸氏は義孝に微笑んで話し出す。

「賛成。」

少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「歩きながらお店を決めましょう。」

義孝は少女に普通の表情で頷いた。

幸氏は少女に微笑んで頷いた。


義孝は普通に歩き出した。

幸氏は微笑んで歩き出した。

少女も微笑んで歩き出した。


それから何日か後の事。


ここは、岩船地蔵堂。


源義高と海野小太郎幸氏が居る。


源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「大姫はどこに居るんだ?」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「お一人でお出掛けしています。」

源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「俺も出掛ける。小太郎は大姫の帰りを待っていてくれ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「義高様がいらっしゃらないと、大姫様が心配されます。差し支えなければ、お出掛けされる場所を教えて頂いても良いですか?」

源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「出掛けるのは近くだ。長い時間は出掛けない。大姫には適当に説明してくれ。」

海野小太郎幸氏に源義高に微笑んで軽く礼をした。

源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「行ってくる。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「行ってらっしゃいませ。」


源義高は普通の表情のまま、静かに居なくなった。


それから少し後の事。


ここは、住宅街。


落ち着いた雰囲気に包まれている。


源義高は普通の表情のまま、静かに現れた。


一軒の家の庭に椿の花と遅咲きの白梅の花が咲く姿が見えた。


源義高は椿の花と白梅の花を普通の表情で見た。


幸氏の穏やかな声が、源義高の後ろから聞こえてきた。

「義高君。こんにちは。」


源義高は後ろを普通の表情で見た。


幸氏は源義高を微笑んで見ている。


源義高は幸氏に微笑んで話し出す。

「こんにちは。」

幸氏は庭を微笑んで見た。

源義高は幸氏を微笑んで見た。

幸氏は源義高を見ると、微笑んで話し出す。

「椿の花と白梅の花が綺麗に咲いているね。姫ちゃんが見たら喜びそうだね。」

源義高は幸氏に微笑んで話し出す。

「はい。」

幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「この近くに椿を育てている家が在るんだ。家の人に頼めば椿を分けてくれると思うんだ。姫ちゃんが喜ぶと思うよ。時間に余裕があったら頼みに行こう。」

源義高は幸氏に微笑んで話し出す。

「お願いします。」

幸氏は源義高を微笑んで見た。


幸氏は微笑んで歩き出した。

源義高も微笑んで歩き出した。


それから少し後の事。


ここは、岩船地蔵堂。


海野小太郎幸氏は辺りを微笑んで見ている。


大姫は笑顔のまま、静かに現れた。


海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

大姫は辺りを見回しながら、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「義高様はどこですか?」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「少し前にお出掛けになられました。」

大姫は海野小太郎幸氏に寂しそうに話し出す。

「姫も義高様と一緒に出掛けたかったです。なぜ引き止めてくれなかったのですか?」

海野小太郎幸氏は大姫に申し訳なさそうに話し出す。

「義高様は、出掛けるのは近くで、直ぐに戻られるとお話しされていたので、引き止めませんでした。」

大姫は海野小太郎幸氏を寂しそうに見た。

海野小太郎幸氏は大姫を申し訳なさそうに見た。


源義高が普通の表情で、白い椿の小枝を持ちながら、静かに現れた。


大姫は源義高を笑顔で見た。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。

源義高は白い椿の小枝を持ちながら、大姫に普通に話し出す。

「大姫。小太郎を困らせたら駄目だろ。」

大姫は源義高に申し訳なさそうに話し出す。

「ごめんなさい。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「義高様。綺麗な白い椿ですね。」

源義高は大姫に白い椿を差し出すと、普通に話し出す。

「出掛けている最中に偶然に白い椿を分けてもらった。もう直ぐ“ほわいとでー”だろ。大姫にあげる。」

大姫は源義高から白い椿の小枝を受け取ると、嬉しそうに話し出す。

「義高様! ありがとうございます!」

源義高は大姫に普通の表情で頷いた。

大姫は白い椿の小枝を嬉しそうに見た。

源義高は大姫を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑みながら囁いた。

「義高様がお出掛けになられたのは、大姫様への“ほわいとでー”の贈り物を探すためだったのですね。」

源義高は海野小太郎幸氏に普通の表情で囁いた。

「出掛けている最中に幸氏殿に会った。もう直ぐ“ほわいとでー”だから、大姫に花を贈ったら喜ぶという話しになった。幸氏殿が椿を分けてくれる家を知っていると話した。椿が“ほわいとでー”に贈る花に相応しいか分からないが、時期的に見頃で分けて欲しいと頼みやすい花なので了承した。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「大姫様が喜ばれています。良かったですね。」

源義高は海野小太郎幸氏に普通の表情で頷いた。


ちょうど同じ頃。


ここは、住宅街。


落ち着いた雰囲気に包まれている。


幸氏は辺りを不思議そうに見ている。


義孝の不思議そうな声が、幸氏の後ろから聞こえきた。

「幸氏。何かあったのか?」


幸氏は後ろを微笑んで見た。


義孝は幸氏を不思議そう見ている。


幸氏は義孝に微笑んで話し出す。

「少し前に義高君に会ったんだ。近くの家の庭に咲く椿の花や梅の花を見ていたんだ。俺が椿を分けてもらえる家を知っていると話したんだ。ホワイトデーが近いから姫ちゃんの贈り物にしたら喜ぶと話したんだ。義高君は笑顔で承諾したんだ。」

義孝は幸氏に不思議そうに話し出す。

「義高君は椿を分けてもらえたのか?」

幸氏は義孝に微笑んで話し出す。

「義高君は椿を分けてくれる家の人と会うのを躊躇していたから、俺が家の人と話して椿を分けてもらったんだ。義高君は笑顔で礼を言った途端に姿が見えなくなったんだ。」

義孝は幸氏に微笑んで話し出す。

「姫ちゃんに椿を早く贈りたくて急いで帰ったんだよ。」

幸氏は義孝を微笑んで見た。

義孝も幸氏を微笑んで見た。


すると切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様・・・」

「義高様から頂いた白い椿の花は綺麗でした・・・」

「義高様はなぜ出掛けられたのですか・・・?」

「贈り物にするための花を探すために出掛けられたのですか・・・?」

「ねぇ、義高様・・・」

「あの時の出来事は、夢のような現のような不思議な出来事に感じます・・・」

「夢の中の出来事だったとしても、白い椿の花の贈り物は嬉しかったです・・・」

「ねぇ、義高様・・・」




*      *      *      *      *      *




こからは後書きになります。

今回の物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の展開や雰囲気を出来るだけ残しながら書きました。

掲載前の物語を掲載するのは止めました。

以上の点、ご了承ください。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

今回の物語は、大姫、源義高、海野小太郎幸氏が登場しますが、基本的には平成の時代の鎌倉が舞台になっています。

今回の物語の時間設定は、平成の時代のホワイトデーに合わせて書きました。

現在の暦でホワイトデーの頃は、旧暦にすると「春」頃になります。

「ホワイトデー」についてです。

2月14日のバレンタインデーにチョコレートを贈られた男性が、返礼のプレゼントをする日です。

バレンタインデーのチョコレートに対し、ホワイトデーには、キャンデー、マシュマロ、クッキー、ホワイトチョコレートなどをお返しするのが一般的になっています。

日本でバレンタインデーが定着するにしたがって、若い世代の間で、バレンタインデーのお返しをしようという風潮が生まれました。

これを受けたお菓子業界では、昭和五十年代に入ってから、個々に独自の日を定めて、マシュマロやクッキーやキャンデーなどを「お返しの贈り物」として宣伝販売するようになりました。

この動きをある団体がキャンデーの促進販売に結びつけ、「ホワイトデー」として催事化しました。

上記と同じ団体が、1978年に「キャンデーを贈る日」として制定しました。

2年の準備期間を経て1980年に第1回目のホワイトデーが開催されました。

「ホワイトデー」を3月14日に定めたといわれている理由についてです。

269年の2月14日に、兵士の自由結婚禁止政策にそむいて結婚しようとした男女を救うため、バレンタイン司教が殉職しました。

その一ヵ月後の3月14日に、その二人は改めて、二人の永遠の愛を誓い合ったといわれている事に由来しています。

「夢現(ゆめうつつ)」は「夢と現実。夢とも現ともつかない状態。」という意味です。

「現(うつつ)」は「現実」という意味があります。

「現」は「夢」に対して良く使われる言葉です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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