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新撰組異聞 〜 山里の緑の紅葉 〜


〜 第三版 〜


今は秋初。


ここは、京の町。


夏のような暑い日が続いている。


ここは、京の町の中。


沖田総司は普通に歩いている。

斉藤一も普通に歩いている。


沖田総司は少し離れた場所を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司と少し離れた場所を普通の表情で見た。

沖田総司は少し離れた場所を見ながら、微笑んで声を出そうとした。

斉藤一は沖田総司と少し離れた場所を普通の表情で見ている。

沖田総司は声を出すのを止めると、少し離れた場所を不機嫌そうに見た。

斉藤一は沖田総司と少し離れた場所を普通の表情で見ている。


少し離れた場所に居る人物は、山南敬助の他に、綺麗な遊女も居た。


山南敬助は綺麗な遊女に微笑んで話している。

綺麗な遊女も山南敬助に微笑んで話している。


斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。山南さんに声を掛けないのか?」

沖田総司は斉藤一を見ると、僅かに不機嫌そうに話し出す。

「山南さんは私の知らない人物と一緒に居ます。二人の関係が分からないので、声を掛けられません。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。声を掛けられないではなく、声を掛けたくないように見える。」

沖田総司は斉藤一を僅かに不機嫌そうに見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は山南敬助と綺麗な遊女を不機嫌そうに見た。

斉藤一は、山南敬助、沖田総司、綺麗な遊女を普通の表情で見た。


山南敬助の姿は見えない。

綺麗な遊女の姿も見えない。


沖田総司は下を見ると、不機嫌そうに軽く息をはいた。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


それから数日後の事。


ここは、京の町。


夏のような暑さが続いている。


ここは、京の町の中。


沖田総司は普通に歩いている。


沖田総司は少し離れた場所を不機嫌そうに見た。


山南敬助は先日と同じ綺麗な遊女に微笑んで話している。

先日と同じ綺麗な遊女は、山南敬助に微笑んで話している。


沖田総司は山南敬助と綺麗な遊女を不機嫌そうに見た。


山南敬助は沖田総司の居る方向を微笑んで見た。

綺麗な遊女も沖田総司の居る方向を微笑んで見た。


沖田総司は山南敬助と綺麗な遊女を僅かに驚いて見た。


山南敬助は沖田総司に向かって微笑んで歩いてきた。

綺麗な遊女も沖田総司に向かって微笑んで歩いてきた。


沖田総司は山南敬助と綺麗な遊女を困惑して見た。


山南敬助は沖田総司の上役になる。

山南敬助の性格ならば、沖田総司が挨拶をせずに去ったとしても、沖田総司が気付かなかったと考えるか、沖田総司に何か遭ったのかと心配するだろう。


山南敬助は沖田総司の傍に微笑んで来た。

綺麗な遊女は沖田総司の傍に微笑んで来た。


沖田総司は山南敬助に困惑して軽く礼をした。

山南敬助は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。こんにちは。」

綺麗な遊女は沖田総司に微笑んで軽く礼をした。

山南敬助は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。彼女は、“明里”と言う名前だ。」

綺麗な遊女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「こんにちは。初めまして。“明里”と申します。」


