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鎌倉夢語り 〜 大姫と源義高 編 〜


〜 立ち待ちの月 十七夜の月の宴 〜


〜 改訂版 〜


十五夜が近づいてきた。


ここは、木曾。


源義仲の館。


源義高と海野小太郎幸氏は、一緒に居る。


源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「小太郎。一緒に月を見たいな。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「はい。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「弓の稽古についてたくさん話したいから、小太郎を館に泊めて欲しいと、父上にお願いしてみようか。寝たふりをして、途中で起きて一緒に月を見る事が出来るよな。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「私は構いません。」

源義高は海野小太郎幸氏に考え込みながら話し出す。

「せっかくなら月の綺麗な夜が良いよな。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「はい。」

源義高は海野小太郎に微笑んで話し出す。

「十六夜か十七夜というのはどうだろうか?」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「十七夜はどうですか?」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「十七夜なら、小太郎と月を見たいと考えている事が分かり難いよな。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「十七夜の頃に義高様と弓の稽古の話しをしながら過ごしたいと、私からも父上に話してみます。」

源義高は海野小太郎幸氏に苦笑しながら話し出す。

「父上に本当の事を話したら、“義高! 月を見る事より武術に関する事に興味をもて!” と言いそうだな。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「私から父に義高様のご希望を伝えて、義仲様に十七夜に泊まりたい事を伝えてもらいますか?」

源義高が海野小太郎幸氏に苦笑しながら話し出す。

「父上に今の話が伝わらないかな?」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「もしもの時は、私が屋敷を抜けて義高様の元に参ります。」

源義高は海野小太郎幸氏に心配そうに話し出す。

「小太郎が暗い夜道を歩いて館に来る事になるだろ。小太郎にもしもの事が遭ったら困るよ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「館までの道は暗くても分かります。」

源義高は海野小太郎幸氏に心配そうに話し出す。

「十七夜の日に泊まる事が出来なければ、別な機会がある。無理するなよ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「はい。」

源義高は海野小太郎幸氏を安心した表情で見た。


それから数日後の事。


十五夜が一日ずつ近づいてきている。


ここは、源義仲の館。


源義高と海野小太郎幸氏は、一緒に居る。


海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「父が義仲様にさりげなく話しをしてくれるそうです。十七夜に一緒に月が見られるかも知れません。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「父上から良い返事があると良いな。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「はい。」

源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。


それから何日か後の事。


十七夜となった。


ここは、木曾。


夜空には綺麗な月が浮かんでいる。


ここは、源義仲の館。


源義高の部屋。


源義高と海野小太郎幸氏は、源義高の部屋の中に一緒に居る。


源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「今夜は小太郎と一緒に月を見る事が出来て嬉しいよ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「私も嬉しいです。」

源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「今の時間なら、早く休んでも怪しむ方も少ないと思います。そろそろお休みしませんか?」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで頷いた。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をすると、静かに部屋を出て行った。


それから少し後の事。


ここは、木曾。


夜空には綺麗な月が浮かんでいる。


ここは、源義仲の館。


館の者達のほとんどが寝ているのか、静かな雰囲気となっている。

聞こえる音は、綺麗な虫の声だけとなっている。


ここは、源義高の部屋。


源義高は床からゆっくりと起き上がると、静かに部屋の外へと出て行った。


ここは、館の庭。


源義高は微笑みながら辺りを見回した。


海野小太郎幸氏が夜空を微笑んで見ている。


源義高は海野小太郎幸氏の傍に微笑みながら来た。

海野小太郎幸氏は源義高を見ると、微笑みながら小さい声で話し出す。

「義高様。こんばんは。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑みながら小さい声で話し出す。

「早いな。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑みながら小さい声で話し出す。

「義高様をお待たせする訳にはいきません。」

源義高は夜空を見ると、海野小太郎幸氏に微笑みながら小さい声で話し出す。

「十七夜の月も綺麗だな。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑みながら小さい声で話し出す。

「はい。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑みながら小さい声で話し出す。

「虫の声も綺麗だな。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑みながら小さい声で話し出す。

「はい。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑みながら小さい声で話し出す。

「いつになるか分からないけれど、月を見ながら小太郎と一緒に酒を飲みたいな。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑みながら小さい声で話し出す。

