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鎌倉夢語り 〜 大姫と源義高 番外編 〜
〜 夢現 初夏 大姫の薔薇の咲く頃 〜
物語を始める前に、簡単になりますが、今回の物語に登場する神社やお店などの説明をします。
「鶴岡八幡宮」
鎌倉に在ります。
「若宮大路」・「段葛」を歩くと鶴岡八幡宮の鳥居の前に来ます。
現在の境内には、池や美術館や有名な大銀杏などが在ります。
一部の施設となりますが、大姫や源義高や海野小太郎幸氏の時代には在った八幡様です。
「大銀杏」、「源氏池」、「平家池」は、大姫達の時代には在りました。
「岩船地蔵堂」
この地蔵堂には30cm前後のお地蔵様が祀られているそうです。
このお地蔵様は大姫の守り本尊といわれています。
一説には、大姫の妹の三幡姫の守り本尊ともいわれているそうです。
一般的には大姫の守り本尊として知られています。
いつから在るのか確認が取れませんでしたが、いろいろな点から考えると、源義高の死後に造られたと思われます。
2005年頃から数年程前に外装が建て替えられました。
「鎌倉文学館」
江ノ電の「由比ヶ浜駅」から歩いて8分〜10分ほどで着きます。
前田侯爵の鎌倉別邸を文学館として開館したそうです。
鎌倉の縁の作家、鎌倉縁の地の物語などの作品を展示しています。
大姫や源義高や海野小太郎幸氏の時代には無い施設です。
「江ノ電」
鎌倉駅と藤沢駅の間を走る路線の電車です。
単線の場所や電車内や駅から海が見えるなど、いろいろな風景が楽しめます。
「補足」
2008年5月現在の状況で物語を書いているので、掲載時や物語を読まれている時には状況が変わっている可能性があります。
では、物語の世界へどうぞ・・・
* * * * * *
時は平成。
季節は初夏。
ここは、鎌倉。
たくさんの観光客で賑わっている。
ここは、岩船地蔵堂。
源義高が辺りを不思議そうに見回している。
海野小太郎幸氏は微笑みながら、源義高の傍に静かに現れた。
源義高は海野小太郎幸氏を見ると、不思議そうに話し出す。
「小太郎。一人なのか?」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「はい。」
源義高は海野小太郎幸氏に不思議そうに話し出す。
「大姫が俺に笑顔で話している最中に、出掛けると言って突然に居なくなった。」
海野小太郎幸氏は源義高に不思議そうに話し出す。
「大姫様はどのようなお話しをされていたのですか?」
源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。
「薔薇の花が咲いたから見に行きたいと話していた。俺は小太郎が戻ってから話そうと言った。大姫は出掛けると言って、笑顔で居なくなった。」
海野小太郎幸氏は源義高に不思議そうに話し出す。
「大姫様は薔薇の花を見に出掛けられたのでしょうか?」
源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。
「俺は出掛けないと返事はしていない。大姫の性格ならば、小太郎が戻るまで待つだろ。」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。
源義高は海野小太郎幸氏に不思議そうに話し出す。
「小太郎。どこに出掛けていたんだ?」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「大姫様が喜ぶと思われる名前の薔薇に関する噂を聞いたので、確認のために見に行きました。残念ながらつぼみだったので、咲いた姿は見られませんでした。」
源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。
「良い機会だから、小太郎が噂で聞いた薔薇の花を見に行こう。」
海野小太郎幸氏は源義高に不思議そうに話し出す。
「薔薇はつぼみの状態ですが、よろしいのですか?」
源義高は海野小太郎幸氏に普通の表情で頷いた。
大姫が笑顔のまま、源義高と海野小太郎幸氏の前に静かに現れた。
源義高は大姫を普通の表情で見た。
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。
源義高は大姫に普通に話し出す。
「なぜ話の途中で突然に出掛けたんだ?」
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「義高様の話しが終わったので、小太郎を探しに鶴岡八幡宮に行きました! 小太郎は見付からなかったので戻ってきました!」
源義高は大姫を普通の表情で見た。
大姫は海野小太郎幸氏を見ると、笑顔で話し出す。
「小太郎殿! 帰ってきたのですね! 三人で早く話をしましょう!」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。
源義高は大姫に普通に話し出す。
「小太郎に大姫の希望を伝えた。小太郎は大姫の希望を了承した。これから鎌倉文学館に薔薇を見に出掛けよう。」
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「はい!」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで礼をした。
源義高は普通の表情のまま、静かに居なくなった。
大姫は笑顔のまま、静かに居なくなった。
海野小太郎幸氏は微笑みながら、静かに居なくなった。
ちょうど同じ頃。
江ノ電の鎌倉駅。
江ノ電が鎌倉駅に到着した。
たくさんの人達が改札を出入りしている。
二人の少年と一人の少女が、たくさんの人達と共に江ノ電に乗った。
二人の少年の名前は、義孝と幸氏。
少女の名前は分からないが、義孝と幸氏と一緒に良く居る。
江ノ電は、義孝、幸氏、少女を含めた、たくさんの乗客達を乗せて、藤沢駅へと向かって出発した。
それから僅かに後の事。
ここは、鎌倉文学館。
薔薇園。
色とりどりの薔薇の花がたくさん咲いている。
海野小太郎幸氏は微笑みながら、静かに現れた。
源義高は普通の表情のまま、静かに現れた。
大姫は笑顔のまま、静かに現れた。
大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。
「義高様! 小太郎殿! 薔薇の花が綺麗に咲いていますね!」
源義高は大姫に普通の表情で頷いた。
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。
源義高は大姫に普通に話し出す。
「小太郎が大姫の喜ぶ薔薇を鎌倉文学館で見付けたそうだ。」
大姫は海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。
「小太郎殿! ありがとうございます!」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。
大姫は海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。
「小太郎殿! 早く教えてください!」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「私達の前に植わっている薔薇です。」
大姫は前を笑顔で見た。
源義高は前を普通の表情で見た。
赤色のつぼみの薔薇が植わっている。
大姫は源義高と海野小太郎幸氏を見ると、笑顔で話し出す。
「姫と同じ名前の薔薇です!」
源義高は大姫を見ると、普通の表情で頷いた。
大姫は海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。
「小太郎殿! ありがとうございます!」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。
源義高は薔薇のつぼみを見ると、海野小太郎幸氏に普通に話し出す。
「咲いた時の姿を見たいな。」
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「姫も咲いた時の姿を見たいです!」
海野小太郎幸氏は大姫と源義高に微笑んで軽く礼をした。
大姫は薔薇のつぼみを笑顔で見た。
源義高は大姫と薔薇のつぼみを微笑んで見た。
海野小太郎幸氏も大姫と薔薇を微笑んで見た。
心地良い風が吹いてきた。
薔薇園に咲く薔薇の花がゆっくりと揺れ始めた。
大姫は源義高と海野小太郎幸氏を見て、笑顔で話し出そうとした。
源義高と海野小太郎幸氏の姿が見えない。
源義高と海野小太郎幸氏の代わりに居るのは、義孝と幸氏。
大姫と義孝と幸氏と以外は、薔薇園に人の姿が見えない。
大姫は義孝と幸氏を見ながら、不思議そうに呟いた。
「義孝お兄ちゃんと幸氏お兄ちゃん。」
義孝は大姫を不思議そうに見た。
幸氏も大姫を不思議そうに見た。
大姫は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。
「こんにちは。」
義孝は大姫に微笑んで話し出す。
「こんにちは。一人なのかな?」
大姫は義孝に微笑んで話し出す。
「一人ではありません。三人で姫と同じ名前の薔薇の花を見に来ました。」
幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「姫ちゃんと同じ名前の薔薇というのは、俺達の前に植わっている“大姫”で良いのかな?」
大姫は幸氏に笑顔で話し出す。
「はい!」
幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「新しく作出された薔薇なんだね。名前が同じだと、花の色や咲く姿が知りたいよね。」
