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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜
〜 聖夜と猩々木の物語 淡雪降れり 〜
「我が背子を 今か今かと出て見れば 淡雪降れり 庭もほどろに」
「万葉集 第十巻 二三二三番」より
作者:詠み人知らず
沖田総司が京に着てから迎える、二度目の冬の季節。
沖田総司と少女が出逢ってから迎える、二度目の冬の季節。
沖田総司と斉藤一が京で出逢ってから迎える、二度目の冬の季節。
いろいろな想いを抱えながらの二度目の冬の季節を迎えている。
今は一年の終わりの月。
一年の終わりが近づいてきた。
京の町も慌しく感じる日が増えてきた。
新撰組の居る屯所内もいつもより慌しい日が増えてきた。
ここは屯所。
沖田総司は斉藤一を笑顔で呼び止めた。
「斉藤さん!」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一の傍に来ると、微笑んで話し出す
「斉藤さん。もう直ぐ異国の神様の誕生日ですよね。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で黙って頷いた。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「昨年のように、鈴ちゃんに何か贈り物をしたいと思っています。でも、良い物が見つかりません。斉藤さんに相談にのってもらおうと思って呼び止めました。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司が美鈴さんのために選んだ物なら、何でも喜ぶから安心しろ。」
沖田総司は斉藤一に考え込みながら話し出す。
「仮に斉藤さんの言う通りだとしても、ここ最近、私は鈴ちゃんにたくさんの迷惑を掛けています。鈴ちゃんが本当に喜ぶ物を贈ってあげたいです。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんが一番喜ぶ物を知っているぞ。」
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「教えてください!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「今の総司は贈る気が無いものだ。だから、教えても無駄だと思う。」
沖田総司は斉藤一に少し強い調子で話し出す。
「なぜ教えてくれないのですか?! 斉藤さんは鈴ちゃんが喜ぶ姿を見たいと思わないのですか?!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんを尊敬すると同時に、可哀想に思うよ。」
沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。
「鈴ちゃんに何か遭ったのですか?」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で黙って見ている。
沖田総司は斉藤一に心配そうに話し出す。
「斉藤さん。なぜ黙っているのですか?」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で黙って見ている。
沖田総司は斉藤一を不安そうに見ている。
斉藤一は沖田総司の額を指で思い切り弾いた。
沖田総司は痛そうに額を押さえながら、斉藤一に少し大きい声で話し出す。
「何をするのですか! 痛いではないですか!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司が余りに鈍いから、痛く感じないと思ったんだ。でも、人並みに痛いんだ。」
沖田総司は痛そうに額を抑えながら、斉藤一に怪訝そうに話し出す。
「言っている意味がわかりません。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は痛そうに額を抑えながら、斉藤一に怪訝そうに見た。
斉藤一は普通の表情で黙って歩き出した。
沖田総司は痛そうに額を抑えながら、斉藤一の去っていく様子を不思議そうに見た。
土方歳三が沖田総司の前に来た。
沖田総司は痛そうに額を抑えながら、斉藤一の去っていく様子を不思議そうに見ている。
土方歳三が沖田総司に呆れた様子で話し出す。
「総司。何をやっているんだ?」
沖田総司は額から手を離して、土方歳三を見ると、微笑んで話し出す。
「斉藤さんと話しをしていました。」
土方歳三は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。額が少し赤い気がするが、何か遭ったのか?」
沖田総司は土方歳三に苦笑しながら話し出す。
「何もありません。」
土方歳三は沖田総司を不思議そうに見ている。
沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。
「本当に何もありません。」
土方歳三は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。斉藤と一緒に俺の部屋に来てくれ。」
沖田総司は土方歳三に不思議そうに話し出す。
「はい。」
土方歳三は自分の部屋へと戻っていった。
それから少し後の事。
沖田総司と斉藤一は、土方歳三の部屋を訪れた。
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「今月の二十四日と二十五日の話しだが、既に予定を入れてあるのか?」
沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。
「詳しい事はまだ決めていません。でも、斉藤さんと世話になっている子と三人で、出掛けたいと思っています。」
土方歳三は斉藤一を普通の表情で見た。
斉藤一は土方歳三を見ると、普通の表情で黙って頷いた。
土方歳三は沖田総司を見ると、普通に話し出す。
「総司。出掛けるのは夜か?」
沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。
「夜も出掛けたいと思っているのですが、相手の子の都合が付かないので無理だと思います。」
