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鎌倉夢語り 〜 大姫と源義高 編 〜


〜 睦月の初め 星の文 〜


今は年の初め。

源義高は海野小太郎幸氏と一緒に部屋に居る。

年の終わり頃から、源義高は部屋に居る時は、いろいろと考えている様子。

海野小太郎幸氏は何も言わずに源義高を見ている。

源義高は海野小太郎幸氏を見ると微笑んで話し掛ける。

「小太郎。父上が征夷大将軍になったという話しがあるそうだ。鎌倉の人達が話しをしているのを聞いた。」

海野小太郎幸氏は微笑んで源義高に話し掛ける。

「そのようですね。」

源義高は海野小太郎幸氏に苦笑しながら話し掛ける。

「父上はこの時期に何を考えているのだろうか?」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「義仲様はいろいろと考えて行動していると思います。」

源義高は海野小太郎幸氏に苦笑しながら話し掛ける。

「かなり前に義経殿達が京に向かっている。父上が知らないはずはない。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「義仲様は立派な方です。義高様の事もきちんと考えていると思います。」

源義高は海野小太郎幸氏に寂しそうな表情を見せながら話し掛ける。

「本当にそうだろうか? 父上は私の事を既に忘れてしまったのではないだろうか? 私は見捨られたのではないだろうか?」

海野小太郎幸氏は源義高を見ながら真剣な表情で話し掛ける。

「義高様。しっかりとしてください。義高様は木曾殿の嫡男です。その事を忘れてはいけません。」

源義高は海野小太郎幸氏を見ると真剣な表情で話し掛ける。

「忘れる訳がないだろ。忘れた事なんて一時もない。」

海野小太郎幸氏は驚いた様子で源義高を見た。

源義高は海野小太郎幸氏を真剣な表情で見ている。

海野小太郎幸氏は慌てて源義高に話し掛ける。

「申し訳ありませんでした。」

源義高は海野小太郎幸氏を真剣な表情で見ている。

海野小太郎幸氏は源義高に深く頭を下げた。

源義高は海野小太郎幸氏に慌てた様子で話し出す。

「小太郎。なぜ謝るんだ? 早く頭を上げてくれ。」

海野小太郎幸氏は源義高に頭を下げたまま話し掛ける。

「私は義高様が忘れるはずのない事を言いました。義高様は征夷大将軍の嫡男です。申し訳ありませんでした。」

源義高は困った様子で海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「確かに父上は征夷大将軍らしい。でも、今の時流がどうなっているのかは、何となくわかる。そんななかでの征夷大将軍の地位に何の意味があるのだろうか?」

海野小太郎幸氏は頭を下げたまま源義高に話し掛ける。

「時流がどうであれ義高様は木曾殿の嫡男に変わりはありません。征夷大将軍の嫡男です。」

源義高は海野小太郎幸氏を困った様子で見ながら話し出す。

「小太郎。俺が悪かった。頭を上げてくれ。」

海野小太郎幸氏は頭を下げたまま黙っている。

源義高は海野小太郎幸氏の手を取った。

海野小太郎幸氏は黙ったまま顔を上げて源義高を見た。

源義高は微笑んで海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「小太郎。ありがとう。」

海野小太郎幸氏は源義高を不安そうに見ている。

源義高は海野小太郎幸氏の手を取ったまま微笑んで話し掛ける。

「確かに小太郎の言うとおりだ。俺はしっかりとしていなかった。」

海野小太郎幸氏は源義高を心配そうに見ている。

源義高は海野小太郎幸氏の手を取ったまま微笑んで話し掛ける。

「しっかりとしないとね。」

海野小太郎幸氏は源義高を見ながら微笑んで話し掛ける。

「義高様はしっかりとしています。私が保証します。安心してください。」

源義高は微笑んで海野小太郎幸氏の手をゆっくりと放した。

海野小太郎幸氏は微笑んで源義高を見ながら話し掛ける。

「でも、私が保証しても意味がないですね。」

源義高は微笑んで海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「そんな事はないよ。小太郎がそう言ってくれると、とても嬉しいよ。もっとしっかりとしないといけないと思うよ。」

