鎌倉夢語り　〜　大姫と源義高　編　〜


〜　春の苑　春の日差しが降り注ぐ　〜


今は春。

いろいろな花が咲き始めている。

源義高の父である源義仲が、源義経らに討たれてから数ヶ月ほどの時が経とうとしている。

源義高が鎌倉に着いてからは、もう直ぐ一年が経とうとしている。


ここは、源義高の部屋のなか。

源義高は海野小太郎幸氏に浮かない表情で話し出す。

「小太郎。何かやりたい事でもあるか？」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「私が稽古の相手でよろしければ、弓の稽古というのはどうでしょうか？」

源義高は浮かない表情で海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「弓の稽古は小御所でやるだろ。小御所に居ても落ち着かない事が多いんだ。違う事がしたいな。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「では、桃の花などを見に出掛けるというのは、どうでしょうか？」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「そうだね。桃の花でも見に出掛けようか。」

海野小太郎幸氏は源義高に確認するように話し掛ける。

「大姫様にお話しをしないといけませんね。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「そうだな。声を掛けないとうるさいから、話しをしておこうか。」

海野小太郎幸氏は源義高に苦笑しながら話し掛ける。

「では、私が大姫様の所に行ってお話しをしてきます。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「小太郎。頼む。」

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見ながら頷くと、部屋を出て行った。


それから少し後の事。

海野小太郎幸氏が一人で部屋に戻ってきた。

源義高は不思議そうに海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「大姫は？」

海野小太郎幸氏は源義高に普通に話し掛ける。

「大姫様は侍女の方達と遊んでいました。」

源義高は海野小太郎幸氏に不思議そうに話し掛ける。

「今までも大姫が遊んで居る時に声を掛けただろ。そうしたら、嬉しがって遊びを止めて着いてきただろ。」

海野小太郎幸氏は源義高に、言いにくそうに話し掛ける。

「大姫様の楽しそうな表情を見ていましたら、なぜか声が掛けられなくなりました。」

源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し掛ける。

「大姫のところに行く。一緒に付いてきてくれ。」

海野小太郎幸氏は源義高に、申し訳なさそうに話し掛ける。

「申し訳ありません。」

源義高は微笑んで海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「小太郎が気にする事じゃないだろ。」

海野小太郎幸氏は源義高を申し訳なさそうに見ている。

源義高は微笑んで海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「小太郎が声を掛けにくいんだろ。大姫は楽しそうにしているんだろうな。」

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。

源義高は微笑んで海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「大姫の様子を見に行くだけだよ。一緒に付いてきてくれるよね。」

海野小太郎幸氏は源義高に軽く礼をした。

二人は一緒に部屋を出て行った。


源義高と海野小太郎幸氏は、大姫が遊んでいる庭の近くにやってきた。

大姫は人形を抱きながら、笑顔で侍女と花を見ながら話しをしている。

源義高は大姫の様子を黙って見ている。

海野小太郎幸氏は横に居る源義高を見た。

源義高は寂しさと微笑みが入り混じった表情で、大姫を見ている。

海野小太郎幸氏は源義高の表情をじっと見ている。

源義高は海野小太郎幸氏を見ると微笑んで話し出す。

「小太郎。ありがとう。一緒に出掛けよう。」

海野小太郎幸氏は源義高を見ながら微笑んで頷いた。

源義高と海野小太郎幸氏は、一緒に庭を後にした。


源義高と海野小太郎幸氏の二人は、桃の花の咲いている場所に来た。

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「やっぱり外はいいね。」

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見ながら頷いた。

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「大姫。楽しそうだったな。」

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見ながら頷いた。

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「真澄と二人で遊んでいる時も、楽しそうにしていたよな。」

海野小太郎幸氏は源義高を見ながら微笑んで頷いた。

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「やっぱり大姫も女の子だよな。」

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見ながら頷いた。

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「俺と一緒だと人形で遊んだり出来ないからな。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「そうですね。でも、大姫様は義高様と一緒に居る時が、一番楽しそうに見えます。」

源義高は海野小太郎幸氏に苦笑しながら話し掛ける。

「でも、俺はその時が一番楽しくない。」

海野小太郎幸氏は源義高に苦笑しながら話し掛ける。

「そうは言っていますが、大姫様とお話しをしている時の義高様は楽しそうですよ。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「大姫と一緒に居る時は、気を遣うから楽しくないよ。鎌倉殿の嫡女だろ。泣かせたりしたら頼朝殿や政子様や怒られるかもしれないだろ。幼いから難しい話しをしてもわからないだろ。それなのに、俺の話しの内容を聞きたがって口を挟むから話しが進まないだろ。外で思い切り遊びたくても幼いし女の子だから気を遣うだろ。それに・・・」

海野小太郎幸氏は源義高の話しを聞きながら、笑いを堪えている。

源義高は不思議そうに海野小太郎幸氏を見た。

海野小太郎幸氏は源義高を見ながら、ずっと笑いを堪えている。

源義高は海野小太郎幸氏に不思議そうに話し掛ける。

「俺は何かおかしな事を言ったかな？」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「義高様のお話しの内容と表情が全く違うので、見ていておかしくなってしまいました。」

源義高は海野小太郎幸氏に不思議そうに話し掛ける。

「俺はどんな表情で話しをしていたんだ？」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「楽しそうな表情でお話しをしていました。」

源義高は海野小太郎幸氏に不思議そうに話し掛ける。

「そうなんだ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「はい。」

源義高は微笑んで桃の花を見ると、海野小太郎幸氏に静かに話し掛ける。

「そうなんだ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「はい。」

源義高は桃の花を微笑んで見ながら、海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「大姫がここの桃の花を見たら喜んだかな。」

海野小太郎幸氏も微笑んで桃の花を見ながら、源義高に話し掛ける。

「はい。大姫様も喜んで義高様と一緒に桃の花を見ていたと思います。」

源義高は海野小太郎幸氏を見ると、微笑んで話し掛ける。

「帰ったら大姫がうるさそうだな。」

海野小太郎幸氏は源義高を見ると、微笑んで話し掛ける。

「そうですね。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「そろそろ戻ろうか。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「はい。」

源義高と海野小太郎幸氏は、桃の花を背に小御所へと戻っていった。


源義高と海野小太郎幸氏は、小御所へと戻ってきた。

大姫が笑顔で人形を抱きながら、源義高と海野小太郎幸氏の帰りを待ちかねた様子で駆け寄ってきた。

源義高は大姫に普通に話し掛ける。

「何かあったのか？」

大姫は人形を抱きながら、源義高に少しだけ強い調子で話し掛ける。

「義高様。酷いです。どうして姫を置いてお出掛けしたのですか？」

源義高は大姫に普通に話し掛ける。

「大姫の侍女に出掛ける話しをしておいただろ。」

大姫は人形を抱きながら、源義高に少しだけ強い調子で話し掛ける。

「でも、姫は聞いていません！」

源義高は大姫に普通に話し掛ける。

「でも、楽しそうに遊んでいたぞ。」

大姫は人形を抱きながら、源義高に少しだけ強い調子で話し掛ける。

「義高様が、きちんとお話しをしてくれたら、姫も一緒にお出掛けしました！」

源義高は大姫に普通に話し掛ける。

「わかった。次は三人で一緒に行こう。」

大姫は人形を抱きながら、源義高を見ながら微笑んで頷いた。

源義高は大姫に普通に話し掛ける。

「小太郎と桃の花を見てきたんだ。綺麗だったよ。」

大姫は人形を抱きながら、源義高に羨ましそうに話し掛ける。

「義高様。羨ましいです。」

源義高は大姫に苦笑しながら話し掛ける。

「ところで、さっきからなんで人形を抱いているんだ？」

大姫は笑顔で源義高に人形を見せながら話し出す。

「義高様は姫が持っている人形を見た事が、ほとんどないですよね！」

源義高は不思議そうに大姫と人形を交互に見ている。

大姫は笑顔で源義高に人形を見せながら話し出す。

「姫の好きな人形です！　義高様にも見て頂きたくて一緒に連れてきました！」

源義高は大姫を困った表情で見ている。

大姫は笑顔で源義高に人形を見せている。

源義高は大姫に微笑んで話し掛ける。

「大姫。大切な人形を見せてくれてありがとう。」

大姫は源義高に笑顔で話し掛ける。

「義高様にも気に入って頂けて嬉しいです！」

源義高は微笑んで大姫を見ている。

大姫は源義高に笑顔で話し掛ける。

「義高様！　桃の花を一緒に見に行く約束を忘れないでくださいね！」

源義高は大姫を微笑んで見ながら頷いた。

大姫は笑顔で部屋へと戻っていった。


源義高と海野小太郎幸氏は、部屋に戻ってきた。

源義高は海野小太郎幸氏に苦笑しながら話し掛ける。

「大姫の返事はあれで良かったのかな？」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「はい。上手に返事をされていたと思います。」

源義高は海野小太郎幸氏に苦笑しながら話し掛ける。

「人形が大切なのはわかるんだ。でも、綺麗と言った方が良いのか、可愛いと言った良いのか、わからなくて困ったよ。」

海野小太郎幸氏も源義高に苦笑しながら話し掛ける。

「私もどちらの返事が良いのかわからなくて、困ってしまいました。」

源義高は海野小太郎幸氏に苦笑しながら話し掛ける。

「大姫って、大きくなったなと思う時と、子供だなと思う時がある。」

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見ながら頷いた。


今日は、大姫と源義高が桃の花を一緒に見ると約束をした日。

大姫、源義高、海野小太郎幸氏の三人は、桃の花が咲いている場所に来ている。

大姫は嬉しそうに桃の花を見ている。

源義高と海野小太郎幸氏は、大姫から少しだけ離れている場所に居る。

大姫は嬉しそうに桃の花を見ている。

源義高と海野小太郎幸氏は、微笑んで大姫の様子を見ている。

源義高は微笑んで大姫を見ながら、海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「大姫って、大きくなったなと思う時と、子供だなと思う時がある。」

海野小太郎幸氏は微笑んで大姫を見ながら、源義高に話し掛ける。

「そうですね。」

源義高は大姫を微笑んで見ながら、海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「大人になった大姫は、どんな姿になっているのかな？」

海野小太郎幸氏は源義高を見ると、微笑んで話し出す。

「いずれ見る事が出来ます。今から想像しなくても良いのではないでしょうか？」

源義高は海野小太郎幸氏を見ると、微笑んで話し出す。

「それもそうだな。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「そうですよ。」

大姫が笑顔で源義高と海野小太郎幸氏のもとに戻ってきた。

源義高と海野小太郎幸氏は、微笑んで大姫を見た。

大姫は源義高に不思議そうに話し掛ける。

「義高様。小太郎殿と二人で何を話していたのですか？」

源義高は大姫に微笑んで話し掛ける。

「ひ、み、つ。」

大姫は源義高に少し強い調子で話し掛ける。

「義高様！　姫は子供ではありません！　義高様の許婚です！　大人です！」

源義高は大姫に笑顔で話し掛ける。

「だ、か、ら、そ、う、い、う、と、こ、ろ、が、こ、ど、も、なんだよ。」

大姫は何かを言いたげに源義高を見ている。

源義高はおかしそうに大姫を見ている。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「義高様。大姫様。そろそろ戻りませんか？」

源義高は海野小太郎幸氏を見ると微笑んで頷いた。

大姫は源義高に笑顔で話し掛ける。

「義高様！　姫は大人ですから今回の事は許します！」

源義高は大姫をおかしそうに見ながら話し掛ける。

「あ、り、が、と。」

大姫は笑顔で、源義高と海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「義高様！　小太郎殿！　三人で手を繋いで一緒に帰りましょう！」

源義高と海野小太郎幸氏は、微笑んで大姫を見ながら頷いた。

大姫、源義高、海野小太郎幸氏は、手を繋いで桃の花を背に小御所へと戻っていった。


すると、切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様。私の事をいつも子供って言っていましたよね・・・」

「今思うと確かに子供だったと思います・・・」

「だって、義高様のお気持ちがわからなかったから・・・」

「今なら少しはわかるような気がします・・・」

「ねぇ、義高様。今なら子供って言いませんよね・・・」

「ねぇ、義高様。逢いたいな・・・」

「ねぇ、義高様。お話しがしたいな・・・」

「ねぇ、義高様・・・」




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ここからは後書きになります。

この物語の時間設定は、源義高が鎌倉に着てから、もう少しすると一年になる頃を想定して考えました。

源義高が、鎌倉を脱出してから殺害される一ヶ月から一ヵ月半ほど前の出来事を、想定して書きました。

大姫が人形で遊んでいる場面が出てきます。

物語上では、「人形」と言っています。

ただし、当時は「人形」という言い方をしていないと思います。

「ひいな」と呼んでいたと思います。

物語のなかで、「ひいな」を使うとわかりにくそうだったので、「人形」としました。

後は、「真澄」ですが、この「鎌倉夢語り」のなかでは、「河越重頼の娘」の事を言っています。

源義経の正室なのですが、名前のわからない人です。

そのため、「鎌倉夢語り」のなかに登場する事になった時に、私が「真澄」と名前をつけました。

一年経って少しずつ成長している三人です。

しかし、少しずつ不穏な足音が聞こえてきています。

そんななか、希望を持って生活をしている源義高と海野小太郎幸氏の二人です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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