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新撰組異聞 〜 神有月 〜


〜 改訂版 〜


〜 前編 〜


今は冬。



ここは、京の町。



厳しい寒さの季節が少しずつ近付いてきている。



ここは、落ち着いた雰囲気の寺。



境内。



菊の花がたくさん咲いている。



沖田総司と少女が居る。



少女は菊の花を微笑んで見ている。

沖田総司は少女を微笑んで見ている。



数人の男性の小さな声での話し声が、寺の外から聞こえてきた。

「新撰組は壬生浪士組と名乗っていた時期があるよな。」

「確かに壬生浪士組と名乗っていた時期があるぞ。」

「壬生浪士組と名乗っていた頃に、芹沢さんという人物が局長を務めていたよな。」

「確かに壬生浪士組と名乗っていた頃に、芹沢鴨さんという人物が局長を務めていたぞ。」

「芹沢さんは、襲撃されて殺害されたんだよな。」

「俺が聞いた話も同じだ。本当は違うのか?」

「実は、新撰組の隊士が芹沢さんを殺害したという噂があるんだ。」

「今の噂は本当なのか? 芹沢さんを斬った人物は誰なんだ?」

「芹沢さんの殺害に加わったのは、山南さん、土方さん、沖田さん、という噂だ。」

「三人が噂に登場するのだから、芹沢さんは噂どおり強い人物だったんだな。」

「今の噂が本当なら、沖田さんは芹沢さんの殺害に加わったんだな。」

「噂とは言っても、安易に口外したら殺害されるかも知れないぞ。俺達も殺害されないように今の噂を口外するのは止めよう。」

「賛成。」



少女は沖田総司を心配そうに見た。

沖田総司は僅かに緊張しながら辺りを見回した。



数人の男性の小さな声での話し声が、寺の外から聞こえてきた。

「先程の話題の中に登場した山南さんも亡くなったよな。」

「山南さんは切腹をして亡くなったが、亡くなったという事実は同じだな。」

「沖田さんが介錯を務めたんだろ。」

「沖田さんは、芹沢さん関連の出来事に加わって、山南さんの介錯を務めた展開になるな。」

「山南さんは沖田さんを弟のように可愛がっていたよな。沖田さんは山南さんを信頼して慕っていたよな。」

「芹沢さんは沖田さんを可愛がっていたという噂を聞いた。」

「芹沢さんが沖田さんを可愛がっていたのは事実だぞ。」

「沖田さんは、恩のある人物の最期に関係した状況になるな。」

「沖田さんは、命令があれば、恩のある人でも迷わずに斬れる人なんだ。」

「沖田さんは、仲の良い斉藤さんも斬れと命令されたら簡単に斬るんだろな。」

「考えるだけで怖くなってきた。」

「沖田さんも斉藤さんと同じく、実際も怖い人なんだな。」

「沖田さんは笑顔を見せる時が多いが、怒った時や武術関連に係わる時は物凄く怖いぞ。」

「確かに、沖田さんは怒った時と武術関連に係わっている時は物凄く怖いな。」

「俺達も沖田さんに殺されないように、しっかりとご機嫌をとろうぜ。」

「沖田さんにしっかりとご機嫌をとるより、沖田さんに近付かない方が良くないか?」

「分かった。」



数人の男性の話し声は聞こえなくなった。



少女は沖田総司を怯えながら見た。

沖田総司は少女を不安そうに見た。

少女は沖田総司に怯えながら話し出す。

「総司さんは山南さんの介錯を務めたのですか?」

沖田総司は少女に不安そうに頷いた。

少女は沖田総司に怯えながら話し出す。

「総司さんは芹沢さんを斬ったのですか?」

沖田総司は少女に不安そうに頷いた。

少女は沖田総司を怯えながら見た。

沖田総司は少女に悲しそうに話し出す。

「芹澤さんの時は、命令だった。山南さんの時は、山南さん本人の希望だった。」

少女は沖田総司に怯えながら話し出す。

「総司さんは、命令や頼まれれば、お世話になった人を斬って介錯を務めるのですか?」

沖田総司は少女を悲しそうに見た。

少女は沖田総司に怯えながら話し出す。

「総司さんは、命令や頼まれれば、斉藤さんを斬ったり介錯を務めたりするのですか?」

沖田総司は少女を悲しそうに見ている。

少女は沖田総司に怯えながら話し出す。

「総司さんは、命令があれば、私も斬るのですか?」

沖田総司は少女に悲しそうに話し出す。

「鈴ちゃんは、命令が下ったとしても斬らないよ。鈴ちゃんは私を信じてくれるよね。」

少女は沖田総司に怯えながら話し出す。

「総司さんは、命令や頼まれると、お世話になった芹沢さんや山南さんを見捨てて、お仕事やお立場を選ぶのですね。私よりもお仕事やお立場を選ぶ可能性は充分に考えられますよね。私は総司さんを信じても大丈夫なのですか?」

沖田総司は少女を悲しそうに見た。

少女は沖田総司に怯えながら話し出す。

「総司さんは、私が悪い行動や悪い発言をしていないのに何度も怒ります。総司さんは、命令があれば、お世話になった人を斬ります。総司さんの大切な方は、総司さんご本人だけです。ご自分が一番大切な総司さんと逢い続けるのならば、あの方達の言うとおり、総司さんのご機嫌を損ねないようにしなければなりません。私は死にたくありません。だから総司さんとは二度と逢いません。」

沖田総司は少女を驚いた表情で見た。



少女は沖田総司から怯えた様子で離れた。



沖田総司は少女に不安そうに近付こうとした。



少女は沖田総司に怯えながら話し出す。

「総司さん。来ないでください。」



沖田総司は少女を悲しそうに見た。



少女は怯えた様子のまま、走りながら去って行った。



沖田総司は少女を悲しそうに呼び止めようとした。



沖田総司は驚いて目を開けた。



辺りは暗闇に包まれている。



ここは、屯所。



沖田総司の部屋。



沖田総司は床に横になって寝ている。



沖田総司の息が僅かに荒くなっている。



沖田総司は床の上に体を起すと、悲しそうな表情で、ゆっくりと息を整えた。



沖田総司は床の上に体を起しながら、悲しそうに呟いた。

「先程の出来事は、全て夢だよね。でも、芹沢さんを斬った出来事と、山南さんの介錯を務めた出来事は、どちらも事実なんだよね。」



部屋の中が僅かに明るさに包まれた。



沖田総司は床の上に体を起しながら、疲れた様子で軽く息をはいた。



それから数日後の事。



ここは、屯所。



縁。



沖田総司は僅かに疲れた様子で歩いている。



斉藤一は沖田総司の前に普通に来た。



沖田総司は立ち止まると、斉藤一を不思議そうに見た。



斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。数日ほど前から疲れている様子に見える。今日は朝から疲れている様子に見える。」

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。

「私は疲れている様子に見えるのですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「今は場所や時間も含めて落ち着いて話が出来ないな。夜になったら、俺の部屋で話しをして構わないぞ。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「お気遣いありがとうございます。今夜は遠慮します。別な日に話すかも知れません。その時は話を聞いてください。よろしくお願いします。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。



沖田総司は微笑んで去って行った。



斉藤一は普通に去って行った。



その翌日の事。



ここは、少女の家の近く。



沖田総司と少女が居る。



少女は沖田総司に怯えながら話し出す。

「総司さんは怖い方です。お話しをしたくないです。」

沖田総司は少女を悲しそうに見た。

少女は沖田総司に怯えながら話し出す。

「もしかして、私が総司さんと逢いたくないと言ったから、私を斬りに来たのですか?」

沖田総司は悲しそうに少女に話し出す。

「私は鈴ちゃんを斬るような状況には一度もなっていないよ。今日は鈴ちゃんに逢いたくて訪ねて来たんだよ。」

少女は沖田総司に怯えながら話し出す。

「私は、総司さんに斬られないために、これからも総司さんとお話しをしなければならないのですか?」

沖田総司は少女を悲しそうに見た。



少女は沖田総司から怯えながら離れた。



沖田総司は少女に悲しそうに話し掛けようとした。



沖田総司は驚いて目を開けた。



辺りは暗闇に包まれている。



ここは、屯所。



沖田総司の部屋。



沖田総司は床に横になって寝ている。



沖田総司の息は僅かに荒くっている。



沖田総司は床の上に体を起すと、悲しそうな表情で、ゆっくりと息を整えた。



沖田総司は床の上に体を起しながら、悲しそうに呟いた。

「鈴ちゃんは優しい子だ。鈴ちゃんは何が遭っても私の傍に居てくれる。」



沖田総司は疲れた様子で床に横になった。


沖田総司は床に横になったまま、不安そうに呟いた。

「もしかして、鈴ちゃんは、私が怖いと思っているのかな?」



部屋の中が僅かに明るさに包まれた。



沖田総司は床に横になったまま、疲れた様子で軽く息をはいた。



それから暫く後の事。



ここは、京の町。



朝から良い天気となっている。



ここは、落ち着いた雰囲気の寺。



沖田総司と少女が居る。



少女は沖田総司に心配そうに話し出す。

「総司さん。お疲れですか?」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「疲れていないよ。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司も少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。菊の花が綺麗に咲いています。」

沖田総司は少女を驚いた表情で見た。

少女は沖田総司を不思議そうに見た。

沖田総司は少女に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「私に菊の花が咲いていると話す必要があるのか?」

少女は沖田総司に申し訳なさそうに話し出す。

「ごめんなさい。」

沖田総司は少女に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「早く寺の中に入って話をしよう。」

少女は沖田総司に小さく頷いた。

沖田総司は少女に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「不満があるのか?」

少女は沖田総司に小さく首を横に振った。

沖田総司は少女を僅かに不機嫌そうに見た。



数人の男性の小さな声での話し声が、寺の外から聞こえてきた。

「新撰組は壬生浪士組と名乗っていた時期があるよな。」

「確かに壬生浪士組と名乗っていた時期があるぞ。」

「壬生浪士組と名乗っていた頃に、芹沢さんという人物が局長を務めていたよな。」

「確かに壬生浪士組と名乗っていた頃に、芹沢鴨さんという人物が局長を務めていたぞ。」



沖田総司は驚いた表情になった。

少女は沖田総司を心配そうに見た。

沖田総司は驚いた表情のまま、声の聞こえる方向を見た。

少女は沖田総司に心配そうに話し出す。

「総司さん。お体の調子が悪いですか?」

沖田総司は少女を見ると、僅かに不機嫌そうに呟いた。

「止めろ。」

少女は沖田総司を心配そうに見た。

沖田総司は少女に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「鈴ちゃんも私を非情な人物だと思っているのだろ。」

少女は沖田総司に心配そうに話し出す。

「総司さんは立派な方です。」

沖田総司は少女に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「私は、弟のように面倒を見てくれた人の介錯を務めた。私は、乱暴だったけれど私を気に掛けてくれた人を斬った。鈴ちゃんも私を非情な人物だと思うだろ。」

少女は沖田総司を驚いた表情で見た。

沖田総司は少女を僅かに不機嫌そうに見た。

少女は沖田総司に心配そうに話し出す。

「私は総司さんを非情な方だと思った時は一度もありません。」

沖田総司は少女に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「鈴ちゃんは、なぜ私を非情な人物だと思わないのか?」

少女は沖田総司に不機嫌そうに話し出す。

「総司さんは大変で辛いお仕事をしています。」

沖田総司は少女に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「鈴ちゃんは任務のためなら私が何をしても許すのか?」

少女は沖田総司に心配そうに話し出す。

「総司さんのお仕事に必要な行動なんですよね。」

沖田総司は少女に僅かに不機嫌そうに話し出す。

「鈴ちゃんは、任務のためならば、私が斉藤さんを斬ったとしても、笑顔で逢うのだな。」

少女は沖田総司を驚いた表情で見た。

沖田総司は少女を僅かに不機嫌そうに見た。

少女は沖田総司に心配そうに触ろうとした。

沖田総司は少女の手首を掴むと、大きな声で話し出す。

「触るな!」

少女は目を閉じた。

沖田総司は少女の手首を乱暴に放した。

少女は目を閉じたまま、手首を軽く押さえた。

沖田総司は少女に慌てた様子で話し出す。

「鈴ちゃん! 大丈夫?! ごめんね! とても痛いよね! 怪我はない?!」

少女は目を開けて手首から手を放すと、沖田総司に小さく頷いた。

沖田総司は少女の手を心配そうに取った。

少女は沖田総司を不安そうに見た。

沖田総司は少女の手首を診ながら、心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん。手首が痛い? それとも別な所が痛い?」

少女は沖田総司に微笑みながら小さく首を横に振った。

沖田総司は少女の手を取りながら、心配そうに話し出す。

「もしかして嫌な出来事を思い出したのかな?」

少女は沖田総司に申し訳なさそうに話し出す。

「大丈夫です。出過ぎたまねをして申し訳ありませんでした。」

沖田総司は少女の手を取りながら、心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん。調子が悪いよね。怪我をしているよね。隠さずに言ってくれ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私は大丈夫です。心配しないでください。」

沖田総司は少女の手を取りながら、申し訳なさそうに話し出す。

「数日ほど余り眠れなくて、疲れが残っていて、機嫌が悪い時が多くなっていたんだ。鈴ちゃんには八つ当たりをしてしまった。ごめんね。」

少女は沖田総司に申し訳なさそうに話し出す。

「私は総司さんの体調やお気持ちに気付かずに、境内に咲く菊の花をを喜んで見ていました。気配りが出来なくて申し訳ありませんでした。」

沖田総司は少女の手を放すと、悲しそうに抱いた。

少女は沖田総司を心配そうに見た。

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し出す。

「私は心配してくれた鈴ちゃんに怪我をさせて調子も悪くさせたんだよ。なぜ鈴ちゃんは無理や我慢をするだけでなく、私に謝るんだ? 鈴ちゃんは調子が悪いのだから無理しては駄目だよ。」

少女は沖田総司に小さい声で話し出す。

「総司さんは悪くありません。私の気配りが足りませんでした。謝るのは私です。」

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し出す。

「鈴ちゃんは、怪我をしているし調子も悪いんだよ。なぜ私の心配だけをするんだ?」

少女は沖田総司に小さい声で話し出す。

「ごめんなさい。」

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し出す。

「鈴ちゃんは女の子だから怪我が残ったら申し訳がない。早く医者に行こう。」

少女は沖田総司に小さい声で話し出す。

「お医者さんに診てもらわなくて大丈夫です。」

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん。無理しないように話したよね。早く医者に行こう。」

少女は沖田総司に小さい声で話し出す。

「痛みはなくなりました。調子も良くなりました。お医者さんに診てもらわなくても大丈夫です。」

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん。お願いだから医者に行こう。」

少女は沖田総司に小さく頷いた。

沖田総司は少女をゆっくりと放した。

少女は沖田総司を心配そうに見た。



少女はゆっくりと歩き出した。

沖田総司は少女を気遣いながら、ゆっくりと歩き出した。





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