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鎌倉夢語り ~ 大姫と源義高 番外編 ~


~ 夏の土用 桃の実 桃の葉 揺らめいて ~


今は夏。


ここは、鎌倉。


暑い日が続いている。


ここは、小御所。


源義高の部屋。


源義高は本を普通の表情で読んでいる。

海野小太郎幸氏は微笑んで居る。


源義高は本を普通の表情で閉じた。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「暑い日が続きますね。辛いですね。」

源義高は海野小太郎幸氏に普通の表情で頷いた。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「季節的に桃湯に浸かりたいですね。」

源義高は海野小太郎幸氏に普通の表情で頷いた。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「桃湯を用意する日について確認しますか?」

源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「頼朝様や政子様が、住む場所だ。季節的に桃湯の用意はすると思う。大姫に先に確認しよう。小太郎が先に無理して確認する必要は無い。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。

源義高は海野小太郎幸氏に苦笑して話し出す。

「小太郎。小御所で桃湯を用意する日が決まっていないのに、大姫に確認した場合、大姫が政子様にいろいろと話すかも知れない。俺達を気遣っての行動だから、大姫に何も言えない。大姫に先に確認する場合、困る展開になる可能性がある。小太郎がさり気なく確認する方法が良いと思う。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「大姫様は、義高様に関する内容、私に関する内容は、政子様に考えて伝えています。政子様も大姫様も、私達を気遣ってくださいます。心配の必要は無いと思います。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで頷いた。

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。


部屋の外から、大姫の元気の良い足音が聞こえた。


源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。

海野小太郎幸氏も源義高を微笑んで見た。


大姫が部屋の中に元気良く入ってきた。


海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

源義高は大姫を微笑んで見た。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様! 小太郎殿! こんにちは! 楽しい様子に見えます!」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「大姫様。桃湯は好きですか?」

大姫は海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「はい!」

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様も小太郎殿も、桃湯が好きですか?!」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「私も義高様も、桃湯が大好きです。」

源義高の大姫に微笑んで頷いた。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「夏の土用に桃湯を用意する予定です! 義高様と小太郎殿が、桃湯に忘れずに浸かれるように、お母様に頼んできます! 義高様と小太郎殿が、しっかりと桃湯に浸かれるように、侍女達に伝えに行きます!」

源義高は大姫に微笑んで話し出す。

「大姫。気遣い。ありがとう。」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「大姫様。気遣いありがとうございます。」

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「お母様と侍女達に、桃湯について話し終わったら、直ぐに戻ってきます! 戻ってきたら、たくさん話してください!」

源義高は大姫に微笑んで頷いた。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。


大姫は部屋を元気良く出て行った。


海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。

源義高は海野小太郎幸氏に苦笑して話し出す。

「笑顔を長く続けるのは疲れた。」

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見ている。

源義高は海野小太郎幸氏に苦笑して話し出す。

「大姫が戻るまで横になる。寝入った時は、大姫が部屋に入る前までに起してくれ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。

源義高は微笑んで横になった。

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。


数日後の事。


今は夏の土用。


ここは、小御所。


北条政子の部屋。


北条政子は微笑んで居る。

大姫は笑顔で居る。

源義高は微笑んで居る。

海野小太郎幸氏も微笑んで居る。

北条政の子の前、大姫の前、源義高の前、海野小太郎幸氏の前には、桃が置いてある。


北条政子は源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「今日は桃を用意しました。遠慮せずに食べてください。」

源義高は北条政子に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

海野小太郎幸氏も北条政子に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

大姫は北条政子に笑顔で話し出す。

「いただきます!」

北条政子は大姫に微笑んで頷いた。

大姫は桃を笑顔で美味しく食べ始めた。

北条政子は源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「大姫から、義高殿と小太郎殿は、桃湯が好きだと教えてもらいました。今日は、桃湯と桃を、用意しました。楽しんでください。」

源義高は北条政子に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

海野小太郎幸氏も北条政子に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

北条政子は源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「私が話していると、桃が食べられませんね。楽しい気持ちになっていたので、長々と話してしまいました。桃を食べ終わったら、大姫と一緒に楽しく過ごしてください。」

源義高は北条政子に微笑んで軽く礼をした。

海野小太郎幸氏も北条政子に微笑んで軽く礼をした。

北条政子は源義高と海野小太郎幸氏を微笑んで見た。

源義高は北条政子に微笑んで話し出す。

「いただきます。」

海野小太郎幸氏も北条政子に微笑んで話し出す。

「いただきます。」

北条政子は源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで頷いた。

源義高は桃を微笑んで食べ始めた。

海野小太郎幸氏も桃を微笑んで食べ始めた。

北条政子も桃を微笑んで食べ始めた。


暫く後の事。


ここは、小御所。


源義高の部屋。


源義高は苦笑して居る。

海野小太郎幸氏は微笑んで居る。


源義高は海野小太郎幸氏に苦笑して話し出す。

「笑顔を長く続けたから疲れた。桃を食べられる滅多にない機会だったのに、味が分かり難くなってしまった。」

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。

源義高は苦笑して横になった。

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見ている。

源義高は横になり、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「俺が桃湯に浸かれる頃かな。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。