海野小太郎幸氏は源義高を見ながら微笑んで話し掛ける。

「私も義高様を支える事が出来る様に努力いたします。」

源義高は海野小太郎幸氏を見ながら微笑んで話し掛ける。

「小太郎。ありがとう。」

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。

源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。


源義高と海野小太郎幸氏は、いつも聞こえる楽しげな音に気が付いた。

お互いに顔を見合わせた。

源義高と海野小太郎幸氏のもとには、いつものように元気な足音が聞こえてきた。

源義高は苦笑しながら足音のする方向を見た。


大姫が元気良く部屋に入ってきた。

源義高は苦笑しながら大姫を見ている。

海野小太郎幸氏は微笑んで大姫を見ている。

大姫は源義高に笑顔で話し掛ける。

「義高様! 元気ですか?!」

源義高は大姫に苦笑しながら話し掛ける。

「見ればわかるだろ。」

大姫は源義高に元気良く話し掛ける。

「はい! 義高様はお元気ですね! 今見たのでわかりました!」

源義高は大姫を苦笑しながら見ている。

大姫は源義高に笑顔で話し掛ける。

「どこかにお出掛けしたいです!」

源義高は海野小太郎幸氏を苦笑しながら見た。

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見ながら頷いた。

源義高は微笑んで大姫を見ながら話し掛ける。

「いいよ。三人で出掛けよう。」

大姫は源義高を見ながら嬉しそうに話し掛ける。

「はい。」

三人は立ち上がると部屋から出て行った。


その日の夜の事。

大姫はなかなか寝付けない。

仕方が無いので起き上がった。

しかし、何もする事がないので、静かに部屋を出て行った。


大姫は部屋から出ると館内を見渡している。

当然の事だが辺りは暗い。

夜空を見上げると星が綺麗に輝いている。

大姫は夜空を見上げながら微笑んで呟いた。

「星や月がきらきら輝いています。綺麗です。」


ちょうどその頃。

海野小太郎幸氏は一人で館内を歩いている。

ふと何かを思い立ち大姫の部屋へと歩いていった。


海野小太郎幸氏が大姫の部屋の近くに来た。

大姫が夜空を見上げながら一人で立っている。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで近づいた。

大姫は足音のする方向を不思議そうに振り向いた。

海野小太郎幸氏が大姫を微笑んで見ながら立って。

大姫は海野小太郎幸氏を笑顔で見た。


海野小太郎幸氏は微笑んで大姫に話し掛ける。

「大姫様。今はまだ寒いです。そのような薄着でいらしたら風邪をひいてしまいます。」

大姫は笑顔で海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「小太郎殿は元気です。良かったです。」

海野小太郎幸氏は不思議そうに大姫を見た。

大姫は海野小太郎幸氏に不思議そうに話し掛ける。

「小太郎殿は元気です。でも、義高様はお元気なのでしょうか?」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し掛ける。

「義高様も元気です。大姫様はお優しい方ですね。今のお話しを義高様が知ったら喜ぶと思います。」

大姫は海野小太郎幸氏を不思議そうに見ている。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し掛ける。

「大姫様は義高様に笑顔をたくさん見せてくださいね。義高様も大姫様の笑顔を見ている時は楽しそうです。笑顔になっています。お二人の笑顔を見ていると、私も笑顔になります。」

