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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜
〜 満作の花の咲く頃 春の夜の 〜
〜 改訂版 〜
登場人物
土方歳三、沖田総司、斉藤一、少女[美鈴・鈴]
「春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ」
「小倉百人一首 六十七番」、及び、「千載集」より
作者:周防内侍(すおうのないし)
今は新しい年の初めの頃。
季節は春。
ここは、京の町。
寒い日が続いている。
ここは、屯所。
斉藤一の部屋。
沖田総司は微笑んで居る。
斉藤一は普通に居る。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんに花を見て喜んで欲しいです。今は見頃の花が少ないですよね。鈴ちゃんが喜ぶ今の時期に咲く花を知りませんか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「満作。」
沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。
「満作は、黄色くて細い花びらの花ですよね。満作は、特徴的な花ですが、鈴ちゃんが喜ぶ花なのですか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「満作の花は、茶花に使用する。美鈴さんに馴染みのある花になる。美鈴さんが満作を見て喜ぶ可能性は高い。」
沖田総司は斉藤一に感心して話し出す。
「満作は茶花に使用するのですね。満作は、趣のある花、風流な花、なのですね。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「満作の花の見られる場所か満作を分けてもらえる場所。探します。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。美鈴さんが喜ぶ姿を見たいのだろ。満作の花を見る時に歌を贈るか、満作の花に歌を添えて贈れ。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。満作に合う良い歌を知っているのですね。教えてください。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「土方さんにさり気なく歌について質問する。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「はい。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は部屋を微笑んで出て行った。
斉藤一は部屋を普通に出て行った。
僅かに後の事。
ここは、屯所。
土方歳三の部屋。
土方歳三は机に普通に向かっている。
沖田総司は部屋を微笑んで訪れた。
斉藤一は部屋を普通に訪れた。
土方歳三は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。
沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は土方歳三と沖田総司を普通の表情で見た。
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。良い時に来た。小倉百人一首の一首のみの代筆を頼みたい。」
沖田総司は土方歳三に不思議な様子で話し出す。
「私が小倉百人一首の歌を代筆するのですか?」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司は丁寧で綺麗に歌を書く。評判が良い。」
沖田総司は土方歳三に怪訝な様子で話し出す。
「土方さん。誰の評判が良いのですか?」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「色々な人物。」
沖田総司は土方歳三を怪訝な様子で見た。
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。冗談だ。」
沖田総司は土方歳三を怪訝な様子で見ている。
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。俺に話があるのだろ。機嫌を直して、話せ。」
沖田総司は斉藤一を困惑して見た。
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「総司が満作の花に合う歌を探しています。土方さんに歌について質問するために来ました。」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。良い歌がある。」
沖田総司は土方歳三を見ると、土方歳三に微笑んで話し出す。
「土方さん。教えてください。」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「“春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ”。」
沖田総司は土方歳三に不機嫌に話し出す。
「土方さん! 土方さんの詠んだ今の歌は、土方さんのためにある歌と同じです! 私は土方さんとは違います! 真剣に教えてください!」
土方歳三は沖田総司を驚いた表情で見た。
斉藤一は土方歳三と沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は土方歳三を不機嫌に見た。
沖田総司は部屋を不機嫌に出て行った。
土方歳三は斉藤一を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。
「総司には刺激が強い歌だったな。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「“春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ”。満作の花に合う歌だろ。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤は、冷静さと天才的な記憶力を兼ね備えているから、俺の話す意味が分かる。さすがだ。」
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「土方さんは、既に気付いていると思いますが、念のために説明します。総司はあの子が満作を見る時に歌を贈りたいと考えています。総司は、満作の花に合う歌を知りたくて、土方さんに質問しました。」
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤。“春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ”。俺が満作の花に添えて贈る歌ならば、合うかな?」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。
土方歳三は机から紙を取ると、斉藤一に紙を微笑んで渡した。
斉藤一は土方歳三から紙を普通の表情で受け取った。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「総司は、満作の花に合う歌を質問中なのに、動揺して部屋を出て行った。斉藤が部屋に戻れば、総司は斉藤に騒がしく質問するだろ。満作に合う歌の参考にしてくれ。」
斉藤一は紙を持ち、土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は懐に紙を仕舞うと、土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一に微笑んで頷いた。
斉藤一は部屋を普通に出て行った。
数日後の事。
ここは、屯所。
沖田総司の部屋。
沖田総司は微笑んで居る。
斉藤一は普通に居る。
机の上には、紙が載っている。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんと満作の花を見ながら話してきます。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「行ってきます。」
斉藤一は机から紙を取ると、沖田総司に紙を普通に渡した。
沖田総司は斉藤一から紙を受け取ると、斉藤一に微笑んで話し出す。
「机の紙を取って頂いて、ありがとうございます。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。照れるな。落ち着け。」
沖田総司は紙を持ち、斉藤一に微笑んで話し出す。
「はい。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は紙を懐に仕舞うと、斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
斉藤一は部屋を普通に出て行った。
沖田総司は部屋を微笑んで出て行った。
暫く後の事。
ここは、落ち着いた雰囲気の寺。
境内。
満作の花が咲いている。
本堂。
沖田総司は微笑んで居る。
少女も微笑んで居る。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。満作の花が咲いているね。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「斉藤さんから、満作の花は茶花に利用すると教えてもらったんだ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「斉藤さんの話すとおり、満作は茶花に利用します。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「斉藤さんは物知りだね。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女も沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「今は見頃の花が少ないよね。斉藤さんに今の季節に楽しめる花について質問したんだ。斉藤さんは、満作の花を教えてくれたんだ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「満作は、他の花より早く咲きます。満作は、黄色の花が咲きます。満作の花を見ると、明るい気持ちになります。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんは、満作の花を見ているから、明るい気持ちになっているんだね。明るい気持ちの鈴ちゃんが見られて嬉しいよ。」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「斉藤さんが満作の花に合う歌を教えてくれたんだ。満作の花を見る時に、鈴ちゃんに歌を贈りたくて紙に書いたんだ。鈴ちゃん。受け取ってくれると嬉しいな。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「お歌の贈り物が頂けるのですね。楽しみです。」
沖田総司は懐から紙を微笑んで取り出した。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女に紙を微笑んで渡した。
少女は沖田総司から紙を微笑んで受け取った。
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女は紙を持ち、紙を微笑んで見た。
沖田総司は少女を微笑んで見ている。
少女は紙を持ち、紙を不思議な様子で見た。
沖田総司は少女を不思議な様子で見た。
少女は紙を持ち、沖田総司を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。
「春の早い時期に咲く鮮やかな満作の花と春の夜を繋げて、お歌を選んだのですね。」
沖田総司は少女に不思議な様子で話し出す。
「鈴ちゃん。紙に書いてある歌を教えてくれるかな?」
少女は紙を持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。
「“春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ”。小倉百人一首に撰ばれたお歌です。作者は、“周防内侍”です。」
沖田総司は少女を驚いた表情で見た。
少女は紙を持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。
「今回のお歌の贈り物は、斉藤さんに代筆を頼んだのですね。風流ですね。」
沖田総司は少女に慌てて話し出す。
「鈴ちゃん! 紙を見せて!」
少女は沖田総司に紙を不思議な様子で渡した。
沖田総司は少女から紙を僅かに慌てて受け取った。
少女は沖田総司を不思議な様子で見た。
沖田総司は紙を持ち、紙を驚いた表情で見た。
少女は沖田総司を不思議な様子で見ている。
沖田総司は紙を持ち、少女を見ると、少女に慌てて話し出す。
「理由は分からないけれど、斉藤さんの紙に書いた歌が、私の部屋に有ったみたいなんだ?! 外出する時に間違えて紙を受け取ったのかも知れない! 鈴ちゃんに贈りたい歌は、別な歌なんだ! 今は焦ってしまって、鈴ちゃんに贈りたい歌を忘れてしまったんだ! 次に逢った時に歌を贈るね!」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。“春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ”。小倉百人一首に撰ばれたお歌です。作者は、“女房三十六歌仙”に撰ばれています。素敵なお歌の贈り物を頂きました。素敵な趣向の贈り物を頂きました。嬉しいです。紙に書いたお歌も、頂きたいです。」
