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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜
〜 弓絃葉 青嵐に舞い 雨に舞い 〜
「あど思へか 阿自久麻山の 弓絃葉の ふふまる時に 風吹かずかも」
「万葉集 第十四巻 三五七二番」より
作者:詠み人知らず
今は初夏。
ここは、京の町。
過ごしやすい日が続いている。
ここは、屯所。
庭。
沖田総司は普通に歩いている。
斉藤一も普通に歩いている。
数人の新撰組隊士の話し声が聞こえてきた。
「昨夜、例の幹部が酒を奢ると言ったので同行した。例の幹部は、斉藤さんへの文句を屯所に戻るまで話していた。断れば良かった。」
「俺も以前に同じ経験をした。」
「例の幹部の家族が最高幹部の養子になってから、驕る言動が目立ち始めたな。」
「例の幹部の家族を養子に選んだ理由は何かな?」
「俺も知りたい。」
「例の幹部は斉藤さんといざこざを起こしてから、斉藤さんを恨んでいるな。」
「斉藤さんは例の幹部といざこざを起こしたと思っているのかな?」
「怖くて確認できない。」
沖田総司は普通に来た。
斉藤一も普通に来た。
数人の新撰組隊士は話しを止めると、沖田総司と斉藤一を驚いて見た。
沖田総司は数人の隊士を普通の表情で見た。
斉藤一も数人の隊士を普通の表情で見た。
数人の隊士は沖田総司と斉藤一に慌てて話し出す。
「私達は少し休憩をしていただけです!」
「私達は一切の関係が有りません!」
「私達は沖田さんと斉藤さんを尊敬しています!」
沖田総司は数人の隊士を普通の表情で見ている。
斉藤一も数人の隊士を普通の表情で見ている。
数人の隊士は慌てて居なくなった。
斉藤一は普通に歩き出した。
沖田総司も普通に歩き出した。
少し後の事。
ここは、屯所。
土方歳三の部屋。
土方歳三は普通に居る。
沖田総司も普通に居る。
土方歳三は沖田総司に普通に話し出す。
「或る新撰組幹部は、家族が新撰組最高幹部の養子になってから、傲慢な言動が目立ち始めた。総司。忠告を頼む。」
沖田総司は土方歳三に普通に話し出す。
「私が忠告をするのですか?」
土方歳三は沖田総司に普通に話し出す。
「或る新撰組幹部より勝る能力を持つ人物から、忠告を受けた後の様子を知りたい。」
沖田総司は土方歳三に普通に話し出す。
「土方さんの話す新撰組幹部は、私より優位な立場だと思っています。私の忠告は効果が無いと思います。」
土方歳三は沖田総司に普通に話し出す。
「俺の忠告は、最終の忠告に近い状況になる。総司の忠告は、僅かに余裕のある状況になる。総司の忠告を無視する程に勘が鈍っているならば、新たな展開を考える。」
沖田総司は土方歳三に普通に話し出す。
「土方さん。念のために、忠告をする新撰組幹部の名前を教えてください。」
土方歳三は沖田総司の耳元に近付くと、沖田総司に普通の表情で何かを囁いた。
沖田総司は土方歳三を普通の表情で見た。
土方歳三は沖田総司の耳元から普通に放れた。
沖田総司は土方歳三に普通に話し出す。
「土方さんからの頼みです。私もいろいろと思います。早急に忠告します。」
土方歳三は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は部屋を普通に出て行った。
少し後の事。
ここは、屯所。
斉藤一の部屋。
斉藤一は普通に居る。
沖田総司は微笑んで訪れた。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。元気ですね。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。先程の出来事を心配して来たのか?」
沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「俺への心配は無用だ。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さんは大切な友達です。斉藤さんを心配になります。斉藤さんを励ましたいです。斉藤さんと楽しく過ごしたいです。斉藤さんと楽しく話したいです。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。俺は普通だ。心配になる、励ます、は解決した。俺と楽しく過ごす、俺と楽しく話すは、実行していない。早く話せ。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。焦らず楽しく話しましょう。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。
暫く後の事。
ここは、京の町。
星が綺麗に輝いている。
ここは、屯所。
土方歳三の部屋。
土方歳三は普通に居る。
斉藤一も普通に居る。
土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。
「斉藤。用件は、二つ有る。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。
「用件、其の一。出掛ける途中で、弓絃葉を見た。万葉集に掲載している弓絃葉を詠んだ歌を思い出した。総司に教えたい歌だが、斉藤に先に教える方が相応しい歌だ。斉藤に歌を先に教える。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。
「“あど思へか 阿自久麻山の 弓絃葉の ふふまる時に 風吹かずかも”。“万葉集 第十四巻 三五七二番”。作者は、不明。歌の意味は、“いったいどういうつもりなんです。阿自久麻山の、弓絃葉が芽を出す時に、風が吹かないことがありましょうか。”、となるそうだ。今の歌は、譬喩歌と伝わっている。“少女のような年齢の女子に、告白などの言動を起こせない友に向かって、時間を延ばすな、早く告白などの言動を起こさないと、誰かにとられるぞ”、という感じで詠んだ歌らしい。」
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「“あど思へか 阿自久麻山の 弓絃葉の ふふまる時に 風吹かずかも”。“万葉集 第十四巻 三五七二番”。作者は、不明。歌の意味は、“いったいどういうつもりなんです。阿自久麻山の、弓絃葉が芽を出す時に、風が吹かないことがありましょうか。”。今の歌は、譬喩歌と伝わる。“少女のような年齢の女子に、告白などの言動を起こせない友に向かって、時間を延ばすな、早く告白などの言動を起こさないと、誰かにとられるぞ”、という感じで詠んだ歌らしい。」
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「さすが斉藤。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤。近い内に、総司と斉藤を俺の部屋に呼ぶ。総司は歌と細やかな感情の話になると、逃げようとする。総司が逃げないように頼む。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。
土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。
「用件、其の二を話す。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一の耳元に顔を近付けると、斉藤一に普通の表情で何かを囁いた。
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
少し後の事。
ここは、京の町。
星が綺麗に輝いている。
ここは、屯所。
縁。
一人の新撰組幹部が酔って歩いている。
沖田総司が普通の表情で現れた。
新撰組幹部は酔って僅かに不機嫌に止まった。
沖田総司は新撰組幹部を普通の表情で見た。
新撰組幹部は沖田総司に酔って僅かに不機嫌に話し出す。
「邪魔だ。」
沖田総司は新撰組幹部に普通に話し出す。
「私は新撰組一番組組長だ。私は貴公に命令される理由は無い。」
新撰組幹部は沖田総司を酔って僅かに不機嫌に見た。
沖田総司は人の一人の新撰組幹部に普通に話し出す。
「貴公の剣術の技術が至らないから、一人の新撰組隊士が立派な最期を遂げられない可能性があった。貴公が至らないから、幾つかの不手際が起きた。貴公の剣術の技術は、私の剣術の技術に遠く及ばない。貴公の剣術の技術は、新撰組三番組組長 斉藤一の剣術の技術にも遠く及ばない。貴公が斉藤一を怨むのは筋違いだ。」
新撰組幹部は沖田総司を酔って僅かに不機嫌に見ている。
沖田総司は新撰組幹部に普通に話し出す。
「新撰組最高幹部の養子になったのは、貴公ではなく、貴公の家族だ。勘違いをするな。」
新撰組幹部は沖田総司を酔って僅かに不機嫌に見ている。
沖田総司は新撰組幹部に普通に話し出す。
「失礼する。」
新撰組幹部は沖田総司を酔って僅かに不機嫌に見ている。
沖田総司は普通に歩き出した。
翌日の事。
ここは、屯所。
沖田総司の部屋。
沖田総司は微笑んで居る。
斉藤一は普通に居る。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。昨夜、何をした?」
沖田総司は斉藤一を考え込んで見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「俺に隠し事は無駄だ。早く話せ。」
沖田総司は斉藤一に僅かに不機嫌に話し出す。
「昨夜、酒に酔って縁を歩く幹部が、私に命令口調で話しました。私は一番組組長なので命令される理由は無い。私の剣術の技術に遠く及ばない。斉藤さんの剣術の技術にも遠く及ばない、新撰組最高幹部の養子になったのは、本人ではなく、家族。以上の内容を話しました。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「俺を心配する気持ちは感謝するが、総司も俺と共に恨まれるぞ。」
沖田総司は斉藤一に僅かに不機嫌に話し出す。
「私の率いる一番組の隊士に酒を奢り、斉藤さんへの不満を話すそうです。斉藤さんの率いる三番組の隊士にも酒を奢り、斉藤さんの不満を話すそうです。斉藤さんに遠く及ばない人物が、斉藤さんより優位の立場だと勘違いをするのが不快です。無関係の部下を巻き込むのも不快です。話せる間に話しました。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。私を心配してくれたのですね。ありがとうございます。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「俺の周辺で面倒な状況を増やしたくないから、総司に確認をした。総司を心配して確認した訳ではない。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。照れないでください。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「照れていない。」
沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
暫く後の事。
ここは、屯所。
土方歳三の部屋。
土方歳三は普通に居る。
沖田総司は微笑んで居る。
斉藤一は普通に居る。
土方歳三は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。
「先日、出掛ける途中で弓絃葉を見た。総司と斉藤に、万葉集に掲載している、弓絃葉を詠んだ歌を教えたいと思った。」
沖田総司は土方歳三に苦笑して話し出す。
「遠慮します。」
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤は総司と共に歌を覚えたいのに、総司は斉藤を置いて居なくなる。斉藤。一人で歌を覚える状況になるな。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は土方歳三に渋々と話し出す。
「斉藤さんを置いて去れません。歌を覚えます。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
土方歳三は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。
翌日の事。
ここは、落ち着いた雰囲気の寺。
境内に、弓絃葉の花が咲いている。
寺の中。
斉藤一は普通に居る。
少女は微笑んで居る。
少女の傍には、包みが置いてある。
少女は斉藤一に微笑んで話し出す。
「以前に、総司さんに弓絃葉の花を見たと話しました。昨日、総司さんが、弓絃葉の花が咲くお寺で逢うために、総司さんと斉藤さんで協力して今日の逢うお寺を見付けたと話しました。」
斉藤一は少女を普通の表情で見た。
少女は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。ありがとうございます。」
斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。
少女は斉藤一に微笑んで話し出す。
「今日は甘さを抑えたお稲荷さんをたくさん作りました。味の好みが合えば、残ったお稲荷さんを屯所にお持ち帰りください。」
斉藤一は少女に普通の表情で首を横に振った。
少女は斉藤一に申し訳なく話し出す。
「ごめんなさい。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「美鈴さんは謝る言動をしていない。安心しろ。」
少女は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「美鈴さん。総司から何を聞いた?」
少女は斉藤一に僅かに困惑して話し出す。
「総司さんが、総司さんの好みのお菓子を用意する機会が続くので、次回は斉藤さんの好みのお菓子を用意が出来るか話しました。私は総司さんにお稲荷さんを提案しました。総司さんからお稲荷さんを用意する費用を頂きました。」
斉藤一は少女を普通の表情で見た。
少女は斉藤一に困惑して話し出す。
「斉藤さん。総司さんと喧嘩をしないでください。」
斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。
少女は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「総司から稲荷寿司を用意する費用を受け取ったとしても、美鈴さんが稲荷寿司を作ったのだろ。俺のために味を調整して稲荷寿司をたくさん作るのは大変だろ。」
少女は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さんの好みの味のお稲荷さんを売るお店が分からないので、私がお稲荷さんを作りました。総司さんと斉藤さんのためにお稲荷さんを作る時間は楽しかったです。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「美鈴さん。俺のために無理をするな。」
少女は斉藤一に微笑んで話し出す。
「無理はしていません。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「美鈴さんの用意する食べ物は美味しい。総司は、俺が美鈴さんの用意する食べ物を一人で食べると、俺が羨ましくなる。総司は俺に何を幾つ食べたか詳しく確認する。落ち着いて食べるために、総司と共に食べる。」
少女は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は少女を普通の表情で見た。
沖田総司が寺の中に笑顔で入ってきた。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。遅くなってごめんね。」
少女は沖田総司に微笑んで首を横に振った。
沖田総司は包みを見ると、少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。包みの中身は何かな?」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「お稲荷さんです。」
沖田総司は少女を見ると、少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。ありがとう。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。楽しみですね。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。
少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。
少し後の事。
ここは、落ち着いた雰囲気の寺。
境内に、弓絃葉の花が咲いている。
寺の中。
沖田総司は笑顔で居る。
斉藤一は普通に居る。
少女は微笑んで居る。
沖田総司の傍には、包みが置いてある。
沖田総司は少女に苦笑して話し出す。
「土方さんが弓絃葉を詠んだ歌を教えてくれたんだ。土方さんは、私より斉藤さんが歌を詠む方が合うと話したんだ。私は歌を覚えたけれど、詠み難い歌なんだ。」
少女は沖田総司と斉藤一を不思議な様子で見た。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「土方さんが説明した歌は、“あど思へか 阿自久麻山の 弓絃葉の ふふまる時に 風吹かずかも”。万葉集の掲載だ。知っているか?」
少女は斉藤一に微笑んで話し出す。
「はい。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「今の歌は、譬喩歌と伝わっている。歌に重ねた別の意味も分かるか?」
少女は斉藤一に不思議な様子で話し出す。
「分からないと思います。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「“少女のような年齢の女子に、告白などの言動を起こせない友に向かって、時間を延ばすな、早く告白などの言動を起こさないと、誰かにとられるぞ”、という感じで詠んだ歌らしい。」
少女は斉藤一を恥ずかしく見た。
沖田総司は斉藤一に赤面して話し出す。
「斉藤さん!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「俺は総司の頼みで歌の説明をした。俺の説明に不満ならば、総司が歌の説明をしろ。」
沖田総司は斉藤一に赤面して話し出す。
「斉藤さんの説明に不満はありません。斉藤さん。説明の続きをお願いします。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一と少女を赤面して見た。
少女も沖田総司と斉藤一を赤面して見た。
翌日の事。
今は夜。
ここは、京の町。
僅かな星のみが輝いている。
辺りは暗さに包まれている。
一人の新撰組幹部が酔って歩いている。
沖田総司の冷たい声が、新撰組幹部の後ろから聞こえた。
「余裕だな。」
新撰組幹部は立ち止まると、後ろを驚いて見た。
沖田総司は新撰組幹部を冷たい表情で見ている。
新撰組幹部は沖田総司を僅かに驚いて見た。
沖田総司は新撰組幹部に冷たく話し出す。
「今夜は暗い。屯所に無事に戻れると良いな。」
新撰組幹部は沖田総司を驚いて見た。
沖田総司は新撰組幹部を冷たい表情で見た。
新撰組幹部は辛い様子で頭を押さえてしゃがみ込んだ。
沖田総司は新撰組幹部を冷たい表情で見ている。
新撰組幹部は辛い様子で頭を押さえて倒れた。
沖田総司は冷たい表情で居なくなった。
暫く後の事。
ここは、京の町。
雨が降っている。
斉藤一は普通の表情で居る。
斉藤一の近くに傘が置いてある。
一人の新撰組幹部が亡骸となって倒れている。
雨は、斉藤一、亡骸となった新撰組幹部、傘を、濡らしている。
斉藤一は傘を拾うと、普通の表情で差した。
斉藤一は傘を差して、普通に歩き出した。
暫く後の事。
ここは、屯所。
縁。
斉藤一は濡れた状態で普通に歩いている。
沖田総司が斉藤一の傍に驚いてきた。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に驚いて話し出す。
「斉藤さん! 何が遭ったのですか?!」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に慌てて話し出す。
「斉藤さん! 濡れた状態で長く居ると風邪をひいてしまいます! 着替えなどを手伝います!」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
斉藤一は普通に歩き出した。
沖田総司は慌てて歩き出した。
僅かに後の事。
ここは、屯所。
斉藤一の部屋。
斉藤一は手拭で体を普通に拭いている。
沖田総司が幾枚もの手拭を持ち、部屋の中に心配して入ってきた。
斉藤一は手拭で体を拭いて、沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一の傍に幾枚もの手拭を心配して置いた。
斉藤一は手拭で体を拭いて、沖田総司に普通に話し出す。
「総司。今夜、何をした?」
沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見た。
斉藤一は手拭で体を拭くのを止めると、沖田総司に普通に話し出す。
「総司。早く話せ。」
沖田総司は斉藤一の体を手拭で拭いて、斉藤一に心配して話し出す。
「斉藤さん。今は体をしっかりと拭いて着替える方が優先です。」
斉藤一は手拭で体を拭いて、沖田総司を普通の表情で見た。
翌日の事。
ここは、京の町。
沖田総司は普通に歩いている。
斉藤一は普通に歩いている。
沖田総司は斉藤一に普通に話し出す。
「亡くなった幹部の検分の結果は、抜刀する間もなく、剣術の技術に優れる左利きの人物に一突きで殺された、ですね。近藤さんと土方さんは、会津藩に頓死と報告しますね。検分の結果が正しいとは限りません。近藤さんと土方さんが決めた報告の内容です。私は異論ありませんが、疑問を抱く隊士がいます。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に普通に話し出す。
「剣術の技術に優れる左利き。幹部が恨む人物。特定の人物を想像する隊士がいます。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。今日は美鈴さんと過ごす日だ。美鈴さんが今の総司を見たら不安になる。」
沖田総司は斉藤一を僅かに驚いて見た。
青嵐が吹いた。
沖田総司は辺りを不思議な様子で見た。
斉藤一は沖田総司と辺りを普通の表情で見た。
青葉が青嵐に乗って揺れている。
沖田総司は辺りを微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司と辺りを普通の表情で見ている。
沖田総司は斉藤一を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。
「はい。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
「あど思へか、阿自久麻山の、弓絃葉の、ふふまる時に、風吹かずかも」
京の町に青嵐が吹く頃。
一人の新撰組幹部が亡くなった。
一人の新撰組幹部は頓死と報告されたが、疑問を抱く人物が居る。
弓絃葉は真実を知っているのか。
青嵐は真実を知っているのか。
雨は真実を知っているのか。
幾年が過ぎた今も謎に包まれている。
〜完〜
はじめに
後書き
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