新撰組異聞　〜　花影　〜


〜　後編　〜


斉藤一と原田左之助は、気を失っている少女を連れて医者へとやってきた。

少女を床に横にすると、静かに部屋を出た。

医者は気を失っている少女の診察を始めた。

原田左之助が斉藤一に心配そうに話し掛ける。

「斉藤。俺は総司にあの子が倒れた事を伝えてくる。」

斉藤一は原田左之助を見ると黙って頷いた。

原田左之助は斉藤一に心配そうに話し掛ける。

「斉藤。あの子の傍に居てやれよ。」

斉藤一は原田左之助を見ながら黙って頷いた。

原田左之助は沖田総司のもとへと急いで向かった。

斉藤一は少女の傍で様子を見ることにした。



それから少し後の事。

少女は床の上でゆっくりと目を開けた。

辺りを不思議そうに見ていたが、斉藤一の姿を確認すると、悲しそうな表情になった。

斉藤一は少女を黙って見ている。

少女は床に横になったまま、斉藤一に悲しそうに話し掛ける。

「総司さんのご機嫌をまた損ねてしまいました。まだ許していただけないみたいです。どうやって謝ったら許してくれるでしょうか？」

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「いつまでも怒っている総司なんか放って置いて、もっと良い奴を探せば良いだろ。美鈴さんは、それが出来る立場の人なんだぞ。」

少女は横になったまま、斉藤一に悲しそうに話し掛ける。

「総司さんは優しい人です。私の事をいつも心配してくれます。」

斉藤一は少女を黙って見ている。

少女は横になったまま、斉藤一に悲しそうに話し掛ける。

「総司さんは強い人です。でも、悲しそうなお顔や、寂しそうなお顔をする事があります。だから、誰かが総司さんの傍に居てあげないと、ずっと寂しいお顔のままになってしまいます。」

斉藤一は少女を黙って見ている。

少女は横になったまま、斉藤一に悲しそうに話し掛ける。

「私が総司さんに出来る事は、それくらいしかありません。」

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「だからと言って、倒れるほど悩まなくてもいいだろ。」

少女は横になったまま、斉藤一に悲しそうに話し掛ける。

「そうですよね。私は本当に頼りになりませんね。だから、総司さんが会ってくれなくなってしまったんですよね。」

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「何度も言うが、美鈴さんはしっかりとしている。落ち込む必要はない。」

少女は横になったまま、斉藤一を悲しそうに見ている。

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「美鈴さんが辛い時に、話しを聞いてあげられなくて悪かったな。」

少女は横になったまま、斉藤一に悲しそうな表情で小さく首を横に振った。

斉藤一は少女を黙って見ている。



ここは屯所。

原田左之助は沖田総司のもとに急いでやってきた。

沖田総司は原田左之助を不思議そうに見た。

原田左之助は辺りを気にしながら、沖田総司に普通に話し掛ける。

「総司と良く一緒に居る子が倒れたぞ。」

沖田総司の動きが一瞬だけ止まった。

原田左之助は沖田総司に話し掛けようとした。

沖田総司は原田左之助の話しの続きを聞かずに、歩き始めた。

原田左之助が沖田総司と一緒に歩きながら、心配そうに話し掛ける。

「疲労と心労が重なって倒れたみたいなんだ。」

沖田総司は急に立ち止まると、何かを考えている表情になった。

原田左之助は心配そうに沖田総司に話し掛ける。

「倒れたけど、たいした事はないみたいなんだ。今は医者の所で横になって休んでいるんだ。」

沖田総司は原田左之助を見る事もなく、黙って歩き始めた。

原田左之助は沖田総司と一緒に歩きながら、心配そうに話し掛ける。

「今は斉藤が傍に付いているんだ。総司。早く行ってやれよ。」

沖田総司は立ち止まると、原田左之助に素っ気無く話し掛ける。

「斉藤さんが傍に居るんですよね。だったら、私が傍に居る必要はないですよね。」

原田左之助は沖田総司に怒った表情で話し出す。

「総司！　見損なったぞ！」

沖田総司は驚いた表情で原田左之助を見ている。

原田左之助は沖田総司に怒った表情で話し出す。

「総司！　お前って最低な奴だな！」

沖田総司は驚いて原田左之助を見ている。

原田左之助は沖田総司に怒った様子で話し掛ける。

「総司はあの子の事を大切な友達って良く言っているだろ！　俺には理解が出来ないけど要は大切な人なんだろ！　喧嘩したのかどうかは知らないけど、総司の事を心配して倒れたと思うぞ！　それなのに、どうして見舞いの一つでも行こうという気にならないんだよ！」

沖田総司は原田左之助を黙って見ている。

原田左之助は沖田総司に怒った様子で話し出す。

「こんな最低な奴と口を利くのも馬鹿らしい！　時間の無駄！　こんな奴のことを心配して倒れたあの子が可哀想だ！」

沖田総司は原田左之助に何かを話し掛けようとした。

原田左之助は沖田総司の話しを聞くこともなく、怒ったまま去っていった。



その日の夜の事。

沖田総司は月夜の下で、悲しそうに桜を見ている。

桜は月夜の下でひっそりと咲いている。

沖田総司は桜の幹に手を置くと、悲しそうに桜の花を見ながら呟いた。

「一変に大切な人が居なくなってしまった。一人で勝手に怒って、相手の事を考えないで行動していたら、一人きりになってしまった。」

桜は見頃を過ぎてはいるが、月夜の下で静かに綺麗な花を咲かせている。

沖田総司は桜の幹から手を離すと、桜の花を見上げながら悲しそうに呟いた。

「全て私が悪いんだよね。」

桜の木から桜の花びらが静かに舞い落ちてきた。

沖田総司は桜の花びらを掌で受け止めた。

桜の花びらは沖田総司の掌で、月夜の光を受けて淡く光っている。

沖田総司は桜の花を握り締めると、前を向いた。

月の光は桜も沖田総司も静かに照らしている。

沖田総司は桜を背にしながら、走ってその場から去っていった。



沖田総司は少女の家を訪れた。

家の人が言うには、少女はいつもより早く寝てしまったとの事。

体調の確認をしたが、いつもと変わらないという返事だった。

沖田総司は家の人に何かを話し掛けると、寂しそうに屯所へと帰っていった。



その次の日の夜の事。

斉藤一と原田左之助は、桜を見ながら酒を飲んでいる。

原田左之助は斉藤一に普通に話し掛ける。

「総司とあの子は、どうなっていると思う？」

斉藤一は原田左之助に普通に話し掛ける。

「元に戻るだけだと思います。」

原田左之助は斉藤一に苦笑しながら話し掛ける。

「そうなんだ。」

斉藤一は自分で酒を注ぎながら、黙って酒を飲んでいる。

原田左之助は杯に残っている酒を勢い良く飲んだ。

斉藤一は自分で酒を注ぎながら、黙って酒を飲み続けている。

原田左之助は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「俺はあの子には何も出来ないけどさ、斉藤はいろいろとやっているんだろ。」

斉藤一は原田左之助を一瞥すると、黙って酒を飲んでいる。

原田左之助は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「あの子が早く元気になると良いな。」

斉藤一は杯に残っている酒を全て飲むと、黙って頷いた。

原田左之助は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「斉藤。俺は女性を泣かせる男は最低だと思っているんだ。この際だから、総司を思いっきり懲らしめてやれよ。」

斉藤一は原田左之助を黙って見ている。

原田左之助は勢い良く立ち上がると、あっというまに居なくなった。



斉藤一と原田左之助が一緒に酒を飲んでいるのと、ちょうど同じ頃。

月の光は辺りを綺麗に照らしている。

桜の花も月の光を受けて、綺麗な姿で咲いている。

沖田総司と少女は、桜の木の下に居る。

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。私が勝手に怒ったせいで、迷惑を掛けてしまった。寂しい思いもさせてしまった。本当にごめんね。」

少女は下を向いたまま、小さく首を横に振った。

沖田総司は少女を優しく抱きしめた。

少女は沖田総司の腕の中で、悲しそうに話し出す。

「総司さん。迷惑を掛けてごめんなさい。どうやって謝れば許してくれるかと、たくさん考えました。でも、答えが出ませんでした。本当にごめんなさい。」

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃんは悪くないよ。悪いのは私の方だよ。一人で勝手に怒って、鈴ちゃんを悲しませた。だから、鈴ちゃんがいくら考えても、答えなんて出てこない。」

少女は沖田総司の腕の中で黙っている。

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「しかも私のせいで、体調が悪くなってしまった。倒れるまで心配を掛けてしまった。鈴ちゃんは悪くないよ。安心して良いよ。」

少女は沖田総司の腕の中で、悲しそうに話し掛ける。

「総司さんが怒っていなくて安心しました。私に逢いに来てくれました。嬉しいです。」

沖田総司は少女を心配そうに抱いている。

少女は沖田総司の腕の中で、小さい声で泣き出した。

沖田総司は少女を抱きながら、悲しそうに話し掛ける。

「鈴ちゃんが辛い時に傍に居てあげられなくて、ごめんね。鈴ちゃんは大切な友達なのに、辛い時に何もしてあげられなかった。本当にごめんね。詫びる言葉も無い。」

少女は沖田総司の腕の中で、小さい声で泣いている。

沖田総司は少女を抱きながら、悲しそうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。ごめんね。好きなだけ泣いても良いよ。」

少女は沖田総司の腕の中で小さい声で泣いている。

沖田総司は少女を心配そうに抱いている。



少女は沖田総司の腕の中でずっと泣き続けている。

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに様子を見ている。

桜の花びらが沖田総司と少女のもとに、静かに舞い落ちてきた。

沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。月の明かりの中で、桜が綺麗に咲いているよ。」

少女は沖田総司の腕の中で、桜を見る事もなく、小さい声で泣いている。

沖田総司は少女を抱きながら、悲しそうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。体調が悪くなるまで心配を掛けてしまった。迷惑も掛けてしまった。本当にごめんね。」

少女は沖田総司の腕の中で、小さい声で泣き続けている。

沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し掛ける。

「そうだ。鈴ちゃん。今まで逢ってあげられなかった分、毎日逢いに行くよ。何としてでも時間を作って逢いに行くよ。」

少女は沖田総司の腕の中で、泣きながら心配そうに話し掛ける。

「でも、それだと総司さんの負担になります。」

沖田総司は少女を抱いたまま、微笑んで話し掛ける。

「心配しなくても大丈夫。私は鈴ちゃんの笑顔が見たんだ。だから、鈴ちゃんとたくさん逢いたいんだ。」

少女は沖田総司の腕の中で、心配そうに話し掛ける。

「無理はしないでくださいね。」

沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで頷いた。

少女は沖田総司の腕の中で落ち着き始めた。

沖田総司は少女を抱きながら、安心した表情で見ている。

少女は沖田総司の腕の中で、安心した表情をしている。

沖田総司は少女をゆっくりと離した。

少女は沖田総司からゆっくりと離れたが、少し辛そうな表情を見せている。

沖田総司は少女を見ながら、心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん？　辛い？　大丈夫？」

少女は沖田総司を見ると微笑んで話し出す。

「大丈夫です。」

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「体調が完全に良くなっていないのに、遅い時間に連れ出してしまってごめんね。」

少女は沖田総司を見ながら、微笑んで小さく首を横に振った。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「そろそろ帰ろう。明日必ず逢いに行くよ。待っていてね。」

少女は沖田総司を見ながら微笑んで頷いた。



沖田総司は少女を送ると、屯所に戻ってきた。

屯所にも綺麗な月の光が届いている。

沖田総司は斉藤一のもとに、静かにやってきた。

斉藤一は一人で酒を飲んでいる。

沖田総司は斉藤一を見ているが、話し掛ける事が出来ない。

斉藤一は沖田総司を見る事も無く、黙って酒を飲んでいる。



それから少し後の事。

斉藤一は酒を飲みながら、沖田総司を黙って見た。

沖田総司は斉藤一に静かに話し掛ける。

「斉藤さん。鈴ちゃんが倒れた時に傍に居てくれたそうですね。ありがとうございました。」

斉藤一は沖田総司を一瞥すると、黙って酒を飲んでいる。

沖田総司は斉藤一に静かに話し掛ける。

「私が勝手に怒って悩んでしまったせいで、みんなに迷惑を掛けてしまいました。申し訳ありませんでした。」

斉藤一は沖田総司を一瞥すると、黙って酒を飲んでいる。

沖田総司は斉藤一に静かに頭を下げた。

斉藤一は沖田総司を見る事もなく、黙って酒を飲んでいる。

沖田総司は斉藤一の様子を見ると、寂しそうに去っていこうとした。

斉藤一が庭に咲いている桜を見ながら、沖田総司に普通に話し出す。

「総司が俺に迷惑を掛けるのは、いつもの事だろ。そんなに気にするな。」

沖田総司は斉藤一を寂しそうに見ている。

斉藤一は沖田総司を見ると、普通に話し掛ける。

「総司が迷惑を掛けたのは美鈴さんだろ。」

沖田総司は斉藤一を見ながら黙って頷いた。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「子供達や原田さんも、心配していたぞ。」

沖田総司は斉藤一を黙って見ている。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「総司。一緒に飲むか？」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「今日は止めておきます。」

斉藤一は沖田総司を見ると黙って頷いた。

沖田総司は桜を見ながら、斉藤一に静かに話し掛ける。

「この前、私がいつも一緒に居ると、鈴ちゃんに縁談話がこなくなるという話を聞いた時に、心配になると同時に嬉しくなりました。一緒に多摩へ行けと言われた時にも、鈴ちゃんが心配になると同時に嬉しくなりました。こんな自分が嫌になりました。」

斉藤一は沖田総司を一瞥しながら、黙って酒を飲んでいる。

沖田総司は斉藤一を一瞥すると、桜を見ながら話し出す。

「私が勝手に怒って悩んで鈴ちゃんと逢えない間、物凄く辛くて寂しかったです。鈴ちゃんが倒れた時に、傍に居るのが斉藤さんだと聞いた時には、斉藤さんが羨ましくて憎らしくなりました。でも、同時に鈴ちゃんの傍にいるのが斉藤さんだったので、とても安心しました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「総司の言っている事は、変な事ではないと思う。普通の事だと思う。」

沖田総司は斉藤を見ると、静かに話し出す。

「私は多摩へ戻る事はないと思います。京の町に居る事になると思います。」

斉藤一は沖田総司を見ながら酒を飲んでいる。

沖田総司は斉藤一に静かに話し出す。

「私と鈴ちゃんは、みんなが言うような関係ではありません。だけど、私は、ここで、鈴ちゃんが安心して過ごせるように、鈴ちゃんの笑顔が続くように、幕府と京の町を守ります。」

斉藤一は沖田総司を見ながら、黙って酒を飲んでいる。

沖田総司は斉藤一を真剣な表情で見ながら、話し出す。

「私と鈴ちゃんは、そういう関係ではありません。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。だったら、俺が美鈴さんに告白しても良いんだな？　美鈴さんは、優しくて気配りも出来るし育ちも良いし、申し分のない子だろ。総司の相手だと思っていたから、ずっと黙っていたんだ。だが、総司が違うと言っている事だし、告白をしてみたいと思うんだ。」

沖田総司は斉藤一を睨んで見ている。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「俺だったら新撰組のなかでも総司と似た立場だし、元気だし、俺は総司と違ってきちんと話しをするから、向こうの両親との話しも直ぐに進みそうだな。」

沖田総司は斉藤一を睨んで見ている。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「俺も美鈴さんの事を知っているし、土方さんや近藤さんも応援してくれそうだし、総司と違って応援してくれる人もたくさんいるし。問題はないよな。」

沖田総司は斉藤一を睨んで見ている。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「総司。どう思う？」

沖田総司は斉藤一を睨んで見ている。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「総司。良いだろ？　応援してくれるだろ？」

沖田総司は斉藤一を睨んで見ている。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「総司の今の表情が、答えになっているな。」

沖田総司は少し驚いた表情で斉藤一を見た。

斉藤一は酒を杯に注いで飲み終わると、沖田総司に普通に話し掛ける。

「だから、さっきの表情が、総司の答えだろ。」

沖田総司は突然顔を赤くして黙ってしまった。

斉藤一は沖田総司を見ながら酒を飲んでいる。

沖田総司は顔を赤くしながら、斉藤一に話し出す。

「それは、斉藤さんが変な事を言うから、驚いただけです。それに私と鈴ちゃんは・・・」

斉藤一は沖田総司を見ながら、黙って酒を飲んでいる。

沖田総司は顔を赤くしたまま、話しの途中で黙ってしまった。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「まあ、何でもいいけど。」

沖田総司は顔を赤くしたまま、斉藤一を見た。

斉藤一は徳利などを持つと、ゆっくりと立ち上がった。

沖田総司も一緒に立ち上がった。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「明日から美鈴さんに告白する準備を始めようと思うんだ。総司。頼りにしているぞ。」

沖田総司は斉藤一に慌てて話し掛ける。

「斉藤さん？　今の話しは、仮の話しではなかったのですか？」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「さぁ、どうだろう。」

沖田総司は不安そうに斉藤一を見ている。

斉藤一は沖田総司を一瞥すると、黙って居なくなった。

沖田総司は斉藤一の去っていく後ろ姿を、心配そうな表情で黙って見ている。

月の光は沖田総司も斉藤一も桜も静かに照らしている。

斉藤一の姿は見えなくなった。

沖田総司は桜を一瞥すると、その場を後にした。



それから数日後の事。

青空が広がっている。

満開ではないが綺麗な桜が咲いている。

沖田総司と少女は、楽しそうに桜を見ている。

沖田総司は少女に楽しそうに話し掛ける。

「鈴ちゃん！　桜が綺麗だね！」

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「はい。とても綺麗です。」

沖田総司と少女は、微笑んで桜を見上げた。



少女は沖田総司を見ると、心配そうに話し掛ける。

「総司さん。あれから本当に毎日逢ってくれていますが、お仕事は大丈夫なのですか？」

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。今までのお詫びだから、心配しなくても大丈夫だよ。もう少しだけ毎日逢えそうだよ。」

少女は不安そうに沖田総司を見ている。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん心配しないで。楽しもうよ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「すいません。また総司さんに心配を掛けてしまいました。」

沖田総司は微笑んで少女を優しく抱きしめた。

少女は沖田総司の腕の中で少し驚いた表情をしている。

沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。いつも気を遣ってくれてありがとう。でも、私にそんなに気を遣わなくても良いよ。」

少女は沖田総司の腕の中で、微笑んだまま桜を見上げた。

沖田総司は少女を抱きながら微笑んでいる。

少女は沖田総司の腕の中で、ゆっくりと目を閉じた。

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん？　大丈夫？　疲れた？　調子が悪くなった？」

少女は沖田総司の腕の中で、微笑んで話し掛ける。

「大丈夫です。」

沖田総司を抱きながら、微笑んで話し掛ける。

「座って桜を見ようか。」

少女は沖田総司の腕の中で、微笑んで頷いた。

沖田総司は少女をゆっくりと離した。

少女は微笑んで沖田総司を見た。

沖田総司と少女は、桜の木の下に一緒に座った。

見頃を過ぎているが綺麗な桜の木からは、青空が見えている。

沖田総司と少女は、桜を見ながら楽しそうに話を始めた。



ちょうど同じ頃。

斉藤一と原田左之助の二人は、少し離れた場所から、沖田総司と少女の様子を見ていた。

原田左之助は沖田総司と少女を見ながら、斉藤一に不思議そうに話し掛ける。

「斉藤の言うとおり、本当に元に戻っている。不思議だ。」

斉藤一は沖田総司と少女を黙って見ている。

原田左之助は沖田総司と少女を見たまま、斉藤一に話し掛ける。

「でも、ほんの少しだけ進んだようにも見えるな。」

斉藤一は沖田総司と少女を黙って見ている。

原田左之助は沖田総司と少女を見ながら、斉藤一に話し掛ける。

「そろそろ総司と話しでもしようかな。」

斉藤一は沖田総司と少女を見たまま、原田左之助に普通に話し掛ける。

「ぜひ話しをしてあげてください。総司も原田さんと話が出来なくて、寂しがっています。」

原田左之助は斉藤一を見ると、不思議そうに話し掛ける。

「斉藤って不思議な奴だな。普通はここまでしないぞ。」

斉藤一は原田左之助を睨んだ。

原田左之助は斉藤一を見ながら、恐る恐る話し掛ける。

「斉藤。俺は戻るな。」

斉藤一は原田左之助を睨んでいる。

原田左之助は斉藤一に恐る恐る話し掛ける。

「斉藤。これから、総司とあの子と一緒に桜を見るんだろ。」

斉藤一は原田左之助を見ると黙って頷いた。

原田左之助は笑顔で沖田総司と少女を見た。

斉藤一は原田左之助を黙って見ている。

原田左之助は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「それじゃ、行くな！」

斉藤一は原田左之助を黙って見ている。

原田左之助は元気良く去っていった。

斉藤一は原田左之助が去った事を確認すると、沖田総司と少女を見た。

沖田総司と少女は桜の木の下で、楽しそうに話をしている。

斉藤一は沖田総司と少女のもとに歩いていった。



沖田総司は斉藤一を見付けると、笑顔で声を掛ける。

「斉藤さん〜！　こっちですよ〜！」

斉藤一は沖田総司と少女の前に普通に歩いてくる。

少女は斉藤一を微笑んで見ている。



斉藤一は沖田総司と少女の前に来た。

少女は微笑んで斉藤一に話し掛ける。

「こんにちは。」

斉藤一は少女を見ると黙って頷いた。

沖田総司は微笑んで斉藤一を見ている。

斉藤一は沖田総司の隣に黙って座った。

沖田総司と少女は、桜を見ながら楽しそうに話しをはじめた。

斉藤一は沖田総司と少女の話しを黙って聞いている。



桜の木は、沖田総司、斉藤一、少女を見守るように咲いています。

一重の桜の見頃は、そろそろ終わりのようです。

次は、八重桜の季節へと移っていきます。




〜　完　〜





はじめに 　　　　　　 前編 　　　　　　 後書き

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