綺麗な遊女の名前は、“明里”というらしい。


沖田総司は明里に不機嫌そうに軽く礼をした。

明里は沖田総司を微笑んで見た。

山南敬助は明里に微笑んで話し出す。

「明里。彼が沖田総司君だ。」

明里は沖田総司に微笑んで話し出す。

「沖田様のお話は、山南先生から幾度も聞いています。」

沖田総司は不機嫌そうに、明里に小さい声で話し出す。

「私は山南さんから一度も聞いていません。」

山南敬助は沖田総司を僅かに驚いて見た。

明里は山南敬助と沖田総司を僅かに驚いて見た。

山南敬助は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司。明里について話さなくて悪かった。」

沖田総司は山南敬助に不機嫌そうに話し出す。

「私は出掛ける所があります。山南さんと山南さんのお知り合いの方の過ごす時間を邪魔するのは申し訳ありません。以上の理由から、私は直ぐに失礼します。」

山南敬助は沖田総司を不思議そうに見た。

明里は山南敬助と沖田総司を不思議そうに見た。

沖田総司は山南敬助に不機嫌そうに軽く礼をした。

山南敬助は沖田総司に不思議そうに頷いた。

明里は沖田総司に不思議そうに軽く礼をした。


沖田総司は不機嫌そうに去って行った。


それから少し後の事。


ここは、京の町の中。


沖田総司は普通に歩いている。

斉藤一も普通に歩いている。


斉藤一は少し離れた場所を普通の表情で見た。

沖田総司は少し離れた場所を不思議そうに見た。


明里と見知らぬ男性が歩いている。


明里は見知らぬ男性に微笑みながら親しく話している。

見知らぬ男性も明里に微笑みながら親しく話している。


沖田総司は明里と見知らぬ男性を不機嫌そうに見た。

斉藤一は、沖田総司、明里、見知らぬ男性を普通の表情で見た。


明里は見知らぬ男性を寂しそうに見た。

見知らぬ男性は明里に微笑んで何かを囁いた。

明里は見知らぬ男性に寂しそうに頷いた。

見知らぬ男性は明里を微笑んで見た。

明里は見知らぬ男性に寂しそうに話した。

見知らぬ男性は明里を微笑んで見た。


見知らぬ男性は微笑みながら去って行った。


明里は見知らぬ男性を寂しそうに見た。


見知らぬ男性の姿は見えなくなった。


明里は下を向くと、僅かに疲れた様子で軽く息をはいた。


沖田総司は明里に向かって不機嫌そうに歩き出した。

斉藤一は沖田総司の後を普通に歩きだした。


明里は沖田総司と斉藤一の居る方向を何気なく見た。


沖田総司は不機嫌そうに歩いている。

斉藤一は普通に歩いている。


明里は沖田総司と斉藤一を不思議そうに見た。


沖田総司は明里の傍に不機嫌そうに来た。

斉藤一は明里の傍に普通に来た。


明里は沖田総司と斉藤一に不思議そうに軽く礼をした。

沖田総司は明里に不機嫌に話し出す。

「あなたの行動は、山南さんに対して物凄く失礼です!」

明里が沖田総司を僅かに驚いて見た。

斉藤一は沖田総司と明里を普通の表情で見た。

沖田総司は明里に不機嫌に話し出す。

「山南さんは真剣です! 山南さんは真面目な人です! あなたは山南さんをどのように想っているのですか?!」

明里は沖田総司に微笑んで話し出す。

「山南先生は大切な方です。」

沖田総司は明里に不機嫌に話し出す。

「あなたの発言は絶対に嘘です!」

明里は沖田総司を不思議そうに見た。


沖田総司は不機嫌そうに歩き出した。


斉藤一は明里に普通の表情で軽く礼をした。

明里は斉藤一に不思議そうに軽く礼をした。


斉藤一は普通に歩き出した。


それから僅かに後の事。


ここは、緑色の葉の紅葉の茂る木の下。


沖田総司は不機嫌そうに立ち止まった。


斉藤一は沖田総司の傍に普通に来た。


斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「先程の総司の話は、彼女に対して失礼だと思う。」

沖田総司は斉藤一に不機嫌に話し出す。

「彼女が男性と楽しく話す姿を、幾度も見ました! 彼女が男性を見る笑顔は、山南さんと一緒に居る時の笑顔と同じです! 彼女が山南さんより親しく男性に接する姿も幾度も見ました! 彼女にとって、山南さんは本当に大切な人なのですか?!」

斉藤一が沖田総司に普通に話し出す。

「総司の話す内容は、彼女の仕事の一部だろ。彼女が山南さんを想う気持ちとは別だ。」

沖田総司が斉藤一に不機嫌に話し出す。

「絶対に変です! 山南さんはなぜ彼女と付き合っているのですか?! 理解が出来ません! 何も知らない山南さんが可哀想です!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司の話が正しければ、総司も山南さん同様に可哀想な人物になる。」

沖田総司は斉藤一に不機嫌に話し出す。

「どの点が可哀想なのですか?!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。なぜ俺と良く一緒に居るんだ?」

沖田総司は斉藤一に不思議そうに話し出す。

「友達だからです。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司の前に、新撰組に入隊するまでに幾つもの出来事を経験した奴が居る。奴は、江戸の町では用心棒や借金の取立てをしていた。奴は、人を斬って江戸に居られなくなり、京に来た。奴は、命令が下れば簡単に人を斬り、命令が下れば平気で嘘を付く。奴は、人斬りと呼ばれている。こんな奴と一緒に居る総司は、可哀想な人物になる。」

沖田総司は斉藤一に強い調子で話し出す。

「斉藤さん! 止めてください! 斉藤さんは彼女とは違います!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺にはどの点が違うのか全く分からない。」

沖田総司は斉藤一に強い調子で話し出す。

「斉藤さんは今の治世を守るために、京の町で任務に就いています! 彼女とは全く違います!」

斉藤一が沖田総司に普通に話し出す。

「彼女は彼女自身の生活を良くするために、懸命に生きていると思う。彼女は幸せになるために、真剣に努力していると思う。自身の生活を良くするために、自身が幸せになるために、必要な嘘を付く、特定の人物と親しく接するのは、許されない言動なのか? 俺と彼女は、同じような言動をしていると思う。人を斬らない彼女の方が、立派な人物になる。」

沖田総司は斉藤一を複雑な表情で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司の側から見れば、山南さんと彼女の付き合い方、特に彼女の山南さんに対する付き合い方に、納得できない点がたくさんあるようだな。俺の側から見れば、山南さんと彼女の付き合い方は納得できるし、山南さんと彼女は真剣に付き合っていると思う。」

沖田総司は斉藤一を複雑な表情で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


微かな風が吹いた。


緑色の紅葉の葉が重なり合って音を鳴らした


沖田総司は斉藤一に静かに話し出す。

「斉藤さんに頼みがあります。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司が斉藤一に静かに話し出す。

「私はこれから彼女に謝りに行きます。斉藤さんも一緒に来て、私が謝る姿を見てください。私は斉藤さんにも明里さんにも失礼な言動をしました。今回は、先に失礼な言動をしてしまった彼女に、先に謝ります。斉藤さんには彼女の次に謝ります。斉藤さんには失礼な言動をした上に、彼女の後に謝り、更に頼み事もして、申し訳ありません。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。


沖田総司は普通に歩き出した。

斉藤一も普通に歩き出した。


それから暫く後の事。


ここは、緑色の葉が茂る紅葉の木の下。


沖田総司は僅かに真剣な表情で居る。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。


明里は不思議そうに現れた。


沖田総司は頭を下げると、明里に真剣な表情で話し出す。

「先程は失礼し致しました!」

明里は沖田総司に微笑んで話し出す。

「沖田様。お武家様が私のような身分の者に、頭を下げてはいけません。私は山南先生と真剣にお付き合いをしています。私は大丈夫です。早く頭を上げてください。」

沖田総司は顔を上げると、明里を不思議そうに見た。

明里は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私のために謝る時間と場所を用意して頂いたのですね。驚きました。沖田様は山南先生が褒める方だと実感しました。」

沖田総司は明里に不思議そうに話し出す。

「山南さんが私を褒めるのですか?」

明里が沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は明里を不思議そうに見た。

明里は斉藤一を見ると、微笑んで話し出す。

「お武家様は、斉藤様でしょうか?」

斉藤一は明里に普通の表情で軽く礼をした。

明里は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤様。明里と申します。山南先生は、沖田様と斉藤様について幾度も話しています。今日は、沖田様だけでなく、斉藤様にも会えました。嬉しいです。」

斉藤一は明里に普通の表情で軽く礼をした。

明里は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「申し訳ありませんが、仕事の準備を始める時間が近付いています。失礼しても良いですか?」

沖田総司は明里に微笑んで軽く礼をした。

斉藤一は明里に普通の表情で軽く礼をした。

明里は沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「都合が付いた時に、ぜひ遊びに来てくださいね。」

沖田総司は明里に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は明里に普通の表情で軽く礼をした。

明里は沖田総司と斉藤一に微笑んで軽く礼をした。

沖田総司は明里に微笑んで軽く礼をした。

斉藤一は明里に普通の表情で軽く礼をした。


明里は微笑んで居なくなった。


沖田総司は斉藤一を見ると、真剣な表情で話し出す。

「斉藤さん。たくさんの失礼・・・」

斉藤一は沖田総司の話しを遮ると、普通に話し出す。

「総司の奢りで酒が飲みたいな。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


沖田総司は微笑んで歩き出した。

斉藤一は普通に歩き出した。


沖田総司は斉藤一を笑顔で見た。

斉藤一が沖田総司に普通に話し出す。

「総司。“これからずっと”と付け足すのを忘れていた。」

沖田総司が斉藤一に驚いて話し出す。

「えっ?!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「冗談だ。」

沖田総司は斉藤一に安心して話し出す。

「斉藤さん〜 驚かせないでください〜」

斉藤一が沖田総司に普通に話し出す。

「総司が俺に奢る機会は、幾度も訪れる。今回は“これからずっと”を付け足すのは止める。ここぞという時に“これからずっと”を付け足して言う。」

沖田総司が斉藤一に不思議そうに話し出す。

「斉藤さん。どのような意味ですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「言ったとおりだ。」

沖田総司は斉藤一を不思議そうに見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


初秋の京の町では、夏のような暑さが続いている。

紅葉は綺麗な緑色の葉を茂らせている。

沖田総司と斉藤一は、綺麗な緑色の葉の茂る紅葉の木の下を、歩きながら去っていった。




*      *      *      *      *      *      




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の再改訂版です。

改訂前の物語の雰囲気や展開を出来るだけ残しながら改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上の点、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

近藤勇さんとお付き合いした深雪太夫は、最高位の「太夫」の地位です。

明里さんは「太夫」より一つ下の地位の「天神」だそうです。

明里さんは、身請け(高いお金を払って、遊女を妻として、または、自分の傍に置く制度だと思ってください)、見抜け(身内が身請けより安いお金を払って、身内が遊女を引き取る制度だと思ってください)などをした可能性があるためかも知れませんが、「明里」という名前の人物の確認が取れないそうです。

そのため、明里さんは実在していない人物という説があります。

遊女自身が名前を変える事があるので、記録が残っていない可能性があります。

名前を変える、身請け、見抜け、など、遊女に変更があると、分かり難くなると思います。

明里さんが実在の女性でなかったとしても、山南敬助さんにとって、明里さんのような方がいたと思います。

今回の物語では、明里さんの話の内容から、山南敬助さんをどのように想っているか、山南敬助さんと明里さんの関係を、想像しながら読んでください。

今回の物語を書く時に、明里さんと斉藤一さんは似ているところがあるように思いました。

そこから、斉藤一さんが、沖田総司さんに斉藤一さん本人や明里さんについて話す場面があります。

「新撰組異聞」関連の物語の性質上、明里さんは京の言葉や遊郭で使う言葉をほとんど使っていません。

その点についてもご了承ください。

山南敬助さんの「山」と明里さんの「里」を合わせると、「山里」という言葉になります。

「山里(やまざと)」は「山の中にある村や里。山村にある別荘。」をいいます。

名前だけでも二人が一緒に居て欲しいと思って、「山里の緑の紅葉」の題名を付けました。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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