このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

新撰組異聞 〜 青空の下と月夜の下で 〜


〜 第三版 〜


晩春から初夏へと季節が変わろうとする頃。


ここは、京の町。


青空が広がっている。


ここは、屯所。


一室。


沖田総司は拗ねた様子で居る。

斉藤一は普通に居る。


沖田総司が斉藤一に拗ねて話し出す。

「斉藤さんが羨ましいです〜」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に拗ねて話し出す。

「斉藤さんは江戸の町に行きます〜 私も斉藤さんと土方さんと一緒に行きたいです〜」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「江戸の町に行く理由は、物見遊山ではなく任務だ。拗ねるな。」

沖田総司は斉藤一に拗ねて話し出す。

「私は〜 物見遊山でも〜 任務でも〜 江戸の町に行けません〜」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。拗ねても結果は変わらない。」

沖田総司は斉藤一を拗ねて見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「江戸の町に行く予定の藤堂平助の身に不測の事態が起きた場合、永倉さんか総司か原田さんが代わりに行く可能性がある。」

沖田総司は斉藤一に笑顔で話し出す。

「平助の身に不測の事態が起きたら、私は斉藤さんと一緒に江戸の町に行けるのですね!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺は可能性が出ると話した。」

沖田総司は斉藤一を見ながら、嬉しく考え込んだ。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。怪しい考えを抱き始めただろ。」

沖田総司は斉藤一に嬉しく話し出す。

「怪しい考えは抱きません!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に嬉しく話し出す。

「平助に物凄く厳しい稽古を就けます!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「藤堂平助の剣術の技量ならば、総司が物凄く厳しい稽古は就ける必要ない。」

沖田総司は斉藤一に嬉しく話し出す。

「私から見れば、平助の剣術の技量は、まだまだ未熟です! 平助は新撰組の隊士の一人として、斉藤さんと一緒に江戸の町に行きます! 良い機会です! 私が平助に本格的な稽古を就けます!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司から見て、剣術の技量が未熟に該当しない人物がいるのか?」

沖田総司は斉藤一に嬉しく話し出す。

「斉藤さんです!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「他は?」

沖田総司は斉藤一に嬉しく話し出す。

「居ません!」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を笑顔で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見ている。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「言い忘れていました。土産を楽しみに待っています。江戸で起きた面白い出来事を必ず教えてください。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺が江戸の町に行く理由は、物見遊山ではなく、任務だ。土産を期待するな。江戸で起きた面白い出来事の土産話も期待するな。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんの可能な範囲の用意できる土産で良いです。斉藤さんの可能な範囲の江戸の町で起きた面白い出来事を教えてください。楽しみに待っています。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。


数日後の事。


ここは、京の町。


青空が広がっている。


ここは、沖田総司と少女が良く訪れる寺。


縁。


沖田総司は微笑んで居る。

少女も微笑んで居る。


沖田総司は少女に寂しい微笑みで話し出す。

「青空が綺麗だね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は寂しい微笑みで寝転んだ。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は寝転んで、青空を見ると、少女に寂しい微笑みで話し出す。

「斉藤さんが居ないと寂しいね。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は寝転んで、青空を見ると、少女に寂しい微笑みで話し出す。

「楽しくないんだ。詰まらないんだ。面白くないんだ。私も斉藤さんと土方さんと一緒に、江戸の町に行きたかったんだ。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は慌てて体を起こした。

少女は沖田総司を驚いた表情で見た。

沖田総司は少女に慌てて話し出す。

「詰まらない、楽しくない、面白くない、と話したのは、江戸に行けない行為に対してだよ! 鈴ちゃんと一緒に居ると、とても楽しいよ! 本当だよ!」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私も総司さんと一緒に居ると楽しいです。」

沖田総司は少女に安心した表情で話し出す。

「鈴ちゃんが悲しい思いをしていなくて良かった。」

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司も少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「斉藤さんも綺麗な青空を見ていると良いですね。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

少女は青空を微笑んで見た。

沖田総司も青空を微笑んで見た。


同じ頃。


ここは、江戸の町。


青空が広がっている。


ここは、一軒の屋敷。


庭。


土方歳三は普通に居る。

斉藤一も普通に居る。


斉藤一は青空を普通の表情で見た。

土方歳三は青空を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「綺麗な青空だな。」

斉藤一は土方歳三を見ると、普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は青空を見ながら、斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司も青空を見ている気がする。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一を微笑んで見た。