沖田総司は紙を持ち、少女を不思議な様子で見た。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は紙を持ち、少女に恥ずかしく話し出す。
「鈴ちゃんは歌を見ただけで、たくさんの内容が分かるんだ。さすがだね。」
少女は沖田総司を微笑んで見ている。
沖田総司は紙を持ち、少女に恥ずかしく話し出す。
「鈴ちゃん。斉藤さんが紙を必要としているかも知れない。今回は歌だけ受け取って。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は紙を持ち、少女を恥ずかしく見た。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
暫く後の事。
ここは、屯所。
斉藤一の部屋。
斉藤一は普通に居る。
沖田総司が部屋を僅かに慌てて訪ねた。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に僅かに慌てて話し出す。
「斉藤さん。私が外出する前に紙を渡してくれました。斉藤さんの歌を書いた紙だと気付かずに、鈴ちゃんに紙を渡しました。鈴ちゃんには、斉藤さんから紙を間違って受け取ったと説明しました。鈴ちゃんから紙を返してもらいました。私の机から取った紙に、斉藤さんの歌を書いた紙が置いてあった理由を知っていますか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「土方さんが俺に春の夜が登場する歌を説明してくれた。俺は土方さんの説明した歌を紙に書いた。俺も、俺の歌を書いた紙が総司の部屋の机に有った理由を知りたい。」
沖田総司は斉藤一を考えながら見た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に慌てて話し出す。
「斉藤さん! 私の歌を書いた紙が何処に在るか知りませんか?!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「俺の部屋の机の上に在った。」
沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見た。
斉藤一は懐から紙を取り出すと、沖田総司の前に紙を普通に置いた。
沖田総司は懐から紙を取り出すと、斉藤一の前に僅かに慌てて紙を置いた。
斉藤一は紙を普通に取った。
沖田総司は紙を僅かに慌てて取った。
斉藤一は紙を机に普通に置いた。
沖田総司は紙を持ち、紙を不思議な様子で見た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は紙を懐に仕舞うと、斉藤一に苦笑して話し出す。
「確かに不思議ですね。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一を苦笑して見た。
暫く後の事。
今は夜。
ここは、京の町。
寒さを感じる。
星が綺麗に輝いている。
ここは、屯所。
土方歳三の部屋。
土方歳三は微笑んで居る。
斉藤一は普通に居る。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「総司はあの子に、“春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ”、の歌を間違えて贈ったと思って慌てたのか。あの子は紙を返して歌のみを受け取ったのか。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「“春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ”。総司が紙に歌を書くなどの、形に残した状態で贈らせたかったな。」
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「総司は歌の内容を聞くだけで慌てました。今の総司が、今の歌を贈る展開は無理です。」
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「無理矢理にでも、総司の直筆で贈らせたい歌が有る。無理矢理にでも、総司の直筆で歌を贈らせる方法も有る。ここぞという時のために、控えている。」
斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤。総司が気付かずに完了できる展開を考える。展開を実行する時は、頼む。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は斉藤一を微笑んで見た。
「春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ」
満作の花の咲く頃。
京の町で、穏やかで和やかな出来事が起きた。
斉藤一は、歌の内容が、沖田総司より土方歳三に合う状態が暫く続くと思った。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語は既に掲載している物語の改訂版です。
改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。
改訂前の物語を掲載するのは止めました。
以上、ご了承願います。
ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。
この物語に登場する歌は「小倉百人一首 六十七番」、及び、「千載集」
「春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ」
ひらがなの読み方は「はるのよの ゆめばかりなる たまくらに かひなくたたむ なこそをしけれ」
作者は「周防内侍(すおうのないし)」
歌の意味は「短い春の夜のような、そしてはかない夢のようなたわむれごとの腕枕をしたがために、何のかいもない浮名が立ったとしたら、それこそ口惜しいことですよ。」となるそうです。
周防内侍の本名は「平仲子」だそうです。
周防内侍の生没年は、1037年頃〜1109年以降という事で、はっきりとしていないそうです。
家集の「周防内侍集」があります。
女房三十六歌仙の一人に撰ばれています。
「まんさく」についてです。
「満作」、または、「万作」、と書きます。
マンサク科の落葉小高木です。
花期は、現在の暦で、1月下旬〜3月下旬頃です。
葉より先に枝いっぱいに黄色い花が咲きます。
花びらは線状で4枚です。
萼片は茶色です。
葉は菱状円形か倒卵形で互生します。
秋に黄葉します。
春の季語です。
茶花に利用しています。
名前の由来は幾つかあります。
説の一つに、他の花に先駆けて咲くところから“まず咲く花”という事で「まんさく」と呼ばれるようになった、があります。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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