「私と義高様は元服をしています。酒を飲む事は出来ますね。」

源義高は海野小太郎幸氏に苦笑しながら小さい声で話し出す。

「今は遠慮させてくれ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑みながら小さい声で話し出す。

「月を見ながら義高様と一緒に酒を飲む日を楽しみに待っています。」

源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。

源義高は微笑んで夜空を見上げた。

海野小太郎幸氏は源義高の様子を確認すると、微笑んで夜空を見上げた。


木曾の夜空に輝く立ち待ち月は、源義高と海野小太郎幸氏を優しく照らし続けている。


それから幾つかの月日が過ぎた。


十七夜の当日の事。


ここは、鎌倉の町。


小御所。


源義高の部屋。


源義高と海野小太郎幸氏は、一緒に部屋の中に居る。


源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「小太郎。今夜は十七夜だな。一緒に月を見ないか?」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「はい。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出そうとした。


大姫が元気良く部屋の中に入ってきた。


源義高は大姫を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑みながら軽く礼をした。

大姫は源義高に不思議そうに話し出す。

「義高様? 今日は何かあるのですか?」

源義高は大姫に微笑んで話し出す。

「秘密。」

大姫は源義高を不思議そうに見た。

源義高は大姫に微笑んで話し出す。

「嘘だよ。小太郎と一緒に月を見る話しをしていた。」

大姫は源義高に嬉しそうに話し出す。

「十七夜も義高様と小太郎殿と一緒に、月を見る事が出来るのですか?! 嬉しいです!」

源義高は大姫に呆れた様子で話し出す。

「大姫は誘っていないだろ。仮に大姫を誘ったとしても、途中で寝るだろ。」

大姫は源義高にむきになって話し出す。

「今夜は寝ません!」

源義高は大姫を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「義高様。大姫様と一緒に三人で月を見るのも楽しくて良いかと思います。」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「小太郎が良いと言っているから一緒に見よう。」

大姫は源義高に嬉しそうに話し出す。

「はい!」

源義高は大姫を普通の表情で見た。

大姫は源義高に嬉しそうに話し出す。

「義高様! 今夜は寝ないように、これから少し休みます! また後で来ます!」

源義高は大姫を普通の表情で見た。

大姫は急いで部屋の外へと出て行った。


源義高は海野小太郎幸氏に苦笑しながら話し出す。

「小太郎。大姫は、早く寝たまま起きないのと、起きたけれど途中で寝てしまうのと、どちらだと思う?」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「“ずっと起きている”という選択肢はないのですか?」

源義高は海野小太郎幸氏に苦笑しながら頷いた。


それから暫く後の事。


ここは、鎌倉の町。


十七夜の夜空には、綺麗な立ち待ち月が浮かんでいる。


ここは、小御所。


源義高の部屋の近くに在る庭。


源義高と海野小太郎幸氏は、一緒に居る。


大姫が庭に来る気配が無い。


源義高は辺りを見回しながら、海野小太郎幸氏に小さい声で話し出す。

「大姫は想像通りぐっすりと寝ているのかな?」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「大姫様のご様子を確認してきます。」

源義高は海野小太郎幸氏を見ると、普通に話し出す。

「一緒に行く。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。


源義高と海野小太郎幸氏は、大姫の部屋へと向かって縁を静かに歩き出した。


それから僅かに後の事。


ここは、大姫の部屋。


源義高と海野小太郎幸氏は、大姫の部屋の中に居る。


大姫は床の中で気持ち良さそうに寝ている。


源義高は大姫を苦笑しながら見た。

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。

源義高は大姫に苦笑しながら声を掛ける。

「大姫。時間だぞ。早く起きろ。」

大姫は床の中で楽しそうな微笑を浮かべて寝ている。

源義高は大姫を見ながら、海野小太郎幸氏に苦笑した表情で話し出す。

「大姫の寝顔から判断すると、三人で十七夜の月の下に居る夢を見ているかも知れないな。」

海野小太郎幸氏は大姫を見ながら、源義高に微笑みながら話し出す。

「はい。」

源義高は大姫を見ながら、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「小太郎。二人で一緒に大姫を起こすぞ。」

