このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 春宵の夢物語 桃の花のみ咲きてならざらめやも 〜


「はしきやし 吾家の毛桃 本しげみ 花のみ咲きて ならざらめやも」

「万葉集 第七巻 一三五八番」より

作者:詠み人知らず



桃の花が咲いている。

沖田総司と少女は桃の花を見ている。

少女は桃の花を微笑んで見ている。

沖田総司は少女の様子を微笑んで見ている。

少女は微笑んで沖田総司に話し掛ける。

「総司さん。桃の花が綺麗に咲いていますね。」

沖田総司は微笑んで少女を見ながら頷いた。

少女は微笑んで沖田総司に話し掛ける。

「もうすぐ桃の節句ですね。」

沖田総司は微笑んで少女に話し掛ける。

「そうだね。鈴ちゃんは自分の雛人形を持っているんだよね。」

少女は微笑んで沖田総司に話し掛ける。

「はい。持っています。」

沖田総司は微笑んで少女に話し掛ける。

「鈴ちゃんの持っている雛人形は、とても可愛いんだろうな。」

少女は微笑んで沖田総司に話し掛ける。

「綺麗な雛人形です。総司さんにも見て頂きたいです。」

沖田総司は少し寂しそうな表情で少女に出す。

「鈴ちゃんの雛人形を見てみたいな。でも、桃の節句の日は鈴ちゃんと会えないよね。寂しいな。」

少女も寂しそうな表情で沖田総司に話し出す。

「桃の節句の日は会えないですよね。」

沖田総司は少女を寂しそうに見ている。

少女は寂しそうな表情で沖田総司に話し掛ける。

「総司さん。雛祭りが終わったら会えると思います。でも、会ったとしても長い時間は無理ですよね。」

沖田総司は寂しそうに少女の話しを聞いている。

少女は寂しそうな表情で沖田総司に話し掛ける。

「総司さんに逢いたいです。少しだけでもいいから総司さんに逢いたいです。」

沖田総司は少女の話を聞きながら、少しずつ顔が赤くなりはじめた。

少女は寂しそうな表情のまま、考え込んでいる。

沖田総司は少しだけ顔を赤くしながら、少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。桃の節句の日に無理して会うのは止めよう。別な日にゆっくりと会おうよ。」

少女は寂しそうに沖田総司を見ている。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃんは雛祭りを楽しんでね。」

少女は寂しそうに沖田総司を見ている。

沖田総司は微笑んで少女に話し掛ける。

「年に一度の大切な節句だよ。楽しまないと。ねっ、鈴ちゃん。」

少女は微笑んで沖田総司を見ながら頷いた。

沖田総司は再び少しだけ顔を赤くすると、桃の花と少女を見ながら話し出す。

「鈴ちゃん。桃の花が綺麗だよね。」

少女は微笑んで沖田総司を見ながら頷いた。

沖田総司は少しだけ顔を赤くして少女を見ている。

少女は心配そうに沖田総司に話し掛ける。

「総司さん。お顔が赤いです。大丈夫ですか?」

沖田総司は顔を赤くしながら少女に話し掛ける。

「鈴ちゃんが、可愛いなと思って。」

少女は微笑んで沖田総司に話し掛ける。

「着物が可愛いですか? ありがとうございます。総司さんに褒めて頂けて嬉しいです。次に会う時も褒めて頂けるような着物を選びます。」

沖田総司は顔を赤くしながら少女に話し掛ける。

「鈴ちゃん。違うんだ。可愛いのは違うんだ。」

少女は残念そうに沖田総司に話し掛ける。

「そうですか。着物の柄の話しではなかったのですね。」

沖田総司は顔を赤くしながら、困った様子で少女に話し出す。

「違うんだ。着物も可愛いよ。でも、もっと可愛いのは違うんだ。」

少女は不思議そうに沖田総司を見ている。

沖田総司は顔を真っ赤にしながら、下を向いて少女に話し出す。

「可愛いのは、す・・・」

少女は黙ってしまった沖田総司を、不思議そうに見ている。

沖田総司は顔を真っ赤にしながら、下を向いて少女に話し出す。

「だから、可愛いのは、す・・・」

少女は黙ってしまった沖田総司を、不思議そうに見ている。

沖田総司は顔を真っ赤にしたまま、顔を上げて少女を見た。

少女は心配そうに沖田総司に話し掛ける。

「総司さん。お顔が赤いです。大丈夫ですか?」

沖田総司は顔を真っ赤にしながら、少女を見て頷いた。

少女は心配そうに沖田総司に話し掛ける。

「少しお休みしますか?」

沖田総司は顔を真っ赤にしながら、少女を見て頷いた。

沖田総司と少女は桃の花を背にして歩き出した。



沖田総司と少女は木の下にやってきた。

少女は心配そうに沖田総司に話し掛ける。

「総司さん。お顔が赤いままです。お体の調子は大丈夫ですか?」

沖田総司は顔を赤くしたまま少女に話し掛ける。

「大丈夫だよ。」

少女は心配そうに沖田総司を見ている。

沖田総司は顔を赤くしたまま、少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。私は大丈夫だよ。」

少女は心配そうに沖田総司を見ている。

沖田総司顔は赤くしたまま、困った様子で少女に話し掛ける。

「さっきから大丈夫だと何度も言っているだろ。鈴ちゃんは心配しなくてもいいよ。」

少女は申し訳なさそうに下を向くと、沖田総司に小さい声で話し出す。

「すいません。」


沖田総司は顔を赤くしながら、慌てて少女に話し掛ける。

「鈴ちゃん。謝らないで。私の言い方が悪くて嫌な思いをしたよね。ごめんね。」

少女は下を向いたまま、申し訳なさそうに黙っている。

沖田総司は心配そうに少女に話し掛ける。

「鈴ちゃん。心配をしてくれてありがとう。」

少女は下を向いたまま、沖田総司に申し訳なさそうに話し掛ける。

「総司さんはお仕事が忙しいのに、私に気を遣ってくれます。私は総司さんに迷惑を掛けてばかりいます。私が心配しても意味がないですね。総司さんの言うとおりです。」

沖田総司は心配そうに少女を見ながら話し掛ける。

「鈴ちゃん。私の心配をしてくれてありがとう。嬉しいよ。」

少女は下を向いたまま、沖田総司に心配そうに話し出す。

「私は総司さんに迷惑ばかり掛けています。すいません。」

沖田総司は少女を心配そうに抱き寄せた。

少女は少し驚いた様子で沖田総司の腕の中に居る。

沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し掛ける。

「私の言い方が悪くて、鈴ちゃんに悲しい思いをさせてしまったね。」

少女は沖田総司の腕の中で小さく首を横に振った。

沖田総司は少女を抱きながら、悲しそうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。ごめんね。」

少女は沖田総司の腕の中で小さく頷いた。

沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。私は大丈夫だよ。心配をしてくれてありがとう。」

少女は沖田総司の腕の中で安心した表情で話し出す。

「安心しました。」

沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し掛ける。

「桃の花を見に行こうか。」

少女は沖田総司の腕の中で微笑んで話し掛ける。

「ここで総司さんとお話ししたいです。」

沖田総司は少女をゆっくりと離すと、微笑んで話し掛ける。

「私の事は気にしなくても大丈夫だよ。」

少女は微笑んで沖田総司に話し掛ける。

「私はここで座りながら、総司さんとお話ししたいです。」

沖田総司は微笑んで少女に話し掛ける。

「もう少しだけここで話しをしようか。」

少女は微笑んで沖田総司を見ながら頷いた。

沖田総司と少女は、桃の花から少しだけ離れている場所で、楽しそうに話しを始めた。



そんな出来事があった日から、何日かが過ぎた。

今日は桃の節句。

沖田総司と少女は無理をして会うのは止めた。

少女は自分の雛人形の前で、雛祭りをしている。

楽しそうに雛祭りをしているが、時折寂しそうな表情をする事がある。

しかし、周りの人達は気が付いていない。

沖田総司は京の町を守るために、真剣な表情で仕事をしている。

二人にとっても桃の節句は、普段の日とほとんど変わらずに過ぎていく。



夜になった。

今夜は星も綺麗に輝いている。

沖田総司は夜空を見上げながら呟いた。

「鈴ちゃんは桃の節句を楽しんだかな?」

星はいつもより綺麗に輝いている。

沖田総司は部屋に戻ると床に着いた。



沖田総司は床に着いてぐっすりと寝ている。

不思議な気配を感じながら、少しずつ目が覚めていく。

沖田総司はゆっくりと目を開けた。

少女が沖田総司の顔を覆うようにして笑顔で見ている。

沖田総司は横になったまま、微笑んで少女を見ている。

少女は沖田総司の顔に笑顔で近づいたまま話し出す。

「総司さん。こんばんは。」

沖田総司は横になったまま、微笑んで少女に話し掛ける。

「夢ちゃん。こんばんは。」

夢と呼ばれた少女は、沖田総司の顔から離れると、微笑んで話し掛ける。

「総司さんは、私が美鈴さんでない事が、直ぐにわかるのですね。」

沖田総司は微笑んで夢に話し掛ける。

「夢ちゃんと鈴ちゃんは、顔は同じだけど雰囲気は違うよ。だから直ぐにわかるんだ。」

夢は微笑んで沖田総司に話し掛ける。

「では、今夜も夜の国へご招待いたします。」

沖田総司は少し顔を赤くしながら、夢に話し掛ける。

「夢ちゃん。出来たら抱き・・・」

夢は沖田総司の話しを最後まで聞く事もなく、笑顔で抱きついた。

沖田総司は夢に抱きつかれると直ぐに顔を赤くした。

夢は沖田総司に抱きつきながら微笑んでいる。

沖田総司は顔を赤くしたまま動きが止まっている。



ここは夜の国。

月が綺麗に輝いている。

沖田総司と夢は心地良い暖かさに包まれている場所に居る。

辺りには桃の花が綺麗に咲いている。

夢は沖田総司に笑顔で抱きついている。

沖田総司は顔を赤くして黙ったまま動きが止まっている。

夢は沖田総司から離れると笑顔で話し掛ける。

「総司さんは本当に恥ずかしがりやですね。」

沖田総司は顔を赤くしたまま、夢を黙って見ている。

夢は笑顔で沖田総司に話し出す。

「私はこれで失礼します。」

沖田総司は夢に慌てて話し出す。

「夢ちゃん。斉藤さんはや鈴ちゃんは来ていないの?」

夢は沖田総司の話しの途中で静かに居なくなった。

沖田総司は辺りを見回しながら呟いた。

「もしかして、斉藤さんも鈴ちゃんも、今夜はこちらには来ないのかな?」

何度も辺りを見回したが、二人の気配は感じない。



少女は心地良い暖かさに包まれている場所に来ている。

辺りには、桃の花が綺麗に色づきながら咲いている。

少女は辺りを心配そうに見回している。

すると、いつも一緒に居たいと願っている人と同じ姿の男性が現れた。

少女は一瞬だけ寂しそうな表情になったが、男性に微笑んで話し掛ける。

「こんばんは。」

男性は微笑んで少女に話し掛ける。

「こんばんは。」

少女は寂しそうに男性に話し掛ける。

「私は総司さんにいつも迷惑を掛けています。」

男性は微笑んで少女に話し掛ける。

「美鈴さんが迷惑を掛けている事はないと思うよ。安心していいよ。」

少女は寂しそうに男性に話し出す。

「この前の事なのですが、総司さんのお顔が赤くなっていました。お体の調子が悪いのかと思って、総司さんに体調の確認をしました。そうしたら、総司さんは私に心配をしなくても良いと言いました。」

男性は微笑んで少女に話し掛ける。

「沖田さんは、美鈴さんに、自分は大丈夫だから心配をしないでいいよ、という意味で言ったと思うよ。」

少女は不安そうに男性を見ながら話し掛ける。

「そうでしょうか?」

男性は少女を微笑んで見ながら頷いた。

少女は男性を微笑んで見ている。

男性は微笑んで少女に話し掛ける。

「美鈴さんが今一番会いたい人も、こちらに来ているよ。早く会いに行った方がいいよ。」

少女は微笑んで男性に話し掛ける。

「ありがとうございます。直ぐに会いに行きます。」

男性は微笑んで少女を見ながら、静かに居なくなった。

少女は辺りを見回していたが、ある方向で視線を止めた。

視線の先には、月の光を受けて淡く光っている桃の花と、人影が見える。

少女は微笑んだ表情になると、ゆっくりと歩き出した。



斉藤一は桃の花の咲いている庭に一人で居る。

夢が斉藤一の背後から微笑んで声を掛けた。

「こんばんは。」

斉藤一は普通に後ろを振り向いた。

夢が微笑んで斉藤一に話し掛ける。

「斉藤さん。今夜も一緒に飲みたいそうです。今出掛けていますが、直ぐに戻って来ます。もし飲みたくなったら、先に始めても良いと言っていました。」

斉藤一は夢を見ながら黙って頷いた。

夢は微笑んで斉藤一に話し掛ける。

「準備は出来ています。もしよろしければ先にどうぞ。」

斉藤一は黙って頷くと、桃の花の見える場所に座った。

夢は斉藤一の横に座った。

斉藤一は自分で酒を注きながら飲み始めた。

夢は斉藤一の隣でお茶を飲みながら、桃の花を見ている。



桃の花は月の光を受けながら綺麗に咲いている。

沖田総司は寂しそうに辺りを見回している。

少女が沖田総司の目の前に静かに現れた。

沖田総司は微笑んで少女を見た。

少女は微笑んで沖田総司に話し掛ける。

「こんばんは。」

沖田総司は微笑んで少女に話し掛ける。

「こんばんは。」

少女は微笑んで沖田総司に話し掛ける。

「桃の花が綺麗ですね。」

沖田総司は微笑んで少女を見ながら頷いた。

少女は沖田総司を微笑んで見ている。

沖田総司は微笑んで少女に話し掛ける。

「一緒に桃の花を見ようか。」

少女は微笑んで沖田総司を見ながら頷いた。

沖田総司は微笑みながら少女に手を差し出した。

少女は微笑んで沖田総司の手を取った。

二人は手を繋ぎながら、桃の花のなかを歩き出した。



ここは夢の家。

斉藤一は酒を飲んでいる。

夢は斉藤一の隣に座ってお茶を飲んでいる。

二人の間に会話はないが、穏やかな雰囲気の宴が続いている。



男性が斉藤一と夢の前に静かに現れた。

夢は微笑んで男性を見た。

斉藤一は酒を飲みながら男性を見た。

男性は微笑んで斉藤一に話し出す。

「こんばんは。遅くなりました。」

斉藤一は男性を見ると黙って首を横に振った。

夢が少し席をずらして座り直した。

男性は夢と斉藤一の間に座ると、自分で酒を注ぎながら飲み始めた。

夢は微笑んで男性に話し掛ける。

「どうでしたか?」

男性は微笑んで夢と斉藤一に話し掛ける。

「美鈴さんと少しだけ話をしました。美鈴さんのいじらしい姿を見ていると、切なくなりました。」

斉藤一は男性を一瞥しながら、黙って酒を飲んでいる。

男性は微笑んで斉藤一に話し掛ける。

「斉藤さんも大変ですね。」

斉藤一は男性を一瞥したが、返事をせずに酒を飲み続けている。

男性は微笑んで斉藤一に話し掛ける。

「大変ではないのですか?」

斉藤一は普通の表情のまま男性に話し出す。

「総司が剣以外で役に立つ事はほとんどない。大変だと思っていたらきりがない。」

男性は苦笑しながら斉藤一を見ている。



月の光を受けてたくさんの桃の花が綺麗に咲いている。

沖田総司と少女は楽しそうに話をしながら歩いている。

沖田総司は微笑んで少女に話し掛ける。

「斉藤さんも夜の国に来ているはずなんだ。斉藤さんを探そうと思うんだ。鈴ちゃんも一緒に探さないか?」

少女は微笑んで沖田総司を見ながら頷いた。

二人は静かに居なくなった。



沖田総司と少女は、今まで訪れた事のない部屋にやってきた。

二人は部屋の中を不思議そうに見回している。

部屋のなかは特別変わった物はない。

少し大きめな部屋の中に二人は居る。

沖田総司は不思議そうに少女に話し掛ける。

「誰かの部屋みたいだね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「総司さん。雛人形があります。私の雛人形にとても良く似ています。」