大姫は幸氏に笑顔で話し出す。
「はい!」
義孝は大姫を微笑んで見た。
幸氏も大姫を微笑んで見た。
大姫は薔薇のつぼみを笑顔で見た。
義孝は大姫に微笑んで話し出す。
「姫ちゃん。義高君と小太郎君が心配して探していると思うよ。」
大姫は義孝に笑顔で話し出す。
「分かりました! 姫は探します! 義孝お兄ちゃん! 幸氏お兄ちゃん! 失礼します!」
幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「気を付けてね。」
義孝は大姫に微笑んで頷いた。
大姫は笑顔のまま、静かに居なくなった。
義孝は辺りを不思議そうに見た。
幸氏も辺りを不思議そうに見た。
薔薇園には何人もの人達が居る。
少女が義孝と幸氏を僅かに不思議そうな表情で見ている。
義孝は少女を不思議そうに見た。
幸氏も少女を不思議そうに見た。
少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。
「突然に二人の姿が見えなくなったから焦ったけれど、突然に姿が見えたの。不思議ね。」
義孝は少女に不思議そうに頷いた。
幸氏も少女に不思議そうに頷いた。
少女は義孝と幸氏を不思議そう見た。
義孝は前を指すと、少女に普通に話し出す。
「“大姫”と言う名前の薔薇があるんだ。」
少女は前を見ると、義孝と幸氏に不思議そうに話し出す。
「今はつぼみなのね。咲いた時の姿を実際に近くで見たいわね。」
義孝は前を指すのを止めると、少女を見て、普通の表情で頷いた。
幸氏は少女に微笑んで頷いた。
少女は義孝と幸氏を微笑んで見た。
それから僅かに後の事。
ここは、薔薇園の傍。
源義高は辺りを不思議そうに見回している。
海野小太郎幸氏も辺りを不思議そうに見回している。
大姫は笑顔のまま、源義高と海野小太郎幸氏の前に静かに現れた。
源義高は大姫を普通の表情で見た。
海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。
大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。
「姫と同じ名前の薔薇の花が咲く日が楽しみです! 三人で一緒に見たいです!」
源義高は大姫に普通の表情で頷いた。
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。
源義高は大姫と海野小太郎幸氏に普通に話し出す。
「戻るぞ。」
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「はい!」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。
源義高は普通の表情のまま、静かに居なくなった。
大姫は笑顔のまま、静かに居なくなった。
海野小太郎幸氏は微笑んだまま、静かに居なくなった。
すると、切ない声が聞こえてきた。
「ねぇ、義高様・・・」
「私と同じ名前の花のつぼみを三人で見ましたね・・・」
「現の出来事に感じるけれど、きっと夢の中の出来事ですよね・・・」
「夢の中の出来事だったとしても、とても楽しい気持ちになりました・・・」
「私と同じ名前の花が咲く姿を、早く三人で見たいです・・・」
「義高様も私と同じ気持ちですよね・・・」
「ねぇ、義高様・・・」
* * * * * *
ここからは後書きになります。
大姫、源義高、海野小太郎幸氏は登場しますが、物語の舞台は平成時代になります。
「薔薇(ばら)」について簡単に説明します。
「浜茄子(はまなす)」や「浜茄子(はまなす)」や「野茨[“野薔薇”とも書く](のいばら)」など、日本には古くから咲いているバラは有ります。
「野茨(のいばら)」は、万葉集にも詠み込まれています。
現在の私達が良く見掛ける姿のバラは、大姫達の時代よりかなり後に造られています。
大姫達もごく一部の種類のバラは見られた事になります。
「大姫(おおひめ)」という名前のバラがあります。
「大姫」をイメージして作出して名付けられたバラだそうです。
2008年に登録された新しいバラです。
明るい赤色で微香のあるバラだそうです。
私が見た時(2008年5月23日)は、つぼみでした。
「夢現(ゆめうつつ)」は、「夢と現実。夢とも現ともつかない状態。」という意味です。
「夢現」を分けると、「夢(ゆめ)」と「現(うつつ)」になります。
「現」は「現実」という意味があります。
そして、「現」は「夢」に対して良く使われる言葉です。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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