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〜 雪月花 新撰組異聞 編 〜


〜 春宵の夢物語 春の雨 温泉と雨音と淡雪 〜


登場人物

沖田総司、斉藤一、少女[美鈴・鈴]

夜の国の住人:夢



「春の雨に ありけるものを 立ち隠り 妹が家道に この日暮らしつ」

「万葉集 第十巻 一八七七番」より

作者:詠み人知らず



今は春。



ここは、京の町。



寒い日と暖かい日が混じる日が続いている。

暖かい春の気配が少しずつ増えている。



ここは、屯所。



沖田総司の部屋。



沖田総司は床の中で静かに寝ている。



部屋の中が不思議な空気に包まれた。



沖田総司は床の中でゆっくりと目を開けた。



少女が沖田総司を笑顔で覗き込んでいる。



沖田総司は、夜の国の住人で少女と同じ容姿の“夢”だと直ぐに分かった。



沖田総司は床の中で、夢に微笑んで話し出す。

「夢ちゃん。こんばんは。」

夢は沖田総司の顔を覆い、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。こんばんは。」

沖田総司は床の中で、夢を微笑んで見た。

夢は沖田総司から微笑んで離れた。

沖田総司は床の上に体を微笑んで起こした。

夢は沖田総司に微笑んで抱き付いた。

沖田総司は床の上に体を起こして、赤面して、動きを止めた。



夢は沖田総司を微笑んで抱いて、不思議な空気に包まれた。

沖田総司は床の上に体を起こして、赤面して、不思議な空気に包まれた。



夢は沖田総司を微笑んで抱いて、静かに居なくなった。

沖田総司は床の上に体を起こして、赤面して、静かに居なくなった。



一瞬の後の事。



ここは、夜の国。



夜空には、月と満天の星が輝いている。



心地良い空気に包まれている。



夢の家。



一室。



暖かい空気に包まれている。



夢は沖田総司を微笑んで抱いて、静かに現れた。

沖田総司は赤面して、静かに現れた。



夢は沖田総司から微笑んで離れた。

沖田総司は夢を赤面して見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。夜の国へようこそ。」

沖田総司は夢を赤面して見ている。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「夜の国の温泉を楽しんで頂きたくてご招待しました。」

沖田総司は夢に赤面して微笑んで話し出す。

「今回も夜の国の温泉が楽しめるんだ。」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は夢を微笑んで見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「今回の温泉を楽しんで頂く場所も、私の家から離れています。総司さん。案内します。」

沖田総司は夢に苦笑して話し出す。

「夢ちゃん。夜の国に来る時と同じ行動をしないよね。」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。今回も夜の国に来る時の方法を希望ですね。」

沖田総司は夢に慌てて話し出す。

「希望していない!」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「分かっています。焦らないでください。」

沖田総司は夢を安心して見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんは照れ屋さんですね。照れ屋さんの総司さんも素敵です。」

沖田総司は夢に慌てて話し出す。

「夢ちゃん! 夜の国に来る時と同じ行動しないで早く行こう!」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は夢を安心して見た。



夢は微笑んで、静かに居なくなった。

沖田総司は微笑んで、静かに居なくなった。



一瞬の直の事。



ここは、夜の国。



温泉地。



山に覆われている。

川の水が絶え間なく流れている。

滝の水が絶え間なく落ちている。

滝の音が絶え間なく聞こえる。



一軒の落ち着いた雰囲気の宿。



川が見える。

川の流れる音が絶え間なく聞こえる。



一室。



部屋の中は暖かい空気に包まれている。



夢は微笑んで、静かに現れた。

沖田総司も微笑んで、静かに現れた。



沖田総司は夢に微笑んで話し出す。

「今回も暖かい部屋だね。」

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は夢を微笑んで見た。

夢は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。夜の国の温泉を楽しんでください。」

沖田総司は夢に微笑んで頷いた。



夢は微笑んで、静かに居なくなった。



沖田総司は微笑んで呟いた。

「思い切り楽しむぞ〜」



沖田総司の横から、斉藤一の普通の声が聞こえた。

「総司。何を思い切り楽しむのか?」



沖田総司は横を驚いた表情で見た。



斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。



沖田総司は斉藤一に慌てて話し出す。

「勿論、夜の国の温泉と夜の国で過ごす時間です!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「慌てて話す内容に感じない。何故、慌てて話す?」

沖田総司は斉藤一に慌てて話し出す。

「斉藤さんが突然に現れるからです!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺は今回も総司が部屋に現れた時点で居た。」

沖田総司は斉藤一を驚いた表情で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は、美鈴さんに容姿が似ているから、赤面して動きが止まる。総司は、美鈴さんに同じ言動をしてもらう方が良いのだろ。俺から美鈴さんに同じ言動をするように頼む。」

沖田総司は斉藤一に慌てて話し出す。

「絶対に鈴ちゃんに頼まないでください!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は俺の予想を裏切らない言動をする。面白い。」

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「私は面白いですか?」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で考えながら話し出す。

「一応、礼を言います。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を不思議な様子で考えながら見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。温泉に浸かりながら続きを話そう。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は温泉に浸かる準備を普通の表情で始めた。

沖田総司は温泉に浸かる準備を微笑んで始めた。



少し後の事。



ここは、夜の国。



一軒の落ち着いた雰囲気の宿。



露天の温泉。



露天の温泉の傍に、小さな庭園が在る。

露天の温泉の上は、屋根で覆ってある。

露天の温泉と庭園は、灯りで淡く照らされている。



たくさんの湯気に包まれている。



沖田総司は温泉に微笑んで浸かっている。

斉藤一は温泉に普通の表情で浸かっている。



沖田総司は温泉に浸かり、斉藤一に微笑んで話し出す。

「庭園を見ながら温泉に浸かる。とても良いですね。」

斉藤一は温泉に浸かり、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は温泉に浸かり、庭園を微笑んで見た。

斉藤一は温泉に浸かり、庭園を普通の表情で見た。



雨が屋根に当たる音が聞こえた。



沖田総司は温泉に浸かり、屋根を不思議な様子で見た。

斉藤一は温泉に浸かり、景色を普通の表情で見た。

沖田総司は温泉に浸かり、景色を普通の表情で見た。



雨の降る様子が見える。



雨が屋根に当たる音が聞こえる。



沖田総司は温泉に浸かり、斉藤一を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「雨が降り始めました。」

斉藤一は温泉に浸かり、沖田総司を見ると、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は温泉に浸かり、斉藤一に微笑んで話し出す。

「露天の温泉が屋根で覆われているので、温泉に安心して浸かれます。」

斉藤一は温泉に浸かり、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は温泉に浸かり、斉藤一に微笑んで話し出す。

「淡い明かりの中で、屋根に当たる雨の音を聞きながら、温泉に浸かる。素敵な時間ですね。」

斉藤一は温泉に浸かり、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は温泉に浸かり、景色を微笑んで見た。

斉藤一は温泉に浸かり、沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は温泉に浸かり、斉藤一を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。鈴ちゃんの喜ぶ春の雨の音を詠んだ歌を知りませんか?」

斉藤一は温泉に浸かり、沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんの喜ぶ春の雨の音を詠んだ歌は知らないが、春の雨を詠んだ歌は幾首もある。」

沖田総司は温泉に浸かり、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんの知る春の雨を詠んだ歌を教えてください。」

斉藤一は温泉に浸かり、沖田総司に普通に話し出す。

「“春の雨に ありけるものを 立ち隠り 妹が家道に この日暮らしつ”。歌の意味は、“春の雨なのに、雨宿りしてしまったので、あの娘の家に行く途中で、日が暮れてしまいました。”、となるそうだ。」

沖田総司は温泉に浸かり、屋根を僅かに寂しく考えながら見た。

斉藤一は温泉に浸かり、沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんと素敵な時間が共有できないから、寂しいのだろ。」

沖田総司は温泉に浸かり、斉藤一を見ると、斉藤一に僅かに寂しく話し出す。

「はい。」

斉藤一は温泉に浸かり、沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんと一緒に温泉に浸かりながら、屋根に当たる雨音を聞けない。以上の理由から、寂しいのか。」

沖田総司は温泉に浸かり、斉藤一を驚いた表情で見た。

斉藤一は温泉に浸かり、沖田総司に普通に話し出す。

「総司。俺の想像どおりの言動をする。本当に面白い。」

沖田総司は温泉に浸かり、斉藤一に不思議な様子で考えながら話し出す。

「斉藤さんが私の言動で楽しい気持ちになるのは嬉しいですが、斉藤さんの話す面白いは意味が違うと思います。」

斉藤一は温泉に浸かり、沖田総司に普通に話し出す。

「気のせいだ。」

沖田総司は温泉に浸かり、斉藤一を不思議な様子で考え込んで見た。

斉藤一は温泉に浸かり、沖田総司に普通に話し出す。

「総司。夜の国の人達が設定した貴重な時間だ。悩む内容ではないのに悩んだらもったいない。楽しめ。」

沖田総司は温泉に浸かり、斉藤一に不思議な様子で考えながら話し出す。

「はい。」

斉藤一は温泉に浸かり、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は温泉に浸かり、斉藤一を微笑んで見た。



