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鎌倉夢語り ~ 大姫と源義高 番外編 ~


~ 夢現 野薔薇と大姫の薔薇 紡ぐ想い ~


物語を始める前に、簡単ですが、この物語に登場する神社やお店などを説明します。

「岩船地蔵堂」

この地蔵堂には30cm前後のお地蔵様が祀られているそうです。

大姫の守り本尊として知られています。

一説には、大姫の妹の三幡姫の守り本尊ともいわれているそうです。

いつから在るのか確認は取れませんでしたが、源義高の死後に造られたと思われます。

2005年頃から数年ほど前に、新しい外装に建て替えられました。

「鎌倉文学館」

江ノ電の「由比ヶ浜駅」から徒歩8分~10分ほどで着きます。

前田侯爵の鎌倉別邸を文学館として開館したそうです。

鎌倉の縁の作家、鎌倉縁の地の物語などの作品を展示しています。

大姫や源義高や海野小太郎幸氏の時代には無い施設です。

「江ノ電」

鎌倉駅と藤沢駅を運行する電車です。

2~4両の車両で運行しています。

江ノ電が運行を開始したのは、明治35年(1902年)です。

当時は、藤沢から片瀬の間の運行だったそうです。

単線の場所や電車内や駅から海が見えるなど、いろいろな風景が楽しめます。

「会話のみ、または、舞台として登場する、物語の中のお店や施設」

2010年6月上旬の時点で書きました。

「補足」

2010年6月上旬の状況で物語を書いたので、掲載時、または、皆様がこの物語を読まれている時には、状況が変わっている可能性があります。


では、物語の世界へどうぞ・・・




*      *      *      *      *      *




時は、平成。




ここは、鎌倉。



梅雨の始まる前。



天気の良い日が続いている。



たくさんの観光客で賑わっている。



ここは、岩船地蔵堂。



大姫は笑顔で居る。

源義高は普通に居る。

海野小太郎幸氏は微笑んで居る。



大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様! 小太郎殿! 大姫の名前の花を見に行きたいです!」

源義高は大姫に普通の表情で頷いた。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。



大姫は笑顔で、静かに居なくなった。

源義高は普通の表情で、静かに居なくなった。

海野小太郎幸氏は微笑んで、静かに居なくなった。



僅かに後の事。



ここは、長谷。



江ノ電の由比ヶ浜駅。



藤沢駅行きの江ノ電が到着した。



幾人かの人達が乗り降りした。



二人の少年と一人の少女が、幾人かの人達と共に江ノ電を降りた。



二人の少年の名前は、義孝と幸氏。

少女の名前は分からないが、義孝と幸氏と一緒に良く居る。



藤沢駅行きの江ノ電は、幾人もの乗客を乗せて出発した。



少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「今日は“大姫”の花が咲いているかな?」

幸氏は少女に微笑んで話し出す。

「バラの花の咲く時期に寒さを感じる時間が多いから、バラの花が想像より多く咲いている。“大姫”の花が咲いている可能性があるね。」

義孝は少女に普通に話し出す。

「咲いていると良いな。」

少女は義孝と幸氏を微笑んで見た。



少女は微笑んで歩き出した。

幸氏も微笑んで歩き出した。

義孝は普通に歩き出した。



少し後の事。



ここは、長谷。



鎌倉文学館。



バラの咲く庭園。



見頃が終わりに近付くバラが多いが、綺麗に咲くバラもある。



大姫の名前を持つバラの前。



少女は微笑んで居る。

義孝は普通に居る。

幸氏は微笑んで居る。



幸氏は少女に微笑んで話し出す。

「数日間の天気が良ければ、大姫の花が綺麗に咲く様子だね。」

少女は義孝と幸氏に残念な様子で話し出す。

「数日後に大姫の花を見たいけれど、都合が付かないわね。残念だわ。」

義孝は少女に普通に話し出す。

「日々の天候で、見頃、花の色、花の大きさ、香り、が毎年のように変わる。幾度も見たいと思う人達が多いのかも知れない。」

幸氏は義孝に微笑んで話し出す。

「義孝の話は当たっていると思う。」

義孝は幸氏を普通の表情で見た。

少女は義孝と幸氏を微笑んで見た。

義孝は少女に普通に話し出す。

「秋を楽しみに待とう。」

少女は義孝に微笑んで頷いた。

幸氏は義孝と少女を微笑んで見た。

少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「他のバラも見ましょう。」

義孝は少女に普通の表情で頷いた。

幸氏は少女に微笑んで頷いた。

少女は義孝と幸氏を微笑んで見た。



時は戻る。



時は、平成時代に暮らす人達が鎌倉時代と呼ぶ頃。



ここは、鎌倉。



梅雨が始まる前。



ここは、小御所。



源義高の部屋。



大姫は気持ち良く横になって寝ている。

源義高は普通に居る。

海野小太郎幸氏は微笑んで居る。



源義高は大姫を見ると、海野小太郎幸氏に普通の表情で呟いた。

「大姫が笑顔でたくさん話した後に眠った。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで囁いた。

「大姫様が義高様を信頼する証拠です。」

源義高は海野小太郎幸氏を見ると、海野小太郎幸氏に普通の表情で囁いた。

「大姫は、幼い内容の表現に怒るが、寝るまでの言動は幼い。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで囁いた。

