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鎌倉夢語り 〜 大姫と源義高 編 〜
〜 青嵐の中の緑の銀杏 重なる運命 〜
〜 改訂版 〜
ある初夏の日の事。
ここは鎌倉の町。
鎌倉の町には青空が広がっている。
ここは小御所の庭。
小御所から見える緑色をした全ての葉が、日差しを受けて輝いている。
源義高と海野小太郎幸氏は、庭を見ている。
大姫の元気の良い声が、源義高と海野小太郎幸氏の元に聞こえてきた。
「義高様〜!」
源義高は大姫の声が聞こえてきた方向を普通の表情で見た。
海野小太郎幸氏は大姫の声が聞こえてきた方向を微笑んで見た。
大姫が源義高の元に笑顔で走ってくる姿が見える。
微笑んだ表情の見知らぬ少女が、大姫の後ろを少し早く歩いて付いてくる姿が見える。
大姫は源義高と海野小太郎幸氏の前に来ると、笑顔で話し出す。
「義高様! 小太郎殿! こんにちは!」
見知らぬ少女は、源義高と海野小太郎幸氏の前に来ると、微笑んで話し出す。
「初めまして。私は河越重頼の娘で真澄と申します。母は万寿様の乳母を務めています。」
源義高は真澄と名乗った少女を不思議そうに見た。
真澄と名乗った少女は、源義高に微笑んで話し出す。
「万寿様の乳母は何人かいらっしゃいます。私の母はその中の一人となります。」
源義高は真澄と名乗った少女を普通の表情で見た。
真澄と名乗った少女は、源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで礼をした。
大姫は源義高を見ながら、真澄に笑顔で話し出す。
「源義仲様の嫡男の源義高様です! 姫の許婚です!」
真澄は源義高に微笑んで礼をした。
源義高は真澄に普通の表情で頷いた。
大姫は海野小太郎幸氏見ながら、真澄に笑顔で話し出す。
「海野小太郎幸氏殿です! 義高様に仕えています!」
真澄は海野小太郎幸氏に微笑んで礼をした。
海野小太郎幸氏は真澄に微笑んで礼をした。
大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。
「真澄と一緒に綺麗な銀杏を見つけました! 四人で一緒に見に行きましょう!」
源義高が大姫を見ると、不思議そうに話し出す。
「今から出掛けるのか?」
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「はい!」
源義高は大姫を普通の表情で見た。
大姫は源義高の手を取ると、笑顔で歩き出した。
源義高は大姫を呆れた様子で見ながら、手を引かれたまま歩き出した。
海野小太郎幸氏と真澄は、微笑んで顔を見合わせた。
大姫は源義高の手を取りながら、海野小太郎幸氏と真澄を見ると、笑顔で話し出す。
「小太郎殿! 真澄! 早く来てください!」
海野小太郎幸氏は大姫と源義高の元に向かって、微笑んで歩き出した。
真澄は海野小太郎幸氏の後に続いて、微笑みながら歩き出した。
それから少し後の事。
ここは鎌倉のとある場所。
大きな緑色の銀杏の葉が、日差しを受けて輝いている。
緑色の銀杏の葉の隙間からは、青空と陽の光が見える。
大姫、源義高、海野小太郎幸氏、真澄は、大きな銀杏の木の下に居る。
大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。
「綺麗な緑色ですよね!」
源義高は銀杏の木を見上げながら、普通の表情で小さく頷いた。
海野小太郎幸氏は銀杏の木の様子を見ると、大姫を見て微笑んで話し出す。
「綺麗な銀杏だと思います。」
大姫は海野小太郎幸氏を笑顔で見た。
真澄は銀杏を微笑んで見上げた。
海野小太郎幸氏は真澄に微笑んで話し出す。
「真澄様は河越の方ですか?」
真澄は海野小太郎幸氏を見ると、微笑んで話し出す。
「はい。私は河越庄の者です。」
海野小太郎幸氏は真澄に微笑んで話し出す。
「差し支えなければ、鎌倉に来られた理由をおうかがいしてもよろしいですか?」
真澄は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「祖母が頼朝様の乳母を務めておりました。母が祖母の縁もあり、万寿様の乳母の一人となりました。私は家の手伝いを兼ねて、母と一緒に鎌倉に着ました。私は、家の事が落ち着いたので、河越の庄に直ぐに戻りました。父が、母が一人で家の管理や乳母の務めを行うのは大変だろうと考えて、私に再び手伝いのために鎌倉に行くようにと話しをしました。今回も鎌倉に居るのは短い期間になると思います。」
海野小太郎幸氏は真澄に微笑んで話し出す。
「短い期間と言うと、冬の間に戻るという事でしょうか?」
真澄は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「もしもの事を考えて、雪の降る前に河越の庄に戻る予定です。」
海野小太郎幸氏は真澄を微笑んで見た。
真澄は銀杏の木を微笑んで見上げた。
源義高は銀杏の木を普通の表情で見上げた。
海野小太郎幸氏は銀杏の木を微笑んで見上げた。
大姫は源義高と海野小太郎幸氏と真澄に、笑顔で話し出す。
「銀杏の葉が綺麗ですよね! 黄色く色付いたら、みんなで見に来ましょうね!」
真澄は大姫を見ると、微笑んで話し出す。
「はい。」
源義高は大姫を見ると、普通の表情で黙って頷いた。
真澄は大姫と源義高と海野小太郎幸氏を見ながら、微笑んで話し出す。
「今頃の緑色の葉の大銀杏も綺麗ですね。今日の様な天気の良い日に、大銀杏を見に行きませんか?」