海野小太郎幸氏は源義高を見ると、微笑んで話し出す。

「はい。」

源義高は大姫を微笑みながら揺すった。

海野小太郎幸氏は大姫を微笑みながら軽く揺すった。


大姫は床の中で眠そうに目を開けた。

源義高は大姫を苦笑しながら見た。

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。

大姫は床の中で、源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「義高様。小太郎殿。月が綺麗です。」

源義高は大姫を苦笑しながら見た。

大姫は床の中で気持ち良さそうに目を閉じた。

源義高は大姫を苦笑しながら見ている。

海野小太郎幸氏は源義高を見ると、微笑んで話し出す。

「義高様。戻りましょう。」

源義高は海野小太郎幸氏を見ると、微笑んで頷いた。


源義高と海野小太郎幸氏は、大姫の部屋から静かに出て行った。


それから僅かに後の事。


ここは、源義高の部屋の前に在る庭。


源義高と海野小太郎幸氏は、一緒に居る。


源義高は海野小太郎幸氏に苦笑しながら小さい声で話し出す。

「大姫は想像通り寝たまま起きる事が出来なかったな。」

海野小太郎幸氏は源義高を微笑みながら見た。

源義高は僅かに寂しそうな表情を見せた。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑みながら小さい声で話し出す。

「今夜は立ち待ちの月です。木曾に居る時に、義高様と一緒に酒を飲む話しをしましたね。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑みながら小さい声で話し出す。

「小太郎との大切な約束の一つだから、覚えているよ。でも、今年も遠慮させてくれ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑みながら小さい声で話し出す。

「一緒に月を見ながら酒を飲む日を楽しみに待っています。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑みながら頷いた。

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。

源義高は海野小太郎幸氏に微笑みながら小さい声で話し出す。

「大姫はもう少し経てば、三人で月を見る事が出来るかな?」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑みながら小さい声で話し出す。

「はい。」

源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。


大姫が源義高と海野小太郎幸氏の元に眠そうに現れた。

源義高と海野小太郎幸氏は、大姫を不思議そうに見た。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に眠そうに話し出す。

「義高様と小太郎殿と一緒に月を見ます。」

源義高は大姫に微笑みながら小さい声で話し出す。

「大姫。眠そうだな。もしかして疲れているのか?」

大姫は源義高に眠そうな仕草のまま首を横に振った。

源義高は大姫に微笑みながら小さい声で話し出す。

「無理すると倒れるから、今夜は寝た方が良いぞ。大姫の部屋まで付いていく。部屋に戻ってゆっくりと寝ろ。」

大姫は源義高に眠そうな仕草を見せながら小さく頷いた。


大姫、源義高、海野小太郎幸氏は、大姫の部屋へと向かうために、縁を静かに歩き出した。


すると切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様・・・」

「三人で十七夜の月を見る約束をしたのに、一人だけ寝ていた気がします・・・」

「でも、三人で月を見たような気がします・・・」

「ねぇ、義高様・・・」

「私の中の記憶では、三人で一緒に見た月はとても綺麗でした・・・」

「この記憶は夢の中の事なのでしょうか・・・?」

「それとも、三人で月を見た現の記憶なのでしょうか・・・?」

「ねぇ、義高様・・・」

「私は義高様と一緒に月を見たのでしょうか・・・?」

「それとも、見ていないのでしょうか・・・?」

「ねぇ、義高様・・・」




*      *       *       *       *       *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残しながら改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上の点、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正しながら書いていきます。

源義高と海野小太郎幸氏が二人でお酒を飲む話しをしています。

鎌倉に居る時の二人の年齢は、源義高は十一歳くらい、海野小太郎幸氏は十一歳か十二歳といわれています。

源義高と海野小太郎幸氏も元服をしているので、お酒を飲むこと自体は可能になります。

ただし、二人の年齢から考えると、お酒を飲む宴会などには、ほとんど同席していないように思いました。

今回の物語は、二人がお酒を飲む宴会などには同席した事がない設定で書いています。

月を見ながらお酒を飲むという風習は、鎌倉時代より前から始まっているようです。

お月見の風習については、平安時代頃に中国から伝わったそうです。

お月見の風習が伝わってからは、月を見ながらの宴や歌を詠むなどを始めたそうです。

大姫達の時代の十五夜は、現在とは雰囲気が違うようです。

当時の月を見ながらお酒を飲む雰囲気も、現在とは少し違う雰囲気だったと思います。

十五夜やお月見に、薄とお団子というのが一般的になったのは、江戸時代頃からになります。

「十七夜(じゅうしちや)」は、「陰暦十七日の夜。特に、陰暦八月十七日の夜。」の事をいいます。

別名には「立ち待ち月(たちまちのつき)」があります。

「立って待っている間に出る月」という意味からきた別名のようです。

「十七夜」と同じく、「陰暦十七日の月。特に、陰暦八月十七日の月。」の事を言います。

ちなみに、「十五夜。中秋の名月。芋名月。お月見。」→「十六夜」→「十七夜。立ち待ち月。」となります。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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