「大姫様の年齢から考えると、幼く感じる時があるのは仕方がありません。大姫様の年齢と義高様の許婚の立場から考えると、大姫様が幼い内容に怒るのは仕方がありません。」

源義高は大姫を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は大姫と源義高を微笑んで見た。

大姫は眠い様子でゆっくりと体を起こした。

源義高は大姫に普通に話し出す。

「大姫。眠いのだろ。再び横になって眠れ。」

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に眠い様子で話し出す。

「姫は、義高様と小太郎殿と一緒に、姫と同じ名前の花を見ました。姫は、義高様と小太郎殿と話したいです。」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「夢を見たのか?」

大姫は源義高に眠い様子で話し出す。

「夢ではありません。」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「今日は、大姫と俺と小太郎と共に花を見ていない。」

大姫は源義高に眠い様子で話し出す。

「姫は義高様と小太郎殿と一緒に、姫と同じ名前の花を見ました。」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「大姫の夢の中の話だろ。」

大姫は源義高に眠い様子で話し出す。

「夢ではありません。」

源義高は海野小太郎幸氏を僅かに困惑した様子で見た。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「大姫様。大姫様と同じ名前の花の、色、形、大きさ、などを、教えて頂けませんか?」

大姫は海野小太郎幸氏に眠い様子で話し出す。

「小太郎。姫と同じ名前の花を覚えていないのですか?」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「大姫。俺と小太郎は、大姫の夢の中で見た花を、大姫と共に見られない。大姫の夢の中で見た花を説明してくれ。」

大姫は源義高に不機嫌に話し出す。

「夢ではありません! 本当です!」

源義高は大姫を普通の表情で見た。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に不機嫌に話し出す。

「義高様! 小太郎殿! 酷いです!」

源義高は大姫を僅かに困惑して見た。

海野小太郎幸氏は大姫と源義高を僅かに困惑して見た。



大姫は部屋を走って出て行った。



源義高は海野小太郎幸氏を見ると、海野小太郎幸氏に困惑して話し出す。

「過去に花を見た時の状況を夢で見たのかな?」

海野小太郎幸氏は源義高に考えながら話し出す。

「義高様の話す可能性が高いと思います。」

源義高は海野小太郎幸氏に考えながら話し出す。

「花の名前が、大姫。大姫の名前に似る花。共に見た記憶が無い。」

海野小太郎幸氏も源義高に考えながら話し出す。

「私も見た記憶がありません。」

源義高は海野小太郎幸氏に考えながら話し出す。

「俺と小太郎が、鎌倉に着てから、幾月も経っていない。大姫と共に見られる花の種類は限られる。」

海野小太郎幸氏も源義高に考えながら話し出す。

「小さい花や可愛い花には、“姫”の付く名前が多いです。小さい花や可愛い花を“姫”に喩える時が有ります。」

源義高は海野小太郎幸氏に考えながら話し出す。

「地域で呼び名の変わる植物がある。特定の地域のみで、“姫”の付く名前があるかも知れない。」

海野小太郎幸氏も源義高に考えながら話し出す。

「大姫様が夢の中で見た花を特定するのは難しいですね。」

源義高は海野小太郎幸氏に考えながら頷いた。

海野小太郎幸氏は源義高を考えながら見た。

源義高は海野小太郎幸氏に考えながら話し出す。

「小太郎。今後の良い展開を教えてくれ。」

海野小太郎幸氏も源義高に考えながら話し出す。

「一つだけですが、良い考えが思い浮かびました。」

源義高は海野小太郎幸氏に考えながら話し出す。

「小太郎。思い浮かんだ考えを教えてくれ。」

海野小太郎幸氏は源義高に考えながら話し出す。

「はい。」

源義高は海野小太郎幸氏を考えながら見た。



暫く後の事。



ここは、小御所。



大姫の部屋。



大姫は拗ねて居る。



源義高は部屋を普通に訪ねた。

海野小太郎幸氏も部屋を普通に訪ねた。



大姫は源義高と海野小太郎幸氏を拗ねて見た。

源義高は大姫に普通に話し出す。

「大姫。俺の部屋で共に見て欲しい物がある。一緒に来てくれ。」

大姫は源義高に拗ねて頷いた。

源義高は海野小太郎幸氏を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は源義高に普通の表情で軽く礼をした。



大姫は部屋を拗ねて出て行った。

源義高は部屋を普通に出て行った。

海野小太郎幸氏も部屋を普通に出て行った。



僅かに後の事。



ここは、小御所。



源義高の部屋。



大姫は部屋の中に拗ねて入った。

源義高は部屋の中に普通に入った。

海野小太郎幸氏は部屋の中に普通に入った。



机の上に、野薔薇の花を挿した器が置いてある。



大姫は野薔薇を微笑んで見た。

源義高は大姫に普通に話し出す。

「大姫と共に話した後に、大姫の雰囲気に合う花を考えた。野薔薇は、棘が有るが、白色の小さい清楚な花が咲く。大姫からは、棘を想像しないが、野薔薇の花を想像した。」

大姫は源義高と海野小太郎幸氏を見ると、源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「義高様。小太郎殿。姫は白色で小さくて清楚ですか?」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「はい。」

源義高は大姫に普通の表情で頷いた。

大姫は野薔薇を笑顔で見た。

源義高は海野小太郎幸氏に普通の表情で囁いた。

「大姫の機嫌が治った。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで囁いた。

「はい。」

源義高は大姫を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。



暫く後の事。



ここは、小御所。



源義高の部屋。



机の上に、野薔薇の花を挿した器が置いてある。



源義高は普通に居る。

海野小太郎幸氏は微笑んで居る。



源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「野薔薇の見頃が終わり掛けていたが、綺麗に咲く野薔薇が見付かった。良かった。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「はい。」

源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「大姫は、小さいと喩えると怒るのに、花に重ねて小さいと喩えたら喜んだ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「はい。」

源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「難しい。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「簡単ではありませんが、難しくはありません。」

源義高は海野小太郎幸氏を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。



すると切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様・・・」

「私と同じ名前の花を見ました・・・」

「義高様が私と同じ名前の花を見た感想を知りたいです・・・」

「ねぇ、義高様・・・」

「現の出来事の中の記憶なのでしょうか・・・?」

「夢の出来事の中の記憶なのでしょうか・・・?」

「ねぇ、義高様・・・」




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

「薔薇(ばら)」についてです。

バラ科です。

夏の季語です。

「浜茄子(はまなす)」や「野茨[“野薔薇”(のばら)とも書く](のいばら)」など、日本には古くから見られるバラは有ります。

万葉集に「野茨(のいばら)」を詠んだ歌が掲載しています。

現在に見られるバラの多くは、大姫、源義高、海野小太郎幸氏の時代より、かなり後に造られました。

大姫、源義高、海野小太郎幸氏達は、一部の種類のバラは見られた事になります。

「薔薇」の「大姫(おおひめ)」についてです。

「大姫」をイメージして作出して名付けられたバラです。

2008年に登録された新しいバラです。

花色は、明るい赤色です。

微香があります。

「野薔薇(のばら)」についてです。

「“野茨(のいばら)”の別名」、そして、「野に咲く野生の薔薇」、をいいます。

「野茨(のいばら)」についてです。

バラ科の落葉低木です。

バラの一種類です。

花は、夏の季語です。

実は、秋の季語です。

万葉集では「茨(“いばら”、または、“うばら”)」で掲載しています。

山野に生えています。

高さは2mほどになり、棘が有ります。

棘があるため、触ると痛いです。

芳香のある小さめの白色の五弁花の花が咲きます。

現在の暦で五月から六月頃に花が咲きます。

秋には実(正確には偽果[ぎか]のようです)が赤く熟します。

野薔薇の花の花言葉は「素朴な可愛らしさ」だそうです。

花言葉は、つぼみや実や花などの状況によって変わる事があります。

花言葉を含めた詳細は、各自でご確認ください。

今回は、物語の雰囲気から、文字は「野薔薇」で、読み方は「のばら」にしました。

ご了承ください。

この物語の補足です。

この物語は、大姫、源義高、海野小太郎幸氏の三人と、義孝、幸氏、少女の三人は、同じ場所に出掛けていますが、直接的には逢っていない設定です。

「夢現(ゆめうつつ)」についてです。

「夢と現実。夢とも現ともつかない状態。」の意味です。

「夢現」を分けると、「夢(ゆめ)」と「現(うつつ)」になります。

「現」は「現実」の意味があります。

「現」は「夢」に対して良く使われる言葉です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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