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鎌倉夢語り 〜 大姫と源義高 番外編 〜


〜 夢現 節分の頃 贈り物 〜


物語を始める前に。

簡単になりますが、今回の物語に登場する神社やお店などの説明をします。

「鶴岡八幡宮」

鎌倉に在ります。

「若宮大路」・「段葛」を歩くと鶴岡八幡宮の鳥居の前に来ます。

現在の境内には、池や美術館や有名な大銀杏などが在ります。

一部の施設は、大姫や源義高や海野小太郎幸氏の時代には在った八幡様です。

「大銀杏」、「源氏池」、「平家池」は、大姫達の時代には在りました。

「岩船地蔵堂」

この地蔵堂には30cm前後のお地蔵様が祀られているそうです。

大姫の守り本尊として知られています。

一説には、大姫の妹の三幡姫の守り本尊ともいわれているそうです。

いつから在るのか確認が取れませんでしたが、いろいろな点から考えると、源義高の死後に造られたと思われます。

2005年頃から数年ほど前に外装が建て替えられました。

「会話のみ、または、舞台として登場する、物語の中のお店や施設」

2007年12月の時点で書いています。

「補足」

2007年12月時点の状況で物語を書きました。

掲載時、または、皆様がこの物語を読まれている時には、状況が変わっている可能性があります。


では、本文へどうぞ。




*      *      *      *      *      *




時は平成。


節分が近付いてきた。


ここは、鎌倉。


一日を通して寒い日が続いている。


たくさんの観光客や地元の人達で賑わっている。


ここは、鎌倉駅の改札の外。


二人の少年と一人の少女が、たくさんの人達の中に居る。


二人の少年の名前は、義孝と幸氏。

少女の名前は分からない。


少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「節分が近付いてきたから、岩船地蔵堂に節分の豆をお供えしたいと思っているの。」

義孝は少女に不思議そうに話し出す。

「岩船地蔵堂は自由にお供え出来るのか?」

少女は義孝に微笑んで話し出す。

「お供え出来るか分からないから、お供えしたら直ぐに持って帰るわ。」

幸氏は少女に微笑んで話し出す。

「お参りが終わったら直ぐに持って帰るのが安全な方法だね。」

少女は幸氏を微笑んで見た。

義孝は少女に普通に話し出す。

「岩船地蔵堂に行こう。」

少女は義孝に微笑んで頷いた。

幸氏も義孝に微笑んで頷いた。


義孝は普通に歩き出した。

少女は微笑んで歩き出した。

幸氏も微笑んで歩き出した。


ちょうど同じ頃。


ここは、岩船地蔵堂。


大姫、源義高、海野小太郎幸氏が居る。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「義高様。小太郎殿。節分が近付いてきましたね。楽しみですね。」

源義高は大姫を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「節分の日は一緒に豆撒きをしましょう。」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「豆が無いぞ。」

大姫は源義高に微笑んで話し出す。

「誰かが用意してくれると思います。」

源義高は大姫を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「節分の豆撒きの時には、鬼の役は要らないですよね。」

源義高は大姫に普通の表情で頷いた。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「三人で豆を撒いて楽しみましょう。」

大姫は源義高と海野小太郎幸氏を微笑んで見た。


それから少し後の事。


ここは、岩船地蔵堂。


義孝は普通に来た。

幸氏は微笑んで来た。

少女も微笑んで来た。


少女は岩船地蔵堂に豆の入った袋を微笑んで置いた。

義孝は少女を普通の表情で見た。

幸氏は少女を微笑んで見た。

少女は微笑んで手を合わせた。

義孝は普通の表情で手を合わせた。

幸氏は微笑んで手を合わせた。


義孝は手を合わせるのを止めると、少女を普通の表情で見た。

少女は微笑んで手を合わせている。

幸氏は手を合わせるのを止めると、義孝を微笑んで見た。

義孝は幸氏を微笑んで見た。

少女は手を合わせるのを止めると、義孝と幸氏を微笑んで見た。

義孝は少女に普通に話し出す。

「長く手を合わせていたな。」

少女は義孝に微笑んで話し出す。

「普通よ。」

義孝は少女を普通の表情で見た。

幸氏は義孝と少女に微笑んで話し出す。

「言い忘れていたけれど、帰る前に鎌倉駅の近くでお菓子を買いたいんだ。」

少女は幸氏に微笑んで頷いた。

義孝は幸氏に普通の表情で頷いた。

少女は豆の入った袋を微笑んで手に取った。

義孝は空を普通の表情で見た。


青空の中に白い雲が浮かんでいる。


義孝は普通の表情で視線を戻した。


幸氏と少女の姿が見えない。


義孝は不思議そうに辺りを見回した。


大姫の元気な声が、義孝の後ろから聞こえてきた。

「こんにちは! 義孝お兄ちゃん!」


義孝は後ろを不思議そうに見た。


大姫は袋を持ちながら、義孝を笑顔で見ている。

海野小太郎幸氏は義孝を微笑んで見ている。


義孝は大姫と海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「姫ちゃん。小太郎君。こんにちは。」

海野小太郎幸氏は義孝に微笑んで軽く礼をした。

大姫は袋を持ちながら、義孝に微笑んで話し出す。

「姫がお姉ちゃんにお礼を言っていたと伝えてください。」

義孝は大姫に微笑んで話し出す。

「何かもらったんだ。」

大姫は袋を持ちながら、義孝に微笑んで話し出す。

「はい。」

義孝は大姫と海野小太郎幸氏を微笑んで見た。

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。

大姫は袋を持ちながら、義孝に微笑んで話し出す。

「これから義高お兄ちゃんに見せに行きます。」

義孝は大姫と海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「またね。」

大姫は袋を持ちながら、義孝に微笑んで話し出す。

「はい。」

海野小太郎幸氏は義孝に微笑んで軽く礼をした。

義孝は大姫と海野小太郎幸氏を微笑んで見た。


大姫は袋を持ちながら、微笑んだ表情で静かに居なくなった。

海野小太郎幸氏は微笑んだ表情で、静かに居なくなった。


義孝は辺りを不思議そうに見た。


幸氏の不思議そうな声が、義孝の後ろから聞こえてきた。

「義孝。何か遭ったのか?」


義孝は後ろを不思議そうに見た。


少女は義孝を不思議そうに見ている。

幸氏も義孝を不思議そうに見ている。


義孝は少女に不思議そうに話し出す。

「姫ちゃんが贈り物の礼を言った。何か贈り物を渡したのか?」

少女は義孝に不思議そうに話し出す。

「何かあげたかな?」

義孝は少女を普通の表情で見た。

幸氏は少女に不思議そうに話し出す。

「節分の豆の入った袋を持っていないね。」

少女は辺りを見回しながら、不思議そうに話し出す。

「手に持っていたはずなのに無くなっている。」

義孝は少女に不思議そうに話し出す。

「そういえば、姫ちゃんが同じような袋を持っていた。」

少女は義孝を不思議そうに見た。

幸氏は少女に微笑んで話し出す。

「岩船地蔵堂に置き忘れていないし、姫ちゃんは喜んでいるんだろ。良いと思うよ。」

少女は幸氏を見ると、微笑んで頷いた。

義孝は幸氏に微笑んで頷いた。


義孝は普通に歩き出した。

少女は微笑んで歩き出した。

幸氏も微笑んで歩き出した。


ちょうど同じ頃。


ここは、鶴岡八幡宮。


境内。


大銀杏の葉はほとんど落ちている。


源義高は大銀杏を普通の表情で見ている。


大姫は袋を笑顔で持ちながら、静かに現れた。

海野小太郎幸氏は微笑みながら、静かに現れた。


源義高は大姫と海野小太郎幸氏を微笑んで見た。

大姫は袋を持ちながら、源義高に笑顔で話し出す。

「義高様! 豆を頂きました! 節分の豆撒きが出来ます!」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「鶴岡八幡宮に急いで来て言う内容なのか?」

大姫は袋を持ちながら、源義高に笑顔で話し出す。

「姫は嬉しいです! 義高様に早く知らせたくて来ました!」

源義高は大姫を微笑んで見た。

大姫は袋を持ちながら、源義高を笑顔で見た。

源義高は大姫に普通に話し出す。

「袋をずっと持っていると重いだろ。俺が持つ。」

大姫は源義高に笑顔で袋を差し出した。

源義高は大姫から普通の表情で袋を受け取った。

海野小太郎幸氏は大姫と源義高を微笑んで見た。


それから数日後の事。


今日は節分。


ここは、岩船地蔵堂。


大姫は豆の入った枡を笑顔で持っている。

源義高は豆の入った枡を普通に持っている。

海野小太郎幸氏は豆の入った枡を微笑んで持っている。


大姫は枡を持ちながら、豆を笑顔で撒き始めた。

「福は内〜! 鬼は外〜!」

海野小太郎幸氏は枡を持ちながら、豆を微笑んで撒き始めた。

「福は内〜 鬼は外〜」

源義高は枡を持ちながら、豆を普通の表情で撒き始めた。

「福は内。鬼は外。」

大姫は枡を持ちながら、源義高と海野小太郎幸氏を笑顔で見た。


すると、切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様・・・」

「楽しい節分でしたね・・・」

「不思議な時間を過ごしたような気がします・・・」

「楽しい時間を過ごしたような気もします・・・」

「これは、夢の中の出来事なのでしょうか・・・?

「それとも、誰かが私のために用意した現の中の贈り物でしょうか・・?」

「ねぇ、義高様・・・」




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

今回の物語は、大姫、源義高、海野小太郎幸氏が登場しますが、基本的には平成の時代の鎌倉が舞台になっています。

節分の行事も大姫達の時代ではなく、平成の時代の節分が基になっています。

「節分(せつぶん)」は、幾つか意味がありますが、この物語では「立春の前日」を差しています。

「立春の前日」は、現在の暦で「二月三日」が多いです。

本来は、各季節の始まりの日(立春・立夏・立秋・立冬)の前日を言います。

現在では「春の節分」だけが行われています。

季節の変わり目には邪気が生じると考えられています。

それを追い払うために、この日の夕暮れに柊の鰯の頭を刺したものを戸口に立てておいたり、炒った大豆をまいて歳の数だけ食べたりする風習があります。

豆をまいたり豆を食べたりする風習は、江戸時代の頃にはあったようです。

しかし、鬼の役の人を決めて豆を投げる行いが、いつから始まったのかは分かりませんでした。

「節分」の行事自体は、かなり古くから宮中で行なっていました。

ただし、その時の「節分」の行事の様子は、現在とは少し違っていたようです。

「現(うつつ)」は、「現実」という意味があります。

「現」は「夢」に対して良く使われる言葉です。

「夢現(ゆめうつつ)」は、「夢と現実。夢とも現ともつかない状態。」という意味です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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