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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 春山茶花 忘れむといへば益して思ほゆ 〜



「小竹の葉に はだれふり覆ひ 消なばかも 忘れむといへば 益して思ほゆ」

「万葉集 第十巻 二三三七番」より

作者:詠み人知らず



暦の上では春になっているが、寒い日が続いている。



少女はいつもより早く起きた。

暦の上では春だが、朝は寒い日が多い。

少女は寒そうにしながら着替えると、直ぐに台所へと向かった。



ご飯は朝食の準備のために既に炊いてある。

今日は少女が頼んだために、いつもより多く炊いてある。

少女は釜からおひつにご飯を装った。

おひつからご飯を取ると、微笑んでおにぎりを握りはじめた。

一人で食べるとは思えない数のおにぎりを握っている。

微笑みながらたくさんのおにぎりを包んだ。

少女は大事そうに包みを持つと、自分の部屋へと戻っていった。



少女は机におにぎりの入った包みを静かに置くと、食事をするために直ぐに部屋を出た。



少女は家族と一緒に食事を始めた。



沖田総司が少女の家にやってきた。

少女は沖田総司を微笑んで出迎えた。

二人は一緒に出掛けて行った。



沖田総司と少女は楽しそうに話しをしながら歩いている。

沖田総司が少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。今日は寒椿を見ようね。」

少女は微笑んで沖田総司を見ながら頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。包みを持つよ。」

少女は沖田総司に包みを渡すと、微笑んで話し掛ける。

「いつもすいません。」

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「荷物を代わりに持つだけだよ。たいした事じゃないよ。気にしないで。」

少女は微笑んで沖田総司を見ながら頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。寒椿を見るのは楽しみだね。」

少女は不思議そうに沖田総司に話し掛ける。

「総司さんは椿を見る事が楽しいのですか?」

沖田総司は不思議そうに少女を見た。

少女は不思議そうに沖田総司に話し掛ける。

「総司さんと一緒に何度も椿を見ています。」

沖田総司は不思議そうに少女を見ている。

少女は沖田総司を見ながら不思議そうに話し掛ける。

「武家の方は椿を見るのを嫌う方が多いと聞きました。」

沖田総司は微笑んで少女に話し掛ける。

「椿は花ごと落ちるからね。武士にとっては縁起が悪いだろ。嫌いな人は多いよ。」

少女は不思議そうに沖田総司を見ている。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「でも、私は椿の花は嫌いじゃないよ。」

少女は沖田総司を不思議そうに見ている。

沖田総司は微笑んで少女に話し掛ける。

「だって、椿は鈴ちゃんが好きな花だから。」

少女は恥ずかしそうに沖田総司を見ている。

沖田総司は少女の様子を見ると顔を赤くしてしまった。

沖田総司と少女は会話のないまま歩いている。



沖田総司と少女は寒椿の咲く場所にやってきた。

少女は寒椿を微笑んで見ている。

沖田総司は何かを探すような様子で辺りを見回している。

少女はある場所を不思議そうに見た。

沖田総司は少女の様子に気が付いていない。

少女は沖田総司に微笑んで話し掛けようとした。

沖田総司は、少女の様子に気が付かずに、微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。あっちの寒椿が綺麗だと思わない? 見に行こう。」

少女は沖田総司に何かを話したい様子に見える。

沖田総司は少女に不思議そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。どうかしたの?」

少女は微笑んで沖田総司を見ると、ゆっくりと首を横に振った。

沖田総司は少女に手を差し出した。

少女は微笑んで沖田総司の手を取った。

二人は手を繋ぎながら楽しそうに歩き出した。



少女は寒椿を微笑んで見ている。

沖田総司は少女の様子を微笑んで見ている。

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「総司さん。お腹が空きませんか?」

沖田総司は恥ずかしそうに少女に話し掛ける。

「まだ大丈夫だよ。」

少女は微笑んで沖田総司に話し掛ける。

「おにぎりを作りました。もしよろしければいかがですか?」

沖田総司は嬉しそうに少女に話し掛ける。

「鈴ちゃん。おにぎり作ったの?!」

少女は微笑んで沖田総司を見ながら頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。一緒に食べよう。」

少女は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。



沖田総司は少女の作ったおにぎりを、おいしそうに食べている。

少女は沖田総司の様子を嬉しそうに見ている。

沖田総司はおにぎりを次々に手に取ると、おいしそうに食べていく。

おにぎりはあっという間に無くなった。

沖田総司は少女を見ると、申し訳なさそうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。一個だけしかおにぎりを食べてないよね。大丈夫?」

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「私はそんなにお腹が空いていません。大丈夫です。」

沖田総司は心配そうに少女を見ている。

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「総司さんはお仕事をたくさんしています。剣のお稽古もたくさんしています。お腹が空きますよね。たくさん食べて元気にお仕事やお稽古をしてください。」

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「ありがとう。」

少女は微笑んで沖田総司を見ている。

沖田総司は元気良く立ち上がると、微笑んで少女に手を差し出した。

少女は微笑んで沖田総司の手を取った。

沖田総司が少女の手を引いて立たせようとした。

少女は立ち上がったとたんに、ふらついてしまった。

沖田総司は少女を慌てて抱き留めた。

少女は沖田総司にしがみ付いている。

沖田総司は少女をゆっくりと座らせた。

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「すいません。躓きました。」

沖田総司は少女を心配そうに見ながら話し掛ける。

「本当に躓いたの?」

少女は沖田総司を困った表情で見ている。

沖田総司は少女を心配そうに見ながら話し掛ける。

「鈴ちゃん。疲れたの? どこか調子が悪いの?」

少女は微笑んで沖田総司を見ながら、ゆっくりと首を横に振った。

沖田総司は少女を心配そうに見ながら話し掛ける。

「落ち着ける場所に行こう。」

少女は微笑んで沖田総司を見ながら頷いた。



沖田総司と少女は寺にやってきた。

沖田総司は少女を見ながら心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。いつもいろいろと作ってくれるよね。でも、早く起きたりして大変だよね。無理して作らなくても良いよ。」

少女は沖田総司を不安そうに見ながら話し掛ける。

「私は無理していません。大丈夫です。」

沖田総司は少女を心配そうに見ている。

少女は沖田総司に不安そうに話し掛ける。

「総司さん。私が作った物は、おいしくないですか?」

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃんの作ってくれる物はおいしいよ。」

少女は沖田総司を不安そうに見ながら話し掛ける。

「もっとたくさんの料理を作れるように努力します。もっとおいしく作れるように努力します。」

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃんの作ってくれる物はおいしいよ。だから、無理をしちゃ駄目だよ。」

少女は沖田総司に不安そうに話し掛ける。

「私は大丈夫です。」

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。無理して用意をしなくても良いよ。鈴ちゃんがいつも一人で用意をする必要はないよ。たまには私が用意をしても良いよね。」

少女は沖田総司に心配そうに話し掛ける。

「総司さんは忙しい方です。お菓子の用意なら私でも出来ます。もっとおいしく作れるように努力します。」

沖田総司は少女に少し強い調子で話し出す。

「鈴ちゃん! さっきから無理しなくても良いって何度も言っているだろ! いつも何か用意をして欲しいなんて言ってないだろ!」

少女は体を少し小さくして下を向いてしまった。

沖田総司は少女に少し強い調子で話し出す。

「京に来た頃と違って金だってちゃんと持っている! 京の町の事も少しずつだかわかってきた! 私だって鈴ちゃんに頼らなくても買う事は出来るよ!」

少女は体を少し小さくして、下を向いたまま黙っている。

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。ごめんね。言い過ぎた。大きな声も出してしまった。怖かったよね?」

少女は下を向いたまま、小さく首を横に振った。

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。辛い時には無理をして作らなくても良いよ。鈴ちゃんが無理をして倒れたら嫌だよ。悲しいよ。」

少女は下を向いたまま黙っている。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。他の花を見に行こう。」

少女は下を向いたまま、小さく首を横に振った。

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。どこか調子が悪いの? 大丈夫?」

少女は下を向いたまま、小さく首を横に振った。

沖田総司は少女の横に黙って座ると、心配そうに様子を見ている。

少女はずっと下を向いたまま不安そうにしている。

沖田総司は少女の様子を見ながら、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。今日は疲れたよね。家に帰る?」

少女は下を向いたまま、小さく首を横に振った。

沖田総司は少女の様子を心配そうに見ながらも、話しが出来ずに黙ってしまった。



沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。外が寒くなるよ。帰ろう。」

少女は下を見ながら小さく首を横に振った。

沖田総司は少女を心配そうに抱き寄せた。

少女は黙って沖田総司の腕の中に居る。

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。私が大きな声を出して話しをしたから怖かった?」

少女は沖田総司の腕の中で小さく首を横に振った。

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。ごめんね。」

少女は沖田総司の腕の中で小さく首を横に振った。

沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。無理をしちゃ駄目だよ。」

少女は沖田総司の腕の中で、小さく首を横に振った。

沖田総司は少女を抱きながら、不安そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。私の事が怖い?」

少女は沖田総司の腕の中で、小さく首を横に振った。

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに様子を見ている。

少女は沖田総司の腕の中で、不安そうに話し掛ける。

「私は総司さんに迷惑ばかり掛けています。」

沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃんは迷惑なんて掛けていないよ。」

少女は沖田総司の腕の中で、不安そうに話し出す。

「私と逢っていても楽しくないですよね。斉藤さんとお話ししている方が楽しいですよね。私と逢ってくれなくなりますよね。私の事なんて直ぐに忘れてしまいますよね。」

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃんの事は忘れないよ。鈴ちゃんは迷惑を掛けていないよ。安心して良いよ。」

少女は沖田総司の腕の中で、寂しそうな微笑みを浮かべながら話し掛ける。

「春の雪が解けていくように、直ぐに忘れてしまいます。」

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃんはとてもとても大切な友達だよ。だから何があっても忘れないよ。」

少女は沖田総司の中で、寂しそうに抱き付いた。



沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。もう帰ろう。外が暗くなってきているよ。寒くなってきたよ。風邪をひくよ。」

少女は沖田総司の腕の中で小さく首を横に振った。

沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。次に会う時には何をしようか。ここで次の予定を決めよう。」

少女は沖田総司の腕の中で、寂しそうに黙っている。

沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃんは、何がしたい?」

少女は沖田総司の腕の中で、微笑んで話し出す。

「帰り道にお話ししながら決めても良いですか?」

沖田総司は少女を抱きながら微笑んで頷いた。

少女は沖田総司の腕の中で微笑んでいる。

沖田総司は少女をゆっくりと離した。

少女は沖田総司からゆっくりと離れた。

沖田総司は立ち上がると、微笑んで少女に手を差し出した。

少女は微笑んで沖田総司の手を取った。

沖田総司と少女はゆっくりと歩きながら寺を出た。



それから数日後の事。

沖田総司は少女の家を訪れた。

少女は沖田総司を微笑んで出迎えた。

沖田総司と少女は一緒に出掛けて行った。



沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。包みを持つよ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「大丈夫です。」

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「遠慮しなくても良いよ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「大丈夫です。」

沖田総司は心配そうに少女を見ながら話し掛ける。

「辛くなったら無理しないで声を掛けてね。直ぐに荷物を持つからね。」

少女は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。今日は何の花を見ようか?」

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「今日はお花を見なくても良いです。総司さんのお出掛けしたい場所はどこですか?」

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「慌てていてから考えてこなかった。」

少女は沖田総司を心配そうに見ている。

沖田総司は少女に恥ずかしそうに話し出す。

「鈴ちゃんに早く逢いたくて走ってきたんだ。だから、何も考えていないんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「総司さんのお出掛けしたい所に、私も一緒に行きたいです。」

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。その包みは何が入っているのかな?」

少女は沖田総司を見ながら微笑んで話し出す。

「お口に合うかどうかわかりませんが、お菓子を用意しました。」

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「ゆっくりと座れる場所で、お菓子を食べながら話しをしようか。」

少女は沖田総司を微笑んで見ながら頷いた。



沖田総司と少女は寺の境内に居る。

少女は包みを広げると、微笑んで沖田総司に差し出した。

沖田総司は包みを覗くと、笑顔で少女に話し出す。

「鈴ちゃん! おいしそう! ありがとう!」

少女は安心した表情で沖田総司を見ている。

沖田総司はお菓子を手に取ると、おいしそうに食べ始めた。

少女は沖田総司様子の様子を微笑んで見ている。

沖田総司はお菓子を食べ終わると、嬉しそうに次のお菓子を手に取った。

少女は沖田総司の様子を微笑んで見ている。

沖田総司は少女を見ると、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。お菓子を食べていないよ。調子でも悪いの?」

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「私はお腹が一杯です。総司さん。たくさん食べてください。」

沖田総司は心配そうに少女の頬をさわった。

少女は目を閉じて体をかたくした。

沖田総司は少女の頬からゆっくりと手を離すと、不安そうに話し掛ける。

「もしかして、私が叩くと思った?」

少女は下を向いたまま、小さく首を横に振った。

沖田総司は不安そうに少女を見ながら話し掛ける。

「私が怖い?」

少女は下を向いたまま、小さく首を横に振った。

沖田総司は少女を不安そうに抱き寄せると、小さな声で話し掛ける。

「鈴ちゃん。ごめんね。」

少女は沖田総司の腕の中で、微笑んで話し掛ける。

「総司さんは何も悪い事をしていません。謝るのは変です。」

沖田総司は少女を抱きながら、小さい声で話し掛ける。

「鈴ちゃん。ありがとう。」

少女は沖田総司の腕の中で小さく頷いた。



その日の夜の事。

沖田総司は斉藤一のもとを訪れた。

斉藤一は沖田総司の様子を黙って見ている。

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し掛ける。

「斉藤さん。鈴ちゃんの笑顔が見られなくなってしまいます。」

斉藤一は沖田総司を黙って見ている。

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。

「鈴ちゃんは私のために早く起きて何かを作ったり、お菓子などを買うために出掛けたり、いろいろと気を遣ってくれています。私は鈴ちゃんが無理をして疲れている姿を見るのが辛かったんです。だから、鈴ちゃんに無理しないでと言いました。」

斉藤一は沖田総司を黙って見ている。

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し掛ける。

「鈴ちゃんは、私の話しを、鈴ちゃんの作った物はおいしくない、勝手にお菓子を買ってくるな、という意味で理解したみたいです。私は鈴ちゃんに自分の話しが上手く伝わらなくて、少しだけ強く言ってしまいました。鈴ちゃんは私が怒っていると感じたらしく、ずっと不安そうな顔をしていました。」

斉藤一は沖田総司を黙って見ている。

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し掛ける。

「今日の鈴ちゃんいつもと違いました。顔は笑っていますが、無理して笑っていました。私の様子を気にしてばかりいました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「美鈴さんの性格だと、総司にかなりの気を遣っていたんだろうな。」

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し掛ける。

「鈴ちゃんが作ってくれる物はおいしいです。買ってきてくれる物もおいしいです。でも、私だって鈴ちゃんのために何かを買ってあげたい。私が買うと言っても鈴ちゃんは自分が買うと言って用意をしてしまいます。何か食べたいなと思った時には、なぜか用意してくれています。私は鈴ちゃんと出逢った頃と違います。お金に余裕も出来ました。京の町の事も少しずつですがわかるようになってきました。私は頼りないのでしょうか?」

斉藤一は沖田総司を黙って見ている。

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し掛ける。

「私は鈴ちゃんの笑顔が見たいです。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「小竹の葉に はだれふり覆ひ 消なばかも 忘れむといへば 益して思ほゆ」

沖田総司は斉藤一を不思議そうに見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「今の話しを聞いていたらこの歌を思い出した。」

沖田総司は不安そうに斉藤一を見ながら話し掛ける。

「鈴ちゃんは、私が逢わなくなったら、自分の事を忘れてしまうと言いました。この歌のような事を言いました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「総司はこの歌を聞いてどう思ったんだ?」

沖田総司は斉藤一に心配そうに話し掛ける。

「不安そうにしている鈴ちゃんを見ても、可愛いなんて思えません。鈴ちゃんの笑顔は可愛いです。でも、今は笑顔が見られません。歌のような事を言う鈴ちゃんは可哀想です。心配です。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「総司。春山茶花という花を知っているか?」

沖田総司は斉藤一を見ながら、ゆっくりと首を横に振った。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「春山茶花はこの時期に咲くんだ。総司の欲しい名前の春山茶花がある。この近くに咲いていると思う。」

沖田総司は斉藤一を黙って見ている。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「総司。自分で探してみろ。」

沖田総司は斉藤一に微笑みながら頷いた。



それから数日後の事。

沖田総司が少女のもとを訪れた。

少女は不思議そうに沖田総司を見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。これから何も予定が無かったら、一緒に出掛けないか?」

少女は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。



沖田総司と少女は京の町を歩いている。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。斉藤さんに面白い花を教えてもらったんだ。鈴ちゃんにも一緒に見てもらいたいんだ。今からその花が咲いている場所に行くんだよ。」

少女は沖田総司の話しを微笑んで聞いている。

沖田総司は少女の様子を微笑んで見ている。



沖田総司と少女は、先日の事になるが、二人で一緒に寒椿を見にきた場所にやってきた。

少女は不思議そうに辺りを見回している。

沖田総司は少女の手を握ると、微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。あっちに咲いているんだ。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女の様子を確認しながら、手を引いて歩き出した。



沖田総司は立ち止まると、少女の手をゆっくりと離した。

少女は不思議そうに沖田総司を見た。

沖田総司は微笑んで少女に話し掛ける。

「鈴ちゃん。あの花を見て。」

少女は沖田総司の話しをしている方向を不思議そうに見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「春山茶花という種類の花なんだって。鈴ちゃんは知っていた?」

少女は春山茶花を微笑んで見ている。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「花の名前は鈴ちゃんと同じなんだよ。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「笑顔という名前なんだって。鈴ちゃんと同じだよ。」

少女は笑顔という名前の春山茶花をじっと見た。

沖田総司は少女を微笑んで見ている。

少女は春山茶花を見ながら静かに泣き出した。

沖田総司は少女を抱きしめると、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん? 大丈夫? 私は何か変な事を言ったのかな?」

少女は沖田総司の腕の中で静かに泣いている。

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。この前ここに来た時に、私に何かを話そうとしていたよね。もしかして、春山茶花を見付けて、私に教えようとしてくれたんじゃないのか?」

少女は沖田総司の腕の中で静かに泣いている。

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「私は花の事は詳しくない。この時期に山茶花が綺麗に咲いているなんて、思わなかったんだ。椿が咲いていると思ったんだ。」

少女は沖田総司の腕の中で泣き止んだ。

沖田総司は少女を安心した表情で抱いている。

少女は沖田総司の腕の中で、微笑んで話し出す。

「総司さんと一緒に、春山茶花を見る事が出来ました。嬉しいです。ありがとうございます。」

沖田総司は少女を強く抱きしめると、嬉しそうに話し出す。

「鈴ちゃんの笑顔が見られた! 嬉しいな〜!」

少女は沖田総司の腕の中で微笑んでいる。

沖田総司は少女を強く抱きしめながら、嬉しそうに話し出す。

「春山茶花を初めて見たよ! 笑顔を見たよ! 鈴ちゃんの笑顔も見る事が出来たよ!」

少女は沖田総司の腕の中で微笑んでいる。

沖田総司は少女をゆっくりと離すと、笑顔で話し掛ける。

「笑顔を見て笑顔になった鈴ちゃん!」

少女は沖田総司を微笑んで見ている。

沖田総司は少女に笑顔で話し掛ける。

「鈴ちゃん! 笑顔はいいよね! 楽しいね!」

少女は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「別な場所にも笑顔が咲いているんだ。笑顔をもらえるかどうか聞いてみよう。」

少女は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。一緒に行こう。」

少女は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。

沖田総司と少女は楽しそうに話しをしながら居なくなった。



笑顔の近くには、笹の葉が隠れるように植わっています。

笹の葉が風に揺れています。

風に揺れてさらさらと音を鳴らしています。

笑顔が咲いています。

沖田総司と少女を見守るように笑顔が咲いています。

綺麗な笑顔が咲いています。




〜 完 〜





はじめに        後書き

目次


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