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新撰組異聞 〜 端午の節句に咲く花は 〜
〜 第三版 〜
今日は端午の節句。
ここは、京の町。
過ごしやすい日となっている。
ここは、町中。
沖田総司は焦りながらも笑顔で走っている。
少し後の事。
ここは、落ち着いた雰囲気の寺。
境内。
木の下。
木陰が出来ている。
少女は包みを持ち、山門を微笑んで見ている。
木陰が少女を日差しから優しく守っている。
沖田総司は焦りながら笑顔で走ってきた。
少女は包みを持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。
「沖田さん。こんにちは。」
沖田総司は少女に息を切らしながらも笑顔で話し出す。
「間に合った。」
少女は包みを持ち、沖田総司に心配して話し出す。
「沖田さんはお忙しいです。私は大丈夫です。無理をしないでください。」
沖田総司は少女に笑顔で話し出す。
「今は忙しくないんだ! 急いで走ってきたのは、鈴ちゃんに早く逢いたいし、逢う時間が短くなると寂しいからだよ! 無理してないよ! 大丈夫だよ!」
少女は包みを持ち、沖田総司を恥ずかしく見た。
沖田総司は包みを見ると、少女に微笑んで話し出す。
「包みを持ち続けたら重いよね。私が持つよ。」
少女は包みを持ち、沖田総司に微笑んで話し出す。
「今日は端午の節句です。沖田さんと一緒に食べたいと思って用意しました。」
沖田総司は少女に嬉しく話し出す。
「嬉しいな!」
少女は沖田総司に包みを微笑んで渡した。
沖田総司は少女から包みを笑顔で受け取った。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は包みを持ち、少女に笑顔で話し出す。
「藤の花を近くで見よう!」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は片手で包みを持ち、片手で少女の手を握った。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は片手で包みを持ち、片手で少女の手を握り、笑顔で歩き出した。
少女は沖田総司に強く引かれる様子で歩き出した。
沖田総司は片手で包みを持ち、片手で少女の手を握り、少女を笑顔で見た。
少女は沖田総司の後を今にも倒れそうに歩いている。
沖田総司は包みを持ち、片手で少女の手を握り、慌てて止まった。
少女は不思議な様子で止まった。
沖田総司は片手で包みを持ち、少女の手をゆっくりと放すと、少女に心配して話し出す。
「気を付けているけれど、いつも思い切り手を引く状況になっているね。痛いよね。ご免ね。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「痛くないです。大丈夫です。沖田さん。心配しないでください。」
沖田総司は包みを持ち、少女に微笑んで話し出す。
「嫌な時や辛い時は、隠さずに話してね。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「嫌な時も辛い時も、一度も無いです。」
沖田総司は包みを持ち、少女を微笑んで見た。
少女は藤棚を微笑んで見た。
藤棚に咲く藤の花は、綺麗な姿で咲いている。
少女は沖田総司を見ると、沖田総司に微笑んで話し出す。
「綺麗な藤の花が咲いています。」
沖田総司は包みを持ち、藤棚を微笑んで見た。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は包みを持ち、少女を見ると、少女に微笑んで話し出す。
「藤の花が見える場所で食べよう。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は包みを持ち、微笑んで歩き出した。
少女は微笑んで歩き出した。
僅かに後の事。
ここは、落ち着いた雰囲気の寺。
本堂。
縁。
藤棚が見える。
沖田総司は包みを持ち、微笑んで来た。
少女は微笑んで来た。
沖田総司は座ると、包みを微笑んで傍に置いた。
少女は微笑んで座った。
沖田総司は少女に笑顔で話し出す。
「早く食べよう!」
少女は包みを微笑んで広げた。
沖田総司は包みを笑顔で見た。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は包みを不思議な様子で見た。
少女は沖田総司に不思議な様子で話し出す。
「沖田さん。何かありましたか?」
沖田総司は少女を見ると、少女に不思議な様子で話し出す。
「今日は端午の節句だよね。包みの中には、柏餅ではなくて、粽が入っている。」
少女は沖田総司に不思議な様子で話し出す。
「端午の節句には、柏餅より粽を良く食べます。今日は端午の節句なので、美味しいと評判の粽を買いました。」
沖田総司は少女を不思議な様子で見た。
少女は沖田総司に申し訳なく話し出す。
「江戸では、端午の節句に柏餅を良く食べると聞いた時があります。柏餅の用意を忘れていました。」
沖田総司は少女に慌てて話し出す。
「私は、京の町で、端午の節句に粽を良く食べる風習を知らなかったんだ! 江戸では、端午の節句に柏餅を良く食べるから、京の町も端午の節句に柏餅を食べると思っていたんだ! 私の勉強不足のために、鈴ちゃんの気を悪くさせてしまった! ご免ね!」
少女は沖田総司に申し訳なく話し出す。
「私も勉強不足でした。ご迷惑をお掛けしてしまいました。」
沖田総司は包みから粽を取ると、少女に笑顔で話し出す。
「いただきます!」
少女は沖田総司を不安な様子で見た。
沖田総司は粽を美味しく食べた。
少女は沖田総司を不安な様子で見ている。
沖田総司は粽を食べ終わると、少女に笑顔で話し出す。
「とても美味しいよ! 端午の節句には、粽も良いね!」
少女が沖田総司を不安な様子で見ている。
沖田総司は少女に笑顔で話し出す。
「来年の端午の節句にも粽を食べようね! 約束だよ!」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「はい。」
沖田総司は少女に笑顔で話し出す。
「来年は、斉藤さんも誘って、三人で粽を食べたいな!」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「来年がとても楽しみです。」
沖田総司は少女に笑顔で話し出す。
「昨日の一緒に食べた味噌餡の柏餅も、とても美味しかったよ!」
少女が沖田総司に微笑んで話し出す。
「次に逢う時は、味噌餡の柏餅を用意します。来年の端午の節句は、粽も味噌餡の柏餅も、用意します。」
沖田総司は少女に笑顔で話し出す。
「楽しみに待っているね!」
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女に微笑んで話し出す。
「京の町に着いて間もないから、京の町の決まり事も京の町の風習も、たくさん知らないんだ。端午の節句に粽を食べる風習も知らなかったんだ。味噌餡の柏餅も、京の町に着いてから知ったんだ。鈴ちゃんは私にたくさんの内容を教えてくれる。鈴ちゃんと話す時間も鈴ちゃんと逢う時間も、とても勉強になっているんだ。これからもたくさん教えね。」
少女は沖田総司に恥ずかしく話し出す。
「私は特別な話をしていません。沖田さんにお礼を言われると照れます。」
沖田総司は少女に笑顔で話し出す。
「鈴ちゃんと一緒に居ると、とても楽しいよ! 鈴ちゃんと一緒に居ると、京の町の雅な風習の勉強になるよ! 鈴ちゃんとたくさん逢いたいよ!」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「私も沖田さんと一緒に居ると、とても楽しいです。」
沖田総司は少女を笑顔で見た。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は包みから粽を取ると、粽を美味しく食べた。
少女は包みから粽を取ると、粽を微笑んで食べた。
少し後の事。
ここは、落ち着いた雰囲気の寺。
本堂。
縁。
藤棚が見える。
沖田総司は粽を美味しく食べている。
少女は粽を微笑んで食べている。
沖田総司の傍には、包みが置いてある。
沖田総司は粽を食べ終わると、包みを笑顔で見た。
包みの中は、空になっている。
沖田総司は少女に恥ずかしく話し出す。
「今回も一人でたくさん食べてしまった。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「美味しく食べて頂けて嬉しいです。」
沖田総司は少女を恥ずかしく見た。
少女は沖田総司を微笑んで見た。
沖田総司は少女を慌てて見た。
少女は沖田総司を不思議な様子で見た。
沖田総司は少女に慌てて話し出す。
「斉藤さんと約束しているんだ! 戻らないと、斉藤さんとの約束の時間に遅れてしまう!」
少女は沖田総司を寂しく見た。
沖田総司は少女に申し訳なく話し出す。
「突然に帰ると言ってごめんね。」
少女は沖田総司に微笑んで話し出す。
「大丈夫です。」
沖田総司は少女を安心して見た。
少女は藤棚を微笑んで見た。
藤棚の藤の花は、綺麗な姿で咲いている。
沖田総司は包みを持ち、笑顔で立ち上がった。
少女は微笑んで立ち上がった。
沖田総司は包みを持ち、微笑んで居なくなった。
少女は微笑んで居なくなった。
少し後の事。
ここは、先程とは違う落ち着いた雰囲気の寺。
境内。
藤棚の藤の花が綺麗に咲いている。
木の下。
木陰が出来ている。
斉藤一は包みを持ち、普通の表情で居る。
沖田総司は笑顔で走ってきた。
斉藤一は包みを持ち、沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は斉藤一に息を切らしながらも笑顔で話し出す。
「遅れると思いました。」
斉藤一は沖田総司に包みを普通の表情で渡した。
沖田総司は斉藤一から包みを不思議な様子で受け取った。
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「昨日、総司は味噌餡の柏餅が食べたいと話していた。総司の様子を見た人物が、柏餅を持ってきた。総司が居なかったから、味噌餡の柏餅を確保した。」
沖田総司は包みを持ち、斉藤一に笑顔で話し出す。
「ありがとうございます!」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は包みを持ち、斉藤一に微笑んで話し出す。
「今日は端午の節句です。京の町では粽を良く食べると聞きました。柏餅がたくさん手に入ったのですね。凄いですね。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「味噌餡の柏餅と粽の両方があった。総司が味噌餡の柏餅が食べたいと話していたから、味噌餡の柏餅を確保した。粽を確保した方が良かったのか?」
沖田総司は包みを持ち、斉藤一に笑顔で話し出す。
「味噌餡の柏餅で良いです! 味噌餡の柏餅を食べたいと思っていたので、とても嬉しいです! ありがとうございます!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「京の町で端午の節句に粽を食べる風習を知った時は、最近だろ。」
沖田総司は包みを持ち、斉藤一に笑顔で話し出す。
「はい! 先程、教えてもらいました! 粽も食べました! 粽はとても美味しかったです! とても楽しかったです!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「二人で粽を食べたのか?」
沖田総司は包みを持ち、斉藤一に笑顔で話し出す。
「はい!」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司はその子に味噌餡の柏餅が食べたいと話したのか?」
沖田総司は包みを持ち、斉藤一に微笑んで話し出す。
「はい。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「その子は、次に味噌餡の柏餅を用意すると話しただろ。」
沖田総司は包みを持ち、斉藤一に微笑んで話し出す。
「はい。」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「総司本人が味噌餡の柏餅を買って、二人で食べる考えは思い浮かばなかったのか。」
沖田総司は包みを持ち、斉藤一を驚いて見た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は包みを持ち、斉藤一に慌てて話し出す。
「いつも彼女がいろいろと用意してくれるので、考えずに話してしまいました!」
斉藤一が沖田総司に普通に話し出す。
「いろいろな物事に良く気付く子だな。」
沖田総司は包みを持ち、斉藤一に笑顔で話し出す。
「はい! いろいろな物事に気付きます! とても良い子です! 私が変な内容を話して困らせてしまう時がありますが、直ぐに許してくれます! 斉藤さんに似ています! 物凄く良い友達です!」
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は包みを持ち、斉藤一に不思議な様子で話し出す。
「斉藤さん? 何かありましたか?」
斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。
「その子がとても辛抱強いと思った。」
沖田総司は包みを持ち、斉藤一を不思議な様子で見た。
斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は包みを持ち、斉藤一に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。味噌餡の柏餅を食べながら、藤棚を見て、続きを話しましょう。」
斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は包みを持ち、斉藤一を微笑んで見た。
沖田総司は包みを持ち、微笑んで歩き出した。
斉藤一は普通に歩き出した。
沖田総司は、端午の節句の日に、少女と話しながら粽を食べて、斉藤一と話しながら味噌餡の柏餅を食べた。
沖田総司は楽しい端午の節句を過ごしている。
* * * * * *
ここからは、後書きになります。
この物語は既に掲載している物語の再改訂版です。
物語の展開や雰囲気を残して改訂しました。
改訂前の物語を掲載するのは止めました。
以上、ご了承願います。
ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。
端午の節句の日の物語です。
旧暦ではなく新暦を基に物語を考えたので、五月の端午の節句に藤の花が咲いています。
端午の節句の日に、上方では「粽」を、関東では「柏餅」を、良く食べるそうです。
京都には「味噌餡の柏餅」があります。
最近では全国的に手に入りますが、当時は京都以外では珍しかったと思います。
端午の節句に、「柏餅」と「粽」のどちらを食べるのかを知らない事も不思議ではないかも知れません。
この物語は、沖田総司さんと鈴ちゃんが端午の節句に粽を食べる場面、沖田総司さんが斉藤一さんの確保した味噌餡の柏餅を喜んで食べると想像させる場面、が登場します。
この物語の時間設定は、沖田総司さんが京都に着てから初めて迎える端午の節句で、沖田総司さんと鈴ちゃんが逢ってから初めて迎える端午の節句、になります。
題名の「端午の節句に咲く花」については、皆様のご想像にお任せいたします。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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