源義高は横になり、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「大姫が部屋に来る頃だな。俺が、桃湯に浸かってから部屋に戻るまで、大姫の相手を頼む。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。

源義高は横になり、海野小太郎幸氏を微笑んで見た。


部屋の外から、元気の良い足音が聞こえた。


源義高は微笑んでゆっくりと起きた。

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。


大姫は元気良く部屋の中に入ってきた。


源義高は大姫を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様! 小太郎殿! 桃湯は気持ち良かったです!」

源義高は大姫を普通に表情で頷いた。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

源義高は大姫に普通に話し出す。

「大姫。俺は桃湯に浸かってくる。俺が戻るまで、小太郎と大姫で、話してくれ。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「はい!」

源義高は大姫を普通の表情で見た。

大姫は海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「小太郎殿! お願いします!」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。


源義高は部屋を普通に出て行った。


暫く後の事。


ここは、小御所。


源義高の部屋。


源義高は部屋の中に普通に入ってきた。


海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。

源義高は大姫を普通の表情で見た。

大姫は気持ち良さく横になって寝ている。

源義高は大姫を見ながら、海野小太郎幸氏に普通の表情で小さい声で話し出す。

「気持ち良く寝ているな。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで小さい声で話し出す。

「私と話しながら、義高様を楽しく待っていました。途中で眠い仕草を幾度もされたので、無理をしないように話しました。頷かれると、直ぐに横になって寝ました。時期的に寒さを感じないので、大姫様を起すのは止めて様子を見ていました。」

源義高は大姫を微笑んで見た。

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。

源義高は海野小太郎幸氏を見ると、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「小太郎。桃湯に浸かれる頃だと思う。俺が大姫を見ている。準備が出来たら、直ぐに行って良いぞ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。

源義高は大姫と海野小太郎幸氏を微笑んで見た。

大姫は横になり、気持ち良く眠り続けている。


すると、切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様・・・」

「あの日は、桃を食べて、桃湯に浸かって、楽しい一日でしたね・・・」

「義高様を待っていたのに途中で寝てしまいました・・・」

「義高様と小太郎と、ゆっくりと話したかったのに残念でした・・・」

「ねぇ、義高様・・・」

「再び夏になりましたね・・・」

「義高様は、桃を食べていますか・・・?」

「義高様は、桃湯に浸かっていますか・・・?」

「ねぇ、義高様・・・」




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

「桃湯(ももゆ)」についてです。

江戸時代から「夏の土用に桃湯に入る」という習慣があったそうです。

「桃湯」に使うのは、桃の実ではなく、桃の葉です。

桃の葉には、タンニン、マグネシウム、カリウム、などが含まれています。

この成分は、消炎作用、解熱作用、などに効果があるそうです。

収れん作用もあるそうです。

これらの作用から「汗疹(あせも)、湿疹(しっしん)、虫さされ、日焼けの赤みを抑える」という効果があるそうです。

「桃湯」の入り方を簡単に説明します。

桃の生葉を30~40枚を布袋に入れます。

布袋を鍋に入れて、15~20分ほど煮出します。

煮汁ごと浴槽に入れます。

浴槽に入る時には、良くかき混ぜてから入浴します。

「夏の土用」についてです。

立秋の前日までの約18日間になります。

現在の暦で「七月下旬から八月上旬」になります。

元々は立秋の前の18日間だったそうです。

現在は太陽が黄経117度の点を通過する時から立秋までを指すそうです。

土用の間は土の気が盛んになるために、土を動かす事や殺生が忌まれていたそうです。

本来の「土用」は、立春、立夏、立秋、立冬のそれぞれに設けられていました。

現在は「土用」というと、立秋の前の「夏の土用」だけを指すようになったそうです。

夏の土用の期間を「暑中(しょちゅう)」といいます。

この頃から「暑中見舞い」を出し始めます。

この頃は猛暑の時季なので、昔から栄養のあるものを摂る習慣があったそうです。

「桃(もも)」についてです。

「桃」は中国の黄河上流の高原地帯が原産地と言われています。

日本には弥生時代から奈良時代の間に、渡ってきたと思われています。

平安や鎌倉時代には、水菓子として珍重されていたそうです。

「桃の花」は、「万葉集」にも登場します。

「桃」は「古事記」にも登場します。

日本に古くからある果物という事になります。

当時の桃は、実も小さくて硬く、現在の桃とは違っていたそうです。

そのため、江戸時代は、主に観賞用とされていたそうです。

食用としての本格的な桃の栽培が始まったのは、明治時代からになるそうです。

明治六年から八年にかけて、ヨーロッパや中国から桃を導入して、食用としての桃の栽培を本格的に始めたそうです。

明治三十年代に「白桃」を開発したそうです。

それ以降、「白桃系」の桃の開発が始まったようです。

この辺りから現在の桃と同じ様な桃が食べられるように、なってきたそうです。

この物語を書くきっかけについてです。

大姫達が、土用の丑の日に桃湯に入る場面か、桃湯の話題が登場する物語を、書きたいと思いました。

大姫達が、現在の桃湯に入るのは無理なので、現在の暦と現在のお風呂を物語に使用して、他の場面は鎌倉時代のままの設定を考えました。

そのため、「番外編」の物語として書きました。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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