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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜
〜 桜遊戯 花よりほかに知る人もなし 〜
「小倉百人一首 第六十六番」、及び、「金葉集」より
「もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし」
作者:前大僧正行尊(さきのだいそうじょうぎょうそん)
今は春の季節。
京の町では、一重の桜が綺麗に咲き始めた。
沖田総司と斉藤一が、京の町で出逢い任務に就くようになってから、初めて迎える桜の季節。
沖田総司と斉藤一と少女が、京の町で出逢い一緒に過ごすようになってから、初めて迎える桜の季節。
新撰組では厳しい任務が続いているが、桜の咲く中を和やかに過ごしている。
そんな一重の桜の桜が綺麗に咲き始めた日の事。
ここは屯所。
山南敬助の部屋。
土方歳三は山南敬助の部屋を微笑みながら訪れた。
山南敬助は土方歳三を微笑んで見た。
土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。
「実は、ある計画を考えています。山南さんの力が必要です。力を貸して頂けませんか?」
山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。
「その計画というのを先に教えて頂いても良いですか?」
土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。
「分かりました。ただし、計画については秘密に願います。」
山南敬助は土方歳三に微笑んで頷いた。
土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。
「申し訳ありませんが、耳を貸してください。」
山南敬助は土方歳三に微笑んで頷いた。
土方歳三は山南敬助の耳元に近づくと、微笑んで何かを囁いた。
山南敬助は土方歳三の話しを微笑んで聞いている。
土方歳三は山南敬助の耳元から、微笑みながら離れた。
山南敬助は土方歳三を見ると、微笑んで話し出す。
「私は構いませんが、近藤さんの許しは出ているのですか?」
土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。
「近藤さんは、山南さんが了承してくれて、派手に行わないという条件付きで許してくれました。」
山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。
「私も派手に行わないという条件ならば、計画に参加します。」
土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。
「派手にすると、後々面倒です。その点に関しては安心してください。」
山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。
「分かりました。私も計画に参加します。」
土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。
「ありがとうございます。」
山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。
「他に参加するのは誰ですか?」
土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。
「俺、山南さん、斉藤、総司、平助。以上の五名です。」
山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。
「藤堂君も参加するのですか? 少し酷なように思いますが、大丈夫ですか?」
土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。
「俺は、いろいろな事を乗り越えてこそ、立派な男になれると考えています。だからこそ、平助は参加させたいと考えています。」
山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。
「土方さんの言いたい事は分かりますが、無茶な事だけはしないように頼みます。」
土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。
「もちろんです。」
山南敬助は土方歳三を微笑んで見た。
それから少し後の事。
ここは土方歳三の部屋。
斉藤一が普通の表情で部屋を訪れた。
土方歳三は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は土方歳三を普通の表情で見ている。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「実は、ある事を計画している。斉藤の力が必要なんだ。説明がしたいから耳を貸して欲しい。」
斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。
土方歳三は斉藤一の耳元に顔を近づけると、微笑んで囁いた。
斉藤一は土方歳三の話しを普通の表情で聞いている。
土方歳三は斉藤一の耳元から、微笑みながら離れた。
斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤。ぜひ力を貸してくれ。」
