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新撰組異聞 〜 大つごもり 〜
〜 第四版 〜
今日は大つごもり。
沖田総司達が京に着てから初めて迎える大つごもり。
ここは、京の町。
今は夜。
夜空には星が綺麗に輝いている。
ここは屯所。
庭。
沖田総司は微笑んで居る。
斉藤一は普通に居る。
沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さんは、“一”という名前ですよね。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一に不思議そうに話し出す。
「土方さんが、大つごもりの夜に斉藤さんに名前の由来を質問したら面白い経験が出来ると話していました。どのような意味でしょうか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「俺には土方さんの話しの意味が分からない。土方さんに理由を尋ねろ。」
沖田総司は斉藤一に寂しそうに話し出す。
「土方さんに理由を尋ねましたが、斉藤さんに質問すれば分かるとの返事でした。近藤さんにも尋ねましたが、知らないとの返事でした。理由を知ってそうな人にも尋ねましたが、みんなも知らないとの返事でした。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に寂しそうに話し出す。
「私だけが知らないように感じます。私だけ仲間外れのように感じます。寂しいです。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「なぜ総司は俺の名前の由来を知りたいんだ? 念のために言っておくが、俺の名前の由来を知る人物は、新撰組隊士の中では居ないに等しいぞ。」
沖田総司は斉藤一に寂しそうに話し出す。
「私と斉藤さんは、友達ですよね。土方さんは知っているのに、私は知りません。物凄く気になるし、寂しいです。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「俺の名前の由来を知らない程度で、悩んだり寂しがったりするな。」
沖田総司は斉藤一に拗ねた様子で話し出す。
「でも〜 私は〜 気になるし〜 悩むし〜 寂しいです〜」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出そうとした。
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「な〜んてね!」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「斉藤さんは私を心配してくれたのですね! 嬉しいです! 友達というのは良いですね!」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は斉藤一を笑顔で見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「分かった。教えてやる。」
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「本当ですか?!」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一を笑顔で見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「俺の名前・・・」
大きな鐘の音が斉藤一の話を遮るように鳴り始めた。
沖田総司は辺りを複雑な表情で見た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
鐘の音が止んだ。
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「斉藤さんの名前の由来を教えてください!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「既に話した。」
沖田総司は斉藤一に大きな声で話し出す。
「斉藤さん! 鐘が鳴る時間を狙って話しましたね!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「偶然だ。」
沖田総司は斉藤一を納得のいかない様子で見た。
斉藤一は普通に歩き出した。
沖田総司は斉藤一に続いて慌てた様子で歩き出した。
沖田総司は斉藤一に慌てた様子で話し出す。
「斉藤さん! すいませんでした! 怒らないでください!」
斉藤一は沖田総司を一瞥すると、普通の表情で前を見た。
沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。
「斉藤さん! 本当にすいませんでした!」
斉藤一は普通に立ち止まった。
沖田総司は斉藤一に続いて不安そうに立ち止まった。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一を不安そうに見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「怒っていないから安心しろ。」
沖田総司は斉藤一に安心した様子で話し出す。
「良かった〜!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「俺の名前の由来は、気が向いたら教えるよ。」
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「本当ですか?!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「次の気が向く時を念のために伝えておく。」
沖田総司は斉藤一を笑顔で見た。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「次に気が向く時は、鐘が鳴る時だ。」
沖田総司は斉藤一に拗ねた様子で話し出す。
「斉藤さん。酷いです。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「酷くない。」
沖田総司斉藤一を拗ねた様子で見た。
斉藤一は夜空を普通の表情で見た。
沖田総司は夜空を不思議そうに見た。
夜空にはたくさんの星が綺麗に輝いている。
沖田総司は夜空を見ながら、斉藤一に静かに話し出す。
「綺麗な夜空ですね。」
斉藤一は夜空を見ながら、普通の表情で頷いた。
沖田総司は夜空を見ながら、斉藤一に静かに話し出す。
「来年も良い年になると良いですね。」
斉藤一は夜空を見ながら、普通の表情で頷いた。
沖田総司は斉藤一を見ると、微笑んで話し出す。
「来年も斉藤さんと一緒に楽しく過ごしたいです。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一を笑顔で見た。
斉藤一は夜空を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「斉藤さんの笑顔は一度も見ていないと思います! 来年は斉藤さんの笑顔が見たいです!」
斉藤一は沖田総司を見ると、普通に話し出す。
「そのような物を見て楽しいのか? 変わっているな。」
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「笑顔で過ごすと、自分も周りの人達も楽しい気持ちで過ごせます! 私は斉藤さんに楽しい気持ちで過ごしてほしいです! 私は斉藤さんの笑顔を見て、楽しい気持ちで過ごしたいです!」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「斉藤さんも同じ考えですよね!」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「来年の目標は、斉藤さんの笑顔を見る、に決めました!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「変な目標だな。別な目標にしろ。」
沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。
「変な目標ではありません! 立派な目標です!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司は変な人物だな。」
沖田総司は斉藤一を笑顔で見た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に不思議そうに話し出す。
「斉藤さん。何を考えているのですか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司が俺を騙した出来事についての償ってもらう方法を考えている。凄い内容は考えていない。安心しろ。」
沖田総司は斉藤一に恐る恐る話し出す。
「斉藤さん。既に怖いです。」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一を緊張した様子で見た。
周りから物音を含めた全ての音が聞こえなくなった。
辺りは静けさに包まれた。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は斉藤一を緊張した様子で見ている。
土方歳三が沖田総司と斉藤一の傍に普通に現れた。
沖田総司は土方歳三を不思議そうに見た。
斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。
土方歳三は沖田総司と斉藤一に不思議そうに話し出す。
「総司。斉藤。庭で何をしているんだ? 近藤さんが探しているぞ。」
沖田総司は土方歳三に笑顔で話し出す。
「来年も良い年になると良いな、と話していました!」
土方歳三は沖田総司に微笑んで話し出す。
「来年も良い年になると良いな。」
沖田総司は土方歳三と斉藤一に笑顔で話し出す。
「近藤さんは、みんなで除夜の鐘を聞くために、私と斉藤さんを探しているんですよね! 土方さん! 斉藤さん! 早く行きましょう!」
土方歳三は沖田総司に呆れた様子で話し出す。
「総司と斉藤が来ないから、俺が呼びに来たんだぞ。状況を理解して発言しているのか?」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は土方歳三と斉藤一を恥ずかしそうに見た。
土方歳三は微笑んで歩き出した。
斉藤一は普通に歩き出した。
沖田総司は微笑んで歩き出した。
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語は、既に改訂して掲載済みの物語の再改訂版です。
改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残しながら改訂しました。
改訂前の物語を掲載するのは止めました。
以上の点、ご了承願います。
ここからは改訂前の後書きを、加筆訂正しながら書いていきます。
大晦日を過ごす新撰組隊士を書きたくて考えた物語です。
土方歳三さん、沖田総司さん、斉藤一さんが、明るくて和やかで穏やかな雰囲気で大晦日を過ごす姿を想像しながら書きました。
新撰組と物語の雰囲気から、題名を「大つごもり」にしました。
「初稿版」では、いつの大晦日かをはっきりと書いていませんでした。
「改訂版」以降は、新撰組となって活動してから最初に迎える大晦日の設定で書きました。
「つごもり」を漢字で書くと「晦日」になります。
「月の最後の日」という意味です。
「つごもり」の先頭に「大」を付けて「大つごもり」にすると、「一年の最後の日」になります。
「大つごもり」は、小説の題名になっているので、ご存知の方もいると思います。
最近は「大つごもり」という言葉は余り聞かないように思います。
大晦日の物語を書きたいと思った時に、「大つごもり」を思い出して題名にしました。
この物語の中で、沖田総司さんが来年の話しをしていますが、沖田総司さんや斉藤一さんならば、鬼が来ても気にしないと考えて、来年の話をしています。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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