大姫は源義高と海野小太郎幸氏笑顔で話し出す。
「義高様! 小太郎殿! 晴れた日の大銀杏を近くで見た事はないですよね! 晴れた日に四人で大銀杏を見に出掛けましょう!」
海野小太郎幸氏は源義高を見ると、微笑んで話し出す。
「楽しみですね。」
源義高は海野小太郎幸氏を見ると、普通の表情で頷いた。
海野小太郎幸氏は真澄を微笑んで見た。
源義高は真澄を見ると、普通に話し出す。
「大銀杏を見る日が楽しみですね。」
真澄は源義高に微笑んで話し出す。
「はい。」
源義高は銀杏の木を普通の表情で見上げた。
大姫は源義高を見ると、不思議そうに話し出す。
「義高様。なぜ姫に大銀杏を一緒に行こうとお話しをしてくれないのですか?」
源義高は大姫を見ると、普通に話し出す。
「大姫は既に四人で出掛ける予定なんだろ。だったら、俺が大姫に確認をする必要は無いよな。」
大姫は源義高に納得のいかない様子で話し出す。
「義高様! 私は義高様の許婚です! 約束はしっかり決めないといけません!」
源義高は大姫に普通に話し出す。
「はいはい。俺と大姫は、確かに許婚だ。だから、一々確認をしなくても大丈夫だよな。」
大姫は源義高を納得のいかない表情で見た。
源義高は大姫を微笑んで見た。
真澄は大姫と源義高に微笑んで話し出す。
「大姫様。義高様。そろそろ小御所に戻りませんか?」
源義高が真澄を見ると、普通に頷いた。
大姫は真澄を複雑な表情で見た。
真澄は大姫を微笑んで見た。
大姫は真澄に微笑んで話し出す。
「小御所に戻ります。」
真澄は大姫を微笑んで見た。
大姫、源義高、海野小太郎幸氏、真澄は、緑色の葉を繁らす銀杏を背にしながら、青空の下を小御所へと帰って行った。
すると切ない声が聞こえてきた。
「ねぇ、義高様・・・」
「緑の葉を繁らせていた銀杏は、とても綺麗でしたね・・・」
「ねぇ、義高様・・・」
「真澄は後に義経様の正室になりました・・・」
「そのような出来事が後に起こるとは、誰も思いませんでしたよね・・・」
「ねぇ、義高様・・・」
「運命は、とても不思議なものですね・・・」
「ねぇ、義高様・・・」
* * * * * *
ここからは、後書きになります。
この物語は既に掲載している物語の改訂版です。
物語の雰囲気や展開を出来るだけ残しながら改訂しました。
改訂前の物語を掲載するのは止めました。
以上の点、ご了承願いします。
ここからは改訂前の後書きを加筆訂正しながら書いていきます。
今回の物語は、後に「源義経の正室」となる「河越重頼の娘」の少女が登場します。
名前がないと不便なので、「鎌倉夢語り」では、「河越重頼の娘」を「真澄(ますみ)」と名付けました。
ある作家が、名前のわからない人などに名前を付ける事が出来るのは、作家の特権というような内容の事を言っていました。
確かにそうだと思いました。
でも、当時の名前に実際にありそうで、しかも可愛い名前が思い浮かばなかったために、物語の掲載が遅れていました。
「河越重頼の娘」の母親が、万寿(後の源頼家)の乳母と書きました。
はっきりとした事は分からないのですが、倉本由布さんの作品の中に登場します。
「河越重頼の娘」の祖母が源頼朝の乳母をしていたという関係で、その娘である母親が源頼家の乳母をしていてもおかしくないと考えました。
「鎌倉夢語り」では、「河越重頼の娘」の母親は、源頼家の乳母をしているという設定にしました。
そして、「河越重頼の娘」が実際に鎌倉に来ていたかについてですが、鎌倉に来ること自体は特別に不思議な事ではないと考えて、鎌倉に来ている設定にしました。
源頼家の乳母として、有名なのは、「比企能員(ひきよしかず)の妻」です。
源頼朝の乳母をしている比企の一族です。
その娘が源頼家の子供を生んでいます。
「河越重頼の娘」の年齢についてですが、推測できる範囲となりますが、物語の設定の年齢は、十五歳〜十六歳と思われます。
六歳の大姫、十一歳の源義高、十一歳〜十二歳の海野小太郎幸氏、十五歳〜十六才前後の「河越重頼の娘」となります。
この四人の運命は、とても不思議です。
「河越重頼の娘」については、登場人物のページで簡単ですが説明しています。
「河越重頼の娘」は、名前も年齢など詳しい事は分かりません。
「河越重頼の娘」の最期も推測されているだけで、はっきりとは分かっていません。
源義経と妻と言われている女性と二人の間に生まれた女の子と共に、平泉で亡くなります。
その女性が「河越重頼の娘」ではないかと言われています。
源義経の正妻なのに、静御前の影に隠れてほとんど知られていない女性です。
大姫も「河越重頼の娘」と同じく、名前が分かりません。
生年月日のうち、生まれた年については、大体は分かるそうですが、月日までは分かっていません。
亡くなった経過や日付などもはっきりと分かっていません。
大姫も歴史の中に隠れてしまった女性の一人となります。
題名の「重なる運命」を付けた理由を書きます。
後に源義経となる河越重頼の娘。
後に源義経と決別する源頼朝を父に持つ大姫。
大姫の父の源頼朝の命令により、源義経が源義高の父親の源義仲を討ち、過酷な運命へと変わってしまう源義高。
自分が仕えていた源義高を討つように命令し、源義高は討たれて亡くなるという事実がありながら、鎌倉側の源頼朝に仕える事になった海野小太郎幸氏。
運命が幾重にも複雑に重なる前の物語として考えました。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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