斉藤一は土方歳三を普通の表情で見ている。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「計画が無事に終われば、別な日になるが、美味い酒と肴を用意する。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤。頼りにしているぞ。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一を微笑んで見た。
その翌日の事。
ここは京の町のとある場所。
辺りは咲き始めの桜でほんのりと色付いている。
沖田総司と少女は、楽しそうに桜を見ている。
沖田総司は少女を見ると、楽しそうに話し出す。
「鈴ちゃん! 桜の花は咲き始めも綺麗だね!」
少女は沖田総司を見ると、微笑んで頷いた。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「土方さんが、私、斉藤さん、山南さん、土方さん、平助の五人で、桜を見ながら行事を行う計画を立てている最中なんだ。行事が終わったら、飲みに行く予定があるらしいんだ。当日がとても楽しみなんだ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「みなさんで楽しんでくださいね。」
沖田総司は少女に微笑んで頷いた。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
それから数日後の事。
土方歳三が計画を立てた催しの当時となった。
京の町の桜は、少しずつ満開へと近づいてきている。
ここは京の町に在る一軒の屋敷の中。
屋敷の庭に咲いている桜は、満開に近い状態になっている。
風が吹くと桜の花びら舞い始める。
沖田総司と斉藤一は、屋敷の縁を歩いている。
風が吹いた。
庭に咲いている桜の花びらが舞い始めた。
沖田総司は立ち止まると、桜の花びらの舞う様子を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司と一緒に立ち止まると、桜の花びらの舞う様子を普通の表情で見た。
桜の花びらは地面へと全て舞い落ちた。
沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司と斉藤一は、屋敷の縁を再び歩き出した。
ここは屋敷の中の一室。
部屋の中には、山南敬助、土方歳三、藤堂平助が居る。
藤堂平助は心なしか緊張している様子に見える。
山南敬助は藤堂平助に微笑んで話し出す。
「藤堂君。緊張しているのですか?」
藤堂平助は山南敬助を見ると、苦笑しながら話し出す。
「いろいろと考えている内に緊張してきました。」
山南敬助は藤堂平助に微笑んで話し出す。
「刀を持った時の実力と迫力に驚く者が多い藤堂君でも、緊張するのですか?」
藤堂平助は山南敬助に苦笑しながら話し出す。
「それとこれとは別です。」
土方歳三は藤堂平助に微笑んで話し出す。
「討ち入りの任務の時にも見た事の無い緊張をした顔をしているぞ。」
藤堂平助は土方歳三を見ると、苦笑しながら話し出す。
「討ち入りの時は、事前の調査や打ち合わせは、念入りに行うではないですか。」
土方歳三は藤堂平助に微笑んで話し出す。
「今回は討ち入りではないが、念入りに打合わせをしただろ。それでも緊張をするのか?」
藤堂平助は土方歳三を苦笑しながら見た。
山南敬助は藤堂平助に微笑んで話し出す。
「普段どおりに落ち着いて行動すれば大丈夫です。」
藤堂平助は山南敬助を見ると、微笑んで話し出す。
「はい。」
山南敬助は土方歳三に不思議そうに話し出す。
「斉藤君がまだ来ていませんね。」
土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。
「斉藤は総司と一緒に部屋に来ます。」
山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。
「斉藤君との打合わせは、既に終わったのですか?」
土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。
「抜かりなく。」
山南敬助は土方歳三を微笑んで見た。
部屋の外から沖田総司の明るい声が聞こえてきた。
「沖田です! 斉藤さんも一緒に居ます! 部屋に入っても良いですか?!」
土方歳三は部屋の外に向かって、微笑んで声を掛ける。
「入って良いぞ。」
障子が開いた。
沖田総司が笑顔で部屋に入ってきた。
斉藤一は沖田総司の後に続いて普通の表情で部屋に入ってきた。
屋敷の中の一室に居るのは、山南敬助、土方歳三、沖田総司、斉藤一、藤堂平助となった。
沖田総司は、山南敬助、土方歳三、藤堂平助に、微笑んで話し出す。
「遅くなってしまい、すいませんでした。」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「約束の時間には遅れていないのだから、謝る必要は無いだろ。」
沖田総司は土方歳三を微笑んで見た。
土方歳三は、山南敬助、沖田総司、斉藤一、藤堂平助に、微笑んで話し出す。
「予定より早いですが、催しを始めたいと思います。」
山南敬助は土方歳三に微笑んで頷いた。
沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。
「はい。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
藤堂平助は土方歳三に微笑んで軽く礼をした。
土方歳三は、山南敬助、沖田総司、斉藤一、藤堂平助に、微笑んで話し出す。
「桜が綺麗に咲いているので、桜を詠んだ歌が何首も入っている百人一首を楽しみたいと思います。百人一首は、屋敷の方から既に借りました。」
藤堂平助は土方歳三に不思議そうに話し出す。
「百首を全て使用するのですか?」
土方歳三は藤堂平助に微笑んで話し出す。
「平助。良いところに気が付いたな。」
藤堂平助は土方歳三に微笑んで話し出す。
「ありがとうございます。」
土方歳三は、山南敬助、沖田総司、斉藤一、藤堂平助に、微笑んで話し出す。
「少し趣向を変えて百人一首を楽しみたいと思っています。」
山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。
「少し変わった趣向ですか?」
土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。
「ある歌の札を取った人が、誰かにその歌を贈るというものです。」
山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。
「良い趣向だと思います。」
土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。
「ありがとうございます。」
山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。
「歌を選ぶ人と詠む人は、誰になるのですか?」
土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。
「歌を選ぶのは山南さんです。歌を詠むのは私です。百人一首の札を取るのは、総司、斉藤、平助です。この組み合わせならば、気兼ねなく楽しむ事が出来ると考えました。」
藤堂平助は土方歳三に焦った様子で話し出す。
「土方さん?!」
沖田総司は土方歳三に不思議そうに話し出す。
「今の組み合わせだと、私か斉藤さんか平助が歌を贈る事になりますよね。」
土方歳三は沖田総司と藤堂平助に、微笑んで話し出す。
「信頼があり教養もある山南さんには、歌を公平に選んでもらう。歌についての知識があり、百人一首を全て覚えている俺が、百人一首を詠むのに相応しいと思わないか?」
沖田総司は土方歳三に納得いかない様子で話し出す。
「山南さんと土方さんは、最初から除外という事ですか?! 納得いきません!」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「俺も山南さんは、総司と斉藤と平助よりも偉い。半分は命令として聞いてくれ。」
沖田総司は土方歳三に納得いかない様子で話し出す。
「どう考えても納得いきません!」
山南敬助は沖田総司に微笑んで話し出す。
「確かに突然の話しなので、総司が納得できない気持ちも分かります。」
沖田総司は山南敬助に納得のいかない様子で話し出す。
「山南さんから土方さんに止めるように言ってください!」
山南敬助は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司が贈る歌の札を取らないかも知れないですよね。仮に、総司が贈る歌の札を取ったとしても、歌を贈る相手がいますよね。どちらにしても、総司は安心して楽しむ事が出来ますよね。」
沖田総司は山南敬助を納得のいかない様子で見た。
藤堂平助は考え込む仕草を見せた。
斉藤一は沖田総司と藤堂平助を普通の表情で見ている。
藤堂平助は考え込みながら、急に顔を赤くした。
沖田総司は藤堂平助を見ると、不思議そうに話し出す。
「平助。顔が赤いぞ。」
藤堂平助は沖田総司に慌てた様子で話し出す。
「気のせいです。」
沖田総司は斉藤一を見ると、微笑んで話し出す。
「斉藤さん。平助の顔は赤いですよね。」
斉藤一は藤堂平助を一瞥すると、沖田総司を普通の表情で見た。
藤堂平助は沖田総司に慌てた様子で話し出す。
「緊張したら少し暑くなりました。そのために顔が赤くなったのだと思います。」
沖田総司は藤堂平助を不思議そうに見た。
土方歳三は、山南敬助、沖田総司、斉藤一、藤堂平助に、微笑んで話し出す。
「話しがまとまったという事で、桜にちなんだ催しを始めたいと思います。」
山南敬助は土方歳三に微笑んで頷いた。
斉藤一は山南敬助と土方歳三に、普通の表情で軽く礼をした。
藤堂平助は軽く息をはくと、山南敬助と土方歳三に軽く礼をした。
沖田総司は山南敬助と土方歳三に、渋々と軽く礼をした。
土方歳三は、百人一首の絵札と下の句をいた札を、それぞれ見えようにして置いた。
沖田総司は土方歳三を不思議そうに見た。
土方歳三は、山南敬助、沖田総司、斉藤一、藤堂平助に、微笑んで話し出す。
「絵札と下の句を書いた札は、順不同だが揃っています。山南さんに十枚の札を取ってもらいます。十枚の中に桜を詠んだ歌が無ければ、残りの札から一枚だけ選んでもらいます。更に、絵札と下の句を書いた札を、それぞれ三枚ずつ空札として取ってもらいます。最後に、絵札から一枚を取ってもらいます。この歌の番号から見て、少ない数で一番近い番号の歌の札を取った人が、誰かに歌を贈る事になります。」
山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。
「では、札を取っていきます。」
土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。
「お願いします。」
山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。
「みなさんに分かりやすいように、上下から五枚ずつ取ります。」
土方歳三は山南敬助を微笑んで見た。
山南敬助は、絵札と下の句を書いた札を上下から五枚ずつ取ると、畳の上に見えないように置いた。
土方歳三は、畳の上から絵札と下の句を書いた五枚ずつの札を取ると、山南敬助に微笑んで話し出す。
「念のために確認をさせてください。」
山南敬助は土方歳三に微笑んで頷いた。
土方歳三は、絵札と下の句を書いた札の確認をすると、山南敬助に微笑んで話し出す。
「桜を詠んだ歌が入っていました。この十首を元にして行います。」
山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。
「桜の季節に行うのですから、残っている桜の歌を一首だけ追加しませんか?」
土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。
「良い考えだと思います。山南さん。お願いします。」
山南敬助は土方歳三に微笑いた。
土方歳三は山南敬助を微笑んで見た。
山南敬助は、絵札と下の句を書いた札から桜を詠んだ歌を一首だけ選ぶと、見えないように畳の上に置いた。
土方歳三は、畳の上から絵札と下の句を書いた札を取ると、既に選んだ札に微笑みながら追加した。
山南敬助は、空札となる絵札と下の句を書いた札を三枚ずつ取ると、見えないように畳の上に置いた。
土方歳三は、畳の上から絵札と下の句を書いた三枚ずつの札を取ると、既に選んだ札に微笑みながら追加した。
山南敬助は、土方歳三、沖田総司、斉藤一、藤堂平助に微笑んで話し出す。
「最後に取った絵札は、みなさんに分からないように、私の前に置きます。」
土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。
「お願いします。」
山南敬助は絵札を一枚だけ取ると、自分の前に置いた。
土方歳三は、山南敬助、沖田総司、斉藤一、藤堂平助に、微笑んで話し出す。
「では桜にちなんだ百人一首の催しを始めたいと思います。」
沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。
「はい。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
藤堂平助は土方歳三に微笑んで軽く礼をした。
沖田総司と斉藤一は、隣同士で座っている。
藤堂平助は、沖田総司と斉藤一と向き合って座っている。
沖田総司、斉藤一、藤堂平助の前には、百人一首の下の句を書いた札が並んでいる。
山南敬助は、沖田総司、斉藤一、藤堂平助を微笑んで見ている。
土方歳三は札を微笑んで詠み始めた。
「花の色は〜♪ うつりにけりな〜♪」
斉藤一は普通の表情で札を取った。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤。正解だ。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は札を微笑んで詠み始めた。
「ひさかたの〜♪ 光のどけき〜♪」
藤堂平助は真剣な表情で札を取った。
土方歳三は藤堂平助に微笑んで話し出す。
「藤堂。正解だ。」
藤堂平助は土方歳三に微笑んで軽く礼をした。
土方歳三は札を微笑んで詠み始めた。
「いにしえの〜♪ 奈良の都の〜♪ 八重桜〜♪」
斉藤一は普通の表情で札を取った。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤。正解だ。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は札を微笑んで詠み始めた。
「もろともに〜♪ あはれと思へ〜♪ 山桜〜♪」
沖田総司は元気良く声を出して札を取った。
「はい!」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。正解だ。」
沖田総司は札を手に持ちながら、斉藤一に微笑んで話し出す。
「やっと札を取る事が出来ました。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
十首の歌は、九首まで詠み上げられて、残りは一首となった。
空札は二首を詠み終わり、残り一首となった。
沖田総司と藤堂平助は、真剣な表情で札を見ている。
斉藤一は普通の表情で札を見ている。
土方歳三は札を微笑んで詠み始めた。
「花さそふ〜♪ 嵐の庭の〜♪」
斉藤一は普通の表情で札を取った。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤。正解だ。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
山南敬助は、土方歳三に微笑んで話し出す。
「では、私が先程選んだ歌の番号を発表したいと思います。」
土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。
「お願いします。」
山南敬助は、土方歳三、山南敬助、藤堂平助に絵札を見せながら、微笑んで話し出す。
「私が選んだ歌は“六十七番”です。」
誰も返事をしないため、部屋の中は静かな雰囲気に包まれた。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司の取った歌は、六十六番だぞ。」
沖田総司は斉藤一を見ると、驚いた様子で話し出す。
「私ですか?!」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に驚いた様子で話し出す。
「歌を贈る相手はいません! どうすれば良いのですか?!」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「先程の山南さんの話しからすると、総司には歌を贈る相手がいるんだろ。」
沖田総司は土方歳三に苦笑しながら話し出す。
「斉藤さんに歌を贈っても良いですか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「断る。」
沖田総司は斉藤一を見ると、すがるように話し出す。
「なぜですか〜?!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「男から贈られて嬉しい内容の歌ではない。」
沖田総司は斉藤一をすがるように見た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。斉藤の話しを聞いて、良い事を思い付いた。歌を贈る相手は女性にしよう。」
沖田総司は土方歳三に納得のいかない様子で話し出す。
「歌を贈る相手がいません!」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「歌を贈らないならば、みんなに酒を奢るように。」
沖田総司は土方歳三に納得のいかない様子で話し出す。
「そんな〜?!」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。女性に歌を贈るか、みんなに酒を奢るか、好きな方を選んで良いぞ。」
沖田総司は土方歳三に渋々と話し出す。
「わかりました〜 誰かに歌を贈ります〜」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「歌を贈ったか確認を取るからな。」
沖田総司は土方歳三に渋々と話し出す。
「は〜い〜」
土方歳三は斉藤一を見ると、微笑んで話し出す。
「斉藤。確認を頼むな。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は、山南敬助と藤堂平助に微笑んで話し出す。
「今日はみんなで酒を飲む予定も立てました。出掛ける時間まで、庭の桜を楽しみたいと思います。」
山南敬助は土方歳三に微笑んで頷いた。
藤堂平助は土方歳三に微笑んで軽く礼をした。
土方歳三は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。
「総司は出掛ける前に歌を贈ってくれ。斉藤はしっかりと確認をしてくれ。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
沖田総司は土方歳三を驚いた表情で見た。
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「そうすれば、心置きなく出掛けられるだろ。」
沖田総司は土方歳三に渋々と頷いた。
土方歳三は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は渋々と部屋を出て行った。
斉藤一は沖田総司の後に続いて、普通の表情で部屋を出て行った。
土方歳三は藤堂平助を見ると、微笑んで話し出す。
「平助。言い忘れていたが、斉藤と一緒に総司が歌を贈ったかの確認を頼む。」
藤堂平助は土方歳三に驚いた様子で話し出す。
「私も確認をするのですか?!」
土方歳三は藤堂平助に微笑んで話し出す。
「何事も勉強だ。」
藤堂平助は土方歳三に不思議そうに話し出す。
「承知しました。」
土方歳三は藤堂平助を微笑んで見た。
それから少し後の事。
ここは少女の家。
沖田総司は少女の家を訪れた。
少女は沖田総司の前に不思議そうに現れた。
沖田総司は少女に緊張をした微笑みで話し出す。
「鈴ちゃん。これから桜を見に出掛けないか?」
少女は沖田総司に不思議そうに話し出す。
「今日はみなさんとお出掛けの日ですよね。お時間は大丈夫なのですか?」
沖田総司は少女に緊張をした微笑みで話し出す。
「確かに今日は出掛ける日だよ。でも鈴ちゃんと桜の花が見たくて、時間の調整をしたんだ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さんと一緒にお出掛け出来て嬉しいです。」
沖田総司は少女を緊張した微笑みで見た。
ここは京の町のとある場所。
辺りには綺麗な桜がたくさん咲いている。
人の姿が少ないので、落ち着いた雰囲気となっている。
沖田総司は少女に緊張をした微笑みで話し出す。
「実は、先程までみんなで百人一首をしていたんだ。」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女に緊張をした微笑みで話し出す。
「札を取ったのは、私と斉藤さんと平助の三人だったんだ。時間の関係で十首ほどを選んでから札を取ったんだ。」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女に緊張をした微笑みで話し出す。
「私は一首だけしか取る事が出来なかったんだ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「どのお歌を取られたのですか?」
沖田総司は少女に緊張をした微笑で話し出す。
「もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「良いお歌を取る事が出来のですね。」
沖田総司は懐から紙を取り出すと、少女に緊張をした微笑で話し出す。
「私が取った歌を紙に書いたんだ。鈴ちゃんに記念にあげる。」
少女は沖田総司から紙を受け取ると、微笑んで話し出す。
「記念のお歌が頂けて、とても嬉しいです。ありがとうございます。」
沖田総司は少女を満面の笑顔で見た。
風が吹いた。
辺りに咲いていた桜の花びらが舞い始めた。
少女は桜の舞う様子を微笑んで見た。
沖田総司は少女の様子を微笑んで見た。
「もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし」
花よりほかに知る人もない心を、それぞれに抱えています。
沖田総司は自分の気持ちに気が付いていません。
藤堂平助も自分の気持ちに気が付いていません。
山南敬助、土方歳三、斉藤一、少女の苦労は、まだまだ続きそうです。
京の町の春は、たくさんの桜達の想いを受けて、更に彩っています。
〜 完 〜
はじめに
後書き
目次
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