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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 蝋月の頃 我が背子を今か今かと 〜


「我が背子を 今か今かと出て見れば 淡雪降れり 庭もほどろに」

「万葉集 第十巻 二三二三番」より

作者:詠み人知らず



今は冬。



ここは、京の町。



沖田総司が京の町で迎える二度目の冬になる。



京の町での幾つもの事件の活躍により、新撰組の名声は高まった。

京の町で新撰組を知らない者は居ないに等しくなっている。



花の咲く種類も少なく感じるが、良く見ると幾種類もの花が咲いている。



ここは、京の町。



沖田総司は微笑んで歩いている。

少女も微笑んで歩いている。



沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。出掛けたい所はある?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんのお出掛けしたい所が良いです。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「落ち着いた所で話したいな。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私も総司さんとゆっくりとお話ししたいです。」

沖田総司は微笑んで少女に話し出す。

「寺で話そう。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女を微笑んで見た。



少し後の事。



ここは、落ち着いた雰囲気の寺。



境内には、水仙の花が綺麗に咲いている。



境内。



沖田総司は微笑んで来た。

少女も微笑んで来た。



少女は水仙を微笑んで見た。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「水仙が綺麗に咲いていたので、つい見てしまいました。すいません。」

沖田総司は少女を見ながら、微笑んで首を横に振った。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。水仙が見たいの?」

少女は沖田総司を見ると微笑んで話し出す。

「総司さんとお話しがしたいです。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女も沖田総司を微笑んで見た。



僅かに後の事。



ここは、落ち着いた雰囲気の寺。



寺の中。



沖田総司は微笑んで入ってきた。

少女も微笑んで入ってきた。



沖田総司は少女に苦笑して話し出す。

「冬は寺の中も寒いね。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は腹を僅かに驚いて見た。

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は照れて腹をさすった。

少女は沖田総司を不思議な様子で見ている。

沖田総司は腹をさするのを止めると、少女に苦笑して話し出す。

「変な音が聞こえなかった?」

少女は沖田総司に不思議な様子で話し出す。

「変な音は聞こえませんでした。」

沖田総司は少女に苦笑して話し出す。

「鈴ちゃんは変な音は聞こえなかったんだ。良かった。」

少女は沖田総司に申し訳なく話し出す。

「総司さんは大変なお仕事とお稽古をたくさんしています。私と逢うと、ゆっくりとお食事をする時間が少なくなりますよね。今回は何も用意しませんでした。すいません。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんは美味しい食べ物をたくさん用意してくれるよ。感謝しているよ。鈴ちゃんがいつも食べ物を用意していたら、鈴ちゃんに更に負担が掛かるよ。無理をしないで。謝らないで。」

少女は沖田総司を申し訳なく見た。

沖田総司は少女に大きな声で話し出す。

「私は食事を摂っている! 食べ物を毎回のように用意する必要はないよ!」

少女は沖田総司に小さい声で話し出す。

「すいません。」

沖田総司は少女に慌てて話し出す。

「大きな声を出し過ぎた! ごめんね! 怖かったよね!」

少女は沖田総司を見ながら、小さく首を横に振った。

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「私は怒っていないよ。安心して。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女を安心して見た。



少し後の事。



ここは、落ち着いた雰囲気の寺。



寺の中。



沖田総司は少女に微笑んで話している。

少女は沖田総司を微笑んで見ている。



少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。蝋梅をご存知ですか?」

沖田総司は少女を不安な様子で見た。

少女は沖田総司に不思議な様子で話し出す。

「蝋梅は、冬に咲く花の名前です。」

沖田総司は少女に安心して話し出す。

「ろうばい。花の名前。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は安心して軽く息をはいた。

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は少女に安心して話し出す。

「知らない。」

少女は沖田総司を心配な様子で見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんの話しは聞いているよ。話を続けて。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「蝋梅は総司さんのようです。総司さんと一緒に蝋梅が見たいです。」

沖田総司は少女を見ると、不機嫌な様子で呟いた。

「蝋梅。私が?」

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は少女に不機嫌に話し出す。

「私が蝋梅?! 具体的に説明してくれ!」

少女は沖田総司を驚いて見た。

沖田総司は少女に不機嫌に話し出す。

「早く具体的に説明してくれ!」

少女は沖田総司に申し訳なく話し出す。

「ごめんなさい。」

沖田総司は少女に不機嫌に話し出す。

「鈴ちゃんは私に謝る内容を話したのか?!」

少女は沖田総司に申し訳なく話し出す。

「すいません。」

沖田総司は少女に不機嫌に話し出す。

「謝る言い方を変えただけだろ! 早く具体的に説明してくれ!」

少女は沖田総司を不安な様子で見た。

沖田総司は少女に不機嫌に話し出す。

「鈴ちゃん! なぜ黙るんだ?!」

少女は沖田総司に不安な様子で話し出す。

「総司さんは温かいです。蝋梅は冬に温かい色の花を咲かせます。」

沖田総司は少女に不機嫌に話し出す。

「蝋梅と何度も話さなくても、蝋梅について話していると分かる!」

少女は沖田総司に小さい声で話し出す。

「申し訳ありません。」

沖田総司は少女に不機嫌に話し出す。

「鈴ちゃんは、先程から謝る言い方を変えるだけで、話が進まない!」

少女は沖田総司を申し訳なく見た。

沖田総司は少女に不機嫌に話し出す。

「私は頼りなくて弱いのか?!」

少女は沖田総司に申し訳なく話し出す。

「総司さんは、強くて頼りになる方です。失礼な内容を話してしまいました。申し訳ありませんでした。」

沖田総司は少女を不機嫌に見た。

少女は沖田総司を申し訳なく見た。

沖田総司は少女に僅かに不機嫌に話し出す。

「帰る時間が近付いているね。」

少女は沖田総司に不安な様子で頷いた。

沖田総司は少女に僅かに不機嫌に話し出す。

「送っていく。早く帰ろう。」

少女は沖田総司に不安な様子で話し出す。

「一人で帰れます。総司さんは早くお仕事に戻ってください。」

沖田総司は少女に不機嫌に話し出す。

「私は鈴ちゃんの心配をしたら駄目なのか?!」

少女は沖田総司に不安な様子で話し出す。

「お忙しい総司さんに、私なんかの心配をして頂いて、いつも嬉しく思っています。」

沖田総司は少女に不機嫌に話し出す。

「幾度も自分を下げる内容を話すのを止めろと注意しているだろ!」

少女は沖田総司に不安な様子で話し出す。

「すいません。」

沖田総司は少女に僅かに不機嫌に話し出す。

「送っていく。」

少女は沖田総司に不安な様子で頷いた。

沖田総司は少女を僅かに不機嫌に見た。



暫く後の事。



ここは、少女の家の傍。



沖田総司は考え込んできた。

少女は不安な様子で来た。



少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「今日はありがとうございました。」

沖田総司は少女に申し訳なく話し出そうとした。

少女は沖田総司が話し出す前に、微笑んで話し出す。

「総司さんのご都合の良い時に、お話しをしてください。」

沖田総司は少女に申し訳なく頷いた。

少女は沖田総司に微笑んで礼をした。

沖田総司は少女に申し訳なく頷いた。



少女は家の中に微笑んで入って行った。



沖田総司は落ち込んで息をはいた。



沖田総司は落ち込んで歩き出した。



暫く後の事。



ここは、屯所。



斉藤一の部屋。



斉藤一は普通に居る。



沖田総司は不安な様子で訪れた。



斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に不安な様子で話し出す。

「鈴ちゃんが蝋梅を見たいと話しました。鈴ちゃんは蝋梅を私のようだと話しました。鈴ちゃんの話を聞く間に、私は不機嫌になりました。鈴ちゃんは全く悪くないのに、物凄く怒ってしまいました。鈴ちゃんは私と逢ってくれないかも知れません。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。蝋梅を見た時はあるか?」

沖田総司は斉藤一を見ながら、不安な様子で首を横に振った。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。早い内に蝋梅を見ろ。」

沖田総司は斉藤一に寂しく話し出す。

「私は蝋梅が見られる所を知りません。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「蝋梅を一緒に見に行こう。」

沖田総司は斉藤一に寂しく頷いた。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を寂しく見た。



少し後の事。



ここは、屯所。



縁。



沖田総司は普通に歩いている。

斉藤一も普通に歩いている。



山南敬助が微笑んで来た。



斉藤一は立ち止まると、山南敬助に普通の表情で軽く礼をした。

沖田総司は立ち止まると、山南敬助に普通の表情で軽く礼をした。



山南敬助は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「出掛けるのですか?」

斉藤一は山南敬助に普通の表情で軽く礼をした。

山南敬助は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「沖田君は先程まで出掛けていましたよね。沖田君は疲れていないのですか?」

沖田総司は山南敬助に微笑んで話し出す。

「大丈夫です。」

山南敬助は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「沖田君。斉藤君。無理はしないように。」

沖田総司は山南敬助に微笑んで軽く礼をした。

斉藤一は山南敬助に普通の表情で軽く礼をした。



山南敬助は微笑んで居なくなった。



沖田総司は普通に歩き出した。

斉藤一も普通に歩き出した。



少し後の事。



ここは、小さな落ち着いた雰囲気の寺。



境内。



斉藤一は普通に来た。

沖田総司も普通に来た。



蝋梅の花が綺麗に咲いている。

蝋梅の花は甘い香りで辺りを包んでいる。



斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。蝋梅の花が咲いている。」

沖田総司は蝋梅を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は蝋梅を見ながら、斉藤一に寂しく話し出す。

「蝋梅は黄色い花が咲くのですね。蝋梅の花はとても甘い香りがするのですね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は蝋梅を見ながら、斉藤一に寂しく話し出す。

「鈴ちゃんは、蝋梅を温かい色の花が咲くと話しました。鈴ちゃんは、蝋梅の花を私のようだと話しました。鈴ちゃんは私を温かいと話しました。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は蝋梅を見ながら、斉藤一に寂しく話し出す。

「私は温かいのでしょうか? 私は優しいのでしょうか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は疲れていたために、美鈴さんに冷たい対応をしたと思う。美鈴さんは総司の温かさと優しさを分かっているから、総司に優しくて温かいと話したはずだ。」

沖田総司は斉藤一に不安な様子で話し出す。

「鈴ちゃんは私と逢ってくれるのでしょうか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司に逢うか逢わないか決めるのは、美鈴さんだ。」

沖田総司は斉藤一を不安な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。俺を見ても答えは分からない。美鈴さんに早く会って答えを見付けろ。」

沖田総司は斉藤一に不安な様子で話し出す。

「今日は寒さを感じます。今日は鈴ちゃんと出掛けました。寒い日に長く外に居たら、鈴ちゃんが風邪をひくかも知れません。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。明日は何としてでも時間を作って、美鈴さんと会え。今日は明日のために早く休め。」

沖田総司は斉藤一に不安な様子で頷いた。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。



僅かに後の事。



ここは、屯所。



土方歳三の部屋。



土方歳三は机に普通の表情で向かっている。



山南敬助は微笑んで訪れた。



土方歳三は山南敬助を不思議な微笑みで見た。

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「明日、斉藤君と総司に頼み事をしたい。」

土方歳三は山南敬助に不思議な微笑みで話し出す。

「三人で出掛けるのですか?」

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「明日の私は任務に就く予定ですよね。斉藤君と総司に、私の代わりに出掛けて欲しい所がある。」

土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。

「長い時間でなければ、斉藤と総司を山南さんが望む任務に就けてください。」

山南敬助は土方歳三を微笑んで話し出す。

「ありがとう。」

土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。

「山南さんは俺より上の立場です。山南さんが俺に任務関連で礼を言うのは変です。」

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「土方君の言うとおりだね。」

土方歳三は山南敬助に微笑んで軽く礼をした。



山南敬助は部屋から微笑んで出て行った。



土方歳三は机に普通の表情で向かった。



翌日の事。



ここは、少女の家の外。



沖田総司は家から普通に出た。



沖田総司は軽く息をはくと、寂しく呟いた。

「鈴ちゃんは出掛けて居ないんだ。」



沖田総司は寂しく歩き出した。



僅かに後の事。



ここは、京の町。



少女は包みを持ちながら、寂しく歩いている。



斉藤一の普通の声が、少女の後ろから聞こえた。

「やはり寂しいか。」



少女は包みを持ちながら、後ろを不思議な様子で見た。



斉藤一は少女を普通の表情で見ている。



少女は包みを持ちながら、斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司さんは、お元気ですか?」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は包みを持ちながら、斉藤一に寂しい微笑みで話し出す。

「昨日、総司さんのご機嫌を損ねてしまいました。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「総司が勝手に怒っただけだろ。気にするな。」

少女は包みを持ちながら、斉藤一を寂しい微笑みで見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さん。今日は予定があるか?」

少女は包みを持ちながら、微笑んで首を横に振った。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「総司が美鈴さんの家を訪ねる予定だ。」

少女は包みを持ちながら、斉藤一に寂しく話し出す。

「総司さんは私の外出中に訪ねるかも知れませんね。私は総司さんに再び迷惑を掛けてしまいます。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さん。早く家に戻れ。総司に逢ったら、美鈴さんは家に居ると伝える。総司を美鈴さんの家に行かせる。」

少女は斉藤一に包みを差し出すと、斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司さんが訪ねた時のために買ったお菓子です。総司さんに渡してください。」

斉藤一は少女から包みを受け取ると、少女に普通の表情で頷いた。

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「私は少し出掛けてから帰ります。」

斉藤一は包みを持ちながら、少女に普通に話し出す。

「少し出掛けてから家に戻ると、総司と会えないかも知れないぞ。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「突然ですが、“我が背子を 今か今かと出て見れば 淡雪降れり 庭もほどろに”、の歌を思い出しました。」

斉藤一は包みを持ちながら、少女を普通の表情で見た。

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司さんに逢いたいです。総司さんは私を怒って二度も訪ねないかも知れません。期待と不安が入り混じっています。」

斉藤一は包みを持ちながら、少女を普通の表情で見た。

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「よろしくお願いします。」

斉藤一は包みを持ちながら、少女に普通の表情で頷いた。



少女は微笑んで歩き出した。



斉藤一は包みを持ちながら、少女を普通の表情で見た。



少女の姿は見えなくなった。



斉藤一は包みを持ちながら、普通に歩き出した。



少し後の事。



ここは、小さな落ち着いた雰囲気の寺。



境内。



蝋梅の花が綺麗に咲いている。

蝋梅の花は甘い香りで辺りを包んでいる。



沖田総司は蝋梅の花を寂しく見ている。



斉藤一の普通の声が、沖田総司の後ろから聞こえた。

「総司。暗い。」



沖田総司は後ろを不思議な様子で見た。



斉藤一は包みを持ちながら、沖田総司を普通の表情で見ている。



沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に包みを差し出すと、沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんが総司に食べて欲しいと言って俺に預けた。」

沖田総司は斉藤一から包みを不思議な様子で受け取った。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんは、“我が背子を 今か今かと出て見れば 淡雪降れり 庭もほどろに”、の歌を詠んだ。歌の意味は、“あの人が来るのを今か今かと待ちかねて外に出てみたら、淡雪が降っています。庭にはらはらと。”、になると思う。」

沖田総司は包みを持ちながら、斉藤一に焦って話し出す。

「鈴ちゃんの家に直ぐに行きます!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんは何処かに少し出掛けると話した。美鈴さんの家に直ぐと行くと、美鈴さんは家に居ない可能性がある。」

沖田総司は包みを持ちながら、斉藤一に心配して話し出す。

「鈴ちゃんが詠んだ歌の内容は、庭で親しい人を待つ歌ですよね。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺は美鈴さんから、謎掛けなのか、他に意味があるのか、聞いていない。後は、総司が考えろ。」

沖田総司は包みを持ちながら、斉藤一を考え込んで見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺は山南さんに頼まれて出掛ける所がある。俺は総司を構っていられない。」

沖田総司は包みを持ちながら、斉藤一、蝋梅、包み、を見た。



斉藤一は普通に居なくなった。



少し後の事。



ここは、落ち着いた雰囲気の寺。



寺の中。



少女は境内を寂しく見ている。



寺の中に蝋梅の甘い香りが広がった。



少女は寺の中を不思議な様子で見た。



沖田総司は蝋梅と包みを微笑んで持っている。



少女は沖田総司を驚いて見た。



沖田総司は蝋梅と包みを持ちながら、微笑んで来た。



沖田総司は蝋梅と包みを脇に置くと、少女に苦笑して話し出す。

「鈴ちゃん。私は謎掛けが苦手なんだ。」

少女は沖田総司に申し訳なく話し出す。

「すいません。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんが謝る必要はないよ。鈴ちゃんが寒い中で私を長く待って風邪をひいたら困るだろ。私は鈴ちゃんが心配なんだ。」

少女は沖田総司を申し訳なく見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんは悪くないよ。笑顔になって。」

少女は沖田総司に不安な様子で話し出す。

「怒っていないのですか?」

沖田総司は少女に不思議な様子で話し出す。

「謎掛けをされると怒るの?」

少女は沖田総司を不安な様子で見た。

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん。私が昨日は怒ったから、心配で不安なんだよね。ごめんね。」

少女は沖田総司を不安な様子で見た。

沖田総司は少女に苦笑して話し出す。

「昨日はお腹が空いていたんだ。お腹が空くと機嫌が悪くなるのは本当だね。次からは、お腹が空かないように、食べ物を用意するか、先に食べるよ。気を付けるね。ごめんね。」

少女は沖田総司に申し訳なく話し出す。

「次からは、総司さんが困らないように食べ物を用意します。」

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「昨日も話したけれど、鈴ちゃんが毎回のように食べ物を用意したら、金銭的、時間的、体力的に大変だよ。鈴ちゃんが一人で無理をしたら、悲しいよ、辛いよ。」

少女は沖田総司を悲しく見た。

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん。怒った?」

少女は沖田総司を見ながら、小さく首を横に振った。

沖田総司は少女を心配して抱いた。

少女は静かに泣き出した。

沖田総司は少女を抱きながら、少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん。何も悪くないのに怒ってしまってごめんね。」

少女は静かに泣きながら、首を小さく横に振った。

沖田総司は少女を抱きながら、少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃんは悪くないよ。鈴ちゃんは優しいよ。」

少女は静かに泣いている。

沖田総司は少女を抱きながら、少女に微笑んで話し出す。

「斉藤さんと一緒に蝋梅を見たんだ。蝋梅の花は、鈴ちゃんの話すとおり、温かい色だったよ。蝋梅の花を見ていたら、温かくなったよ。蝋梅の花は、鈴ちゃんだと思ったよ。」

少女は沖田総司に抱き付くと、静かに泣いた。

沖田総司は少女を抱きながら、少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん。変な内容を話したのかな? ごめんね。」

少女は沖田総司に抱きつきながら、静かに泣いて、小さく首を横に振った。

沖田総司は少女を抱きながら、少女に微笑んで話し出す。

「今日は蝋梅を用意したんだ。鈴ちゃんにあげる。」

少女は沖田総司に抱き付きながら、静かに泣いて頷いた。

沖田総司は少女を抱きながら、少女に微笑んで話し出す。

「次回は蝋梅を見ようね。」

少女は沖田総司に抱き付きながら、静かに泣いて小さく頷いた。

沖田総司は少女を抱きながら、少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司に抱き付きながら、静かに泣き止んだ。

沖田総司は少女を抱きながら、少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん。昨日は本当にごめんね。」

少女は沖田総司に抱き付きながら、微笑んで小さく首を横に振った。

沖田総司は少女を微笑んでゆっくりと放した。

少女は沖田総司から微笑んでゆっくりと放れた。

沖田総司は少女に蝋梅を微笑んで差し出した。

少女は沖田総司から蝋梅を微笑んで受け取った。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は蝋梅を持ちながら、沖田総司に微笑んで話し出す。

「蝋梅は良い香りですよね。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「蝋梅の香りは、鈴ちゃんを思い出す香りで、菓子を食べたくなる香りだよね。」

少女は蝋梅を持ちながら、沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は少女に慌てて話し出す。

「鈴ちゃん! 私は風流な喩えが出来ないんだ! 蝋梅の香りを鈴ちゃんと食べ物で喩えてしまった! ごめんね!」

少女は蝋梅を持ちながら、微笑んで首を横に振った。

沖田総司は少女を安心して見た。

少女は蝋梅を持ちながら、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。斉藤さんに預けた包みには、お菓子が入っています。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「一緒に菓子を食べよう。」

少女は蝋梅を持ちながら、沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は蝋梅を持ちながら、沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は包みを微笑んで広げた。

少女は蝋梅を近くに微笑んで置いた。



雪が降る様子が見えた。



少女は雪の降る様子を心配して見た。

沖田総司は少女を心配して見た。



少女は沖田総司を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「直ぐに止むと思います。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「菓子を食べながら、雪の降る様子を見よう。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。次回からは鈴ちゃんが困って謎掛けをしないように気を付けるよ。」

少女は沖田総司に申し訳なく話し出す。

「いろいろと考える間に、思い出したお歌です。総司さんに逢えると良いなと思いながら、斉藤さんに歌を詠んでしまいました。総司さんにも斉藤さんにも迷惑を掛けてしまいました。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは優しくて細かい状況に気付く人だよ。斉藤さんには鈴ちゃんの想いが伝わったんだよ。私にも鈴ちゃんの想いが伝わったよ。」

少女は沖田総司に心配して話し出す。

「総司さん。無理をしないでください。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

少女は沖田総司を微笑んで見た。



直後の事。



ここは、島原。



一軒の店。



一室。



斉藤一は普通に居る。

明里は不思議な様子で居る。



斉藤一は明里に普通に話し出す。

「山南さんから明里さんへの伝言です。今日は逢えないそうです。明日、山南さんは明里さんに逢うそうです。」

明里は斉藤一に心配して話し出す。

「斉藤様。山南先生には悩み事がありませんか?」

斉藤一は明里に普通に話し出す。

「山南さんに直に聞いてください。」

明里は斉藤一に寂しく話し出す。
「斉藤様は、沖田様や美鈴さんにはお優しいのに、私には冷たいですね。」

斉藤一は明里に普通に話し出す。

「普通に接しています。」

明里は斉藤一に心配して話し出す。

「山南先生は私には何も話してくれません。寂しくて不安です。」

斉藤一は明里に普通に話し出す。

「俺は暇ではありません。山南さんと明里さんは、二人で問題を解決してください。」

明里は斉藤一に寂しく話し出す。

「斉藤様。美鈴さんと接する時と全く違いますね。」

斉藤一は明里を普通の表情で見た。

明里は斉藤一に寂しく話し出す。

「今夜は山南先生の代わりに私の傍に居てくれませんか?」

斉藤一は明里に普通に話し出す。

「美鈴さんと比べて欲しいのですか?」

明里は斉藤一を寂しく見た。

斉藤一は明里に普通に話し出す。

「自分が幸せになれる一言を、既に知っています。知っているのに、山南さんに言いません。山南さんに言えない重大な理由があると思えません。」

明里は斉藤一を驚いて見た。

斉藤一は明里を普通の表情で見た。

明里は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は明里を普通の表情で見ている。

明里は斉藤一に心配して話し出す。

「斉藤様には今も心の中に暗い闇が見えます。沖田様は心の中の闇が少しずつ濃くなっているように見えます。今は、山南先生にも心の中に黒い闇が見えます。」

斉藤一は明里を普通の表情で見た。

明里は斉藤一を寂しく見た。

斉藤一は外を普通の表情で見た。



雪が降っている。



斉藤一は明里を見ると、普通に話し出す。

「“我が背子を 今か今かと出て見れば 淡雪降れり 庭もほどろに”。美鈴さんが総司に逢いたいと思いながら俺の前で詠んだ歌です。」

明里は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤様も私も美鈴さんも、大切な物は大事に捕まえなければならないのですね。」

斉藤一は明里を普通の表情で見た。

明里は斉藤一を微笑んで見た。



斉藤一は部屋を普通に出て行った。



明里は外を寂しく見た。



雪が僅かに降っている。



明里外を見ながら、寂しく呟いた。

「“我が背子を 今か今かと出て見れば 淡雪降れり 庭もほどろに”」



暫く後の事。



ここは、屯所。



斉藤一の部屋。



斉藤一は普通に居る。



沖田総司は微笑んで訪ねてきた。



沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。鈴ちゃんは蝋梅を喜んで受け取ってくれました。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。蝋梅は鈴ちゃんに似ていますよね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんと蝋梅を見る約束をしました。斉藤さんも一緒に行きましょう。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「約束ですよ。忘れないでくださいね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。



「我が背子を 今か今かと出て見れば 淡雪降れり 庭もほどろに」

蝋梅は冬に咲き始める花。

蝋梅は春を待つ楽しみを与えてくれる花。

蝋梅は春が訪れると温かさで溶けてしまいそうな花びらを持つ花。



冬から春へ季節がゆっくりと移っていく。




〜 完 〜





はじめに        後書き

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