藤堂平助が普通に来た。


斉藤一は藤堂平助を普通の表情で見た。

土方歳三も藤堂平助を普通の表情で見た。

藤堂平助は土方歳三と斉藤一に普通に話し出す。

「出掛ける時間が近付いています。」

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「俺と斉藤は、青空を見ながら楽しく話していたのに残念だ。夜に続きを話そう。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

藤堂平助は土方歳三と斉藤一を不思議な様子で見た。


土方歳三は普通に歩き出した。


斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

藤堂平助は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。青空が綺麗ですね。」

斉藤一は藤堂平助を普通の表情で見た。

藤堂平助は斉藤一に微笑んで話し出す。

「沖田さんは青空を見ながら、親しい女の子と話しているように思いませんか?」


斉藤一は普通に歩き出した。


藤堂平助は斉藤一を見ながら、考え込む様子で呟いた。

「沖田さんは斉藤さんと普通に会話している。私と斉藤さんは普通に会話が出来ない。沖田さんは凄い人物だ。」


藤堂平助は僅かに早く歩き出した。


その日の夜の事。


ここは、京の町。


綺麗な月が輝いている。


ここは、屯所。


沖田総司の部屋の前に在る縁。


沖田総司は微笑んで来た。


沖田総司は月を見ると、微笑んで声を出す。

「綺麗な月だな。斉藤さんも同じ月を見ていると良いな。」


同じ頃。


ここは、江戸の町。


綺麗な月が輝いている。


土方歳三は普通に歩いている。

斉藤一も普通に歩いている。


土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤と二人で酒が飲めて楽しかった。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤。久々の江戸の町の感想を教えてくれ。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「感想は無いです。」

土方歳三は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は土方歳三に普通に話出す。

「総司が江戸の町に来たいと話していました。」

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司の気持ちは分かるが、いろいろと遭って無理だと判断した。差し支えなければ、総司が斉藤に話した内容を教えてくれ。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「俺と土方さんと一緒に江戸の町に行く方法を考えながら話していました。総司は江戸の町に行けない理由を分かっている様子でした。総司は納得するために、俺に長々と話していました。」

土方歳三は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は夜空を見ると、斉藤一に静かに話し出す。

「京に着いてから重ねた年は、直ぐに数え終わる。既に、江戸に戻れない人物がいる。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は斉藤一を見ると、斉藤一に静かに話し出す。

「斉藤。京で終わるな。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「意外に感じるかも知れないが、斉藤と総司には、生き抜いて欲しいと思っている。総司には機会があったら話す。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は斉藤一に静かに話し出す。

「斉藤。総司とあの子の進展状況が知りたい。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「気になりますか?」

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「勿論。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「近藤さんと土方さんは、総司に言い寄る女性や総司に言い寄る可能性がある女性を、尽く退けていますよね。土方さんの考えが変わった様子はありません。珍しい内容の話に感じます。」

土方歳三は斉藤一に苦笑して話し出す。

「返す言葉が無い。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は斉藤一に静かに話し出す。

「総司とあの子の関係は、近藤さんも既に知っている。近藤さんは総司とあの子を気に掛けているが多くの内容を話さない。俺も総司とあの子を気に掛けている。俺は近藤さんに逐一報告する考えは無い。総司が天才的な鈍さの発揮を続けるから、あの子を可哀想に思う時が多い。総司が天才的な鈍さの発揮を続ける原因の一つに、近藤さんと俺が総司のために取った言動があると思う。近藤さんと俺が総司のために取った言動があるから、稽古嫌いの総司が剣術の鍛錬を渋々だが続けている。総司は剣術関係の天才の評判が続く。総司にとって良い状況か悪い状況か分からないが、俺達は良かったと考えている。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見ている。

土方歳三は斉藤一に静かに話し出す。

「総司も思うところがあるから、俺達に何も話さないと思う。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見ている。

土方歳三が斉藤一に静かに話し出す。

「総司が天才的な鈍さの発揮を続けるから、今の総司とあの子は微笑ましい雰囲気に見える。日々を重ねていくと、あの子は新撰組一番組組長の恋人にしか見えなくなる。あの子が危険な状況に遭わないようにしたいと思っている。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「交際中の新撰組隊士、または、好意を持つ相手の居る新撰組隊士は、幾人もいます。総司は強いと評判の新撰組隊士です。あの子に危険が及ぶ可能性は無いに等しいと思います。」

土方歳三が斉藤一に静かに話し出す。

「残念ながら、無いに等しいは、僅かだが可能性が有ると同じだ。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「今の状況ならば、俺か総司と一緒に居る時は、危険は無いと思います。今の状況ならば、俺か総司が一緒に居ない時は、危険は少ないですが、安全だと断言は出来ません。」

土方歳三は斉藤一に静かに話し出す。

「斉藤。総司とその子の今の状況を教えて欲しい。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は斉藤一を見ながら、軽くため息をついた。

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見ている。


土方歳三は斉藤一に真剣な表情で話し出す。

「今から話す内容は、近藤さんと俺の二人の想いと、近藤さんのみの想いか俺のみの想いが、一緒になっている。斉藤は話の内容と俺の話す雰囲気で判断してくれ。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に真剣な表情で話し出す。

「総司には幸せになって欲しい。芹沢さんも山南さんも、総司とあの子を気に掛けていた。あの子は総司を想いながら過ごしている。あの子が総司に一番に相応しい。だからこそ、総司とあの子が過ごす時間の邪魔はしない。総司は、あの子の身に不測の事態が起きた時に、冷静な判断が出来るか不安に思う。万が一の時のために、総司の傍に信頼できる人物が居て欲しいと思っている。総司とあの子を一番に理解する人物は、斉藤だ。斉藤が傍に居られる間は、出来るだけ助けて欲しい。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「念のために確認します。今の話の内容は、命令ですか?」

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「命令ではない。願いだ。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「土方さんの話す、あの子、に該当する人物が現れたら、土方さんの今の話に副う言動をします。」

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「思いのままの木の下に居たあの子は、普段より更に可愛かった。総司にはもったいない。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「土方さん。」

土方歳三は斉藤一に困惑して話し出す。

「深い意味はない。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は斉藤一に困惑して話し出す。

「斉藤。話題を変える。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤。京の女性と江戸の女性。違う魅力があって良いな。改めて思った。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤と一緒に出掛けると、周りが深く詮索しないから助かる。明日も頼む。」

斉藤一は土方歳三に普通に話し出す。

「土方さん。江戸の町に来る途中でもいろいろとありました。江戸の町に居る間も、いろいろとある様子ですね。京に戻る最中も、いろいろとする予定ですか?」

土方歳三が斉藤一に微笑んで話し出す。

「勿論。是非、逢いたい人物がいる。暫くの間、よろしく頼む。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は夜空を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「月が綺麗だな。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「明日も忙しい。早く戻ろう。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。


土方歳三は僅かに早く微笑んで歩き出した。


斉藤一は夜空を見ると、普通の表情で呟いた。

「総司。江戸の町は月が綺麗に輝いている。」


土方歳三は歩調を遅くすると、斉藤一を不思議な様子で見た。


斉藤一は普通に歩き出した。


同じ頃。


ここは、京の町。


屯所。


沖田総司の部屋の前に在る縁。


沖田総司は月を見ながら、微笑んで呟いた。

「斉藤さん。京の町は月が綺麗に輝いています。」


沖田総司は部屋の中に微笑んで入って行った。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の再訂版です。

改訂前の物語の雰囲気や展開を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語の時間設定は、土方歳三さん、伊東甲子太郎さん、斉藤一さん、藤堂平助さん、などが、隊士募集のために江戸に行った頃を基にしました。

江戸に向かう途中の出来事は、想像して書きました。

隊士募集のために江戸へ行く出来事は、「新撰組異聞 短編 青空の下 遠く離れて」でも書きました。

二つの物語の出来事も想像して書きました。

「新撰組異聞」の沖田総司さんは、斉藤一さんと一緒に江戸に行きたかったと思いました。

この物語に、土方歳三さんが斉藤一さんに沖田総司さんと鈴ちゃんについて話す場面があります。

近藤勇さんや土方歳三さんは、沖田総司さんが恋愛をすると別れさせた話が伝わっています。

近藤勇さんも土方歳三さんも、全ての恋愛に関して別れさせる考えは無かったと思ったので、土方歳三さんが斉藤一さんにいろいろと話す場面を書きました。

楽しんで頂けると嬉しいです。





←前            目次            次→


このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください