このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 雪消月 梅の花 かくてもあるがね 〜


登場人物

近藤勇、山南敬助、土方歳三、沖田総司、斉藤一、少女[美鈴・鈴]



「雪の寒み 咲きには咲かぬ 梅の花 よしこのころは かくてもあるがね」

「万葉集 第十巻 二三二九番」より

作者:詠み人知らず



今は仲春。



ここは、京の町。



寒さを感じる日が続く。

少しずつ、暖かい春を感じる気配が増えている。



ここは、沖田総司と少女が良く訪れる寺。



本堂。



沖田総司は微笑んで居る。

少女も微笑んで居る。



少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「数日前の出来事です。私の傍を数人のお武家様が急いで走り抜けました。私は驚いて躓きました。近くに居たお武家様が、私を支えてくれました。」

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん。数人の武士とぶつかったの? 怪我はしていない? 医者に診てもらった?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「走り抜けたお武家様とぶつかっていません。近くに居たお武家様が支えてくれたので、転びませんでした。怪我はしていません。お医者様に診て頂かなくて大丈夫です。」

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「同じ場所で、急いで走る武士が多いの?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「多くないと思います。」

沖田総司は少女を心配して見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私を助けてくれたお武家様に、同じ場所で数回ほど会いました。」

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん。たくさん会話をしたの?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「挨拶をする程度です。」

沖田総司は少女を安心して見た。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「土方さんに京の町の見廻りの方法を相談するね。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女を微笑んで見た。



暫く後の事。



ここは、屯所。



近藤勇の部屋。



近藤勇は普通に居る。

山南敬助も普通に居る。

土方歳三も普通に居る。

斉藤一も普通に居る。



近藤勇は、山南敬助、土方歳三、斉藤一に考え込んで話し出す。

「総司は、先程の内容の話を聞いたら、冷静な返事が出来ないと思う。」

山南敬助は近藤勇に普通の表情で頷いた。

土方歳三も近藤勇に普通の表情で頷いた。

斉藤一は、近藤勇、山南敬助、土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

山南敬助は近藤勇に普通に話し出す。

「冷静でない総司に、冷静で的確な対応が出来る人物は、斉藤君のみです。総司が納得しない状況が続く場合、最後に話す人物は、新撰組で一番に偉い近藤さんです。最初に総司に話す人物は、私か土方さんが良いと思います。」

土方歳三は近藤勇と山南敬助に普通に話し出す。

「総司は山南さんを慕っている。総司が山南さんから先程の内容の話を聞いた場合、相談の出来る人物が減る。山南さんは部屋に居ない方が良いと思う。」

山南敬助は土方歳三に普通に話し出す。

「総司は近藤さんを慕っている。近藤さんが総司に話す状況になる場合を考えて、近藤さんも部屋に居ない方が良いと思う。」

土方歳三は、近藤勇、山南敬助、と斉藤一に普通に話し出す。

「最初は、俺の部屋で、俺が話す。斉藤にも部屋に居てもらう。」

近藤勇は土方歳三に普通の表情で頷いた。

山南敬助も土方歳三に普通の表情で頷いた。

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は、近藤勇、山南敬助、斉藤一を普通の表情で見た。



少し後の事。



ここは、土方歳三の部屋。



土方歳三は普通に居る。

斉藤一も普通に居る。



沖田総司は部屋を普通に訪れた。



土方歳三は沖田総司と斉藤一に普通に話し出す。

「調査に係わる隊士から、一部の浪士に不穏な動きの気配がある、との報告があった。」

沖田総司は土方歳三を真剣な表情で見た。

斉藤一は土方歳三と沖田総司を普通の表情で見た。

土方歳三は沖田総司と斉藤一に普通に話し出す。

「調査に係わる隊士から、一部の浪士の関係者と思われる藩士が、総司が良く逢う女の子と話す姿を数回ほど見た、との報告があった。」

沖田総司は土方歳三に不機嫌に話し出す。

「土方さん! 私の物凄く大切な友達を、間者だと疑っているのですか?!」

土方歳三は沖田総司に普通に話し出す。

「疑っていない。」

沖田総司は土方歳三に不機嫌に話し出す。

「土方さん! 私の物凄く大切な友達を疑っていないのですね!」

土方歳三は沖田総司に普通に話し出す。

「勿論。」

沖田総司は土方歳三に不機嫌に話し出す。

「土方さん! 私は物凄く大切な友達に、任務に関して話していません! 私の物凄く大切な友達への質問は無駄です!」

土方歳三は沖田総司に普通に話し出す。

「総司が良く逢う女の子に、質問の予定は無い。状況が確定するまで、総司が良く逢う女の子に、目立たないように一日を通して警護を付けている。安心しろ。」

沖田総司は土方歳三に不機嫌に話し出す。

「土方さんの話を信じて良いのですね!」

土方歳三は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は土方歳三を不機嫌に見た。

土方歳三は沖田総司を普通の表情で見た。



沖田総司は部屋を不機嫌に出て行った。



土方歳三は斉藤一を普通の表情で見た。

斉藤一も土方歳三を普通の表情で見た。



近藤勇が部屋の中に静かに入ってきた。



土方歳三は近藤勇を普通の表情で見た。

斉藤一は近藤勇に普通の表情で軽く礼をした。

近藤勇は土方歳三と斉藤一を普通の表情で見た。

土方歳三は斉藤一に普通に話し出す。

「斉藤。今の総司は、冷静でない。今の総司は、一日を通してあの子を護る勢いがある。総司が無茶な言動をしないように止めてくれ。」

近藤勇は斉藤一に普通に話し出す。

「斉藤。私からも頼む。」

斉藤一は近藤勇と土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。



斉藤一は部屋を普通に出て行った。



土方歳三は近藤勇に普通に話し出す。

「総司は予想通りの行動をとった。」

近藤勇は土方歳三に普通に話し出す。

「幕府を護る者も幕府に敵意を持つ者も、親しい女性に情報収集を頼む時がある。親しい女性達は、相手の気持ちを受けて、危険を伴う情報収集を手伝ってくれる。総司があの子に質問すれば、あの子は総司の質問に答える。あの子が総司の質問に答えたら、あの子は情報収集を手伝った状況になる。総司はあの子を危険な状況に巻き込みたくないと考えている。総司はあの子に情報収集を頼めない。」

土方歳三は近藤勇に普通に話し出す。

「総司はあの子に頼む方法が一番に簡単だと理解しているから、何が何でも固辞する。総司に無理に頼むと、総司と俺達の関係が悪化する。総司は新撰組にとって大事な人物だ。総司との関係の悪化は避けたい。」

近藤勇は土方歳三に普通の表情で頷いた。

土方歳三は近藤勇を考えながら見た。

近藤勇は土方歳三に普通に話し出す。

「歳。山南さんに総司の様子を伝えてくれ。山南さんも含めて、あの子を巻き込まない方法を考えよう。」

土方歳三は近藤勇に普通の表情で頷いた。



直後の事。



ここは、屯所。



沖田総司の部屋。



沖田総司は部屋の中に不機嫌に入った。



斉藤一は部屋の中に普通に入った。



沖田総司は斉藤一を不機嫌に見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。話しがある。」

沖田総司は斉藤一に不機嫌に話し出す。

「私は忙しいです! 話しは後にしてください!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司から怒りの感情が伝わる。美鈴さんが今の総司を見たら心配する。」

沖田総司は斉藤一に不機嫌に話し出す。

「本当に警護が付いているか心配です! 一日をとおして確認します!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「土方さんは一日を通して警護を付けていると話した。土方さんが先程の話の内容で嘘を付いても、土方さんに得は無い。今の総司が最初に実行する内容は、気持ちを落ち着ける行為だ。」

沖田総司は斉藤一を不機嫌に見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。俺に話しがあるだろ。気持ちを落ち着けるためにも、遠慮せずに話せ。」

沖田総司は斉藤一に不機嫌に話し出す。

「斉藤さんは、土方さんの仲間ですよね! 斉藤さんは、私を騙していましたね!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺も総司も、土方さんの仲間だ。俺は総司が部屋に来る少し前に呼ばれて、話を聞いた。総司を騙すための相談をする時間は無い。」

沖田総司は斉藤一に不機嫌に話し出す。

「斉藤さん! 鈴ちゃんを間者だと疑っているのですか?! 鈴ちゃんが不逞な人物を不振に思わずに情報を話すと考えているのですか?!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんは間者ではない。美鈴さんは不逞な人物に情報を話す人物ではない。」

沖田総司は斉藤一に不機嫌に話し出す。

「不逞な浪士達が見付からない状況が続けば、土方さんは鈴ちゃんに質問します! 鈴ちゃんに質問した後に、不逞な浪士を含める関係者が捕まった場合、鈴ちゃんが不逞な浪士達の関係者の怒りを受ける可能性があります! 私は鈴ちゃんを護ります!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。美鈴さんに話し掛ける人物を全て疑って接したら、美鈴さんの評判が落ちて、新撰組の評判も落ちる。総司が美鈴さんを一日を通して護る状況は、体力的にも精神的にも、無理だ。冷静に考えろ。」