大姫は海野小太郎幸氏に笑顔で話し掛ける。

「姫は義高様の許婚です。義高様にも小太郎殿にも笑顔でいて欲しいです。だから姫はいつも笑顔でいます。」

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見ながら話し掛ける。

「私の事まで気を遣って頂いてありがとうございます。」

大姫は海野小太郎幸氏に笑顔で話し掛ける。

「義高様は小太郎殿をとても信頼しています。頼りにしています。だから姫も小太郎殿を信頼しています。頼りにしています。」

海野小太郎幸氏は大姫を見ながら微笑んで話し掛ける。

「ありがとうございます。」

大姫は海野小太郎幸氏を笑顔で見ている。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し掛ける。

「大姫様。外に長く居ると寒いですね。風邪をひいたら義高様が心配します。早く戻りましょう。」

大姫は海野小太郎幸氏を見ながら笑顔で話し出す。

「はい。部屋に戻ります。」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し掛ける。

「大姫様。お休みなさいませ。」

大姫は海野小太郎幸氏を見ながら微笑んで話し掛ける。

「小太郎殿。お休みなさい。」

二人はそろって礼をした。

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見ている。

大姫は海野小太郎幸氏を笑顔で見ていたが、そのまま部屋へと入っていった。


海野小太郎幸氏は源義高の部屋へとやってきた。

源義高は海野小太郎幸氏を見ると微笑んで話し掛ける。

「小太郎。待っていた。庭に出よう。」

海野小太郎幸氏は微笑んで源義高を見ると頷いた。


源義高と海野小太郎幸氏の二人は夜空を見上げている。

源義高が夜空を見上げながら海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「星が綺麗だな。」

海野小太郎幸氏は夜空を見上げながら頷いた。

源義高は夜空を見上げながら海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「父上にいろいろと伝えたい事がある。父上は俺と同じく夜空を見ているだろうか? この夜空の星の光が、俺の想いを父上に伝えてくれるだろうか?」

海野小太郎幸氏は源義高を心配そうに見た。

源義高は海野小太郎幸氏を苦笑した表情で見ながら話し掛ける。

「小太郎。ごめん。変な事を言ってしまった。」

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見ると、ゆっくりと首を横に振った。

源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見ながら話し掛ける。

「そろそろ部屋に戻ろうか。」

海野小太郎幸氏は源義高を見ると微笑んで頷いた。

源義高は海野小太郎幸氏を見ながら微笑んで話し掛ける。

「小太郎。今夜はありがとう。」

海野小太郎幸氏は源義高を見ながら微笑んで話し掛ける。

「義高様。お休みなさいませ。」

源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見ながら話し掛ける。

「小太郎。お休み。」

海野小太郎幸氏は源義高を見ると軽く礼をした。

源義高は海野小太郎幸氏を微笑んでみると、そのまま部屋へと入っていった。


海野小太郎幸氏は源義高が部屋に入ったのを確認した。

夜空には星が綺麗に輝いている。

海野小太郎幸氏は祈るような表情で夜空を黙って見上げた。


すると、切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様。あの時の義高様はどんなお気持ちでいたのですか・・・?」

「辛かったですか・・・?」

「寂しかったですか・・・?」

「あの時の私は何も知りませんでした・・・」

「義高様。ごめんなさい・・・」

「夜空の星に今の想いを伝えたら、義高様に届けてくれるのでしょうか・・・?」

「義高様にお話ししたい事がたくさんあります・・・」

「義高様とお話しがしたいな・・・」

「ねぇ、義高様・・・」




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語時間設定についての話しです。

源義高の父親である源義仲ですが、源義高を鎌倉に置いたまま京に上洛をしました。

源頼朝をはじめとする鎌倉側は、この事についてはいろいろと思っていた事がありました。

源義仲は、京でのしきたり、軍の統率など、いろいろな事がうまくいかない事などもあって、京での評判は悪かったそうです。

そんななか、寿永三年(1184年)の正月十日に征夷大将軍となります。

ただ、その時には、源義経などが京へと向かっていました。

源義仲は、正月二十日に討たれて亡くなります。

とても短い期間の征夷大将軍でした。

この物語は、まだ源義仲が征夷大将軍であり、討たれていない時期の物語として書きました。

源義高のもとには、源義仲についてのいろいろな話しが届いていたと思います。

海野小太郎幸氏も、もちろんその話しを知っていたと思います。

大姫は、何も知らなかった、または、話しの意味がわかっていなかったと思います。

ただ、大姫も何か不思議な様子を感じていたのかなと思いました。

源義高にとって不安定な生活が始まる時期の物語です。

「睦月」ですが「むつき」と読みます。

陰暦正月の異称です。

「睦」という字ですが、他の字と一緒に使われます。

「親しい。」という意味です。

「睦まじい。」もこの字を使います。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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