直後の事。



ここは、夜の国。



一軒の落ち着いた雰囲気の宿。



露天の温泉。



露天の温泉の傍に、小さな庭園が在る。

露天の温泉の上は、屋根で覆ってある。

露天の温泉と庭園は、灯りで淡く照らされている。



たくさんの湯気に包まれている。



屋根に雨の当たる音が聞こえる。



少女は温泉に微笑んで浸かっている。



少女は温泉に浸かり、屋根を見ると、微笑んで呟いた。

「総司さんと斉藤さんも、雨音を聞きながら、温泉に浸かっているのかしら? 総司さんも斉藤さんも、素敵な時間を過ごしていると良いな。」

少女は温泉に浸かり、景色を微笑んで見た。



暫く後の事。



ここは、夜の国。



温泉地。



山に覆われている。

川の水が絶え間なく流れている。

滝の水が絶え間なく落ちている。

滝の音が絶え間なく聞こえる。



雨が降っている。



一軒の落ち着いた雰囲気の宿。



川が見える。

川の流れる音が絶え間なく聞こえる。



一室。



部屋の中は暖い空気に包まれている。



沖田総司は微笑んで居る。

斉藤一は普通に居る。

少女は微笑んで居る。



沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「川の流れる音で、雨の降る音が聞こえないね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「今回の露天の温泉は、庭園の見える静かな雰囲気だったんだ。露天の温泉は屋根で覆われていたんだ。屋根に雨の当たる音が聞こえたんだ。屋根で覆われているから、安心して温泉に浸かれたんだ。屋根に当たる雨の音を聞きながら、温泉に浸かったんだ。楽しかったよ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私の浸かった露天の温泉も、庭園が見えて、静かな雰囲気で、露天の温泉が屋根で覆われていました。露天の温泉に浸かる途中から、屋根に雨の当たる音が聞こえました。屋根で覆われているので、安心して温泉に浸かれました。私も屋根に当たる雨の音を聞きながら、温泉に浸かりました。楽しかったです。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんも私と同じだったんだ。嬉しいな。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私も嬉しいです。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「夜の国の方達に感謝します。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。



暫く後の事。



ここは、夜の国。



一軒の落ち着いた雰囲気の宿。



一室。



川が見える。

川の流れる音が絶え間なく聞こえる。



部屋の中は温かい空気に包まれている。



斉藤一は掛け布団を抱えて、普通の表情で静かに現れた。



沖田総司は横になり、静かに寝ている。

少女も横になり、静かに寝ている。

食卓の上に、酒と肴の用意がしてある。



斉藤一は、少女に掛け布団を静かに掛けて、沖田総司に掛け布団を静かに掛けた。

沖田総司は横になり、静かに寝ている。

少女も横になり、静かに寝ている。

斉藤一は外を普通の表情で見た。



雪が静かに舞っている。



斉藤一は雪の降る様子を普通の表情で見た。



川の流れる音が部屋の中に聞こえる。



斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。

沖田総司は横になり、静かに寝ている。

少女も横になり、静かに寝ている。

斉藤一は沖田総司と少女を見ながら、普通の表情で呟いた。

「今の時季に雪が降ったとしても、淡雪になる。夜だから、寒さを感じる。総司と美鈴さんが起きる頃には、良い雰囲気の淡雪になっていると思う。」

沖田総司は横になり、静かに寝ている。

少女も横になり、静かに寝ている。

斉藤一は杯に酒を注ぐと、杯の酒を普通の表情で飲んだ。



「春の雨に ありけるものを 立ち隠り 妹が家道に この日暮らしつ」

温かい春の季節が始まろうとする頃に降った雨。

雨から雪に変わった。

雪は降っているが、淡雪になる。

辺りは春の気配が少しずつ増えている。

夜の国の時間はゆっくりと穏やかに過ぎている。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語に登場する歌は「万葉集 第十巻 一八七七番」

「春の雨に ありけるものを 立ち隠り 妹が家道に この日暮らしつ」

ひらがなの読み方は「はるのあめに ありけるものを たちかくり いもがいへぢに このひくらしつ」

作者は「詠み人知らず」

歌の意味は「春の雨なのに、雨宿りしてしまったので、あの娘(こ)の家に行く途中で、日が暮れてしまいました。」となるそうです。

原文は「春之雨尓 有来物乎 立隠 妹之家道尓 此日晩都」

春の雨なので、そんなに酷い降りではなかったと思われますが、ついつい雨宿りして時間が過ぎてしまった。

そのような状況だったのかも知れません。

「淡雪(あわゆき)」についてです。

「春先の、薄っすらと積もって消えやすい雪。」です。

春の季語です。

「春宵(しゅんしょう)」についてです。

「春の夜。春の宵。」です。

「夢物語(ゆめものがたり)」についてです。

「見た夢の話し。夢語り。」です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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