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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 冬月に見る夢 初夢 暮るるものとは知りながら 〜


〜 改訂版 〜


登場人物

沖田総司、斉藤一、少女[美鈴・鈴]

夜の国の登場人物、夢、謎の男性、妖精あき



「明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほ恨めしき 朝ぼらけかな」

「小倉百人一首 五十二番」、及び、「後拾遺集」より

作者:藤原信道朝臣(ふじわらのぶみちあそん)



年の暮れが近付いている。



ここは、京の町。



ここは、沖田総司と少女が、良く訪れる寺。



本堂。



沖田総司は微笑んで居る。

少女も微笑んで居る。



沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。初夢のために七福神の絵を枕に敷いて寝ている?」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんが見たい初夢は何かな?」

少女は沖田総司を恥ずかしく見た。

沖田総司は少女に苦笑して話し出す。

「夢の話は他人には秘密だよね。気付かなくてごめんね。」

少女は沖田総司に恥ずかしく首を横に振った。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女も沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女を赤面して見た。

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は少女に赤面して微笑んで話し出す。

「私も見たい初夢があるんだ。私も鈴ちゃんも、希望の初夢が見られると良いね。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女を赤面して微笑んで見た。



幾日か後の事。



新しい年を迎えている。



今夜の見る夢を初夢と呼ぶ日になる。



ここは、少女の家。



少女の部屋。



少女は寝巻きを着て、紙を持ち、微笑んで居る。

床の準備は終わっている。



少女の持つ紙には、七福神の絵に回文が書かれている。



少女は紙を枕の下に敷くと、微笑んで呟いた。

「総司さんも私も、希望の初夢が見られますように。」

少女は床に微笑んで着いた。



僅かに後の事。



ここは、屯所。



沖田総司の部屋。



沖田総司は寝巻きを着て、紙を持ち、微笑んで居る。

床の準備は終わっている。



沖田総司の持つ紙には、七福神の絵に回文が書かれている。



沖田総司は紙を枕の下に敷くと、微笑んで呟いた。

「私も鈴ちゃんも、希望の初夢が見られますように。」

沖田総司は床に微笑んで着いた。



暫く後の事。



ここは、屯所。



沖田総司の部屋。



沖田総司は床の中で静かに寝ている。



部屋の中が不思議な空気に包まれた。



沖田総司は床の中で、ゆっくりと目を開けた。



少女が沖田総司を笑顔で見ている。



沖田総司には、少女と同じ容姿の、夜の国の住人の“夢”だと直ぐに分かった。



沖田総司は床の中で、夢に微笑んで話し出す。

「こんばんは。夢ちゃんだよね。」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「こんばんは。総司さん。今夜は初夢です。夜の国へ招待します。」

沖田総司は床の上に体を起こすと、夢を微笑んで見た。

夢は沖田総司に微笑んで抱き付いた。

沖田総司は床の上に体を起こし、赤面して動きを止めた。

夢は沖田総司を抱いて、沖田総司を微笑んで見た。



沖田総司は赤面して動きを止めて、不思議な空気に包まれた。

夢は沖田総司を微笑んで抱いて、不思議な空気に包まれた。



一瞬の後の事。



ここは、夜の国。



落ち着いた雰囲気の家。



一室。



暖かい空気に包まれている。



沖田総司は赤面して動きを止めて、静かに現れた。

夢は沖田総司を微笑んで抱いて、静かに現れた。



夢は沖田総司から微笑んで放れた。

沖田総司は夢を赤面して見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。照れ屋さんですね。」

沖田総司は部屋の中を赤面して見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。暖かい場所が希望ですよね。今回も希望に合う、暖かい部屋を用意しました。」

沖田総司は夢を赤面して微笑んで見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。初夢を楽しんでください。」

沖田総司は夢に微笑んで頷いた。

夢は扉を微笑んで指した。

沖田総司は扉を不思議な様子で見た。



扉に変わった様子は無い。



夢は微笑んで、静かに居なくなった。



斉藤一が部屋の中に普通の表情で入ってきた。

少女は部屋の中に微笑んで入ってきた。



沖田総司は斉藤一と少女に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。鈴ちゃん。こんばんは。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。こんばんは。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。今夜の夜の国も初夢なんだ。今夜の夜の国で何をしたい?」

少女は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「小倉百人一首のかるた取りをしたいです。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。かるたを詠む担当は誰に頼めば良いと思いますか?」

少女は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「私がかるたを詠みましょうか?」

斉藤一が少女に普通に話し出す。

「美鈴さんがかるたを詠むと、俺と総司が、かるたを取る状況になる。かるたを詠む役目は、別な人物に頼みたい。」

沖田総司は斉藤一と少女に微笑んで頷いた。



妖精のあきが微笑んで、静かに現れた。



妖精のあきは、沖田総司、斉藤一、少女、に微笑んで話し出す。

「こんばんは。」

少女は妖精のあきに微笑んで話し出す。

「あきちゃん。こんばんは。」

沖田総司は妖精のあきに微笑んで話し出す。

「こんばんは。」

斉藤一は妖精のあきに普通の表情で頷いた。

少女は妖精のあきに微笑んで話し出す

「総司さんと斉藤さんと私で、小倉百人一首のかるた取りをするの。かるたを詠む担当を探しているの。」

妖精のあきは少女に微笑んで話し出す。

「私が小倉百人一首のかるたを詠みます。」

少女は妖精のあきに微笑んで話し出す。

「あきちゃん。ありがとう。」

沖田総司は妖精のあきに不思議な様子で話し出す。

「あきちゃんは体が小さいよね。かるたを持つと重いよね。」

妖精のあきは沖田総司に微笑んで話し出す。

「大丈夫です。」

沖田総司は机に詠む方のかるたを微笑んで置いた。

妖精のあきは机の傍に微笑んで来た。

沖田総司は、斉藤一、少女、妖精のあきに、微笑んで話し出す。

「小倉百人一首のかるた取りを始めよう。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

妖精のあきは沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は、斉藤一、少女、妖精のあきを、微笑んで見た。



少し後の事。



ここは、夜の国。



落ち着いた雰囲気の家。



一室。



沖田総司は微笑んで居る。

斉藤一は普通に居る。

少女は微笑んで居る。

沖田総司の前、斉藤一の前、少女の前には、かるたが並んでいる。

妖精のあきは微笑んで居る。

妖精のあきの傍には、かるたが置いてある。



妖精のあきは、かるたを微笑んで詠む。

少女は、妖精のあきがかるたを詠むと、かるたを直ぐに取る。

斉藤一も、妖精のあきがかるたを詠むと、かるたを直ぐに取る。

沖田総司は思うようにかるたが取れない。



少女が斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。かるたを早く取りますね。斉藤さんの小倉百人一首の覚えた方法が知りたいです。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「小倉百人一首のかるたを早く取る覚え方を覚えた。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「良く考えると、小倉百人一首のかるたを早く取るためには、小倉百人一首を全て覚える必要はないですね。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さんはかるたを早く取るために、小倉百人一首を覚えた訳ではない。美鈴さんは今の歌の覚え方を続けろ。」

少女は斉藤一に微笑んで頷いた。

沖田総司は斉藤一と少女を落ち込んで見た。

妖精のあきは沖田総司に不思議な様子で話し出す。

「総司さん。大丈夫ですか?」

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一と少女に落ち込んで話し出す。

「斉藤さんも鈴ちゃんも、かるたがたくさん取れる。私は、かるたがたくさん取れない。」

少女は沖田総司に心配して話し出す。

「総司さんもかるたを取っています。」

沖田総司は少女に拗ねて話し出す。

「数枚のかるたを取っただけだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんは剣が物凄く強いです。」

沖田総司は少女に拗ねて話し出す。

「今は、剣に関する内容の話ではなく、かるたに関する内容の話だ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんは優しくて頼りになります。」

沖田総司は少女に拗ねて話し出す。

「鈴ちゃん。無理に褒めないで。更に寂しくなる。」

少女は沖田総司を申し訳なく見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。美鈴さんに八つ当たりをするな。」

沖田総司は斉藤一に拗ねて話し出す。

「斉藤さんも、私がかるたをたくさん取れないので呆れていますね。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

少女は沖田総司を心配して見た。



沖田総司は部屋から悔しい様子で出て行った。



斉藤一は少女に普通に話し出す。

「少し経てば、気持ちが落ち着いて戻ってくる。」

少女は斉藤一に寂しく話し出す。

「総司さんは優しくて頼りになります。私は総司さんを呆れていません。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「全ての面に優れる人物はいない。総司は美鈴さんを羨ましく思う部分がある。総司を許して欲しい。」

少女は斉藤一に不安な様子で頷いた。

斉藤一は妖精のあきに普通に話し出す。

「俺と美鈴さんが夜の国で総司を探すと目立つ。俺と美鈴さんの代わりに、総司の様子を確認して欲しい。」

妖精のあきは斉藤一に微笑んで頷いた。



妖精のあきは微笑んで、静かに居なくなった。



僅かに後の事。



ここは、夜の国。



夢の家。



一室。



暖かい空気に包まれている。



夢は微笑んで居る。



沖田総司は落ち込んだ様子で、静かに現れた。



夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。何かありましたか?」

沖田総司は夢に心配して話し出す。

「私と斉藤さんと鈴ちゃんで、小倉百人一首のかるたを取っていた。斉藤さんと鈴ちゃんは、かるたをたくさん取った。私はかるたをたくさん取れなかった。斉藤さんは記憶力が優れる人物だ。鈴ちゃんは物覚えの良い子だ。斉藤さんも鈴ちゃんも、小倉百人一首の歌を全て覚えている。私は覚えていない小倉百人一首の歌がある。斉藤さんも鈴ちゃんも、私よりかるたをたくさん取って当然だ。私は当然の事実に対して落ち込んでしまった。私は鈴ちゃんに八つ当たりをしてしまった。斉藤さんも鈴ちゃんも、私を呆れてしまった。」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「斉藤さんも美鈴さんも、総司さんを呆れていません。斉藤さんも美鈴さんも、総司さんの戻る時を待っています。」

沖田総司は夢を不安な様子で見た。

夢は沖田総司の背中を微笑んで思い切り押した。



沖田総司は驚いた表情で前に出た。



直後の事。



ここは、夜の国。



落ち着いた雰囲気の家。



一室。



暖かい空気に包まれている。



斉藤一は普通に居る。

少女は寂しく居る。

斉藤一と少女の近くに、かるたが並んでいる。



沖田総司は赤面して驚いた表情で、静かに現れた。



斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

少女は沖田総司を驚いて見た。

沖田総司は少女に赤面して大きな声で話し出す。

「鈴ちゃんは物覚えが良い子だ! 鈴ちゃんはかるたをたくさん取れて当然だ! 鈴ちゃんは凄い! 私が悪かった! 許してくれ!」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんが怒っていません。良かったです。」

沖田総司は少女を安心して見た。

少女は沖田総司を微笑んで見た。



斉藤一は普通の表情で、静かに居なくなった。



直後の事。



ここは、夜の国。



夢の家。



一室。



若い男性が微笑んで居る。

卓に、酒、肴、お茶、お茶受け、などが置いてある。



斉藤一は普通の表情で、静かに現れた。



若い男性は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。待っていました。」

斉藤一は男性に普通の表情で頷いた。

若い男性は斉藤一に杯を微笑んで渡した。

斉藤一は若い男性から杯を普通の表情で受け取った。

若い男性は斉藤一の杯に酒を微笑んで注いだ。

斉藤一は杯を持ち、若い男性に普通の表情で頷いた。

若い男性は杯に酒を微笑んで注いだ。

斉藤一は杯の酒を普通の表情で飲んだ。

若い男性は杯の酒を飲むと、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんの住む所に、初夢に縁起が良い物を表わす言葉で、“一富士、二鷹、三なすび”、がありますよね。今年も良い年になるように願いを込めて、“一富士、二鷹、三なすび”、を全て揃えました。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、辺りを普通の表情で見た。

若い男性は杯の酒を飲みながら、斉藤一に微笑んで話し出す。

「外に、“一富士”、が見えます。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、外を普通の表情で見た。



富士山が見える。



若い男性は杯の酒を飲むのを止めると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「杯の柄が、“二鷹”、です。」

斉藤一は杯を飲むのを止めると、斉藤一の持つ杯と若い男性が持つ杯を普通の表情で見た。

若い男性は杯の酒を飲むと、斉藤一に微笑んで話し出す。

「残る“三なすび”が登場します。」

斉藤一は杯の酒を飲むと、若い男性を普通の表情で見た。



夢が漬物を微笑んで持ち、静かに現れた。



夢は漬物を卓に置くと、斉藤一に微笑んで話し出す。

「三皿の茄子のお漬物を用意しました。お皿の柄は茄子です。“三なすび”です。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、茄子の漬物と茄子の柄の皿を普通の表情で見た。

夢は湯飲みを持つと、斉藤一に微笑んで話し出す。

「湯飲みの柄は、松、竹、梅、です。“一富士、二鷹、三なすび”を揃えました。縁起が良いです。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、夢と若い男性に普通の表情で頷いた。

若い男性は杯の酒を飲みながら、斉藤一を微笑んで見た。

夢は湯飲みを持ち、斉藤一と若い男性を微笑んで見た。



僅かに後の事。



ここは、夜の国。



落ち着いた雰囲気の家。



一室。



暖かい空気に包まれている。



沖田総司は微笑んで居る。

少女も微笑んで居る。

沖田総司と少女の近くに、かるたが並んでいる。



沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「屋内から富士山が見える。屋内に有る湯飲みの柄は、鷹の絵だね。“一富士”と“二鷹”は、揃っているね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「お茄子関連を用意すると、“一富士、二鷹、三なすび”が揃いますね。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。



妖精のあきが茄子の漬物を持ち、微笑んで、静かに現れた。



妖精のあきは茄子の漬物を持ち、沖田総司と少女に微笑んで話し出す。

「斉藤さんから、預かりました。」

少女は妖精のあきに微笑んで話し出す。

「ありがとう。」

沖田総司は妖精のあきに微笑んで話し出す。

「ありがとう。」

妖精のあきは茄子の漬物を机に置くと、沖田総司と少女に微笑んで話し出す。

「“一富士、二鷹、三なすび”が揃いました。良かったですね。」

沖田総司は妖精のあきに微笑んで頷いた。

少女も妖精のあきに微笑んで頷いた。

妖精のあきは沖田総司と少女を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。私は歌の勉強を更に励む。次に小倉百人一首のかるた取りをする時は、手加減しないでね。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は妖精のあきに微笑んで話し出す。

「あきちゃん。次にかるたを詠む役目を頼んだ時も受けてくれると嬉しいな。」

妖精のあきは沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は妖精のあきを微笑んで見た。

妖精のあきは沖田総司に微笑んで話し出す。

「良い機会なので、少しだけ歌の勉強をします。“明けぬれば 暮るるものとは〜♪”、から始まる歌のかるたが分かりますか?」

沖田総司はかるたを真剣な表情で見た。

少女はかるたを微笑んで見た。

沖田総司はかるたを真剣な表情で取った。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

妖精のあきも沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司はかるたを持ち、少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃん! “明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほ恨めしき 朝ぼらけかな”。私達と逆だね!」

少女は沖田総司を恥ずかしく見た。

沖田総司はかるたを傍に置くと、少女を赤面して見た。



斉藤一が普通の表情で、静かに現れた。



斉藤一は沖田総司の背中を普通の表情で押した。

沖田総司は少女を驚いた表情で抱いた。

少女は沖田総司を驚いた表情で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は本当に面倒だ。」



斉藤一は普通の表情で、静かに居なくなった。



沖田総司は少女を抱いて、少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん。大丈夫。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「大丈夫です。」

沖田総司は少女を抱いて、少女に微笑んで話し出す。

「朝を迎えて起きた後に、鈴ちゃんに逢いに行きたいな。鈴ちゃんに逢えたら、明るい時間も暗い時間も逢っているから、歌を詠んだ作者が羨ましいと思うね。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。



「明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほ恨めしき 朝ぼらけかな」

沖田総司、斉藤一、少女は、夜の国で過ごしている。

沖田総司の初夢、斉藤一の初夢、少女の初夢は、暫く続く。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の展開と物語を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承ください。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語に登場する歌は、「小倉百人一首 五十二番」、及び、「後拾遺集」。

「明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほ恨めしき 朝ぼらけかな」

ひらがなの読み方は「あけぬれば くるるものとは しりながら なほうらめしき あさぼらけかな」

作者は「藤原信道朝臣(ふじわらののぶみちあそん)」

歌の意味は「夜が明けてしまうとあなたは帰ってしまう。やがてまた日が暮れるとあなたに逢えるとわかっていても、それでもなお恨めしい夜明けですよ。」となるそうです。

この歌の作者の藤原信道朝臣は、若くして亡くなったそうです。

「初夢」についてです。

「大晦日、新年、一月二日、節分等」に見る夢の事をいいます。

一般的には、その中で「新年に初めて見る夢」の事を「初夢」といいます。

初夢の内容で一年の吉凶を占う風習があります。

以前は、十二月三十一日から一月一日にかけての夜は眠らずに過ごすのが一般的だったそうです。

室町時代頃から、良い夢を見るには、七福神の乗った宝船の絵に「永き世の遠(とお)の眠(ねぶ)りの皆目覚め 波乗り船の音の良きかな」という回文の歌を書いたものを枕の下に入れて眠ると良いとされているそうです。

これでも、悪い夢を見た場合には、翌朝に宝船の絵を川に流して縁起直しをするそうです。

初夢に見ると縁起が良いものとされていることわざに、「一富士、二鷹、三なすび」があります。

この三つの組み合わせは、江戸時代初期には既にあったそうです。

沖田総司、斉藤一、鈴ちゃんが、初夢の日に夜の国に行く物語です。

沖田総司さん、斉藤一さん、鈴ちゃんが、夜の国に幾度も訪れるきっかけになった物語は「新撰組異聞 真夏の夜の夢」です。

冬月(とうげつ)」は「冬の季節。冬の夜の月。寒月。」です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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