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新撰組異聞 〜 小春月 十月桜の記憶 〜
〜 改訂版 〜
〜 後編 〜
その翌々日の事。
ここは、少女の家。
少女の部屋。
沖田総司は花束を持って、心配そうに訪ねてきた。
少女は床の上にゆっくりと体を起すと、沖田総司を申し訳なさそうに見た。
沖田総司は花束を脇に置くと、少女に心配そうに話し出す。
「私が帰った後に、鈴ちゃんが倒れたと聞いた。私に遠慮せずに横になって良いんだよ。」
少女は床の上に体を起したまま、沖田総司に申し訳なさそうに話し出す。
「総司さん。ご心配をお掛けして申し訳ありません。今は念のために横になって休んでいるだけです。起きていても辛くないです。」
沖田総司は少女に心配そうに話し出す。
「私は鈴ちゃんを辛くさせる話しをしたのかな?」
少女は床の上に体を起したまま、沖田総司に不思議そうに話し出す。
「明日は総司さんにも斉藤さんにも逢えないと思ったら、とても寂しい気持ちになりました。以前にも同じ出来事や気持ちを経験したように感じました。突然に頭が物凄く痛くなって倒れてしまいました。」
沖田総司は少女に申し訳なさそうに話し出す。
「鈴ちゃん。私のために辛い想いをさせてしまって本当にごめんね。」
少女は床の上に体を起しながら、沖田総司に微笑んで話し出す。
「今は頭痛もなく、体調は落ち着いています。総司さん私といつもお話しをしてくださいます。総司さんは関係がないと思います。」
沖田総司は少女を悲しそうな表情で見た。
少女は床の上に体を起しながら、沖田総司に申し訳なさそうに話し出す。
「総司さん。急に調子が悪くなってしまって申し訳ありません。今は元気です。心配しないでください。」
沖田総司は少女に心配そうに頷いた。
少女は床の上に体を起しながら、沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さんと庭でお話しがしたいです。」
沖田総司は少女に心配そうに話し出す。
「風に当たって鈴ちゃんの体調が悪くなると困るだろ。今回は無理をせずに、部屋の中で話しをしよう。」
少女は床の上に体を起したまま、沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は脇に置いた花束を手に取ると、少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。今回も渡すのが遅くなってしまったけれど、約束どおりに花を持ってきたよ。今回は秋明菊を用意したんだよ。」
少女は床の上に体を起しながら、沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。ありがとうございます。」
沖田総司は少女に花束を微笑んで差し出した。
少女は床の上に体を起したまま、沖田総司から微笑んで花束を受け取った。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「秋明菊は綺麗な花だよね。」
少女は床の上に体を起しながら、花束を持って、沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女は床の上に体を起しながら、花束を微笑んで見た。
それから暫く後の事。
ここは、屯所。
斉藤一の部屋。
沖田総司は不安そうに訪ねてきた。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんに何か遭ったのか?」
沖田総司は斉藤一に悲しそうに話し出す。
「一昨日に私が鈴ちゃんを見舞った後に、鈴ちゃんが激しい頭痛に襲われて倒れたそうです。一昨日に私が帰った後に、鈴ちゃんは何度も同じ出来事を経験したと感じて、物凄く寂しい気持ちになったそうです。その時に突然に物凄い頭痛に襲われたそうです。今日の鈴ちゃんは、既に頭痛は治まっていると話していました。鈴ちゃんは私に笑顔をたくさん見せてくれました。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんの記憶が戻ったのか?」
沖田総司は斉藤一に悲しそうに話し出す。
「鈴ちゃんの記憶は戻っていないようです。鈴ちゃんは寂しさなどを感じた相手を、毎日のように逢える私ではないと言いました。鈴ちゃんが寂しさを感じた相手は、私だと思います。私が帰る時の鈴ちゃんは、寂しさを我慢して笑顔を見せていたのですね。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に辛そうに話し出す。
「私のために鈴ちゃんが辛い想いをしています。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。一番辛いのは美鈴さんだ。総司は美鈴さんを不安にさせないために笑顔で接しろ。」
沖田総司は斉藤一に悲しそうに頷いた。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
それから数日後の事。
ここは、少女の家。
玄関。
沖田総司は微笑んで訪れた。
少女は沖田総司の前に微笑んで現れた。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。こんにちは。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。こんにちは。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。今日は外にお出掛けしたいです。」
沖田総司は少女に心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。外に出掛けて大丈夫なの?」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さんは強くて頼りになる方です。総司さんと一緒なら、安心して出掛けられます。」
沖田総司は少女を不思議そうに見た。
少女も沖田総司を不思議そうに見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんは以前に同じ内容の話しを何度もしたんだ。私を頼りにしてくれて嬉しい気持ちを思い出したら、なぜか不思議な気持ちになったんだ。」
少女は考え込んだ。
沖田総司は少女に僅かに慌てた様子で話し出す。
「鈴ちゃん。考え込むと調子が悪くなるよ。今の話は忘れて。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「今日は少しだけ出掛けよう。辛くなった時は、無理をせずに直ぐに教えてね。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は微笑んで出掛けて行った。
少女も微笑んで出掛けて行った。
それから少し後の事。
ここは、京の町。
少女は微笑んで歩いている。
沖田総司は少女に気を配りながら、微笑んで歩いている。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「毎日のようにお見舞いに来て頂いてありがとうございます。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「私も斉藤さんも今は任務に余裕があるんだ。鈴ちゃんは逢う度に元気になっていくから、私も斉藤さんも鈴ちゃんのお見舞いに行くのが楽しいんだ。」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司も少女を微笑んで見た。
少し離れた場所から、男性の話し声が聞こえてきた。
「壬生狼だよ。」
沖田総司は立ち止まると、辺りを僅かに緊張した様子で見た。
少女は立ち止まると、沖田総司を不思議そうに見た。
沖田総司の視線の先に、新撰組の隊士達が真剣な表情で歩いている姿が見えた。
少女は沖田総司の腕を強く掴んだ。
沖田総司は少女を見ると、心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。辛くなったの?」
少女は沖田総司の腕に強く掴まりながら、小さい声で話し出す。
「大丈夫です。」
沖田総司は少女を心配そうに見た。
少女は沖田総司の腕を掴む力を弱めると、不思議そうに話し出す。
「壬生狼と聞いて、急に悲しさと辛さを感じました。以前にも同じ感じを経験した気がします。」
沖田総司は少女を悲しそうに見た。
少女は沖田総司の腕に掴まりながら、不思議そうに話し出す。
「総司さん。壬生狼というのはどのような動物ですか?」
沖田総司は少女を困惑した様子で見た。
少女は沖田総司から手を放すと、申し訳なさそうに話し出す。
「すいません。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「壬生狼は、ある人達を喩えた言葉だよ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「特定の方達を壬生に居ない狼に喩えるのは不思議ですね。強くて怖い人を想像します。」
沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。
「鈴ちゃん。辛いよね。家に戻って話しをしよう。」
少女は沖田総司を寂しそうに見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんが大丈夫なら、もう少しだけ出掛けようか。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
少し離れた場所から、男性の話し声が聞こえてきた。
「壬生狼が居たな。」
沖田総司は少女を心配そうに見た。
少女は辺りを不思議そうに見回した。
少女の視線の先に、新撰組の隊士達が歩く姿が見えた。
少女は沖田総司の腕を掴むと、辛そうな表情で呟いた。
「壬生狼。空色と白色の羽織。新撰組。」
沖田総司は少女を支えると、心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。無理をしては駄目だよ。少し休もう。」
少女は沖田総司の腕を掴みながら、辛そうに呟いた。
「壬生狼。空色と白色の羽織。新撰組。一番組組長。沖田総司。」
沖田総司は少女を支えながら、心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。無理して思い出しては駄目だよ。」
少女は沖田総司の腕を掴みながら、辛そうに呟いた。
「壬生狼。一番組組長。沖田総司。人斬り。」
沖田総司は少女を抱き寄せると、心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。無理しないで。」
少女は沖田総司の腕を強く掴むと、辛そうに話し出す。
「総司さん。頭が痛いです。気持ちが悪いです。」
沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し出す。
少女は沖田総司の腕を強く掴みながら、辛そうに話し出す。
「総司さん。助けて。」
沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛けようとした。
少女の手が沖田総司の腕からゆっくりと放れた。
少女は気を失った。
それから暫く後の事。
ここは、診療所。
一室。
沖田総司は少女を心配そうに見ている。
少女は床の中で静かに眠っている。
少女は床に横になったまま、ゆっくりと目を開けた。
沖田総司は少女を心配そうに見た。
少女は床に横になったまま、沖田総司に申し訳なさそうに話し出す。
「総司さん。突然に倒れてしまって申し訳ありません。」
沖田総司は少女に心配そうに話し出す。
「鈴ちゃんは悪くないのだから、謝らなくて良いよ。」
少女は床に横になったまま、沖田総司を申し訳なさそうに見た。
沖田総司は少女に心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。辛い思いをさせてごめんね。」
少女は床に横になったまま、沖田総司に微笑んで話し出す。
「私は大丈夫です。安心してください。」
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女は床に横になったまま、沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さんは新撰組でお仕事をされている方ですよね。斉藤さんも新撰組でお仕事をされている方ですよね。だから壬生狼と聞いた時に悲しくなったのですね。」
沖田総司は少女に寂しそうに話し出す。
「壬生狼は、新撰組を喩えた呼び方なんだ。私も斉藤さんも壬生狼になるんだ。」
少女は床の上にゆっくりと起き上がると、沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。お時間に余裕がありますよね。お出掛けの続きがしたいです。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。今日は家に戻ろう。家に着いたら、鈴ちゃんの部屋で話しながら過ごそう。」
少女は床の上に体を起したまま、沖田総司に不安そうに話し出す。
「総司さん。私が倒れたのを家族に言わないでください。」
沖田総司は少女に微笑んで頷いた。
少女は床の上に体を起したまま、沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。家に帰ります。私のお部屋で一緒にお話しをしてください。」
沖田総司は少女に微笑んで頷いた。
少女は床の上に体を起しながら、沖田総司を微笑んで見た。
それから暫く後の事。
ここは、屯所。
斉藤一の部屋。
沖田総司は辛そうな表情で訪れた。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に辛そうに話し出す。
「鈴ちゃんが壬生狼という言葉を聞いて、調子が悪くなって倒れてしまいました。鈴ちゃんは私が新撰組の隊士だと思い出しました。鈴ちゃんの記憶が少しずつ戻り始めているそうです。鈴ちゃんは無理して思い出そうとしたり、辛い出来事を思い出そうとしたり、辛い出来事を経験して思い出そうとしたりすると、記憶が戻るまで頭痛や気持ち悪くなるなどの症状が続くそうです。記憶が戻ろうとしている鈴ちゃんを見ているのは辛いです。鈴ちゃんが辛くなるのは、全て私の責任です。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。美鈴さんに落ち込む姿を見せるな。総司は更に気持ちをしっかりと持って、記憶が戻ろうとしている美鈴さんを支えるんだ。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで頷いた。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
その翌日の事。
ここは、少女の家。
少女の部屋。
沖田総司は少女を微笑んで見ている。
少女も沖田総司を微笑んで見ている。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。元気に見えるよ。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。元気です。」
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さんとお話しがしたいです。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんの部屋で話しをする? それとも出掛けながら話しをする?」
少女は沖田総司に悲しそうに話し出す。
「外に出掛けたくないです。新撰組を悪く言う方がたくさんいます。新撰組を壬生狼と呼ぶ方がたくさんいます。悲しいです。」
沖田総司は少女の手を悲しそうに取った。
少女は沖田総司を悲しそうに見た。
沖田総司は少女の手を握ると、悲しそうに話し出す。
「鈴ちゃん。悲しませてごめんね。私達は京の町の人達に悪く言われないように努力しているのに、どうしても悪く言われてしまうんだ。雅や京の町に疎い者達の集まりだから仕方がないよね。」
少女は沖田総司に悲しそうに話し出す。
「総司さんも斉藤さんも優しい方です。私は総司さんや斉藤さんに何もしていないのに、たくさん優しくしてくださいます。」
沖田総司は少女の手を握ったまま、微笑んで話し出す。
「私は鈴ちゃんに初めて逢った時は、京の町ついて何も知らなかった。京の町の人達は、私を田舎者だと思っていたかも知れない。鈴ちゃんは私に京の町について丁寧に教えてくれた。私の行動が間違っていても、笑顔で許してくれた。鈴ちゃんは優しくてしっかりした子だよ。鈴ちゃんは優しくされて当然の子なんだよ。」
少女は沖田総司を不思議そうに見た。
沖田総司は少女の手を握ったまま、微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。無理しては駄目だよ。今日は鈴ちゃん部屋や庭で話しをして過ごそう。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は少女の手を握ったまま、微笑んだ。
その翌日の事。
ここは、少女の家。
少女の部屋。
斉藤一は普通の表情で居る。
少女は微笑んで居る。
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「元気そうだな。」
少女は斉藤一に微笑んで頷いた。
斉藤一は少女を普通の表情で見た。
少女は斉藤一に言い難そうに話し出す。
「斉藤さんと総司さんは、新撰組でお仕事をされていますよね。総司さんは一番組組長さんですよね。斉藤さんも組長さんですか?」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「俺は三番組組長だ。」
少女は斉藤一に申し訳なさそうに話し出す。
「総司さんも斉藤さんも偉い方なのですね。私のためにたくさんの時間を割いて大丈夫なのですか?」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「総司は、美鈴さんに逢いたいから精一杯の出来る行動をしている。俺は、総司に頼まれたから手伝っている。美鈴さんは普段どおりにしていろ。」
少女は斉藤一に不安そうに話し出す。
「総司さんと斉藤さんが毎日のように逢いに来てくださるので、とても嬉しく思う気持ちと申し訳ない気持ちの両方を抱きます。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「俺も総司も都合が悪ければ美鈴さんに逢いに来ない。時間に余裕があるから美鈴さんに逢いに来ている。心配するな。」
少女は斉藤一に申し訳なさそうに話し出す。
「私はたくさんの出来事が思い出せません。総司さんにも斉藤さんにも申し訳なくて早く思い出したいのに、なかなか思い出せません。」
斉藤一は少女に普通に話し出す。
「俺や総司を気にして無理をするな。自分を大事にしろ。」
少女は斉藤一に申し訳なさそうに頷いた。
斉藤一は少女を普通の表情で見た。
それから暫く後の事。
ここは、屯所。
斉藤一の部屋。
沖田総司が心配そうに訪ねてきた。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「美鈴さんは元気だった。俺達に気兼ねして早く記憶を戻したいと話していた。」
沖田総司は斉藤一に悲しそうに話し出す。
「鈴ちゃんは記憶が完全に戻っていなくても、私や斉藤さんをずっと気遣ってくれますよね。鈴ちゃんに申し訳ないと何度も思います。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司。しっかりしろ。」
沖田総司は斉藤一に微笑んで頷いた。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
その翌日の事。
ここは、少女の家。
玄関。
沖田総司は微笑んで訪れた。
少女は沖田総司の前に微笑んで来た。
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。お出掛けしたい場所があります。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。どこに行きたいの?」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「春以外の季節に、桜の咲く場所で総司さんとお話しする夢を見ました。総司さんと桜を見ながらお話しがしたいです。」
沖田総司は少女を不思議そうに見た。
少女は沖田総司を不思議そうに見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「春以外にも咲く桜を見に行こう。」
少女は沖田総司に微笑んで頷いた。
沖田総司は少女を微笑んで見た。
それから少し後の事。
ここは、春以外にも桜の咲く場所。
桜の花が僅かに淡く咲いている。
少女は桜を微笑んで見ている。
沖田総司は少女と桜を微笑んで見ている。
少女は沖田総司を見ると、微笑んで話し出す。
「総司さん。春以外なのに桜が咲いています。」
沖田総司は少女に微笑んで頷いた。
少女は沖田総司の腕を恥ずかしそうに掴んだ。
沖田総司は少女を微笑んで見た。
少女は沖田総司の腕を掴みながら、桜を微笑んで見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんの見ている桜は、秋や冬にも咲く“十月桜”という名前の桜なんだよ。」
少女は沖田総司の腕を強く掴むと、辛そうな表情になった。
沖田総司は少女を支えると、心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。大丈夫?」
少女は沖田総司の腕を強く掴みながら、辛そうに話し出す。
「私は総司さんと十月桜の下で、忘れてはいけないとても大切なお話しをしました。お話しの内容を思い出したいのに、思い出せません。」
沖田総司は少女を支えながら、辛そうに話し出す。
「鈴ちゃん。無理をしては駄目だよ。少し休もう。」
少女は沖田総司の腕を強く掴みながら、辛そうに呟いた。
「思い出しました。私は総司さんと桜の木の下で・・・」
少女は沖田総司の腕から手を放すと同時に気を失った。
沖田総司は少女を支えながら、心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん! 大丈夫?! しっかりして!」
少女は気を失ったまま目を覚ます様子がない。
沖田総司は少女を悲しそうに抱いた。
それから暫く後の事。
ここは、診療所。
一室。
少女は床の中で静かに眠っている。
沖田総司は少女を心配そうに見ている。
少女は床に横になったまま、ゆっくりと目を開けた。
沖田総司は少女に心配そうに話し出す。
「鈴ちゃん。辛いところはある?」
少女は床に横になったまま、沖田総司を不思議そうに見た。
沖田総司は少女に心配そうに話し出す。
「鈴ちゃんは十月桜を見ている最中に倒れたんだ。」
少女は床の上にゆっくりと体を起すと、沖田総司に不思議そうに話し出す。
「総司さん。今日はお仕事の日ですよね。十月桜を一緒に見る予定の日ではないですよね。」
沖田総司は少女を不思議そうに見た。
少女は床の上に体を起したまま、沖田総司を不思議そうに見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。医者を呼んでくる。少しだけ一人で待っていてね。」
少女は床の上に体を起したまま、沖田総司に微笑んで見た。
沖田総司は部屋を微笑んで行った。
それから少し後の事。
ここは、療養所に在る一室。
医者は少女を真剣な表情で診ている。
少女は床の上に体を起したまま、医者を不安そうに見ている。
沖田総司は医者と少女を心配そうに見ている。
医者は少女の診察を終えると、普通に話し出す。
「美鈴さんは怪我をして以前の記憶の無い時期があった。以前の記憶は戻ったが、記憶が無い間の出来事を忘れている。記憶の無い時期の出来事は、思い出せない可能性が高い。」
沖田総司は医者を不思議そうに見た。
少女は床の上に体を起したまま、医者を不思議そうに見た。
医者は部屋を普通に出て行った。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃん。良かったね。」
少女は床の上に体を起しながら、沖田総司を困惑した様子で見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「突然に良かったと言われても困るよね。」
少女は床の上に体を起しながら、沖田総司に微笑んで話し出す。
「総司さん。今日はお時間がある日ですか? 総司さんと一緒に桜が見たいです。」
沖田総司は少女に心配そうに話し出す。
「辛くない?」
少女は床の上に体を起しながら、沖田総司に微笑んで話し出す。
「大丈夫です。」
沖田総司は少女を微笑んで見た。
それから少し後の事。
ここは、十月桜の咲く場所。
少女は沖田総司と十月桜を微笑んで見ている。
沖田総司は少女と十月桜を微笑んで見ている。
少女は沖田総司に申し訳なさそうに話し出す。
「私が倒れた時の様子が十月桜を見ても思い出せません。私は総司さんと斉藤さんにたくさん迷惑を掛けたはすです。迷惑を掛けた時の記憶が思い出せないかも知れません。」
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんは私にも斉藤さんにも迷惑を掛けていないよ。安心して良いよ。」
少女は沖田総司を申し訳なさそうに見た。
沖田総司は少女を抱くと、微笑んで話し出す。
「鈴ちゃんは記憶が無くても、約束は覚えていたんだよ。私はとても嬉しかったよ。」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し出す。
「私は鈴ちゃんにずっと笑顔でいて欲しいんだ。鈴ちゃんの笑顔を見ていると、私も笑顔になるんだ。鈴ちゃんの笑顔は、私にたくさんの元気を与えてくれるんだ。」
少女は沖田総司を微笑んで見ている。
沖田総司は少女を微笑みながら強く抱きしめた。
〜 完 〜
はじめに
前編
後書き
その後の物語
目次
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