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新撰組異聞 〜 一番得をした人は 〜


〜 第三版 〜


ここは、京の町。


一重の桜も八重の桜も多くが散り、葉桜が多い。


ここは、京の町。


一軒の落ち着いた雰囲気の家。


一室。


山南敬助は杯の酒を微笑んで飲んでいる。

土方歳三も杯の酒を微笑んで飲んでいる。

斉藤一は杯の酒を普通の表情で飲んでいる。

卓の上には、酒と肴が載っている。


土方歳三は杯の酒を飲み干すと、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤。総司に以前に会ったと近い内に話すのか?」

斉藤一は杯の酒を飲み干すと、土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に詰まらない様子で話し出す。

「話すのか。早いな。」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、微笑んで話し出す。

「土方さん。斉藤君は過去に山口君と名乗っていませんか?」

斉藤一は杯に酒を普通の表情で注いだ。

土方歳三は山南敬助に微笑んで話し出す。

「山南さん。今の話の内容を考えた理由を教えてもらえますか?」

山南敬助は杯の酒を飲むのを止めると、土方歳三と斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司は、山口君と呼ぶ少年に、強く逢いたいと思っていますよね。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、山南敬助を普通の表情で見た。

山南敬助は土方歳三と斉藤一に微笑んで話し出す。

「私達が京の町に着いて間もなく、増員の募集をしていないのに、斉藤君は私達の仲間に突然に加わりました。斉藤君以外にも私達の仲間に突然に加わる者もいました。しかし、斉藤君は、近藤さんと土方さんの言動から推測すると、近藤さんか土方さんが誘った人物だと思いました。斉藤君は、試衛館の関係者の誰かと、以前からの知り合いと考えるのが普通だと思います。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、山南敬助を微笑んで見た。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、山南敬助を普通の表情で見ている。

山南敬助は土方歳三と斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤君と総司の剣術の技術は互角です。斉藤君の剣術の技術も天才的です。総司は、日常は明るい雰囲気が多いですが、剣術が関係する時は物凄く冷静です。斉藤君は、日常も剣術が関係する時も共に物凄く冷静です。総司と斉藤君は、剣術が関係する時の冷静な対応も互角です。京の町で活動を始めて間もない壬生浪士組に、優秀な人物が突然に加わりました。不思議です。」

斉藤一は杯の酒を飲むのを止めると、山南敬助に普通に話し出す。

「山南さんにお世辞でも褒めて頂けて嬉しいです。」

山南敬助は斉藤一に微笑んで話し出す。

「私は剣術関係のお世辞を言いません。斉藤君は優秀な人物です。」

斉藤一は山南敬助に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「山南さん。答えを知りたいですか?」

山南敬助は杯の酒を飲むと、土方歳三に微笑んで話し出す。

「斉藤君に関する過去は、他人に知られたくない内容と想像できます。しかし、土方さんと斉藤君は、私の前で斉藤君の過去に関する話をしました。更に、私が斉藤君の過去に関わりそうな内容を話しましたが、土方さんと斉藤君は、否定も肯定もしません。以上の状況から考えると、私は斉藤君の過去について、ある程度は知っても構わないと推測しました。私に答えを話すか話さないかは、土方さんにお任せします。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、山南敬助を微笑んで見た。

山南敬助も杯の酒を飲みながら、土方歳三を微笑んで見た。

土方歳三は杯の酒を飲みながら、斉藤一を普通の表情で見た。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、山南敬助と土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は杯の酒を飲みながら、山南敬助に微笑んで話し出す。

「答えは、斉藤に尋ねてください。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は杯の酒を飲みながら、斉藤一に微笑んで頷いた。

斉藤一は杯の酒を飲むのを止めると、山南敬助に普通に話し出す。

「以前に何回か会いました。」

山南敬助は杯の酒を飲むのを止めると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「私の勘が当たりました。嬉しいです。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、山南敬助を普通の表情で見た。

山南敬助は杯の酒を飲むと、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤君。総司に以前に会った事実を早く言わない理由は何ですか?」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、山南敬助に普通に話し出す。

「俺の入隊前に、近藤さんと土方さんから、総司と以前に会った事実を直ぐに伝えないように言われたからです。入隊後は、総司が俺と頻繁に一緒に居るので、総司に急いで話す必要が無いと思いました。以上の経緯から、総司に伝えない日が続いています。」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司に話すと決めた理由は何ですか?」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、山南敬助に普通に話し出す。

「総司が俺に昔の出来事を幾度も笑顔で話します。総司が可哀想になったからです。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、意外な様子で話し出す。

「斉藤が可哀想と話すのは、不思議な感じがするな。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、土方歳三に普通に話し出す。

「近藤さんと土方さんは、総司が俺と久しぶりに会った時に、以前に会ったと気付くか賭けていましたね。更に後の、近藤さんと土方さんは、総司が俺に気付かない様子を幾度も楽しく話していましたね。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、斉藤一を感心して見た。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、土方歳三に普通に話し出す。

「俺は気にしませんが、総司は知った時に様々な思いを抱くと想像できませんか?」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、斉藤一を感心して見ている。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、土方歳三を普通の表情で見た。

山南敬助は杯の酒を飲みながら、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤君は総司をどのように思っていますか?」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、山南敬助に普通に話し出す。

「いつも楽しく過ごしているのが不思議です。いつも笑顔で過ごしているのが不思議です。全てが不思議です。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、斉藤一に普通に話し出す。

「斉藤。今後の展開について要望があれば教えてくれ。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、土方歳三に普通に話し出す。

「土方さんの考える今後の展開によって、要望は変わります。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、斉藤一に普通に話し出す。

「最低でも五日間は黙っていて欲しい。五日目以降は、斉藤に任せる。」

斉藤一は杯の酒の飲みながら、土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は杯の酒を飲みながら、斉藤一に不思議そうに話し出す。

「なぜ黙っているんだ?」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、土方歳三に普通に話し出す。

「土方さん。突然ですが、土方さんは或る家の女性の方と、お付き合いをしていたようですね。先日、或る家で何か起きて、山南さんが珍しく仲介に入られたようですね。近藤さんがこの件について知りたいそうです。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、斉藤一に僅かに驚いて話し出す。

「なぜ斉藤が知っているんだ?」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、土方歳三に普通に話し出す。

「土方さんにとっては、特別に珍しくない出来事でも、近藤さんには知られたくない様子ですね。」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、土方歳三と斉藤一を苦笑して見た。

土方歳三は杯の酒を飲みながら、斉藤一に呆れて話し出す。

「斉藤。成長し過ぎ。勘も鋭過ぎ。剣術の技術の他にも天才的な能力を具えていたんだな。斉藤は俺の想像以上に成長しているよ。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、土方歳三に普通に話し出す。

「土方さんに褒めて頂けて嬉しいです。今後も更なる精進を積んでいきます。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、斉藤一を苦笑して見た。

山南敬助は杯の酒を飲みながら、土方歳三と斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、山南敬助と土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は杯の酒を飲みながら、斉藤一に苦笑して話し出す。

「斉藤。俺は何をすれば良いんだ?」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、土方歳三に普通に話し出す。

「土方さんにお任せします。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、斉藤一を見て、軽く息をはいた。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は杯の酒を飲みながら、山南敬助と斉藤一に普通に話し出す。

「山南さん。都合の良い日を教えてください。斉藤。都合の良い日を教えてくれ。」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、土方歳三に微笑んで話し出す。

「私はいつでも構いません。」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、土方歳三に普通に話し出す。

「俺もいつでも構いません。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、山南敬助と斉藤一に普通に話し出す。

「山南さん。予定が決まったら、斉藤を通じて直ぐに伝えます。斉藤。予定が決まったら直ぐに教えるから、山南さんへの連絡を頼む。」

斉藤一は杯の酒を飲むのを止めると、土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

山南敬助は杯の酒を飲みながら、土方歳三に微笑んで頷いた。

土方歳三は杯の酒を飲むのを止めて、杯の酒を見ると、軽く息をはいた。

斉藤一は山南敬助と土方歳三に普通に話し出す。

「総司が来る時間です。」

土方歳三は斉藤一を普通の表情で見た。

山南敬助は杯の酒を飲みながら、斉藤一を微笑んで見た。


部屋の外から、沖田総司の明るい声が聞こえてきた。

「遅くなりました〜!」


斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司の声が聞こえた方向を普通の表情で見た。

土方歳三は杯の酒を飲むと、沖田総司の声が聞こえた方向を微笑んで見た。

山南敬助は杯の酒を飲みながら、沖田総司の声が聞こえた方向を微笑んで見た。


沖田総司が部屋の中に元気良く入ってきた。


山南敬助は杯の酒を飲みながら、沖田総司を微笑んで見た。

土方歳三も杯の酒を飲みながら、沖田総司を微笑んで見た。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司を普通の表情で見た。


沖田総司は斉藤一の隣に笑顔で来た。


斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 遅くなってすいません!」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は杯に酒を笑顔で注ぐと、杯の酒を美味しく飲んだ。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は杯の酒を飲みながら、斉藤一に不思議そうに話し出す。

「何か遭ったのですか?」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通に話し出す。

「何も起きていない。安心しろ。」

沖田総司は杯の酒を飲みながら、斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通に話し出す。

「総司。土方さんは山南さんと俺に近い内に酒を奢ってくれる。総司も都合が付けば、土方さんの奢りで一緒に酒を飲もう。」

沖田総司は杯の酒を飲みながら、斉藤一に笑顔で話し出す。

「土方さんの奢りで酒が飲めるのですね! 物凄く楽しみですね! 私に予定と呼ぶほどの予定はありません! 一緒に酒を飲む日を楽しみに待っています!」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は杯の酒を飲みながら、土方歳三に笑顔で話し出す。

「土方さん! ありがとうございます! 山南さん、土方さん、斉藤さんと、酒を飲む日を楽しみに待っています!」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通に話し出す。

「礼は、山南さんと斉藤に言え。」

沖田総司は杯の酒を飲みながら、土方歳三に不思議そうに話し出す。

「土方さん。どのような意味ですか?」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通に話し出す。

「話したとおりだ。」

沖田総司は杯の酒を飲みながら、山南敬助と斉藤一を不思議そうに見た。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司を普通の表情で見た。

山南敬助は杯の酒を飲みながら、沖田総司を微笑んで見ている。

沖田総司は杯の酒を飲みながら、山南敬助と斉藤一に笑顔で話し出す。

「山南さん! 斉藤さん! 良く分かりませんが、ありがとうございます!」

山南敬助は杯の酒を飲みながら、沖田総司に微笑んで頷いた。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は杯の酒を飲みながら、山南敬助と斉藤一を笑顔で見た。

斉藤一は杯の酒を普通の表情で飲み干した。

沖田総司は杯の酒を飲み干すと、斉藤一の杯に笑顔で酒を注いだ。

斉藤一は沖田総司の杯に普通の表情で酒を注いだ。

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! ありがとうございます!」

斉藤一は杯の酒を飲むと、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は杯の酒を美味しく飲んだ。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は杯の酒を飲みながら、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。私は、試衛館で何度か逢った、山口君と再会したら、ぜひ一緒に酒を飲みたいと思い続けています。斉藤さんも、ぜひ一緒に酒を飲みたいと思う人は居ますか?」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通に話し出す。

「居ない。」

沖田総司は杯の酒を飲みながら、斉藤一に不思議そうに話し出す。

「居ないのですか?」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通に話し出す。

「以前は一緒に酒を飲みたい人物が居たが、その人物とは既に一緒に酒を飲んだ。だから、今は居ない。」

沖田総司は杯の酒を飲みながら、斉藤一に笑顔で話し出す。

「斉藤さん! 望みが叶って良かったですね!」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は杯の酒を飲みながら、斉藤一に笑顔で話し出す。

「私も早く山口君と酒が飲みたいです!」

斉藤一は杯の酒を飲みながら、沖田総司を普通の表情で見た。

土方歳三は杯の酒を飲みながら、笑いを堪えた表情で、沖田総司と斉藤一を見た。

山南敬助は杯の酒を飲みながら、沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

既に掲載している物語の再改訂版です。

改訂前の展開や雰囲気を出来るだけ残しながら改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上の点、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語は「新撰組異聞 短編 孤高の桜 誠の姿を知る者は」より以前の時間設定です。

斉藤一さんが壬生浪士組(後の新撰組)に入隊するに当たって、山南敬助さんが斉藤一さんの過去について気付く可能性があると考えて、今回の物語を書きました。

山南敬助さんは、“斉藤一”さんと“山口一”さんが同一人物と気付きましたが、沖田総司さんには黙っている事になりました。

この物語の時間設定の山南敬助さんは、斉藤一さんが名前を変えた経緯を知りません。

斉藤一さんは、沖田総司さんが可哀想になったから話すと決めたのか、別な理由のために話すと決めたのか、複数の理由により話すと決めたのか、謎のまま物語は展開します。

題名は、今回の物語の中で一番得をした人は誰なのか? という意味を込めて付けました。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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