沖田総司は斉藤一に不機嫌に話し出す。

「私は冷静です!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に不機嫌に話し出す。

「鈴ちゃんの傍を走った数人の武士と、鈴ちゃんが躓いた時に支えた武士は、仲間の可能性があります! 鈴ちゃんは鈴ちゃんを支えた武士と数回ほど会話をしています! 鈴ちゃんが危険な状態に巻き込まれている可能性があります!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

「総司。意外に冷静だな。」

沖田総司は斉藤一に不機嫌に話し出す。

「私は冷静です! 斉藤さん! 真面目に話してください!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。美鈴さんが躓いた時に支えた武士は、不逞な浪士達と無関係の可能性がある。美鈴さんが躓いた時に支えた武士は、用事のために似た時間に同じ場所に居る可能性がある。俺も手伝う。冷静になれ。」

沖田総司は斉藤一に不機嫌に話し出す。

「斉藤さんは土方さんの仲間です! 斉藤さんの助けは借りません!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺も総司も、土方さんの仲間だ。俺と総司は、剣術関連の技術は同格だが、見張る技術と調査能力は、俺が上に居る。総司には俺の助けが必要だ。」

沖田総司は斉藤一に不機嫌に話し出す。

「斉藤さん! 酷いです!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「事実だ。不機嫌になるな。」

沖田総司は斉藤一を不機嫌に見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「土方さんを止められる人物は、土方さんより立場が上になる、近藤さんか山南さんだ。総司。近藤さんか山南さんに、土方さんの説得を頼め。」

沖田総司は斉藤一を驚いて見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に慌てて話し出す。

「斉藤さん! 私は、土方さんが山南さんに変な報告をする前に、山南さんに今の状況を話してきます! 私は、土方さんに鈴ちゃんの警護の確約をとってきます!」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。



沖田総司は部屋を慌てて出て行った。



斉藤一は部屋を普通に出て行った。



暫く後の事。



ここは、屯所。



山南敬助の部屋。



山南敬助は微笑んで居る。

土方歳三は普通に居る。



山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「総司は私に、土方さんがあの子に質問をしないための説得を頼んだ。総司の気持ちは落ち着いていない。斉藤君の説得は続いている。」

土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。

「斉藤は短い時間で一部の説得は成功したのか。さすがだな。」

山南敬助は土方歳三に微笑んで頷いた。

土方歳三は山南敬助を微笑んで見た。

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「総司は任務の厳しさを理解している。総司は親しい知り合いに情報収集を頼める性格ではない。総司が様々な想いから不機嫌になる気持ちは分かる。今の状況が続くと、総司があの子を頻繁に訪ねる状況が続く。あの子が疑問に思う前に、総司があの子の家を頻繁に訪ねても良い理由を考える必要がある。」

土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。

「総司にあの子への歌の贈り物を用意させて訪ねるように導く。」

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し出す。

「さすが。土方さん。」

土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。

「俺が頻繁に歌を教えると、総司が怪しむ。俺は歌の提供のみを手伝う。近藤さんか山南さんが、総司に歌を教える展開にする。状況が長引く場合は、斉藤が総司に歌を教える展開も加える。山南さんが同意すれば、俺から近藤さんと斉藤に話す。」

山南敬助は土方歳三に微笑んで頷いた。

土方歳三は山南敬助を普通の表情で見た。

山南敬助は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は山南敬助に普通に話し出す。

「今から、不逞な浪士達に関する報告をする。」

山南敬助は土方歳三に普通の表情で頷いた。



数日後の事。



ここは、屯所。



沖田総司の部屋。



沖田総司は疲れた様子で居る。

斉藤一は普通に居る。



沖田総司は斉藤一に疲れた様子で話し出す。

「近藤さんか山南さんに呼ばれて、歌の勉強が続きます〜 疲れます〜」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんの家を数日ほど連続して訪ねているのだろ。美鈴さんに贈り物を連続して用意できる。美鈴さんと美鈴さんの家族に、総司は歌の教養が有り風流を理解する人物と思われる。総司の評判が良くなり、新撰組の評判も良くなる。良い状況だ。」

沖田総司は斉藤一に疲れた様子で話し出す。

「良い状況でも疲れます〜」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんの家を贈り物の用意をせず訪ねて、お茶と菓子を味わいながら楽しく話す。毎日のように繰り返したら、総司が食べ物を食べるために訪ねる状況になる。費用の掛かる物を毎日のように用意して訪ねると、総司は風流に疎い人物と確定してしまう。今は良い状況だ。」

