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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 睦月 春のくらばかくしこそ 〜


〜 改訂版 〜



登場人物

近藤勇、土方歳三、沖田総司、斉藤一、少女[美鈴・鈴]



「正月 立ち春の来らば かくしこそ 梅を折りつつ 楽しき終へめ」

「万葉集 第五巻 八一五番」

作者:大弐紀卿(だいにきのまえつきみ)



一年の終わりが近付く頃。



今は夜。



ここは、京の町。



料亭。



一室。



近藤勇は杯の酒を微笑んで飲んでいる。

土方歳三も杯の酒を微笑んで飲んでいる。

膳には、酒と肴が載っている。



近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「みんなで正月の間に酒を飲む機会を作りたい。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇に微笑んで話し出す。

「俺は賛成だ。みんなも近藤さんの考えを知れば喜ぶ。」

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「歳。準備を頼む。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇に微笑んで頷いた。

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「歳。総司に新年の挨拶回りを頼むだろ。総司の新年の挨拶回りの日に、総司が仲良の良い女の子に新年の挨拶をする時間を作って欲しい。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇に微笑んで話し出す。

「近藤さんの頼む件は、既に考え中だ。早く調整する。」

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「歳。ありがとう。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇に微笑んで頷いた。

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「あの子に関する出来事で、総司も含めていろいろな出来事があったらしいな。あの子の家に挨拶をしたいと幾度も考える。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇に考え込んで話し出す。

「今の状況は、俺が挨拶をするのは早くて、近藤さんが挨拶をするのは更に早い。今回は、総司が一人で挨拶する方法が良い。」

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「総司は斉藤を信頼している。斉藤は冷静沈着で総司と同等の立場だ。斉藤は総司と共に新年の挨拶をしても違和感が無いと思う。」

土方歳三は杯の酒を飲んで、近藤勇に微笑んで話し出す。

「斉藤とあの子は、一度も会っていないそうだ。斉藤があの子とあの子の家の人達に新年の挨拶をするのは早いと思う。」

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「斉藤は総司に途中まで同行して、総司が一人で新年の挨拶をする、で良いかな?」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇に微笑んで頷いた。

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「私も歳も、総司とあの子が気になっているな。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、近藤勇に微笑んで頷いた。

近藤勇は杯の酒を飲みながら、土方歳三を微笑んで見た。

土方歳三も杯の酒を飲みながら、近藤勇を微笑んで見た。



翌日の事。



ここは、屯所。



土方歳三の部屋。



土方歳三は普通に居る。



斉藤一は普通に訪ねてきた。



土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤。話しがある。」

斉藤一は土方歳三に普通に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。



少し後の事。



ここは、屯所。



縁。



沖田総司は微笑んで歩いている。



土方歳三が普通に来た。



沖田総司は土方歳三を不思議な様子で見た。

土方歳三は沖田総司に普通に話し出す。

「総司と斉藤に話がある。少し経ったら、総司と斉藤で俺の部屋に来てくれ。」

沖田総司は土方歳三に不思議な様子で話し出す。

「はい。」



土方歳三は普通に居なくなった。



沖田総司は不思議な様子で居なくなった。



少し後の事。



ここは、屯所。



土方歳三の部屋。



土方歳三は普通に居る。

机の上には、紙が置いてある。



沖田総司は僅かに困惑した様子で訪れた。



沖田総司は土方歳三に僅かに困惑して話し出す。

「土方さん。斉藤さんが見付かりません。」

土方歳三は沖田総司に普通に話し出す。

「斉藤には俺が別に時間を作って話す。今は総司に話す。」

沖田総司は土方歳三を安心した表情で見た。

土方歳三は沖田総司に普通に話し出す。

「総司と斉藤で新年の挨拶を数ヶ所ほど頼みたい。」

沖田総司は土方歳三に笑顔で話し出す。

「はい!」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。任務を頼んだのに、嬉しい様子に見える。」

沖田総司は土方歳三に笑顔で話し出す。

「今回の土方さんの頼む任務の内容は安全なので、斉藤さんと安心して長く過ごせます! 楽しみです!」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。近藤さんの名代の新年の挨拶になる。分かっているのか?」

沖田総司は笑顔で土方歳三に話し出す。

「はい! 分かっています! 斉藤さんと共にしっかりと挨拶をします! 安心してください!」

土方歳三は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は土方歳三を笑顔で見た。

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。別な内容の話に移る。」

沖田総司は土方歳三に笑顔で話し出す。

「はい!」

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。女の子の友達がいるのだろ。剣術関連の突出した才能の他に、風情な面の才能もある雰囲気を見せろ。女の子の友達が総司を見直すぞ。」

沖田総司は土方歳三に不思議な様子で話し出す。

「彼女は私が風情な面に関して話さなくても気にしません。」

土方歳三は沖田総司に紙を差し出すと、沖田総司に微笑んで話し出す。

「女の子の友達と新年になって初めて会う時に、今回の渡す紙の内容を書き写した文と女の子の友達が喜ぶ花を贈れ。」

沖田総司は土方歳三から紙を不思議な様子で受け取った。

土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。女の子の友達の家の人に、僅かで良いから風情な雰囲気を見せろ。女の子の友達は、家の人に総司が褒められると嬉しくなる。歌に関しても精進しろ。」

沖田総司は紙を持ち、紙を真剣な表情で見た。

土方歳三は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は紙を持ち、紙を見て真剣な表情で話し出す。

「分かりました。」

土方歳三は沖田総司を微笑んで見た。



少し後の事。



ここは、屯所。



縁。



沖田総司は微笑んで歩いている。



斉藤一は普通に歩く姿が見える。



沖田総司は斉藤一に笑顔で声を掛ける。

「斉藤さん!」



斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。



沖田総司は笑顔で来た。



斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 私と斉藤さんで、近藤さんの名代で新年の挨拶回りをします! 嬉しいです!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一を笑顔で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。嬉しいのか?」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「はい!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を笑顔で見た。



幾日か後の事。



忙しい日々が過ぎ、新年を迎えている。



ここは、京の町。



沖田総司は微笑んで歩いている。

斉藤一は普通に歩いている。



斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。新年の挨拶の場所に着くまでと新年の挨拶の場所から離れるまでは、楽しい姿だな。新年の挨拶の時は落ち着いた雰囲気になるな。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「新撰組の局長の近藤さんの名代で、新年の挨拶をします。落ち着いた雰囲気で新年の挨拶をおこないわいと、近藤さんに迷惑が掛かります。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは、新年の挨拶の前後も、新年の挨拶の時も、普段と同じですね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。



暫く後の事。



ここは、落ち着いた雰囲気の寺。



本堂。



沖田総司は微笑んで入ってきた。

斉藤一は普通に入ってきた。



沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「新年の挨拶回りが早く終わったから、休憩をするのですね!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「新年の挨拶回りは終わっていない。」

沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「次の新年の挨拶の場所は、事前の準備が必要だ。土方さんから受け取った紙の内容を書き写した紙の用意はしてあるな。」

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「土方さんが新年の挨拶回りに持っていくように話したので、持ってきました。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。隊服を脱げ。」

沖田総司は隊服を不思議な様子で脱いだ。

斉藤一は隊服を普通の表情で脱いだ。

沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司の隊服と斉藤一の隊服を持つと、沖田総司に普通に話し出す。

「総司。次の準備を始める。」

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「はい。」



斉藤一は沖田総司の隊服と斉藤一の隊服を持ち、本堂の外に普通に出て行った。

沖田総司は本堂の外に不思議な様子で出て行った。



少し後の事。



ここは、京の町。



沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、不思議な様子で歩いている。

斉藤一は普通に歩いている。



沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、赤面して止まった。

斉藤一は普通の表情で止まった。



沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、斉藤一に赤面して話し出す。

「斉藤さん。私と斉藤さんが歩く道は、鈴ちゃんの家に続く道です。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「今から新年の挨拶に行く。」

沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、斉藤一に赤面して話し出す。

「私と斉藤さんで、鈴ちゃんに新年の挨拶をするのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺と美鈴さんは、一度も話していない。俺が美鈴さんと話す前に新年の挨拶をすると、美鈴さんと美鈴さんの家族が不思議に思う。俺は美鈴さんの家に行かない。総司が一人で新年の挨拶をする。」

沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、斉藤一に赤面して話し出す。

「斉藤さんは行かないのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、斉藤一を赤面して見た。

斉藤一は沖田総司の腕を普通に掴んだ。



斉藤一は沖田総司の腕を掴み、普通に歩き出した。

沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、赤面して歩き出した。



少し後の事。



ここは、少女の家の傍。



斉藤一は沖田総司の腕を掴み、普通に来た。

沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、赤面して来た。



斉藤一は沖田総司の腕を放すと、沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、斉藤一を赤面して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。昨年の間に、美鈴さんに幾回も迷惑を掛けて、美鈴さんに幾回も感謝したのだろ。美鈴さんと美鈴さんの家族に、新年の挨拶をしっかりとしろ。」

沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、斉藤一に赤面して緊張して話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。今回の新年の挨拶は、近藤さんと土方さんからも、頼まれている。」

沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、斉藤一に赤面して怪訝な様子で話し出す。

「斉藤さん。近藤さんと土方さんが話の中に登場する理由は何ですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は頻繁に会う人物に、多大な迷惑を掛けている。総司が様々な内容を考え付いて新年の挨拶を渋る可能性がある。総司が新年の挨拶を渋ると、総司の評価は下がり、上役の土方さんの評価は更に下がり、上役の近藤さんの評価は更に更に下がる。総司のために、新撰組の評価が下がる。近藤さんと土方さんが、総司の心配をするのは当然だ。」

沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、斉藤一に赤面して拗ねて話し出す。

「私は頻繁に逢う人物に多大な迷惑を掛けているのですか? 酷いです。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は美鈴さんに一度も迷惑を掛けていない自信があるから、美鈴さんと美鈴さんの家族に新年の挨拶をしないんだ。」

沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、斉藤一を赤面して驚いて見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんと美鈴さんの家族に新年の挨拶をする判断は、総司に任せる。俺は近藤さんと土方さんに総司の考えを伝えるために戻る。」

沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、斉藤一に赤面して驚いて話し出す。

「斉藤さん! 待ってください! 私は鈴ちゃんにたくさん迷惑を掛けています! 新年の挨拶をします!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、斉藤一を赤面して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。早く行け。」

沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、斉藤一を赤面して緊張した様子で見た。

斉藤一は沖田総司の背中を強く押した。



沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、赤面して驚いた表情で前に出た。



沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、辺りを赤面して驚いて見た。



斉藤一の姿は見えない。



沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、少女の家へと赤面して緊張して歩き出した。



少し後の事。



ここは、少女の家。



玄関。



沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、緊張して居る。



少女は微笑んで来た。



沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、少女を緊張して見た。

少女は沖田総司に不思議な様子で話し出す。

「総司さん。何かありましたか?」

沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、少女に僅かに緊張して話し出す。

「昨年、鈴ちゃんに様々な世話になった。斉藤さんが新年の挨拶を勧めた。鈴ちゃんに新年の挨拶に来た。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私は総司さんに様々な迷惑を掛けました。私が総司さんに新年の挨拶をする立場です。新年からお気遣いありがとうございます。」

沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんが屯所に新年の挨拶に行けないから、私が鈴ちゃんの家に来た。鈴ちゃん。気にしないで。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「お気遣いありがとうございます。」

沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。今年もよろしくお願いいたします。」

沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。今年もよろしくお願いします。」

少女は沖田総司に微笑んで軽く礼をした。

沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、少女に微笑んで軽く礼をした。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は梅の花の咲く小枝を持ち、梅の花の咲く小枝に小さい紙を巻き付けた。

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。

沖田総司は少女に梅の花の咲く小枝を差し出すと、少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。受け取って。」

少女は沖田総司から梅の花の咲く小枝を受け取ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。梅の花の咲く小枝に巻き付けた紙を、直ぐに読んでくれるかな?」

少女は梅の花の咲く小枝を持ち、紙を微笑んで丁寧に取った。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は梅の花の咲く小枝を持ち、紙を不思議な様子で見た。

沖田総司は少女を微笑んで見ている。

少女は梅の花の咲く小枝と紙を持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。

「素敵なお歌です。梅の花は綺麗です。総司さんはたくさんの内容をご存知です。凄いです。」

沖田総司は少女に照れて話し出す。

「私は、剣術関係の指導をする立場だけど、歌を含める風流は指導を受ける立場なんだ。凄くないよ。」

少女は梅の花の咲く小枝と紙を持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。

「私も総司さんとお歌についてたくさんお話しをするために努力します。」

沖田総司は少女に照れて話し出す。

「私も努力するね。」

少女は梅の花の咲く小枝と紙を持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。謙遜をしないでください。」

沖田総司は少女に照れて話し出す。

「謙遜していないよ。」

少女は梅の花の咲く小枝と紙を持ち、沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に照れて話し出す。

「鈴ちゃん。近い内に、歌のとおり梅の花を一緒に見に行こうね。」

少女は梅の花の咲く小枝と紙を持ち、沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。鈴ちゃんの家の人にも新年の挨拶をしたいんだ。大丈夫かな?」

少女は梅の花の咲く小枝と紙を持ち、沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女を微笑んで見た。



数日後の事。



ここは、梅の花が綺麗に咲く場所。



沖田総司は微笑んで来た。

少女も微笑んで来た。



少女は梅の花を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「梅の花が綺麗に咲いています。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

少女は梅の花を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「“正月 立ち春の来らば かくしこそ 梅を折りつつ 楽しき終へめ”」

少女は沖田総司を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。

「私と総司さんはお歌のとおりになりました。嬉しいです。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

少女は沖田総司と梅の花を微笑んで見た。



「正月 立ち春の来らば かくしこそ 梅を折りつつ 楽しき終へめ」

京の町に梅の花の綺麗な時が訪れた。

様々な春の花が綺麗に咲く時が訪れようとしている。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語に登場する歌は「万葉集 第五巻 八一五番」

「正月 立ち春の来らば かくしこそ 梅を折りつつ 楽しき終へめ」

ひらがなの読み方は「むつきたちはるのくらば かくしこそうめをおりつつ たのしきをへめ」

作者は「大弐紀卿(だいにきのまえつきみ)」

歌の意味は「正月になって春がやってきたら、こうやって梅を見ながら楽しみましょうよ。」となるそうです。

原文は「武都紀多知 波流能吉多良婆 可久斯許曽 烏梅乎乎岐都々 多努之岐乎倍米」

作者名は、名前ではなく、「この時の大宰府の大弐(位のひとつです)だった紀氏の人」の意味だそうです。

この歌は、大伴旅人の邸宅で詠んだ梅の歌の三十二首の最初の歌だそうです。

これらの歌に先立って、序文が漢文で記載されています。

今回は、序文の要旨だけを載せます。

序文の要旨「天平二年正月十三日に大宰府の帥(そち)大伴旅人さんの邸宅で宴会をしました。天気がよく、風も和らぎ、梅は白く色づき、蘭が香っています。嶺には雲がかかって、松には霞がかかったように見え、山には霧がたちこめ、鳥は霧に迷う。庭には蝶が舞い、空には雁が帰ってゆく。空を屋根にし、地を座敷にしてひざを突き合わせて酒を交わす。楽しさに言葉さえ忘れ、着物をゆるめてくつろぎ、好きなように過ごす。梅を詠んで情けのありさまをしるしましょう。」

この歌は、この漢文(要旨のみ記載)をもとに作られた最初の歌という事になります。

今回の物語の設定時期は、新年ですが、梅の花が登場します。

物語の設定時期は、陰暦を使用しています。

現在の暦に直すと、二月頃になります。

物語の設定時期は、沖田総司さん達が京都に来た最初の年末から正月を想定しました。

斉藤一さんと鈴ちゃんは、物語の設定時期に会っていない設定です。

斉藤一さんと鈴ちゃんが会うのは、この物語より僅かに後の設定です。

「睦月(むつき)」は「陰暦正月の異称」です。

「睦」は、他の字と一緒に使われます。

「親しい」という意味です。

「睦まじい」の字もこの字を使います。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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