土方歳三は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。贈り物は決まっているのか?」
沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。
「斉藤さんに相談をしている最中です。」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「今月の二十五日より少し前に、珍しい花が手に入りそうなんだ。総司にあげるから、仲の良い子にあげろ。」
沖田総司は土方歳三に笑顔で話し出す。
「本当ですか?!」
土方歳三は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は土方歳三に笑顔で話し出す。
「土方さん! ありがとうございます!」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「本当に珍しい花なんだ。総司。明日から花について教えてやる。」
沖田総司は土方歳三に笑顔で話し出す。
「はい!」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。今日は早く休めよ。明日になったら、また部屋に呼ぶ。」
沖田総司は土方歳三に笑顔で話し出す。
「はい! 失礼します!」
土方歳三は沖田総司を微笑んで見ている。
沖田総司は土方歳三の部屋を元気良く出て行った。
部屋の中には、土方歳三と斉藤一の二人きりとなった。
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「土方さんが手配している珍しい花というのは、お気に入りの女性に贈る予定だったのではないですか?」
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「ご名答。」
斉藤一は土方歳三を普通の表情で黙って見ている。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「総司は気の利いた物を選ぼうとすると、大騒ぎしてうるさいだろ。俺が代わりに用意したと思う事にするよ。」
斉藤一は土方歳三を普通の表情で黙って見ている。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「俺は別な物を用意するよ。俺は総司と違って、贈り物が無くても喜ばす方法をたくさん知っているから問題いなんだ。」
斉藤一は土方歳三を普通の表情で黙って見ている。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「総司に珍しい花の事について、勉強をさせようと思っているんだ。斉藤も付き合え。」
斉藤一は土方歳三を普通の表情で見ている。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「俺は忙しいから毎日は教える事が出来ない。俺の都合が付かない時は、斉藤が総司につきあってくれ。」
斉藤一は土方歳三を普通の表情で黙って見ている。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤。頼むな。」
斉藤一は土方歳三を普通の表情で黙って見ている。
その翌日の事。
沖田総司は土方歳三の部屋を笑顔で訪れた。
部屋の中には、既に斉藤一が居た。
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。贈り物の花について説明をする。相手に質問されても良いように、しっかりと覚えろよ。」
沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。
「はい。」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「花の名前は、“しょうじょうぼく”と言う。字は“猩々木”と書くんだ。綺麗な赤色をしているのは、花じゃないんだ。中央の額になっているところが花なんだ。紫陽花に似ているな。猩々木は異国の花だから、とても珍しい花だと思う。“猩猩”と書くと、猿のような動物や酒飲みを表す言葉になるんだ。」
沖田総司は土方歳三に苦笑しながら話し出す。
「猩猩というのは、雰囲気のある名前ではないですよね。」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。俺の言った事を、覚えているか?」
沖田総司は土方歳三に考え込みながら話し出す。
「はなのなまえは、しょうじょうぼく。じは、じは、え〜と、“猩々木”とかく。きれいであかいろのはなを・・・」
土方歳三は沖田総司の話しを遮ると、微笑んで話し出す。
「綺麗で赤色をしているのは、花ではないぞ。最初から言い直してみろ。」
沖田総司は土方歳三に考え込みながら話し出す。
「はなのなまえは、しょうじょうぼく。じは、“猩々木”とかく。きれいであかいろをしているのは、はなじゃない。はなは、はなは、え〜と・・・」
土方歳三は話しが途中で止まってしまった沖田総司に、微笑んで話し出す。
「花は中央の額になっているところ。最初から言い直すように。」
沖田総司は土方歳三に考え込みながら話し出す。
「はなのなまえは、しょうじょうぼく。じは、“猩々木”とかく。きれいであかいいろをしているのは、はなじゃない。はなは、え〜と、がくのところ。え〜と、続きは・・・」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「紫陽花に似ているな。最初に戻って言い直す事。」
沖総司は土方歳三に、考え込みながら話し出す。
「はなのなまえは、しょうじょうぼく。じは、“猩々木”とかく。きれいで、あれっ? 続きがわからなくなりました。」
土方歳三は沖田総司に苦笑しながら紙を差し出した。
沖田総司は土方歳三から不思議そうに紙を受け取った。
土方歳三は沖田総司に苦笑しながら話し出す。
「俺が説明した事が書いてある。紙を見て、猩々木について覚えろ。」
沖田総司は真剣な表情で紙を見ながら呟いている。
「花の名前は、しょうじょうぼく。漢字で書くと猩々木・・・」
土方歳三は沖田総司の様子を苦笑しながら見ている。
その翌日の事。
ここは少女の家。
斉藤一から少女宛の文が届いた。
