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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜
〜 弓絃葉 青嵐に舞い 雨に舞い 〜
〜 後書き 〜
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
ここからは後書きになります。
この物語に登場する歌は「万葉集 第十四巻 三五七二番」
作者は「詠み人知らず」
「あど思へか 阿自久麻山の 弓絃葉の ふふまる時に 風吹かずかも」
ひらがなの読み方は「あどもへか あじくまやまの ゆづるはの ふふまるときに かぜふかずかも」
歌の意味は「いったいどういうつもりなんです。阿自久麻山(あじくまやま)の、弓絃葉(ゆづるは)が芽を出す時に、風が吹かないことがありましょうか。」となるそうです。
原文は「安杼毛敝可 阿自久麻夜末乃 由豆流波乃 布敷麻留等伎尓 可是布可受可母」
この歌は「譬喩歌(ひゆか)」とされています。
まだつぼみの女性(少女らしい)にアクションできないでいる友に向かって、「おいおい、なにグスグズしているんだよ。早くしないと誰かにとられちゃうぞ。」という感じで詠んだ歌なのかも知れないそうです。
「阿自久麻山(あじくまやま)」がどこかは分かっていませんが、「茨城県つくば市筑波地区」のいずれかではないかと考えられています。
歌と意味の部分は「ゆづるは」を使用しました。
「譲葉(ゆずりは)」についてです。
「交譲葉」とも書きます。
「ゆずるは」(“譲葉”、または、“弓絃葉”、と書く)は、古名です。
ユズリハ科の常緑高木です。
以前は花のつき方などから、トウダイグサ科に分類されていました。
日本では、福島県以西、四国、九州、沖縄県、で自生しています。
葉は、革質で光沢のある長楕円形で、裏面は白緑色で、柄は赤く、枝先に集まって互生します。
雌雄異株です。
現在の暦で初夏(4月〜5月)の頃に、くすんだ赤黒のつぼみをつけ、黄緑色の小花をつけ、実はやや丸くて藍色をしています。
新葉が出てから古い葉が落ちるので、新旧相ゆずるという縁起を祝って、新年の飾りに使う、親が子を育てて家が代々続いていく様子に見立てて、繁栄の象徴とされ、庭木として栽培する、などしています。
新年の季語です。
万葉集には、二首だけに登場します。
薬用として栽培と利用する事があります。
用部は、樹皮、葉、です。
効能は、駆除剤、です。
有毒部分があるとの説明があります。
詳細は各自でご確認ください。
今回の物語に登場する、斉藤一さんと幹部隊士の間に起きた出来事は、基になった出来事を参考にしました。
基になった出来事を簡単に書きます。
慶応二年四月一日(1866年5月15日)に、屯所に新撰組幹部が殺されていると報告が入ります。
当日は雨が降っていたそうです。
亡くなった状態で見付かった新撰組幹部は、七番組組長の谷三十郎さんです。
屯所に居た当日の当番の一人が、斉藤一さんでした。
屯所内は新撰組幹部が殺されたと伝わったため、騒ぎになったそうです。
斉藤一さんは大騒ぎの時に姿が見えず、騒ぎの最中に、ずぶ濡れで現れたそうです。
殺された谷三十郎さんの検分をすると、谷三十太郎さんは刀を抜刀する事なく、一突きで殺されていたそうです。
その場に居た隊士達は、谷三十郎さんを殺した人物は、かなりの剣の使い手だから、斉藤一さんのようだと話したそうです。
斉藤一さんはその話しを聞いて、笑ったとか、適当に話をはぐらかした、などと伝わっているそうです。
斉藤一さんの様子を見た隊士達は、怪しい雰囲気を感じたそうです。
斉藤一さんと谷三十郎さんの間には、いざこざがあったと伝わっています。
いざこざの理由は、或る新撰組隊士の切腹の時に起きた出来事と伝わっています。
しかし、いざこざの基になったと伝わる切腹した新撰組隊士のお墓には、慶応三年正月十日の日付が刻まれているそうです。
谷三十郎さんの弟(息子の説もある)の周平さんは、近藤勇さんの養子になりました。
谷三十郎さんは、周平さんが養子になってから、威張る言動をするようになったそうです。
谷三十郎さんを嫌う新撰組隊士、谷三十郎さんを疎ましく思う新撰組隊士、などが現れたそうです。
谷三十郎さんは、酒豪だったと伝わっています。
谷三十郎さんは、斉藤一さんに殺された(命令、本人の意思、も含めて)、攘夷派による暗殺、酒宴の席の喧嘩が基で相手に殺された、過度の飲酒による脳卒中、などが伝わっています。
会津藩などには、谷三十郎さんは「頓死(とんし)」(意味:突然に亡くなること。急死。)と報告しているそうです。
切腹をした新撰組隊士のお墓に刻まれた亡くなった日付は、正しいのか、何かの事情で決まったのか、分かりません。
分からない部分があり、斉藤一さんが疑われる状況が幾つか有るので、怪しい雰囲気になっていたと思います。
詳細は各自でご確認ください。
「新撰組異聞 短編 雷鳴 蓮始開」も同じ出来事を基にした物語ですが、別な出来事の物語になります。
この物語の時間設定は、慶応二年四月一日より前を想定して書いたため、基になった出来事として物語を読んでください。
ご了承ください。
「貴公(きこう)」は「二人称の人代名詞。男性が、対等、又は、目下の男性に対して用いる。江戸前期には、武士が目上の男子に対して敬意をもって用いたが、次第に尊敬度が落ち、江戸末期には、現在の用いられ方になった。」だそうです。
「青嵐」は、「あおあらし」、または、「せいらん」、と読みます。
「あおあらし」と読むと「初夏の青葉を揺すって吹き渡るやや強い風。」(夏の季語)です。
楽しんで頂けると嬉しいです。
はじめに
本編
目次
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