沖田総司は斉藤一を疲れた様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。今日の勉強した歌を復習する。歌を詠め。」

沖田総司は斉藤一に疲れた様子で話し出す。

「“雪の寒み 咲きには咲かぬ 梅の花 よしこのころは かくてもあるがね”」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を疲れた様子で見た。



少し後の事。



ここは、屯所。



土方歳三の部屋。



土方歳三は普通に居る。



沖田総司は部屋を普通に訪ねた。

斉藤一も部屋を普通に訪ねた。



土方歳三は沖田総司と斉藤一を普通の表情で見た。

沖田総司は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は沖田総司と斉藤一に普通に話し出す。

「総司が良く逢う女の子と数回ほど話した武士は、一部の不逞な浪士達と無関係と判断した。念のために、総司が良く逢う女の子への一日を通しての目立たない警護は、少しの日数になるが続ける。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

沖田総司は土方歳三に安心した様子で軽く礼をした。

土方歳三は沖田総司と斉藤一に普通に話し出す。

「新撰組の評判を良くするための対応だ。礼の必要は無い。」

沖田総司は土方歳三に普通に話し出す。

「私と私の良く逢う子が出掛ける時は、警護を一時的に解除してください。」

土方歳三は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司も土方歳三を微笑んで見た。

斉藤一は土方歳三と沖田総司を普通の表情で見た。



翌日の事。



ここは、落ち着いた雰囲気の寺。



境内には、梅の木が植わっている。

境内に有る梅の木には、つぼみが幾つも見える。



本堂。



沖田総司は微笑んで居る。

少女も微笑んで居る。



沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。今日は寒いね。大丈夫?」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「今日の寒さは、雪が降る寒さに感じます。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんが安全に帰るために、私と鈴ちゃんが逢う間は、雪が降らないで欲しいな。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「雪が降る可能性。境内に梅のつぼみが幾つも見える。梅を詠んだ歌が合う状況だね。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は懐から紙を取り出すと、少女に紙を微笑んで渡した。

少女は沖田総司から紙を微笑んで受け取った。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「“雪の寒み 咲きには咲かぬ 梅の花 よしこのころは かくてもあるがね”。鈴ちゃんへの歌の贈り物だよ。気に入ったら受け取って。」

少女は紙を持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。お歌の贈り物。ありがとうございます。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

少女は紙を持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんから数日ほど続いてお歌の贈り物を受け取っています。嬉しいです。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

少女は懐に紙を微笑んで仕舞った。

沖田総司は少女を微笑んで抱いた。

少女は沖田総司を微笑んで見た。



暫く後の事。



ここは、今日の町。



斉藤一の部屋。



斉藤一は部屋の中に普通に入った。



沖田総司は部屋の中に微笑んで入った。



斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。今まで出掛けていたのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司に普通の表情で話し出す。

「“雪の寒み 咲きには咲かぬ 梅の花 よしこのころは かくてもあるがね”。今の歌を詠んだ後に、笑顔で抱き寄せる。土方さんを想像させる行動だった。直ぐに離れた。土方さんを連想させる行動は、短い時間だった。土方さんの居る場所から、物凄く遠い。精進が必要だな。」

沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司が美鈴さんと逢う間は、危険と気配に関しては、剣術関連時と同等の勘の鋭さを発揮する。総司と美鈴さんが外で逢う時間の警護は、俺が務めた。」

沖田総司は斉藤一を驚いて見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司と美鈴さんが逢う間の言動の詳細は、報告していない。安心しろ。総司と美鈴さんが逢う時間は、初々しい言動だ。照れるな。」

沖田総司は斉藤一に苦笑して頷いた。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。



「雪の寒み 咲きには咲かぬ 梅の花 よしこのころは かくてもあるがね」

京の町に雪が降りそうな気配が残る頃。

京の町に梅の花の彩りが見られる気配が始まる頃。

京の町で様々な思いが交錯している。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語に登場する歌は「万葉集 第十巻 二三二九番」

「雪の寒み 咲きには咲かぬ 梅の花 よしこのころは かくてもあるがね」

ひらがなの読み方は「ゆきさむみ さきにはさかぬ うめのはな よしこのころは かくてもあるがね」

作者は「詠み人知らず」

歌の意味は、「雪が冷たいので、ぱっと咲けないのですね。梅の花、まだ今のうちはそうしているのが良いですよ。」となるそうです。

原文は「雪寒三 咲者不開 梅花 縦比来者 然而毛有金」

「雪消月(ゆきぎえづき)」は「陰暦二月の異称」です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





←前            目次            次→


このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください