このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

新撰組異聞 〜 桜月 福禄寿の咲く頃 〜


〜 後編 〜


その翌日の事。

八重桜が綺麗な花を咲かせている。

少女は一人で八重桜を見ている。

すると、何人かの男性が愚痴を言い合っている声が聞こえてきた。

「昨日は酷い目にあったよ。」

「本当だよ。」

「沖田さんは手加減しない人だからな。」

「沖田さんは厳し過ぎ。」

「沖田さんは俺達には厳しいけれど、女性や子供には優しいんだよな。」

「俺達にも少しだけでいいから、その優しさを分けて欲しいよな。」

「沖田さんが稽古をつける度に、怪我人がでるんだろ。」

「俺達もいつ稽古の時に怪我をするか、わからないよな。」

「でも、稽古で怪我をしたら、任務で楽が出来そうだよな。」

「本当だよな。」

愚痴の言い合いをしているのは、新撰組の隊士達らしい。

少女は不安そうな表情で声のする方を見た。



新撰組の隊士達の愚痴の言い合いは続いている。

「沖田さんの稽古は厳し過ぎだよな。」

「沖田さんが稽古をつけてくれる日は、物凄く緊張するよな。あまり稽古をつけないで欲しいな。」

「本当。」

「沖田さんは剣の腕は最高だけど、教えるのは物凄く下手だよな。」

「俺もそう思う。」

新鮮組の隊士達の愚痴を言い合っている声が、少女の方に近づいてきている。

少女は困った表情で辺りを見回した。

新撰組の隊士達の姿が見えた。

少女は不安そうに新撰組の隊士達の姿を見た。



少女と新撰組の隊士達は、顔を合わせる形になってしまった。

新撰組の隊士達は、少女を驚いた表情で見た。

少女は不安そうに新撰組の隊士達を見ている。

新撰組の隊士達は立ち止まると、小さな声で話しを始めた。

「今の話を聞かれたよな。」

「聞こえていると思うな。」

「口止めした方が良いのかな?」

「あの子に何かをすると、沖田さんから稽古で酷い目にあわされた、という話しを聞いた事があるぞ。」

「でも、この場合は、何かをする訳ではないだろ。」

「沖田さんから見れば、俺達があの子に話しをしたら、何かをした事になるだろ。」

「でも、子供に手を出す事はしないよな。」

「おい、沖田さんの相手に対しての言葉には気を付けろよ。稽古で死ぬほど辛い目にあいたくないだろ。」

少女は新撰組の隊士達を不安そうに見ている。

新撰組の隊士達は、少女を不安そうに見ると、小さい声で再び話し始めた。

「おい。やっぱり、俺達の話は全てあの子に聞こえているぞ。」

「俺達はこれからどうなるんだ?」

「もし、稽古で酷い目にあったら、この子のせいなのか?」

少女は新撰組の隊士達を不安そうに見ている。

新撰組の隊士達は、少女を不安そうに見ている。

少女は新撰組の隊士を不安そうに見ている。



少女は後ろで優しい気配を感じた。

新撰組の隊士達は驚いた表情で少女の後ろを見ている。

少女は不安そうに後ろを振り向いた。



少女の後ろに居たのは山南敬助。

山南敬助は微笑えみながら、少女と新撰組の隊士達の様子を見ている。

新撰組の隊士達は、山南敬助を不安そうに見ている。

山南敬助は新撰組の隊士達に、微笑んで話し掛ける。

「今日は仕事の日ですよね? 休憩中ですか?」

新撰組の隊士達は、山南敬助に慌てた様子で話し出す。

「俺達は偶然に通り掛かっただけです。」

「そうです。」

山南敬助は新撰組の隊士達に微笑んで話し掛ける。

「では、早く仕事に戻ってください。」

新撰組の隊士達は、山南敬助を見ながら頷くと、慌ててその場を後にした。



新撰組の隊士達の姿は、あっという間に見えなくなった。

少女は不安そうに山南敬助を見た。

山南敬助は少女に微笑んで話し掛ける。

「組の者が美鈴さんに嫌な思いをさせてしまいました。私から代わりに謝ります。」

少女は山南敬助を見ながら、不安そうに小さい声で話し出す。

「大丈夫です。」

山南敬助は少女に微笑んで話し掛ける。

「怖かったですよね。もう大丈夫ですよ。安心してください。」

少女は山南敬助を不安そうに見ている。

山南敬助は少女に微笑んで話し掛ける。

「どこかで少し休みますか?」

少女は山南敬助を見ながら黙って頷いた。

山南敬助は少女に微笑んで話し掛ける。

「辛かったら私の腕に掴まっても大丈夫ですよ。」

少女は山南敬助を見ながら、不安そうに小さい声で話し掛ける。

「大丈夫です。」

山南敬助と少女は、八重桜を背にしながらその場を後にした。



山南敬助と少女は、小さな寺にやってきた。

山南敬助は少女に微笑んで話し掛ける。

「ここならば、美鈴さんも落ち着けますよね。」

少女は山南敬助を見ながら不安そうに頷いた。

山南敬助は少女に微笑んで話し掛ける。

「寺の中で少し休ませてもらいましょう。」

少女は山南敬助を見ながら不安そうに頷いた。

山南敬助と少女は寺の中へと入っていった。



ここは寺の中。

山南敬助は少女を座らせた。

山南敬助は少女に微笑んで話し掛ける。

「先程の話しですが、ただの愚痴です。気にする必要はありません。」

少女は山南敬助を不安そうに見ている。

山南敬助は少女に微笑んで話し掛ける。

「これから少し用があるので出掛けないといけません。でも、直ぐに代わりの者を寄越します。それまで不安だと思いますが、一人で待っていてくださいね。」

少女は山南敬助を見ながら不安そうに頷いた。

山南敬助は立ち上がると、寺の外へと出て行った。



それから少しだけ時が過ぎた。

少女は一人で不安そうに座っている。



斉藤一が少女の前に現れた。

少女は斉藤一を不安そうに見た。

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「辛そうな顔をしているぞ。」

少女は斉藤一に不安そうに話し掛ける。

「斉藤さん。総司さんはお稽古の時は怖いのですか?」

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「総司は剣の師範役をしている。斬りあいでは命が掛かっている。だから、いつも厳しく教えている。」

少女は斉藤一を不安そうに見ている。

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「誰かが何か言ったのか?」

少女は斉藤一に不安そうに話し掛ける。

「ある方が、私に何かをすると、いつものお稽古より厳しくなるというお話しをしていました。」

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「ただの愚痴だろ。周りの奴がいう事を一々気にするな。」

少女は斉藤一に不安そうに話し掛ける。

「私のせいで総司さんが悪く言われるのは嫌です。」

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「心配するな。」

少女は下を向いて黙ってしまった。

斉藤一は少女を抱き寄せた。

少女は斉藤一の腕の中で静かに泣き出した。

斉藤一は少女を抱きながら、普通に話し掛ける。

「怖い思いでもしたのか?」

少女は斉藤一の腕の中で、静かに泣きながら話し出す。

「わかりません。」

斉藤一は少女を黙って抱いている。

少女は斉藤一の腕の中で静かに泣いている。



それから少し後の事。

少女は斉藤一の腕の中で泣き止んだ。

斉藤一は少女をゆっくりと離した。

少女は斉藤一に不安そうに話し掛ける。

「今日の事は総司さんには言わないでください。」

斉藤一は少女を見ながら黙って頷いた。

少女は斉藤一に不安そうに話し掛ける。

「山南さんに、今日の事を総司さんに言わないように、伝えてください。」

斉藤一は少女を見ながら黙って頷いた。

少女は斉藤一を不安そうに見ている。

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「家に帰るか? 花を見に行くか?」

少女は斉藤一に小さい声で話し掛ける。

「家に帰ります。」

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「送っていく。」

少女は斉藤一に小さい声で話し掛ける。

「お願いします。」

斉藤一と少女は寺を後にした。



斉藤一と少女は、京の町を歩いている。

斉藤一と少女の視線の先に八重桜が見えてきた。

少女は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「八重桜が綺麗に咲いています。」

斉藤一は八重桜を一瞥すると、少女に普通に話し掛ける。

「少し見ていくか?」

少女は斉藤一を見ると、微笑んで頷いた。



斉藤一と少女は、八重桜の前に居る。

少女は八重桜を見ると、斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「福禄寿ですね。」

斉藤一は少女を見ると黙って頷いた。

少女は八重桜の福禄寿を微笑んで見ている。

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「美鈴さん。何度も言って悪いが、剣の稽古はもともと厳しい。総司は師範の中では特に厳しい教え方をする。でも、それは仕方のない事だ。」

少女は斉藤一を見ると小さく頷いた。

斉藤一に少女に普通に話し掛ける。

「だから、周りがいろいろと話しをしてきても気にするな。」

少女は斉藤一を見ながら小さく頷いた。



斉藤一と少女が福禄寿を見ている時より少し前の事。

山南敬助は土方歳三のもとを訪れた。

土方歳三は山南敬助を普通に見た。

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し掛ける。

「斉藤君に頼みたい事があります。数日ほどお借りしたい。」

土方歳三は山南敬助に普通に話し掛ける。

「わかりました。」

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し掛ける。

「ありがとうございます。」

土方歳三は山南敬助に普通に話し掛ける。

「礼を言われる事はしていません。」

山南敬助は土方歳三に軽く礼をすると、その場を後にした。

土方歳三は意味ありげな表情で、去っていく山南敬助を見ている。



山南敬助は少女の前で話しをしていた隊士達を見掛けた。

隊士達は山南敬助を見ると困った表情になり、引き返そうとした。

山南敬助は隊士達に微笑んで話し掛ける。

「なぜ引き返すのですか?」

隊士達は山南敬助を困った表情で見ている。

山南敬助は隊士達に微笑んで話し掛ける。

「私達の仕事は、上様を守る事、幕府を守る事、そして、京の町と京に住んでいる人達を守る事です。その事を忘れないように。」

隊士達は山南敬助を見ながら不安そうに頷いた。

山南敬助は隊士達に微笑んで話し掛ける。

「もう少し話しがしたくなりました。一緒に付いてきてください。」

隊士達は山南敬助を見ながら不安そうに頷いた。



斉藤一は少女を家に送ると、屯所に戻ってきた。

山南敬助は斉藤一を見掛けると、微笑んで話し掛ける。

「斉藤君。少しお願いしたい事があります。」

斉藤一は山南敬助を見ると黙って頷いた。

山南敬助は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「詳しい話をしたいので、一緒に部屋に来てください。」

斉藤一は山南敬助を見ながら黙って頷いた。

山南敬助と斉藤一は、その場を後にした。



その翌日の事。

斉藤一は屯所を一人で歩いている。

少女の前で話しをしていた隊士達を見掛けた。

斉藤一が隊士達を黙って見た。

隊士達は斉藤一を恐怖の表情を浮かべて見た。

斉藤一は隊士達を睨んだ。

隊士達は斉藤一を恐怖の表情を浮かべて見ている。

斉藤一は隊士達の方に睨みながら近づいてくる。

隊士達は斉藤一を恐怖の表情を浮かべて見ている。

斉藤一は隊士達の真横に来ると、更に睨んだ。

隊士達は斉藤一を恐怖の表情を浮かべて見ている。

斉藤一は直ぐに視線を前に向けると、隊士達の横を通り過ぎていった。



沖田総司は考え込みながら屯所の中を歩いている。

斉藤一は沖田総司の傍を通り掛った。

沖田総司は斉藤一を見ると、心配そうに話し掛ける。

「斉藤さん。お話しがあります。」

斉藤一は沖田総司を見ながら黙って頷いた。

沖田総司は斉藤一に心配そうに話し掛ける。

「今日、鈴ちゃんと逢ったのですが、様子がおかしいんです。」

斉藤一は沖田総司を黙って見ている。

沖田総司は斉藤一に心配そうに話し掛ける。

「私の事を物凄く心配しているんです。私は、鈴ちゃんに何か心配を掛けるような事でも、したのでしょうか?」

斉藤一は沖田総司を黙って見ている。

沖田総司は斉藤一に心配そうに話し掛ける。

「誰かが鈴ちゃんに変な事を言ったのでしょうか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「美鈴さんもいろいろな噂話を聞いているから、総司の事が心配なんだろ。」

沖田総司は考え込んでいる。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「美鈴さんに花をあげて元気付けてやれ。」

沖田総司は斉藤一に心配そうに話し掛ける。

「もう一度、鈴ちゃんの家に行こうと思います。大丈夫でしょうか?」

斉藤一は沖田総司を見ながら黙って頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「これから鈴ちゃんの家に出掛けます。」

斉藤一は沖田総司を見ながら黙って頷いた。

沖田総司は急いで屯所を後にした。



沖田総司は少女の家を訪れた。

少女は不思議そうに沖田総司を見た。

沖田総司は少女に苦笑しながら話し掛ける。

「鈴ちゃんに逢いたくなって、また来ちゃった。」

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「総司さんとまたお逢い出来ました。嬉しいです。」

沖田総司は微笑みながら、少女に八重桜の小枝を差し出した。

少女は微笑みながら、沖田総司から八重桜の小枝を受取った。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「福禄寿という名前の八重桜なんだよ。縁起が良い名前だよね。それに、綺麗な色をしているよね。」

少女は福禄寿の小枝を持ったまま、沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「綺麗な福禄寿ですね。嬉しいです。ありがとうございます。」

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。もし何かあったら、隠さずに話しをしてね。一人で悩んでいたら駄目だよ。」

少女は福禄寿の小枝を持ったまま、沖田総司を見て微笑んで頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「突然来てごめんね。帰るね。」

少女は福禄寿の小枝を持ったまま、沖田総司を寂しそうに見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「また直ぐに逢えるから大丈夫だよ。それに、鈴ちゃんは福禄寿と一緒なんだよ。だから、元気を出して。」

少女は福禄寿の小枝を持ったまま、沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女を微笑んで見ている。

少女は沖田総司に微笑んで話し掛ける。

「総司さん。綺麗な福禄寿をありがとうございます。嬉しいです。」

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「帰るね。」

少女は福禄寿の小枝を持ったまま、沖田総司を見て微笑んで頷いた。

沖田総司は屯所へと戻っていった。



それから数日後の事。

沖田総司は土方歳三に微笑んで話し掛ける。

「今日の稽古の師範は私ですよね。」

土方歳三は沖田総司を見ると、不思議そうに頷いた。

沖田総司は土方歳三に微笑んで話し掛ける。

「準備をしてきます。」

土方歳三は沖田総司に心配そうに話し掛ける。

「総司。大丈夫か?」

沖田総司は土方歳三に微笑んで話し掛ける。

「大丈夫です。ただ、一部に気が緩んでいる隊士が居るようです。だから、いつもより厳しく稽古をする予定です。」

土方歳三は沖田総司を心配そうに見ている。

沖田総司は稽古場へと向かって去っていった。



土方歳三は沖田総司を心配そうに見ている。

山南敬助が土方歳三の横に来ると、微笑んで話し掛ける。

「土方さん。何かありましたか?」

土方歳三は山南敬助に心配そうに話し掛ける。

「山南さん。総司の様子がいつもと違います。何かあったんですよね。」

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し掛ける。

「何かあったのかもしれませんね。」

土方歳三は山南敬助を見ながらため息を付いた。

山南敬助は土方歳三に微笑んで話し掛ける。

「今日の総司は、自分から師範をすると話しをしているのですよね。良かったではないですか。」

土方歳三は山南敬助に困った様子で話し出す。

「大体の想像が付くだけに、今日の稽古はいつもより不安です。」

山南敬助は土方歳三を微笑んで見ている。



沖田総司は稽古場にやってきた。

稽古場には、まだ誰も着ていない。

沖田総司は竹刀を構えると、一人で素振りを始めた。



隊士達が次々に稽古場に入ってきた。

どの隊士も稽古場に入るなり、沖田総司の姿を見て不安な顔をした。

沖田総司は隊士達の事を気にする事もなく、一人で素振りをしている。

一人の隊士達が稽古場に入ってきた。

沖田総司は一人で素振りを続けている。

一人の隊士は沖田総司の姿を見て、恐怖の表情を浮かべた。

沖田総司は素振りを止めると、微笑んで一部の隊士達に話し掛ける。

「私達の任務は、上様と幕府を守る事です。しかし、他にも大切な任務があります。京の町と京に住んでいる人達を守る事です。迷惑を掛ける事は許されません。一部にわかっていない隊士がいるようです。」

隊士達は恐怖の表情を浮かべながら沖田総司を見ている。

沖田総司は稽古場に居る隊士達全員に、真剣な表情で話し出す。

「何をやっている! 稽古を始めるぞ!」

一部を除いた隊士達は、慌てて沖田総司に返事をする。

「お願いします!」

沖田総司は厳しい表情で隊士達を見ている。

道場に竹刀の打ち合う音が響き始めた。



少女は一人で八重桜を見ている。

斉藤一が少女のもとに現れた。

少女は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「こんにちは。今日はお休みの日ですか?」

斉藤一は少女を見ると黙って頷いた。

少女は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「先日、総司さんから、とても綺麗な福禄寿を頂きました。今もお部屋で綺麗に咲いています。」

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「良かったな。」

少女は斉藤一を見ると微笑んで頷いた。

斉藤一は少女を黙って見ている。

少女は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「ここの福禄寿も綺麗です。」

斉藤一は少女を見ると黙って頷いた。

少女は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「次は総司さんと一緒に福禄寿が見たいです。」

斉藤一は少女を黙って見ている。

少女は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「総司さんと一緒に福禄寿をたくさん見たいです。」

斉藤一は少女を見ながら黙って頷いた。

少女は福禄寿を微笑んで見た。

斉藤一は少女を黙って見ている。

福禄寿は少女の気持ちがわかったのか、いつもよりゆっくりと咲き始めた。




〜 完 〜





はじめに        前編        後書き

目次


このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください