このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

鎌倉夢語り 〜 大姫と源義高 番外編 〜


〜 夢現 秋桜の幻想 曼珠沙華の幻影 〜


物語を始める前に。

簡単になりますが、今回の物語に登場する神社やお店などの説明をします。

「鶴岡八幡宮」

鎌倉に在ります。

「若宮大路」・「段葛」を歩くと鶴岡八幡宮の鳥居の前に来ます。

現在の境内には、池や美術館や有名な大銀杏などが在ります。

一部の施設になりますが、大姫や源義高や海野小太郎幸氏の時代には在った八幡様です。

「大銀杏」、「源氏池」、「平家池」は、大姫達の時代には在りました。

「東慶寺」

北鎌倉に在ります。

「縁切り寺」、「駆け込み寺」として有名です。

江戸時代に、妻が「東慶寺」に駆け込み、三年ほど在住すると離縁が出来たそうです。

江戸中期以降は、こちらの「東慶寺」と上州に在る寺に限られたそうです。

明治時代は女性からも離縁が出来るようになったので、「縁切り寺」の制度は廃止されたそうです。

元々は尼寺でしたが、現在(平成時代)は違います。

1285年(弘安八年)の創建と言われています。

JRでの最寄り駅は、「北鎌倉駅」です。

「物語に台詞だけで登場するお店」

2007年9月の状況で書いています。

「補足」

2007年9月時点の状況で物語を書いているので、掲載時には状況が変わっている可能性があります。


では、本文へどうぞ。




*      *      *      *      *      *




時は平成時代の人達が鎌倉時代と呼ぶ頃。


季節は秋。


ここは、鎌倉。


天気の良い日は、僅かだが蒸し暑さを感じる時がある。


ここは、小御所。


源義高の部屋。


大姫、源義高、海野小太郎幸氏が、居る。


大姫は源義高に微笑んで話し出す。

「義高様。秋ですね。」

源義高は大姫に普通の表情で頷いた。

大姫は源義高に微笑んで話し出す。

「秋の花がたくさん咲いています。一緒に見に行きたいです。」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「花を見ても面白くない。小太郎と弓に関する話しがしたい。」

大姫は源義高に微笑んで話し出す。

「小太郎殿との弓の話しが終わったら、一緒に出掛けてくれますか?」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「分からない。」

大姫は源義高を寂しそうに見た。

源義高は大姫を普通の表情で見た。


大姫は寂しそうな表情で部屋を出て行った。


源義高は海野小太郎幸氏を普通の表情で見た。


海野小太郎幸氏は障子を開けると、部屋の外を心配そうに見た。


源義高は海野小太郎幸氏の横に来ると、部屋の外を心配そうに見た。


大姫の姿も気配も無い。


海野小太郎幸氏は源義高を見ると、心配そうに話し出す。

「大姫様が部屋を出られてから直ぐに外の様子を見たのに、大姫様の姿がありません。」

源義高は部屋の外を見ながら、海野小太郎幸氏に心配そうに頷いた。

海野小太郎幸氏は源義高に心配そうに話し出す。

「私は大姫様を探します。義高様は大姫様が戻られた時のために、部屋でお待ちください。」

源義高は海野小太郎幸氏を見ると、心配そうに頷いた。


海野小太郎幸氏は部屋の外へと心配そうに出て行った。


源義高は心配そうに軽く息をはいた。


時は平成と呼ばれている頃。


季節は秋。


ここは、鎌倉。


秋桜や彼岸花が綺麗に咲く季節となった。


鎌倉の町は、たくさんの観光客や地元の人達で賑わっている。


ここは、鎌倉駅の改札付近。


たくさんの人達が居る。

二人の少年と一人の少女の姿も見える。


二人の少年の名前は、義孝と幸氏。

少女の名前は分からない。


少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「秋桜が綺麗に咲き始めたわよね。北鎌倉に在る東慶寺に行きたいな。」

義孝は少女に普通の表情で頷いた。

幸氏は少女に微笑んで話し出す。

「俺も構わないよ。」

少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「早く行きましょう。」

義孝は少女に普通の表情で頷いた。

幸氏は少女に微笑んで頷いた。


義孝、幸氏、少女は、改札を通り、鎌倉駅の構内へと入って行った。


それから少し後の事。


ここは、北鎌倉。


東慶寺。


境内。


季節の花がたくさん咲いている。


観光客の姿がある。

義孝、幸氏、少女の姿もある。


少女は義孝と幸氏を見ると、微笑んで話し出す。

「手前に秋桜が咲いて、後ろに彼岸花が咲く様子は、お互いの花を引き立てて、更に綺麗に見えるわね。」

義孝は少女を見ると、普通の表情で頷いた。

幸氏は少女を見ると、微笑んで頷いた。

義孝は秋桜と彼岸花が咲く様子を普通の表情で見た。


辺りに風が吹いた。


秋桜が風に乗って揺れ始めた。


義孝は幸氏と少女を見て、普通に話し出そうとした。


幸氏と少女が居ない。


義孝は境内を不思議そうに見回した。


観光客の姿も寺の関係者の姿も見えない。


義孝は秋桜と彼岸花に不思議そうに視線を移した。


大姫が義孝の横に居る姿が見えた。


大姫は秋桜と彼岸花を寂しそうに見ている。


義孝は大姫に微笑んで話し出す。

「姫ちゃん。こんにちは。」

大姫は義孝を見ると、寂しそうに話し出す。

「こんにちは。」

義孝は大姫に微笑んで話し出す。

「姫ちゃんは一人だから寂しいのかな?」

大姫は義孝に寂しそうに話し出す。

「姫は花を見に行きたいと言いました。でも、弓の話しがしたいから、姫と出掛けるのはいつになるか分からないと言いました。」

義孝は大姫に不思議そうに話し出す。

「義高君と小太郎君は、弓を習っているんだ。」

大姫は義孝に寂しそうに話し出す。

「はい。とても上手です。」

義孝は大姫に微笑んで話し出す。

「姫ちゃんも習い事をしているのかな?」

大姫は義孝に寂しそうに頷いた。

義孝は大姫に微笑んで話し出す。

「姫ちゃんは習い事を上達したいよね。義高君と小太郎君も習い事を上達したいと思っているはずだよ。」

大姫は義孝を微笑んで見た。

義孝は大姫を微笑んで見た。

大姫は義孝に微笑んで話し出す。

「時間に余裕のある日に出掛けてくださいとお願いします。」

義孝は大姫に微笑んで頷いた。

大姫は義孝に微笑んで話し出す。

「壱師が綺麗に咲いていますね。壱師の手前に咲く、大きな桜の花のような花の名前は何というのですか?」

義孝は大姫に不思議そうに話し出す。

「いちし?」

大姫は義孝に微笑んで話し出す。

「“壱師”は葉の無い真っ赤な花です。」

義孝は大姫に微笑んで話し出す。

「彼岸花には“いちし”という別名があるんだ。知らなかった。」

大姫は義孝を不思議そうに見た。

義孝は大姫に微笑んで話し出す。

「彼岸花、ではなくて、“いちし”の手前に咲く花は、“秋桜”だよ。秋の頃に桜に似た花が咲くから“秋桜”と言うらしい。」

大姫は秋桜を微笑んで見た。

義孝は大姫を微笑んで見た。

大姫は義孝に微笑んで話し出す。

「秋桜の名前を教えてくれてありがとうございます。」

義孝は大姫に微笑んで頷いた。

大姫は義孝に微笑んで話し出す。

「姫は戻ります。」

義孝は大姫に微笑んで話し出す。

「姫ちゃん。またね。」

大姫は義孝に笑顔で礼をした。

義孝は大姫を微笑んで見た。


大姫は笑顔のまま、静かに居なくなった。


辺りに風が吹いた。


秋桜が風に乗って揺れ始めた。


義孝は境内を不思議そうに見回した。


幸氏の不思議そうな声が、義孝の横から聞こえてきた。

「何か遭ったのか?」


義孝は横を僅かに驚いた表情で見た。


幸氏は義孝を不思議そうに見ている。

少女は秋桜と彼岸花を微笑んで見ている。


義孝は幸氏に不思議そうに話し出す。

「今までどこに居たんだ?」

幸氏は義孝に不思議そうに話し出す。

「ずっと一緒に居ただろ。」

義孝は幸氏を不思議そうに見た。

少女は義孝と幸氏を見ると、微笑んで話し出す。

「歩きや立っている時間が長いと疲れるわね。次は北鎌倉にに在る喫茶店に行きたいな。」

幸氏は少女に微笑んで頷いた。

義孝は少女に普通の表情で頷いた。

少女は義孝と幸氏を微笑んで見た。


時は戻り、平成時代の人達が鎌倉時代と呼ぶ頃。


ここは、鎌倉。


小御所。


源義高の部屋。


源義高は心配そうにしている。


障子が普通に開いた。


源義高は障子が開く様子を心配そうに見た。


大姫が部屋の中に元気良く入ってきた。

海野小太郎幸氏が大姫の後に続いて、部屋の中に微笑んで入ってきた。


源義高は大姫と海野小太郎幸氏を微笑んで見た。

大姫は源義高に微笑んで話し出す。

「姫は花を見に行くのは別の日にします。義高様と小太郎殿は、弓の話しをしてください。」

源義高は大姫と海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「大姫。小太郎。弓に関する話は後にする。三人で花を見に行こう。」

大姫は源義高を不思議そうに見た。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。

源義高は大姫に普通に話し出す。

「大姫が見たい花を教えてくれ。」

大姫は源義高に微笑んで話し出す。

「壱師と秋桜が見たいです。」

源義高は大姫に不思議そうに話し出す。

「こすもす?」

大姫は源義高に微笑んで話し出す。

「秋桜は、桜の花を大きくしたような秋に咲く花です。」

源義高は大姫に不思議そうに話し出す。

「鎌倉は珍しい花が咲くんだな。大姫は“こすもす”の咲く場所を知っているのか?」

大姫は不思議そうな表情で考え込んだ。

源義高は大姫に呆れた様子で話し出す。

「今回も夢で見た花の話しをしたんだ。」

大姫は源義高を申し訳なさそうに見た。

源義高は大姫と海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「大姫。見たい花を決めてくれ。小太郎。出掛ける準備を頼む。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「はい!」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。

源義高は大姫と海野小太郎幸氏を普通の表情で見た。


すると切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様・・・」

「壱師が綺麗に咲いています・・・」

「秋桜の咲く場所は、今でも思い出せません・・・」

「義高様と一緒に秋桜を見たい気持ちは、今でも覚えています・・・」

「義高様と一緒に秋桜を見る日は訪れるのでしょうか・・・?」

「ねぇ、義高様・・・」




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

「秋桜(こすもす)」についてです。

キク科の一年草です。

メキシコ原産です。

秋の季語です。

日本に渡来した最初の頃は、「あきざくら」と呼ばれていたそうです。

「秋桜」が日本に渡来した時期は、幾つか説があるようです。

一つは、明治中期頃です。

外国の画家か学校の先生が、日本に初めて紹介したといわれています。

もう一つは、江戸時代末期(1861年〜1864年頃)です。

オランダ人かポルトガル人が、島津藩に届けたそうです。

日本国内で「秋桜」広く見られるようになったのは、明治時代末頃だそうです。

花の咲く様子などが日本人に親しまれて、広まっていったようです。

「コスモス」は、ギリシャ語では「cosmos」で、ラテン語では「kosmos」と書きます。

ギリシャ語では「宇宙。世界。」という意味があるそうです。

そこから、「秋桜」や宇宙の事を「cosmos」と書くようになったそうです。

在来種の「秋桜」は、白色・ピンク色・紅色で、一重咲きだったそうです。

現在では、品種改良によって、早咲き・遅咲き、一重咲き・八重咲き、ピンク色・白色・赤色・ぼかし入り、などいろいろあります。

「彼岸花(ひがんばな)」についてです。

ヒガンバナ科です。

秋の季語です。

秋の彼岸の頃に掛けて咲きます。

「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」という別名があります。

万葉集に「壱師(いちし)」という花が、一首だけ詠み込まれているそうです。

「壱師」には幾つか説がありますが、「彼岸花」が有力だそうです。

「彼岸花」は有毒植物です。

「彼岸花」の詳細に関しては、各自でご確認ください。

「夢現(ゆめうつつ)」は、「夢と現実。夢とも現ともつかない状態。」という意味です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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