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鎌倉夢語り 〜 大姫と源義高 編 〜


〜 星月夜 木曾から鎌倉 〜


〜 改訂版 〜


秋は季節となっている。


ここは、木曾。


源義仲の館。


海野小太郎幸氏は父親の供を兼ねて一緒に来ている。


源義仲と海野小太郎幸氏の父親は、部屋の中で何かを話している。


源義高と海野小太郎幸氏は、弓や剣の稽古を行う事や武術を含めた話しをして時を過ごしている。


それから暫く後の事。


ここは、木曾。


夜空には、月と星の輝きが見えるようになってきた。


ここは、源義仲の館。


源義仲と海野小太郎幸氏の父親の話は終わったが、帰る事なく源義仲の部屋の中に居る。

源義高と海野小太郎幸氏は、共に時を過ごしている。


ここは、館の庭。


源義高と海野小太郎幸氏は、一緒に居る。


源義高は夜空を見上げながら、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「月と星が綺麗に輝いているね。」

海野小太郎幸氏は夜空を見上げながら、源義高に微笑んで話し出す。

「はい。」

源義高は夜空を見ながら、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「星が小さな月のように見えるよ。」

海野小太郎幸氏は夜空を見上げながら、源義高に微笑んで話し出す。

「はい。」

源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。

海野小太郎幸氏は源義高を見ると、微笑んで話し出す。

「星月夜ですね。」

源義高は海野小太郎幸氏を不思議そうに見た。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「星が月のように綺麗に明るく輝く夜の事を、“星月夜”と呼ぶそうです。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「“星月夜”。良い言葉だね。小太郎と一緒に居ると、勉強になる事ばかりだよ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「義高様のお役に立つ事が出来て、とても嬉しいです。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「父上は、義高と呼んだ後には、弓の稽古や刀の稽古や戦についての話しを始めるんだ。武術や戦法に関する話しを教えてくれるし、稽古もたくさん就けてくれるから、とても勉強になるんだ。だけど、“星月夜”という言葉のような風流な事に関しては、ほとんど教えてくれないんだ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「義仲様は、義高様に木曾の嫡男として、早く一人前になって欲しいと願われているからだと思います。」

源義高は夜空を微笑んで見上げた。

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。

源義高は夜空を見上げたまま、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「父上の気持ちは分かっている。」

海野小太郎幸氏は源義高に申し訳なさそうに話し出す。

「申し訳ありません。」

源義高は海野小太郎幸氏を見ると、慌てて話し出す。

「小太郎。言い方が悪かった。許してくれ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「義高様。私に謝らないでください。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「俺は形として小太郎の主人になるけれど、小太郎を頼りにしているし、ずっと一緒に居たいと思っているよ。小太郎には教えてもらう事も多い。小太郎の事を表立って感謝する事は出来るけど、小太郎一人だけ感謝する訳にはいかない。まして、小太郎には表立って謝る事は簡単には出来ない。だから、せめて二人きりの時には、しっかりと感謝や謝る気持ち表したいと考えているんだ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「私へのお気遣い、ありがとうございます。」

源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。


星月夜となっている夜空の明かりが、源義高と海野小太郎幸氏も照らした。


源義高と海野小太郎幸氏は、星月夜となっている夜空を微笑んで見上げた。


それから幾つかの月日が過ぎた。


ここは、鎌倉。


小御所。


源義高の部屋の中。


源義高と海野小太郎幸氏は、部屋の中に一緒に居る。


大姫が部屋の中に嬉しそうに入ってきた。

源義高は大姫を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

大姫が源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様! 小太郎殿! 月と星を一緒に見たいです!」

源義高は大姫を普通の表情で見ている。

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「小太郎殿も一緒に三人で見たいです! 大丈夫ですよね!」

源義高は大姫に不思議そうに話し出す。

「普段から一緒に居るのだから、嬉しそうに話しをしなくても良いだろ。」

大姫は源義高に微笑んで話し出す。

「義高様と一緒にいろいろな物を見る事が出来るのは嬉しいです。」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「大姫は夜に逢うと、嬉しいとか楽しいとか言いながら、必ず寝てしまうよな。」

大姫は源義高にむきになって話し出す。

「今夜は絶対に寝ません!」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「今の言葉も何度も聞いた。」

大姫は源義高を納得のいかない表情で見た。

源義高は大姫を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す

「大姫様。遅くまで月や星を一緒に見られるのでしたら、少しお休みをされではいかがですか?」

大姫は海野小太郎幸氏を見ると、笑顔で話し出す。

「はい!」

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様! 小太郎殿! これから少し休んできます! 夜になったら、たくさん話しをしましょう!」

源義高は大姫を普通の表情で見ている。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

大姫は源義高の部屋を元気良く出て行った。


源義高は笑いを堪える仕草を見せた。

海野小太郎幸氏は源義高の様子を微笑んで見た。


それから少し後の事。


ここは、鎌倉の町。


夜空には星が明るく綺麗に輝いている。


鎌倉の町の夜は、星月夜となっている。


ここは、小御所。


大姫の部屋。


大姫は床の中で気持ち良さそうに寝ている。


源義高と海野小太郎幸氏は、部屋の中に静かに訪れた。


大姫は床の中で気持ち良さそうに眠り続けている。


源義高と海野小太郎幸氏は、大姫の様子を微笑んで見た。

源義高は大姫に微笑んで話し掛ける。

「大姫。時間だぞ。起きろ。」

大姫は床の中でゆっくりと目を開けた。

源義高は大姫を微笑んで見た。

大姫は床の中で、源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「月と星は綺麗に輝いていますか?」

源義高は大姫に微笑んで頷いた。

大姫は床から元気良く起き上がった。


大姫、源義高、海野小太郎幸氏は、大姫の部屋を出て行った。


それから僅かに後の事。


ここは、小御所の庭。


大姫、源義高、海野小太郎幸氏は、庭に出て夜空を見ている。


大姫は夜空を笑顔で見上げている。

源義高は大姫の様子を一瞥しながら、夜空を普通の表情で見上げている。

海野小太郎幸氏は大姫の様子を一瞥しながら、夜空を微笑んで見上げている。


大姫は源義高を見ると、笑顔で話し出す。

「綺麗な夜空ですね! 星が小さい月に見えます!」

源義高は大姫を見ると、微笑んで話し出す。

「星が月みたいに綺麗に輝く夜の事を“星月夜”と言うそうだ。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「今夜は“星月夜”ですね! 義高様はたくさんの事をご存知ですね! 凄いですね!」

源義高は大姫を苦笑しながら見た。

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「姫は星月夜という言葉を忘れません!」

源義高は大姫を微笑んで見た。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「これからも義高様と小太郎殿と一緒に、たくさんの星月夜が見たいです!」

源義高は大姫を微笑んで見ている。

海野小太郎幸氏は大姫と源義高を微笑んで見た。


それから少し後の事。


ここは、小御所の庭。


夜空には月と星が綺麗に輝き続けている。


大姫、源義高、海野小太郎幸氏は、話をしながら夜空を見ている。


大姫の口数が減ってきた。


源義高が大姫の様子を普通の表情で見た。


大姫は眠そうな仕草を何度も見せている。


源義高は海野小太郎幸氏を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。

大姫は源義高に眠そうな様子のまま掴まってきた。

源義高は大姫に微笑んで話し出す。

「大姫。そろそろ寝た方が良いぞ。無理すると倒れるぞ。」

大姫は源義高の腕に掴まりながら、眠そうに頷いた。


大姫、源義高、海野小太郎幸氏は、大姫の部屋へと戻っていった。


ここは、大姫の部屋。


大姫、源義高、海野小太郎幸氏は、大姫の部屋の前に来た。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏に、眠そうだが微笑んで話し出す。

「義高様。小太郎殿。今夜はありがとうございました。」

源義高は大姫を微笑んで見た。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

大姫は眠そうな様子のまま、部屋の中へと入っていった。


源義高と海野小太郎幸氏は、大姫が部屋に入るのを確認すると、縁を静かに歩き出した。


それから少し後の事。


ここは、源義高の部屋に近い庭。


源義高と海野小太郎幸氏は、夜空を見ている。


源義高は海野小太郎幸氏を見ると、微笑んで話し出す。

「大姫はやっぱり眠くなったな。」

海野小太郎幸氏は源義高を見ると、微笑んで話し出す。

「大姫様はまだ幼いです。仕方がありません。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「小太郎から以前に星月夜の話しを聞いていて良かった。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「大姫様は星月夜という言葉を知って、とても喜んでいらっしゃいましたね。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「これからもたくさんの事を教えてくれ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「私の話しが義高様の役に立つのなら、どの様な事でもお話しいたします。」

源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。


今夜は星月夜となっているため、明るい星が輝き続けている。


源義高と海野小太郎幸氏は、星月夜の夜空を微笑んで見続けている。


すると切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様・・・」

「今夜の鎌倉の町は星月夜になっています・・・」

「義高様と一緒に星月夜が見たいです・・・」

「今なら、星月夜を見ながら寝る事はありせん・・・」

「今なら、義高様と一緒にずっと星月夜を見る事が出来ます・・・」

「ねぇ、義高様・・・」

「義高様と一緒に星月夜を見る事が出来ない日が続いています・・・」

「義高様ともっとたくさんの星月夜が見たいです・・・」

「ねぇ、義高様・・・」




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の雰囲気や展開を出来るだけ残しながら改訂しました。

以上の点、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正しながら書いていきます。

木曾での星月夜、そして、鎌倉での星月夜。

二つの場所の星月夜の物語です。

大姫、源義高、海野小太郎幸氏の三人に、この様な出来事があったら良いなと思いながら書きました。

「星月夜」は、「ほしづきよ」、または、「ほしづくよ」と読みます。

秋の季語です。

「晴れて星の光りが月のように明るい夜。」という意味だそうです。

この物語では、「星月夜」は「ほしづきよ」と読んでいます。

後は、主に謡曲での事となりますが、「“暗(くら)”と同音の“倉(くら)”を含む事から、“鎌倉”を導くために使われた修飾語。」という意味もあるそうです。

当時の星月夜は、文字通りの星月夜のように思いました。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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