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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜
〜 春宵の夢物語 節分 春立たば 〜
登場人物
沖田総司、斉藤一、少女[美鈴・鈴]
夜の国の住人 夢
「あらたまの 年行き返り 春立たば まづ我が宿に 鶯は鳴け」
「万葉集 第二十巻 四四九〇番」
作者:大伴家持(おおとものやかもち)
明日は春の節分。
ここは、京の町。
星と月の光が夜空を明るく照らしている。
ここは、屯所。
土方歳三の部屋。
土方歳三は微笑んで居る。
沖田総司も微笑んでいる。
斉藤一は普通に居る。
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。明日は春の節分だ。節分に贈るために相応しい歌を覚える最終日だ。」
沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。
「はい。」
斉藤一は土方歳三と沖田総司を普通の表情で見た。
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。確認のために、歌を詠んでくれ。」
沖田総司は懐から紙を出すと、紙を見て、微笑んで話し出す。
「“あらたまの 年行き返り 春立たば まづ我が宿に 鶯は鳴け”」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。紙を見ないで歌を詠んでくれ。」
沖田総司は紙を持ち、土方歳三を見ると、土方歳三に緊張して話し出す。
「“あらたまの、としゆきがへり、はるたたば、まづわがやどに、うぐひすはなけ”」
土方歳三は沖田総司に苦笑して話し出す。
「総司。緊張し過ぎだ。」
沖田総司は紙を持ち、土方歳三に苦笑して話し出す。
「紙を見て歌を詠めないので、緊張しました。」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司。明日が本番だ。大丈夫か?」
沖田総司は紙を持ち、土方歳三に苦笑して話し出す。
「緊張しているだけです。大丈夫だと思います。」
土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤。歌を既に覚えていたな。歌を詠んでくれ。」
斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。
「“あらたまの 年行き返り 春立たば まづ我が宿に 鶯は鳴け”」
土方歳三は斉藤一に微笑んで頷いた。
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「斉藤は総司の歌の勉強に付き合う間に完璧に覚えた。斉藤に確認しながら、斉藤の部屋か総司の部屋で歌を覚えろ。」
沖田総司は土方歳三に微笑んで話し出す。
「はい。」
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
沖田総司は懐に紙を微笑んで仕舞った。
沖田総司は部屋を微笑んで出て行った。
斉藤一は部屋を普通に出て行った。
少し後の事。
ここは、屯所。
沖田総司の部屋。
沖田総司は紙を持ち、部屋の中に微笑んで入った。
斉藤一は部屋の中に普通に入った。
沖田総司は紙を持ち、斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。よろしくお願いします。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。今日は苦手な歌の勉強を長く続けている関係だと思うが、普段より疲れている様子に見える。疲れると、気力も体力も集中力も記憶力も、低下する。今日は直ぐに休め。明日は早く起きて、歌を覚えよう。」
沖田総司は紙を持ち、斉藤一に微笑んで話し出す。
「私は歌を覚えて安心して寝たいです。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司は土方さんの前で緊張しながらも歌を詠んだ。明日は本番で焦る気持ちは分かるが、明日に早く起きて歌を覚えても間に合う。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「分かりました。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。気持ちを落ち着けて休め。」
沖田総司は紙を持ち、斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。お休みなさい。明日もよろしくお願いします。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
斉藤一は部屋を普通に出て行った。
暫く後の事。
ここは、屯所。
沖田総司の部屋。
沖田総司は床の中で静かに寝ている。
沖田総司の枕元には、歌を書いた紙が置いてある。
部屋の中が不思議な雰囲気に包まれた。
沖田総司は床の中でゆっくりと目を開けた。
少女が沖田総司を笑顔で見ている。
沖田総司は、夜の国の住人で少女と同じ顔の“夢”だと直ぐに分かった。
沖田総司は床の中で、夢に微笑んで話し出す。
「夢ちゃん。こんばんは。」
夢は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。こんばんは。」
沖田総司は床の中で、夢を微笑んで見た。
夢は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は床の上に体を微笑んで起こした。
夢は沖田総司に微笑んで抱き付いた。
沖田総司は床の上に体を起こして、赤面して動きを止めた。
夢は沖田総司を微笑んで抱いて、不思議な空気に包まれた。
沖田総司は赤面して床の上に体を起こして、不思議な空気に包まれた。
夢は沖田総司を微笑んで抱いて、静かに居なくなった。
沖田総司は赤面して床の上に体を起こして、静かに居なくなった。
一瞬の後の事。
ここは、夜の国。
夜空には、月と満天の星が輝いている。
心地好い空気に包まれている。
ここは、広い草原。
夜空には、月と満天の星が輝いている。
心地好い空気に包まれている。
夢は沖田総司を抱いて、微笑んで静かに現れた。
沖田総司は赤面して動きを止めて、静かに現れた。
夢は沖田総司から微笑んでゆっくりと放れた。
沖田総司は夢を赤面して見た。
夢は沖田総司に微笑んで話し出す。
「夜の国では、今夜が節分です。夜の国の節分にご招待したいと思いました。総司さんに会いに来ました。」
沖田総司は夢に赤面して話し出す。
「夢ちゃん。夜の国の節分は、私の住む場所の節分と違うところがあるのかな?」
夢は沖田総司に微笑んで話し出す。
「大きな違いはありません。」
沖田総司は夢を赤面して見た。
夢は沖田総司に微笑んで話し出す。
「みなさんで夜の国の節分を楽しんでください。」
沖田総司は夢に赤面して話し出す。
「夢ちゃん。私は明日の朝に覚えたい歌があるんだ。枕元に置いてあるんだ。」
紙が淡き光ながら、静かに現れた。
夢は紙を微笑んで持った。
沖田総司は夢と紙を赤面して不思議な様子で見た。
夢は紙を持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。予行練習として、私の前で歌を詠んでください。」
沖田総司は夢に赤面して緊張して話し出す。
「“あらたまの、としゆきがへり、はるたたば、まづわがやどに、うぐひすはなけ”」
夢は紙を持ち、紙を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。
「歌を緊張して詠む様子が伝わりますが、歌は正しく詠んでいます。総司さんが緊張すると、美鈴さんも緊張します。総司さん。当日は、歌を落ち着いて詠んでくださいね。」
沖田総司は夢に赤面して小さく頷いた。
夢は沖田総司に紙を微笑んで渡した。
沖田総司は夢から紙を赤面して受け取った。
夢は沖田総司に微笑んで話し出す。
「斉藤さんと美鈴さんは、私の家に居ます。私は暫く出掛けます。総司さんと斉藤さんと美鈴さんで、ゆっくりと過ごしてください。」
沖田総司は紙を懐に仕舞うと、夢に赤面して微笑んで頷いた。
夢は微笑んで静かに居なくなった。
沖田総司は赤面しながらも微笑んで、静かに居なくなった。
一瞬の後の事。
ここは、夢の家。
一室。
暖かな空気に包まれている。
斉藤一は普通に居る。
沖田総司は微笑んで、静かに現れた。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。こんばんは。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「夢ちゃんは何処に居ますか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「節分の豆を用意している。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんの元に行きます。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は部屋から微笑んで出て行った。
斉藤一は部屋から普通に出て行った。
僅かに後の事。
ここは、夢の家。
客間。
暖かな空気に包まれている。
少女は微笑んで居る。
卓の上には、たくさんの豆の入った三人分の枡が載っている。
沖田総司は客間の中に微笑んで入ってきた。
斉藤一は客間の中に普通に入ってきた。
少女は沖田総司を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。こんばんは。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。こんばんは。」
少女は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。
「節分に撒く豆をたくさん頂きました。節分に関係が無いそうですが、お酒やお肴やお食事の用意をしてくださいました。」
沖田総司は斉藤一と少女に微笑んで話し出す。
「節分が終わったら、三人で楽しもうね。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は枡を微笑んで持った。
少女も枡を微笑んで持った。
斉藤一は枡を普通に持った。
沖田総司は枡を持ち、斉藤一と少女に笑顔で話し出す。
「節分の豆撒きを始めましょう!」
少女は枡を持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
斉藤一は枡を持ち、沖田総司に普通の表情で頷いた。
少し後の事。
ここは、夢の家。
様々な部屋。
心地好い空気に包まれている。
沖田総司は笑顔で豆を撒いている。
斉藤一は普通の表情で豆を撒いている。
少女は微笑んで豆を撒いている。
沖田総司は豆を撒き、笑顔で声を出す。
「福は内〜! 鬼は外〜!」
少女は豆を撒き、微笑んで声を出す。
「福は内〜 鬼は外〜」
斉藤一は豆を撒き、普通に声を出す。
「福は内。鬼は外。」
沖田総司は枡を持ち、部屋の中を笑顔で見た。
斉藤一は枡を持ち、沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は枡を持ち、斉藤一を見ると、斉藤一に不思議な様子で話し出す。
「斉藤さん。鈴ちゃんの姿が突然に見えなくなりました。」
斉藤一は枡を持ち、沖田総司に普通に話し出す。
「直ぐに戻る。」
沖田総司は枡を持ち、斉藤一を微笑んで見た。
斉藤一は枡を持ち、沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は枡を持ち、笑顔で豆を撒いた。
「福は内〜! 鬼は外〜!」
少女は微笑んで、静かに表れた。
沖田総司は枡を持ち、少女に慌てて話し出す。
「鈴ちゃん! 危ない!」
豆が少女に向かって勢い良く飛んで行った。
少女は目を瞑った。
豆が少女に勢い良く当たった。
豆は少女に当たると、床に落ちた。
沖田総司は斉藤一に枡を慌てて預けた。
斉藤一は枡を持ち、沖田総司から枡を普通に受け取った。
沖田総司は少女を慌てて見た。
少女はゆっくりと目を開けた。
沖田総司は少女の様子を確認して、少女に慌てて話し出す。
「鈴ちゃん! ごめんね! 痛いよね! 大丈夫?! 怪我は無い?!」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「大丈夫です。」
沖田総司は少女の様子を確認して、少女に心配して話し出す。
「鈴ちゃん。着物は汚れていない?」
少女は着物を確認すると、沖田総司を見て、沖田総司に微笑んで話し出す。
「豆に当たっただけです。着物は汚れていません。」
沖田総司は少女の様子を確認して、少女に心配して話し出す。
「夜の国の人達から、夜の国は突然に姿を現す時があるから気を付けるように説明を受けていたよね。普段と同じ気持ちで行動してしまった。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「私は大丈夫です。」
沖田総司は少女を見ながら、落ち込んで軽く息をはいた。
少女は沖田総司を心配して見た。
斉藤一は両手に枡を持ち、沖田総司と少女に普通に話し出す。
「総司。美鈴さん。少し休むぞ。」
沖田総司は斉藤一に落ち込んで頷いた。
少女は斉藤一に心配して頷いた。
少し後の事。
ここは、夢の家。
一室。
暖かい空気に包まれている。
沖田総司は落ち込んで横になっている。
斉藤一は部屋の中に普通に入ってきた。
沖田総司は横になり、斉藤一を落ち込んで見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんは怪我していない。美鈴さんの着物は汚れていない。不可抗力の中で起きた出来事だ。落ち込むな。」
沖田総司は横になり、斉藤一に落ち込んで話し出す。
「私の注意力不足によって起きた出来事です。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんは豆撒きの最中だと分かっていたのに、総司の前に突然に現れて申し訳ないと思っている。美鈴さんは、総司が落ち込むのは、美鈴さんの責任だと思っている。総司が落ち込むと、美鈴さんが更に落ち込む。」
沖田総司は横になり、斉藤一を落ち込んで見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。節分に贈る歌を覚えていたな。歌を直ぐに詠め。」
沖田総司は横になり、斉藤一に小さい声で話し出す。
「“あらたまの 年行き返り 春立たば まづ我が宿に 鶯は鳴け”」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「合っている。」
沖田総司は横になり、斉藤一を落ち込んで見た。
斉藤一は戸を見ると、普通に声を出す。
「総司は落ち込んでいない。部屋の中に入って良いぞ。」
沖田総司は横になり、斉藤一を驚いて見た。
少女がお盆に豆とお茶を載せて、微笑んで入ってきた。
沖田総司は体を起こすと、少女を慌てて見た。
少女は豆とお茶が載ったお盆を近くに置くと、沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。
「夜の国も節分に歳の数の豆を食べると教えてもらいました。豆を食べた後に、お茶を飲みたいと思いました。お茶を用意しました。」
斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。
沖田総司は少女に微笑んで頷いた。
少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。
沖田総司は斉藤一と少女に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。鈴ちゃん。先に歳の数の豆を取って。」
斉藤一は歳の数の豆を普通に取った。
少女は歳の数の豆を微笑んで取った。
沖田総司は歳の数の豆を微笑んで取った。
少女は豆を持ち、沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は豆を持ち、斉藤一と少女に微笑んで話し出す。
「いただきます。」
少女は豆を持ち、沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。
「いただきます。」
斉藤一は豆を持ち、沖田総司と少女に普通の表情で頷いた。
沖田総司は豆を笑顔で食べ始めた。
少女は豆を微笑んで食べ始めた。
斉藤一は豆を普通の表情で食べ始めた。
少し後の事。
ここは、夢の家。
一室。
暖かい空気に包まれている。
沖田総司は豆を笑顔で食べ終わった。
斉藤一は豆を普通に食べている。
少女は豆を微笑んで食べている。
沖田総司はお茶を笑顔で飲み始めた。
斉藤一は豆を食べ終わると、お茶を普通の表情で飲み始めた。
沖田総司はお茶を飲みながら、少女を笑顔で見た。
少女は豆を食べ終わると、お茶を微笑んで飲み始めた。
沖田総司はお茶を笑顔で飲み終わった。
斉藤一はお茶を普通の表情で飲み終わった。
沖田総司は少女を笑顔で見た。
少女はお茶を微笑んで飲み終わった。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「夜の国の出来事は、目が覚めると忘れてしまうから話すね。実は、明日の節分に鈴ちゃんに
を贈る予定なんだ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「ありがとうございます。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「夜の国は、春の節分当日だ。良い機会だ。美鈴さんに明日に贈る予定のお歌を詠め。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんに贈る予定の歌は、立春の前日に詠んだ歌なんだって。節分の日に贈る相応しい歌になると思うんだ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「立春の前日に詠んだお歌をご存知なのですね。総司さん。凄いです。」
沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。
「贈る予定の歌は、土方さんに教えてもらったんだ。斉藤さんも一緒に歌を勉強したんだ。斉藤さんが直ぐに歌を覚えたのに、私は歌を覚えるまでにたくさんの日数を重ねたんだ。土方さんが呆れてしまったんだ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さんと斉藤さんは、お歌を詠んだ背景も覚えたのですね。凄いです。」
沖田総司は少女を照れて見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。照れずに歌を早く詠め。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「“あらたまの 年行き返り 春立たば まづ我が宿に 鶯は鳴け”」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「立春の前に詠んだ歌だと分かります。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「さすが。鈴ちゃん。」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「気持ちが落ち着いて、更に、豆も食べた関係かな。眠くなってきた。」
少女は沖田総司を微笑んで見ている。
斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。
沖田総司は微笑んで横になった。
少し後の事。
ここは、夢の家。
一室。
暖かい空気に包まれている。
斉藤一は杯の酒を飲みながら、肴を普通の表情で食べている。
沖田総司は横になり、少女の手を握り、掛け布団に包まって、微笑んで眠っている。
少女も横になり、沖田総司の手を握り、掛け布団に包まって、微笑んで眠っている。
斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司と少女を見て、普通の表情で呟いた。
「総司が騒ぐから、食事は食べずに待つ。」
沖田総司は横になり、少女の手を握り、掛け布団に包まって、微笑んで眠っている。
少女も横になり、沖田総司の手を握り、掛け布団に包まって、微笑んで眠っている。
斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司と少女を普通の表情で見た。
「あらたまの 年行き返り 春立たば まづ我が宿に 鶯は鳴け」
沖田総司達の住む所では、翌朝になると節分、節分の翌日は立春、となる。
沖田総司と斉藤一と少女は、明日の楽しみも含めて夜の国での時間を楽しんでいる。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語に登場する歌は「万葉集 第二十巻 四四九〇番」
「あらたまの 年行き返り 春立たば まづ我が宿に 鶯は鳴け」
ひらがなの読み方は「あらたまの としゆきがへり はるたたば まづわがやどに うぐひすはなけ」
作者は「大伴家持(おおとものやかもち)」
歌の意味は「年があらたまって立春になったら、まずは私の庭で鶯よ、鳴いてくれ。」となるそうです。
原文は「安良多末能 等之由伎我敝理 波流多々婆 末豆和我夜度尓 宇具比須波奈家」
この歌は、天平宝時元年十二月十八日(757年1月31日)、大監物三形王の邸宅で宴をしたときに詠まれた三首のうちの一つだそうです。
この歌が詠まれた翌日の天平宝時元年十二月十九日(757年2月1日)が立春となっているそうです。
「節分(せつぶん)」は、幾つか意味がありますが、この物語では「立春の前日」を差しています。
「立春の前日」は、現在の暦で「二月三日」が多いです。
本来は、各季節の始まりの日(立春・立夏・立秋・立冬)の前日を言います。
現在では「春の節分」だけが行われています。
季節の変わり目には邪気が生じると考えられています。
それを追い払うために、この日の夕暮れに柊の鰯の頭を刺したものを戸口に立てておいたり、炒った大豆をまいて歳の数だけ食べたりする風習があります。
沖田総司さんの時代には、豆をまいたり豆を食べたりする風習は既にあったようです。
鬼の役の人を決めて豆を投げる行いが、いつから始まったのかは分かりませんでした。
「節分」という行事自体は、かなり古くから宮中で行なっていました。
その時の「節分」の行事の様子は、現在とは少し違っていたようです。
「春宵(しゅんしょう)」は、「春の夜。春の宵。」の意味です。
「夢物語(ゆめものがたり)」は「見た夢の話し。夢語り。」の意味です。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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