少女は不思議そうに文を読み始めたが、途中から微笑んで文を読んでいる。
文の返事は、近い内に斉藤一が少女の元を訪ねるので、その時に確認すると書いてあった。
少女は斉藤一からの文を、再び微笑んで読み始めた。
ちょうどその頃。
ここは沖田総司の部屋の中。
土方歳三は任務が忙しいため、自分の部屋で猩々僕について覚える事になった。
沖田総司は真剣な表情で猩々僕について書いてある紙を読んでいる。
斉藤一が沖田総司の部屋に普通に入ってきた。
沖田総司は斉藤一を不思議そうに見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「土方さんから頼まれた。総司の勉強の手伝いをする。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「お願いします。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で黙って頷いた。
沖田総司は紙を見ながら、真剣な表情で呟いている。
「花の名前は、“しょうじょうぼく”と言う。字は“猩々木”と書く。綺麗な赤色をしているのは、花ではない。中央の額になっているところが花になる。紫陽花に似ている。猩々木は異国の花だから、とても珍しい花だと思う。“猩猩”と書くと、猿のような動物や酒飲みを表す言葉になる。」
斉藤一は沖田総司から紙を取り上げると、普通に話し出す。
「総司。紙を見ないで今の言葉を言ってみろ。」
沖田総司は斉藤一を複雑な表情で見た。
斉藤一は沖田総司から取り上げた紙を持ったまま、普通の表情で黙って見ている。
沖田総司は斉藤一にゆっくりと話し出す。
「花の名前は、“しょうじょうぼく”。字は“猩々木”と書く。綺麗な赤色をしているのは、花ではない。中央の額になっているところが花になる。紫陽花に似ている。猩々木は異国の花だから・・・ え〜と この後は何と続いていたかな?」
斉藤一は沖田総司から取り上げた紙を持ったまま、普通の表情で黙って見ている。
沖田総司は斉藤一に苦笑しながら話し出す。
「斉藤さん。紙を返してもらっても良いですか?」
斉藤一は沖田総司に紙を黙って返した。
沖田総司は斉藤一から紙を受け取ると、確認するように呟き始めた。
「花の名前は、“しょうじょうぼく”と言う。字は“猩々木”と書く。綺麗な赤色をしているのは、花ではない。中央の額になっているところが花になる。紫陽花に似ている。猩々木は異国の花だから、とても珍しい花だと思う。“猩猩”と書くと、猿のような動物や酒飲みを表す言葉になる。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で黙って見ている。
その翌日の事。
沖田総司は斉藤一の部屋を訪れた。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は懐から大事そうに仕舞ってあった紙を取り出すと、斉藤一に手渡した。
斉藤一は沖田総司から紙を受け取った。
沖田総司は斉藤一を見ながら、真剣な表情で話し出す。
「花の名前は、“しょうじょうぼく”と言う。字は“猩々木”と書く。綺麗な赤色をしているのは、花ではない。中央の額になっているところが花になる。紫陽花に似ている。猩々木は異国の花だから、とても珍しい花だと思う。“猩猩”と書くと、猿のような動物や酒飲みを表す言葉になる。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で黙って頷いた。
沖田総司は斉藤一に嬉しそうに話し出す。
「やった〜!!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「当日まで一日一回は必ず確認する。忘れる事のないように、しっかりと復習しろよ。」
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「はい!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。気を引き締めていけ。」
沖田総司は斉藤一を不思議そうに見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「土方さんから猩々木の説明の続きを聞いてきた。」
沖田総司は斉藤一を複雑な表情で見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「ある異国での猩々僕の呼び名は、“ぽいんせちあ”という。“ぽいんせちあ”は人の名前から付いた呼び名だそうだ。これが追加で覚える分だ。」
沖田総司は斉藤一に不思議そうに話し出す。
「ぽい、ん、せちあ?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「ぽいんせちあ。」
沖田総司は斉藤一にゆっくりと話し出す。
「ぽ、い、ん、せ、ち、あ。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「もっと早く言え。」
沖田総司は斉藤一に普通の早さで話し出す。
「ぽいん、せ、ち、あ?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「“ぽいんせちあ”は、一つの言葉だ。言葉を切るな。」
沖田総司は斉藤一に普通の早さで話し出す。
「ぽいんせちあ。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で黙って頷いた。
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「やった〜! 間違えずに言えました〜!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「明日か明後日になると、土方さんの元に猩々木が届くそうだ。当日まで気を引き締めていけよ。」
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「はい!」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で黙って見た。
その翌日の事。
沖田総司と斉藤一は、土方歳三の部屋を訪れた。
土方歳三は沖田総司と斉藤一に、鮮やかな赤色の猩々木を見せた。
沖田総司は鮮やかな赤色の猩々木を笑顔で見た。
土方歳三は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は鮮やかな赤色の猩々木を見ながら、土方歳三に笑顔で話し出す。
「これが猩々木という花なのですね!」
土方歳三は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は鮮やかな赤色の猩々木を指しながら、土方歳三に笑顔で話し出す。
「鮮やかな赤色をしているので、花に見えますね! でも、ここの部分が猩々木の花になるのですね! 小さい花ですね!」
土方歳三は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は鮮やかな赤色の猩々木を笑顔で見た。
土方歳三は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は土方歳三を普通の表情で黙って見ている。
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。当日まで猩々木を大事に育てろよ。」
沖田総司は土方歳三に笑顔で話し出す。
「はい!」
土方歳三は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は斉藤一を見ると、笑顔で話し出す。
「斉藤さん! 私は花の手入れが不慣れなので、指導をお願いします!」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
それから数日後の事。
猩々木は沖田総司の部屋で、元気に育っている。
沖田総司は斉藤一の指導の下で、猩々僕の手入れを続けている。
猩々木は枯れることなく、綺麗な赤い色を見せている。
沖田総司は猩々木を笑顔で見ている。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は猩々木を大事そうに包むと、斉藤一に笑顔で話し出す。
「斉藤さん! 出掛けましょう!」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で黙って頷いた。
沖田総司と斉藤一は、少女の家へと出掛けて行った。
ここは少女の家。
少女は沖田総司と斉藤一が来るのを楽しそうに待っている。
少女は庭に出て、外の様子を見た。
冬のせいか寒さを感じる。
少女の顔に冷たい物が当たった。
不思議そうに空を見上げた。
空から雪が静かに降っている。
空から降ってくる雪は、直ぐに溶けてしまうほどの淡い雪。
少女は雪の降る様子を見ながら、微笑んで呟いた。
「我が背子を 今か今かと出て見れば 淡雪降れり 庭もほどろに。」
詠い終わると、急に顔を赤くして下を向いてしまった。
雪は直ぐに止んでしまった。
少女は空を見上げながら、微笑んで呟いた。
「直ぐに止んで良かった。総司さんと斉藤さんが濡れずにすみます。」
雪は止んだが、寒さは続いている。
少女は部屋の中へ戻っていった。
それから少し後の事。
沖田総司と斉藤一は、少女の家に到着した。
少女は沖田総司と斉藤一を心配そうに見た。
沖田総司は包みを抱えながら、少女を不思議そうに見た。
少女は沖田総司と斉藤一に心配そうに話し出す。
「体が少し濡れています。お体を拭く物や温かい飲み物を用意します。」
沖田総司は包みを抱えながら、少女に微笑んで話し出す。
「雪は直ぐに止んだから濡れていないよ。」
少女は沖田総司を心配そうに見た。
沖田総司は包みを抱えながら、少女に微笑んで話し出す。
「でも少し濡れたから、拭く物を借りようかな。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司、斉藤一、少女の三人は、少女の部屋の中にいる。
沖田総司は微笑んで包みを広げると、少女に猩々木を見せた。
少女は猩々木を不思議そうに見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「“しょうじょうぼく”という名前の花なんだ。“猩々木”という字を書くんだ。綺麗な赤色をしているのは、花ではないんだ。花は、中央の額になっているところなんだよ。紫陽花に似ているね。猩々木は異国の花だから、とても珍しい花だよね。“猩猩”と書くと、猿のような動物や酒飲みを表す言葉になるんだよ。」
少女は猩々木を微笑んで見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「猩々木は、ある異国では、“ぽいんせちあ”という呼び名なんだって。ぽいんせちあは、人の名前から付いた呼び名なんだよ。」
少女は沖田総司を見ると、微笑んで話し出す。
「総司さんは、物知りですね。とても勉強になります。」
沖田総司は少女に恥ずかしそうに話し出す。
「猩々木を見たのは今回が初めてなんだ。土方さんに猩々木について教えてもらったんだ。見慣れない花のせいか、覚えるのに時間が掛かってしまった。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さんは凄い方です。」
沖田総司は少女を見ながら照れている。
少女は沖田総司を微笑んで見ている。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。猩々木をあげる。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「本当ですか?」
沖田総司は少女に笑顔で頷いた。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「ありがとうございます。大事にします。」
沖田総司は少女を笑顔で見ている。
少女は猩々木を微笑んで見た。
沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は少女を微笑んで見た。
沖田総司、斉藤一、少女の三人は、楽しい一時を過ごしています。
綺麗な赤色をした猩々木が、聖夜の夜に彩りを添える事になりそうです。
穏やかな聖夜を迎える事が出来そうです。
〜 完 〜
はじめに
後書き
目次
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