少女は沖田総司から手を離すと雛人形に近づいた。

沖田総司も雛人形に近づいた。

少女は微笑んで雛人形を見ながら、沖田総司に話し掛ける。

「総司さん。私の雛人形と同じです。」

沖田総司は雛人形を微笑んで見ている。

少女は微笑んで沖田総司に話し掛ける。

「綺麗な雛人形ですよね。」

沖田総司は微笑んで少女を見ながら頷いた。

少女は恥ずかしそうに沖田総司に話し掛ける。

「私もお雛様のようになりたいです。」

沖田総司は微笑んで少女に話し掛ける。

「鈴ちゃんは優しくて可愛いから、素敵なお雛様になれるよ。」

少女は恥ずかしそうに沖田総司を見ている。

沖田総司は微笑んで少女に話し掛ける。

「鈴ちゃんもお雛様のような着物を着たいんだ。」

少女は沖田総司を恥ずかしそうに見ながら頷いた。

沖田総司は微笑んで少女を見ながら話し掛ける。

「鈴ちゃんがお雛様のような着物を着られるのは、いつになるのかな? 早く着られるといいね。」

少女は先程まで笑顔だったが、急に悲しそうな表情になった。

沖田総司は心配そうに少女に話し掛ける。

「鈴ちゃん。大丈夫? 私はまた何か変な事を言ったのかな? ごめんね。」

少女は寂しそうに下を向きながら、沖田総司に話し出す。

「総司さんは何も変な事は言っていません。」

沖田総司は少女を心配そうに抱き寄せた。

少女は沖田総司の腕の中で寂しそうにしている。

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。ごめんね。」

少女は沖田総司の腕の中で、寂しそうに話し出す。

「私がお雛様になれる訳ないですよね。綺麗な着物を着て、総司さんに見て頂く機会がある訳ないですよね。」

沖田総司は少女を心配そうに抱いている。

少女は沖田総司の腕の中で、寂しそうに話し掛ける。

「私にはお雛様の着ているような十二単は似合いません。着る機会もありません。先程の話しは忘れてください。」

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。ごめんね。私はまた鈴ちゃんを悲しませる事を言ってしまったんだね。」

少女は沖田総司の腕の中で、小さく首を横に振った。

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃんは可愛いお雛様にきっとなれるよ。」

少女は沖田総司の腕の中で微笑んで話し掛ける。

「総司さん。気を遣って頂いてありがとうございます。」

沖田総司は少女をゆっくりと離すと、微笑んで話し掛ける。

「斉藤さんを探しに行こう。」

少女は微笑んで沖田総司を見ながら頷いた。

二人は静かに居なくなった。



ここは夢の家。

斉藤一は男性と酒を飲んでいる。

夢は二人の話を聞きながらお茶を飲んでいる。

男性は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「これから私と夢は、少しだけ出掛けます。でも、もう少しすると、この家に斉藤さんの客人が来ます。ここでお酒を飲んでも話しをしてもかまいません。みなさんで楽しんでください。」

斉藤一は男性を見ると黙って頷いた。

夢は斉藤一に包みを渡すと微笑んで話し出す。

「“雛あられ”です。みなさんで食べてください。」

斉藤一は夢から包みを受取ると黙って頷いた。

夢と男性は微笑んで斉藤一を見ながら、静かに居なくなった。



斉藤一は一人で酒を飲んでいる。

沖田総司と少女が静かに現れた。

斉藤一は普通に二人を見ながら話し出す。

「挨拶はいい。早く座れ。」

沖田総司は斉藤一の隣に黙って座った。

少女は沖田総司の隣に座った。

沖田総司は、斉藤一の横に置いてある見掛けないお菓子を、不思議そうに見ている。

斉藤一は沖田総司を見ながら普通に話し掛ける。

「“雛あられ”というそうだ。雛祭りの時に食べる菓子だそうだ。」

沖田総司は雛あられを手に取って食べ始めた。

少女は沖田総司の様子を微笑んで見ている。

沖田総司は雛あられが入っている包みを手に取ると、少女に微笑んで話し掛ける。

「雛あられという菓子はおいしいよ。鈴ちゃんも食べてみて。」

少女は雛あられを手に取って食べた。

沖田総司は少女の様子を微笑んで見ている。

少女は微笑んで沖田総司を見ながら話し出す。

「おいしいです。」

沖田総司は少女を微笑んで見ている。

斉藤一は二人の様子を一瞥しながら酒を飲んでいる。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「斉藤さん。せっかくですから、甘酒を飲みませんか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「甘い酒はいらない。」

沖田総司は笑顔で斉藤一に話し出す。

「斉藤さん。せっかくですから飲みましょう。」

斉藤一は沖田総司を見ながら黙って頷いた。

沖田総司と斉藤一の二人は甘酒を飲み始めた。

少女は微笑んで二人の様子を見ながら、お茶を飲んだり雛あられを食べたりしている。

沖田総司は微笑んで少女に話し掛ける。

「鈴ちゃん。楽しいね。」

少女は微笑んで沖田総司を見ながら頷いた。



それから少し後の事。

少女が微笑んで沖田総司に話し掛ける。

「こちらの家にも雛人形があるそうです。見に行っても良いですか?」

沖田総司は微笑んで少女を見ながら話し掛ける。

「一緒に行くよ。」

少女は微笑んで沖田総司に話し掛ける。

「一人で大丈夫です。総司さんは斉藤さんと一緒にお酒を飲んでいてください。」

沖田総司は斉藤一を一瞥した。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「俺は一人で飲んでいる。二人で一緒に見に行ったらどうだ?」

沖田総司は微笑んで斉藤一を見ながら頷いた。

斉藤一は少女を見ながら普通に話し掛ける。

「美鈴さんも一人で見ても楽しくないだろ。総司と二人で見に行け。」

少女は微笑んで斉藤一を見ながら話し出す。

「お気遣い頂いてありがとうございます。」

沖田総司は微笑んで斉藤一に話し掛ける。

「斉藤さん。鈴ちゃんと雛人形を見てきます。直ぐに戻ってきます。」

斉藤一は沖田総司を見ながら黙って頷いた。

沖田総司と少女は一緒に居なくなった。



沖田総司と少女は雛人形の前に居る。

少女は微笑んで雛人形を見ている。

沖田総司は少女の様子を微笑んで見ている。

少女は微笑んで沖田総司に話し掛ける。

「綺麗な雛人形ですね。」

沖田総司は少女を見ると微笑んで頷いた。

少女は微笑んで雛人形を見ている。

沖田総司は微笑んで少女を見ている。

少女は沖田総司を見ると微笑んで話し出す。

「総司さん。ありがとうございます。」

沖田総司は微笑んで少女を見ながら頷いた。

少女は微笑んで沖田総司に話し掛ける。

「総司さん。戻りましょう。」

沖田総司は不思議そうに少女に話し掛ける。

「もう戻るの?」

少女は微笑んで沖田総司を見ながら話し掛ける。

「斉藤さんが一人で待っています。三人でお話ししたいです。」

沖田総司は微笑んで少女を見ながら頷いた。

沖田総司と少女は斉藤一のもとに戻っていった。



斉藤一は一人で酒を飲んでいる。

沖田総司と少女が戻ってきた。

斉藤一は二人を一瞥すると、一人で酒を注いで飲んだ。

沖田総司は微笑んで斉藤一に話し掛ける。

「戻ってきました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「早かったな。」

沖田総司は微笑んで斉藤一に話し掛ける。

「三人で話しがしたくなったので、早く戻ってきました。」

斉藤一は沖田総司を見ながら、黙って酒を飲んでいる。

少女は斉藤一の隣に座った。

沖田総司は少女の隣に座った。

沖田総司は甘酒を飲みながら雛あられを食べ始めた。

少女はお茶を飲みながら雛あられを食べ始めた。



沖田総司は少女と微笑んで話しをしながら、お茶を飲んでいる。

斉藤一は二人を見ながら黙って酒を飲んでいる。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「斉藤さん。桃の花と月を見ながら酒を飲むというのも、良いものですね。」

斉藤一は沖田総司を見ながら黙って頷いた。

沖田総司は微笑んで見ながら話し出す。

「斉藤さん。桃の花と付きを見ながらお茶を飲むというのも、良いものですよ。」

斉藤一は沖田総司を見ながら酒を飲んでいる。

沖田総司は微笑んで斉藤一に話し掛ける。

「鈴ちゃんも笑顔です。嬉しいです。」

斉藤一は沖田総司を見て頷くと酒を飲んだ。

少女が沖田総司にもたれかかってきた。

沖田総司は少女を抱き寄せると、心配そうに様子を見ている。

少女は安心した表情で寝ている。

沖田総司は少女を微笑んで抱いている。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「安心して寝ているな。」

沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで斉藤一を見ながら頷いた。



それから少し後の事。

斉藤一が横を見た。

沖田総司は少女を抱いたまま目を閉じている。

少女は沖田総司の腕の中で安心した様子で寝ている。

斉藤一は立ち上がり上着を取ってくると二人に掛けた。

沖田総司も少女も斉藤一が上着を掛けた事に気が付いていない。

斉藤一は酒を飲んでから呟いた。

「はしきやし 吾家の毛桃 本しげみ 花のみ咲きて ならざらめやも」

月夜のなかに咲いている桃は、三人の様子を気にする事もなく、淡い光を受けて咲いている。



「はしきやし 吾家の毛桃 本しげみ 花のみ咲きて ならざらめやも」

少女の夢は叶うのでしょうか?

桃の花だけ咲いて実がならないなんて事はないですよね。

沖田総司さん。



〜 完 〜





はじめに       後書き

目次


このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください