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〜 雪月花 戦国恋語り 信玄の娘 松姫 編 〜


〜 文紡ぎ 大呂 冬ぞさびしさまさりける 〜


登場人物

松姫[武田信玄の五女]、織田信忠(幼名:奇妙丸)[織田信長の嫡男](文だけの登場)、

菊姫[武田信玄の四女]、



「山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば」

「小倉百人一首 第二十八番」、及び、「古今集」、より

作者:源宗于朝臣(みなもとのむねゆきあそん)



松姫と奇妙丸の縁談が調ってから、七十四の月になっている。

暦は十二月になっている。



季節は晩冬になる。



今年の四月、菊姫と松姫の父の武田信玄が亡くなった。

武田信玄の遺言により、武田信玄の死は三年隠すと決まった。

様々な思惑が複雑に絡まる中の晩冬になる。



ここは、甲斐の国。



一日を通して寒さを感じる日が続くようになった。



草原。



時折、寒さを感じる風が吹く。



菊姫は真剣な表情で馬を駆けている。

松姫も真剣な表情で馬を駆けている。



菊姫は馬を真剣な表情で止めた。

松姫も馬を真剣な表情で止めた。



菊姫は馬に乗り、松姫を微笑んで見た。

松姫も馬に乗り、菊姫を微笑んで見た。

菊姫は馬に乗り、松姫に微笑んで話し出す。

「お松。神様の誕生日の夜にお願い事をするの?」

松姫は馬に乗り、菊姫に微笑んで話し出す。

「はい。」

菊姫は馬に乗り、松姫に微笑んで話し出す。

「私もお松と一緒に、夜空を見ながらお願い事したいわ。」

松姫は馬に乗り、菊姫に微笑んで話し出す。

「はい。」

菊姫は馬に乗り、松姫を微笑んで見た。

松姫も馬に乗り、菊姫を微笑んで見た。



寒さを感じる風が吹いた。



菊姫は馬に乗り、松姫に微笑んで話し出す。

「馬を駆ける間は、寒さが気にならないけれど、馬を止めると、寒さが気になるわね。」

松姫は馬に乗り、菊姫に微笑んで話し出す。

「はい。」

菊姫は馬に乗り、松姫に微笑んで話し出す。

「木々の様子。草の様子。寒さを感じる風。冬を実感するわね。」

松姫は馬に乗り、菊姫に微笑んで話し出す。

「はい。」

菊姫は馬に乗り、松姫に微笑んで話し出す。

「お松。良い機会だから、歌の勉強をしましょう。冬を詠んだ歌を一首だけ教えて。」

松姫は馬に乗り、辺りを微笑んで見た。

菊姫は馬に乗り、松姫を微笑んで見た。

松姫は馬に乗り、菊姫を見ると、菊姫に微笑んで話し出す。

「“山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば”」

菊姫は馬に乗り、松姫に微笑んで話し出す。

「冬になると、寒さを感じる。冬になると、外で見る人の姿が減る。冬になると、寂しい想いが増える。歌の内容に繋がるわね。」

松姫は馬に乗り、菊姫に微笑んで話し出す。

「はい。」

菊姫は馬に乗り、松姫に微笑んで話し出す。

「お松の傍には、私が居るわ。安心して。」

松姫は馬に乗り、菊姫に微笑んで話し出す。

「はい。」

菊姫は馬に乗り、松姫を微笑んで見た。

松姫も馬に乗り、菊姫を微笑んで見た。



暫く後の事。



ここは、菊姫と松姫の住む屋敷。



菊姫の部屋。



菊姫は微笑んで居る。

松姫も微笑んで居る。



菊姫は松姫に微笑んで話し出す。

「屋外は寒いけれど、屋内も寒さを感じるわね。」

松姫は菊姫に微笑んで話し出す。

「壁や屋根や障子が、寒さから守ってくれます。姉上が傍に居るので、寒さから守ってくれます。」

菊姫は松姫を微笑んで見た。

松姫も菊姫を微笑んで見た。

菊姫は松姫に微笑んで話し出す。

「嬉しくて返事を忘れてしまったわ。私もお松と同じ気持ちよ。」

松姫は菊姫を微笑んで見た。

菊姫も松姫を微笑んで見た。



幾日か後の事。



ここは、松姫の乳母の家。



一室。



商品が広げてある。



菊姫は微笑んで居る。

松姫も微笑んで居る。

商人は普通に居る。



菊姫は松姫に微笑んで話し出す。

「お松。素敵な商品がたくさんあるわね。」

松姫は菊姫に微笑んで話し出す。

「はい。」

菊姫は商人に微笑んで頷いた。

商人は菊姫と松姫に普通の表情で軽く礼をした。

松姫は商人を微笑んで見た。

菊姫は松姫と商人を微笑んで見た。

商人は懐から小さい紙を取り出すと、松姫に普通に渡した。

松姫は商人から小さい紙を微笑んで受け取った。

菊姫は松姫を微笑んで見た。

松姫は小さい紙を持ち、紙を丁寧に広げた。

菊姫は松姫を微笑んで見た。



紙には、織田信忠の筆跡で歌が書いてある。



「山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば」



松姫は小さい紙を持ち、商人を微笑んで見た。

菊姫は商人を微笑んで見た。

商人は菊姫と松姫に普通の表情で小さい声で話し出す。

「警戒は今も強いです。奇妙殿が頼んだ状況を信じて頂くために、奇妙殿が自筆で歌を書きました。奇妙殿から伝言を預かっています。」

松姫は小さい紙を持ち、商人に微笑んで小さい声で話し出す。

「伝言を教えてください。お願いします。」

商人は松姫に普通の表情で静かに話し出す。

「お松。一年の終わりの月になった。寒さを感じる頃だと思う。元気で過ごしているだろうか。西洋の神様の誕生日の夜に、夜空を見ながら、お松の無事を願った。今回の歌は、外に居る時に、辺りの様子を見て、思い出した。今回の歌を思い出した直後に、お松を思い出した。お松が一人で寂しく過ごしていないか心配になった。寂しく感じる歌だが、お松を思い出した歌だから、文に書いた。私は元気に過ごしている。私は大丈夫だ。寒さを感じる日が続くと思う。寒さに気を付けて過ごしてくれ。来年は、二人にとって良い一年になるように願う。」

松姫は文を持ち、商人微笑んで小さい声で話し出す。

「長い伝言です。覚える行為は大変ですよね。ありがとうございます。」

菊姫は商人に微笑んで小さい声で話し出す。

「凄い記憶力です。何時も感心しています。」

商人は菊姫と松姫に普通の表情で小さい声で話し出す。

「奇妙様からはたくさんの恩を受けています。私に出来る内容で感謝の気持ちを伝えています。」

菊姫は商人を微笑んで見た。

松姫も商人を微笑んで見た。

商人は松姫と菊姫に普通の表情で軽く礼をした。

松姫は文を持ち、商人に微笑んで小さい声で話し出す。

「私からの返事を奇妙様に伝えてください。願いします。」

商人は松姫に普通の表情で軽く礼をした。

松姫は文を持ち、商人に微笑んで小さい声で話し出す。

「元気に過ごされているのですね。安心しました。私は元気に過ごしています。安心してください。私も、西洋の神様の誕生日の夜に、夜空を見ながら、奇妙様の無事をお願いしました。私は姉上と馬で駆けて少し経った後に、姉上と私で、冬を詠んだ歌について話しました。私も奇妙様から頂いた歌を思い出しました。奇妙様の想いと私の想いの重なる出来事が続きます。とても嬉しいです。体調に気を付けてお過ごしください。命を大切にお過ごしください。来年は、二人にとって良い一年になるように願います。」

商人はお松に普通の表情で軽く礼をした。

松姫は文を持ち、菊姫と商人を微笑んで見た。

菊姫は商品を持つと、商人に微笑んで話し出す。

「素敵な商品ね。購入するわ。」

商人は菊姫に普通の表情で軽く礼をした。

松姫は文を懐に微笑んで仕舞った。

菊姫は商品を持ち、松姫を微笑んで見た。

松姫は商品を持つと、商人に微笑んで話し出す。

「素敵な商品です。購入します。お願いします。」

商人は松姫に普通の表情で軽く礼をした。

菊姫は商品を持ち、松姫と商人を微笑んで見た。

松姫も商品を持ち、菊姫と商人を微笑んで見た。

商人は菊姫と松姫に普通の表情で軽く礼をした。



翌日の事。



ここは、躑躅ヶ崎館。



一室の中から、一人の男性の声と菊姫の声が聞こえる。

「お菊。報告は終わりか?」

「はい。」

「今後も報告を頼む。」

「はい。」



少し後の事。



ここは、菊姫と松姫の住む屋敷。



松姫の部屋。



松姫は不安な様子で居る。



菊姫が部屋の中に微笑んで入ってきた。



松姫は菊姫を不安な様子で見た。

菊姫は松姫を抱くと、松姫に微笑んで囁いた。

「お松。無難な内容で報告したわ。大丈夫。安心して。」

松姫は菊姫に不安な様子で囁いた。

「姉上。迷惑を掛けます。申し訳ありません。」

菊姫は松姫を抱いて、松姫に微笑んで囁いた。

「私はお松の姉よ。迷惑に思わないで。安心して。」

松姫は菊姫に微笑んで囁いた。

「姉上。ありがとうございます。」

菊姫は松姫を抱いて、松姫に微笑んで頷いた。

松姫は菊姫を微笑んで見た。



「山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば」

季節は冬になっている。

寒さを感じる日が続く。

様々な思惑の絡まる状況は、変わらずに続く。

松姫と織田信忠は、想いを紡ぎながら過ごしている。

一年の終わる月から一年の新しい月へ移り変わろうとしている。

時は様々な出来事の中でも変わらずに過ぎていく。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語に登場する歌は、「小倉百人一首 第二十八番」、及び、「古今集」

「山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば」

ひらがなの読み方は「やまさとは ふゆぞさびしさ まさりける ひとめもくさも かれぬとおもへば」

作者は「源宗于朝臣(みなもとのむねゆきあそん)」

歌の意味は「山里は冬は特に寂しさまさるものですね。人も訪ねてこなくなり、草も枯れてしまうと思うと。」となるそうです。

「山里(やまさと)」は、「山間の村里。山間に在る人里。山郷の別荘。」をいいます。

貴族の人達は、「山里」を「京近郊に在る景勝地に富んだ別荘・山荘」という意味で使う事が多いそうです。

「かれぬ」は、「離れぬ(かれぬ)」(人目が途絶えてしまう)、「枯れぬ」(草が枯れてしまう)、の掛詞です。

「源宗于朝臣(みなもとのむねゆきあそん)」についてです。

「源宗于(みなもとのむねゆき)」が氏名です。

生年未詳です。

没年は、天慶二年(939年)です。

「三十六歌仙」の一人です。

光孝天皇の孫です。

武田家についての補足です。

油川夫人は、元亀二年(1571年)(※月日は不明)に亡くなったそうです。

武田信玄は、元亀四年四月十二日(1573年5月13日)に信濃の駒場で亡くなります。

享年は、五十三歳と伝わっています。

武田信玄の死因は、肺結核、胃癌、食道癌、などの説が有力です。

武田信玄の他の死因には、武田信玄は敵が籠城中の野田城から聞こえる笛の音に惹かれて本陣から出て行き、本陣の外に居る時に鉄砲で撃たれて、その傷がもとで亡くなる、があります。(掲載日現在は、この説は俗説として考えられています。)

更に武田信玄の他の死因には、織田家の毒殺、もあります。(掲載日現在は、この説も俗説として考えられています。)

武田信玄は、武田勝頼と重臣に遺言を残したと伝わっています。

三つの遺言の内容が広く知られています。

800枚の白紙に武田信玄の花押を書いたから返礼などの時に使うように。

武田信玄の死を三年隠すように。

三年後に、武田信玄の死体に甲冑を着せて諏訪湖に沈めるように。

遺言の内容が事実だとすると、武田信玄は以前から亡くなる事を分かっていて、甲斐の国を守るために前から考えていた事が分かります。

武田信玄の葬儀は、天正四年(1576年)四月に行われたそうです。

武田信玄の死が三年隠せたかについてですが、三年より前に人数等は不明ですが、気付かれた形跡があるようです。

当時は忍者などを使った情報戦が激しかった事があり、武田信玄の死が知られてしまった可能性はあります。

後の出来事になりますが、松姫は織田信忠と婚約している経過などから、辛い立場になっていったようです。

天正元年(1573年)の秋に、武田盛信が松姫を引き取って暮らすようになります。

「雪月花 戦国恋語り 信玄の娘 松姫 編」では、物語の展開から、秋より後の季節では、武田盛信が松姫を引き取って暮らす設定にします。

ご了承ください。

松姫と織田信忠の縁談が、破談なのか、続いているのか、分からなくなってしまった理由の一つに、「西上作戦(さいじょうさくせん)」があります。

西上作戦は、甲斐武田家が、元亀三年(1572年)九月から元亀四年(1573年)四月に掛けて行った遠征をいいます。

西上作戦は、武田信玄の体調と武田信玄の死によって終わった状況になります。

武田軍の関連についてです。

天正元年(1573年)十二月の動きです。

大きな動きはありません。

翌月の出来事になりますが、簡単に書きます。

翌月、天正二年(1574年)一月から二月、明智城を攻略します。

織田信長と織田信忠は、明知城を助けるために、明知城の西方の城に三万の兵を率いて布陣します。

織田家関連について簡単に説明します。

織田信忠(幼名“奇妙丸”)の元服は、元亀三年(1572年)と伝わっています。

織田信忠は、実弟の「茶筅丸(ちゃせんまる)(織田信雄[おだのぶかつ])」、実弟の「三七丸(神戸三七郎信孝[かんべさんしちろうのぶたか]、織田信孝[おだのぶたか])」、と共に元服したと伝わっています。

元亀三年(1572年)一月に元服した説があります。

織田信忠が元服時に改名した名前は「織田勘九郎信重(おだかんくろうのぶしげ)」です。

「織田信忠」と改名するのは後の出来事になりますが、名前が幾度も変わると分かり難くなるため、元服後の名前は「織田信忠」で統一します。

ご了承ください。

織田信忠の初陣は、元亀三年(1572年)と伝わっています。

織田信忠の「具足初め(ぐそくはじめ)の儀」が、元亀三年七月十九日(1572年8月27日)に執り行われたと伝わっています。

織田信忠の初陣は、元亀三年七月十九日(1572年8月27日)、または、直ぐ後の日付になるようです。

織田信忠の初陣の相手は「北近江」の「浅井家」の「浅井長政」です。

浅井長政の継室は、織田信長の妹の「お市の方」です。

織田信忠の初陣の相手は、父親(織田信長)の妹(お市の方)の嫁ぎ先になります。

織田信忠にとって、初陣の次の大きな戦は、元亀三年(1572年)十二月頃の遠江の二俣城の戦いや三方ヶ原の戦いになります。

天正元年(1573年)十二月の織田家の動きを簡単に説明します。

天正元年十二月十六日(1573年12月29日)、京都を出立して岐阜に戻ります。

暦についての補足です。

「元亀四年七月二十八日(1573年8月25日)」に、「天正元年(1573)」に改元しました。

物語の設定時期は、陰暦です。

現在の暦の「12月25日」を、天正元年(1573年)の暦に当てはめると「十二月二日」です。

この物語についての補足です。

松姫と織田信忠が逢う場面が小説などに登場します。

松姫と織田信忠が逢った可能性のある記録があるそうです。

その記録を基にして、松姫と織田信忠が逢う場面が登場していると思います。

松姫と織田信忠が、七月に逢う場面を書きたいと思ったので、七月に逢う話が登場します。

以上、ご了承ください。

「聖誕祭(せいたんさい)」についてです。

「クリスマス。」です。

冬の季語です。

「聖夜(せいや)」についてです。

「クリスマスの前夜。12月24日の夜。クリスマス・イブ。」です。

冬の季語です。

「晩冬(ばんとう)」についてです。

「冬の終わり(←冬の季語)」、「陰暦十二月の異称」、です。

「大呂」についてです。

「たいりょ」、または、「たいろ」、と読みます。

「中国音楽の十二律の一。基音の黄鐘(こうしょう)より一律高い音。日本の十二律の断金(たんぎん)にあたる。」、「陰暦十二月の異称」、です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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