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新撰組異聞 〜 鳴神月の雪嵐 〜


〜 改訂版 〜


ここは、京の町。


雨が降る心配はないが、曇りの天気となっている。


夕方が近づいているため、空の色が薄暗くなり始めている。


ここは、大通りから僅かに入った小道。


少女は家に帰るために、僅かに早く歩いている。


男の子が慌てた様子で走りながら、少女を追い越そうとした。


少女は男の子を避けるために脇に寄った。


男の子はつまずくようにして転んだ。


少女は男の子の傍に心配そうに来た。

男の子は痛そうな表情でゆっくりと立ち上がった。


少女は男の子に心配そうに話し出す。

「大丈夫?」

男の子は少女に微笑んで話し出す。

「大丈夫です。」

少女は男の子を安心した表情で見た。


少女と男の子から少し離れた場所で、緊張感の有る騒がしい声が聞こえた。


少女は男の子に真剣な表情で話し出す。

「早く逃げて。」

男の子は少女に心配そうに話し出す。

「お姉さんも一緒に早く逃げよう。」

少女は男の子に真剣な表情で話し出す。

「私より早く逃げられるわよね。私も直ぐに逃げるから。早く先に逃げて。」

男の子は少女に真剣な表情で頷いた。

少女は男の子を真剣な表情で見た。


男の子は真剣な表情のまま、大通りに向かって急いで走り出した。


少女は男の子に少し遅れて、大通りに向かって走りだそうとした。


少女の後ろで殺気を含んだ人の気配がした。


少女は立ち止まったまま、不安そうに後ろを見た。


武士が誰かを睨んで刀を構えながら、少女から離れた場所に立っている姿があった。


武士は少女の存在に気が付いていない様子に見える。


少女は武士の様子を確認しながら、ゆっくりと後ろ歩きをして大通りに向かい始めた。


武士は刀を構えながら、少女から離れた場所に立ち、少女の居る方向に睨んだ表情で視線を向けた。


少女は立ち止まると、武士を不安そうに見た。


武士は刀を持ちながら、少女の前に睨みながら来た。


少女は武士を不安そうに見た。

武士は刀を持ちながら、少女に低い声で話し出す。

「そこで何をしている。」


斉藤一の普段より僅かに低めの声が、武士の後ろから聞こえてきた。

「そこで何をしている。」


武士は刀を持ちながら、恐怖の表情で後ろを見た。


少女は武士を不安そうに見ている。


武士は恐怖と痛みを含んだ表情で地面へと崩れた。


少女の前に、斉藤一が刀を持って立っている姿が現れた。


斉藤一は刀を持ちながら、武士を普通の表情で見た。


少女は斉藤一を驚いた表情で見た。


斉藤一は刀を持ちながら、少女の前に普通に来た。


少女は斉藤一を驚いた表情で見ている。

斉藤一は刀を持ちながら、少女に普通に話し出す。

「そこで何をしている。」

少女は斉藤一を驚いた表情で見ている。

斉藤一は刀を持ちながら、少女に普通に話し出す。

「念のために言っておくが、そいつ死んでない。斬り合いは続くぞ。早く逃げろ。」

少女は斉藤一に驚いた表情のまま小さく頷いた。


斉藤一と少女の元に、緊張感を含んだ騒がしい音が近づいてきた。


斉藤一は刀を持ちながら、少女に普通に話し出す。

「大通りに早く行け。」

少女は斉藤一を不安そうに見た。


武士は地面に倒れたまま、恐怖と痛さを含んだ表情で目を開けた。


少女と武士の視線が合った。


少女は驚いた表情のまま、武士から視線を外す事が出来なくなった。


武士は自分の怪我の状況が分かると、恐怖と驚きの表情を浮かべて亡くなった。


少女は武士を驚いた表情で見ている。


斉藤一と少女から少し離れた場所に、別な武士が逃げるような様子で現れた。


斉藤一は刀を持ちながら、新たに現れた武士を普通の表情で見た。

少女は新たに現れた武士を驚いた表情で見た。


沖田総司が武士の前に冷たい表情で現れた。


武士は沖田総司に小さい声で話し出す。

「俺を斬るのか?」

沖田総司は武士に冷たい表情で話し出す。

「命令通り斬る。」

武士は沖田総司に小さい声で話し出す。

「なぜ直ぐに斬らずに俺の質問に答える?」

沖田総司は武士に冷たい表情で話し出す。

「直ぐに斬らずに、怖がらせてから斬れという命令だから。」

武士は沖田総司を恐怖の表情で見た。

沖田総司は武士に冷たい表情で話し出す。

「直ぐに亡くなると困るので、残念ながら三段突きは行えない。」

武士は沖田総司を恐怖の表情で見ている。

沖田総司は武士に冷たい表情で話し出す。

「新撰組から逃げたらどうなるか知っているな。悪いが、そろそろ斬ろうと思う。」

武士は沖田総司を恐怖の表情で見ている。

沖田総司は武士に近づくと、冷たい表情で話し出す。

「せっかくだから、情けを掛けよう。早く刀を手に取れ。斬り合いの最中に深手を負って、その場で亡くなったように見せてやる。」

武士は恐怖の表情を浮かべたまま、刀に手を掛けた。

沖田総司は冷たい表情で素早く刀を抜くと、武士を瞬く間に斬った。

武士は恐怖と痛みを含んだ表情で地面へと倒れた。


沖田総司は刀を持ちながら、武士を冷たい表情で見た。

斉藤一は沖田総司の傍に来ると、武士を普通の表情で見た。

沖田総司は刀を持ちながら、斉藤一を見ると、冷たい表情で話し出す。

「命令通り本当にぎりぎりです。」

斉藤一は刀を持ちながら、沖田総司を普通の表情で見た。


沖田総司と斉藤一の後ろから、小さな鈴の音が聞こえた。


沖田総司は刀を持ちながら、冷たい表情で後ろを見た。

斉藤一は刀を持ちながら、沖田総司に普通に話し出す。

「放っておけ。早く任務を続けよう。」

沖田総司は刀を持ちながら、冷たい表情で鈴の音の聞こえた方向に歩き出した。


斉藤一は刀を持ちながら、沖田総司を普通の表情で見た。


沖田総司は刀を持ちながら、鈴の音の聞こえた場所に来ると、驚いた表情になった。


少女は地面に倒れた武士を驚いた表情で見ている。


沖田総司は刀を持ちながら、少女を驚いた表情で見た。

少女は沖田総司を見ると、小さい声で話し出す。

「あの人、真っ赤です。目を開けて、私を見ています。」
沖田総司は刀を持ちながら、少女に心配そうに話し出す。

「大丈夫?」

少女は沖田総司に小さい声で話し出す。

「斉藤さんと総司さんが斬った人が、真っ赤です。私をじっと見ています。」

沖田総司は片手で刀を持ちながら、少女から武士が見えないように自分の体で隠した。

少女は沖田総司にしがみ付くと、小さい声で話し出す。

「真っ赤になってずっと私を見ています。」

沖田総司は片手で刀を持ちながら、片手で少女を心配そうに支えた。


斉藤一は武士を見ると、普通の表情で急所に刀を突き刺した。

武士は地面に横になったまま、目を大きく見開いて少女を見たが、直ぐに目を閉じた。


斉藤一は刀を持ちながら、少女の傍に普通に来た。

少女は沖田総司にしがみ付きながら、沖田総司と斉藤一に小さい声で話し出す。

「あの人、更に真っ赤です。」

沖田総司は片手で刀を持ちながら、片手で少女を支えて、心配そうに様子を見た。

少女は沖田総司から我に帰った表情で離れた。

沖田総司は刀を持ちながら、少女を心配そうに見た。

少女は沖田総司に小さい声で話し出す。

「早く帰らないと。」

斉藤一は刀を持ちながら、沖田総司に普通に話し出す。

「命令された人物は全て斬った。周りには俺が適当に話しをする。美鈴さんを家の傍まで送れ。総司の隊服も着物も服もほとんど汚れていないから、怪しむ者はいないはずだ。」

沖田総司は刀を持ちながら、斉藤一に真剣な表情で頷いた。

斉藤一は刀を持ちながら、沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は刀を持ちながら、少女を見ると、心配そうに話し出す。

「家まで送っていく。」

少女は沖田総司に小さく頷いた。


少女はゆっくりと歩き出した。

沖田総司は少女を心配そうに見ながら、ゆっくりと歩き出した。


その翌日の夜の事。


ここは、京の町。


屯所。


斉藤一の部屋。


沖田総司は辛そうに訪れた。


斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に辛そうに話し出す。

「昨日の鈴ちゃんの様子がとても心配だったので、今日の鈴ちゃんの様子を確認するために訪ねました。鈴ちゃんは調子が悪くて寝込んでいるそうです。次に逢う約束をしようと思ったのですが、私と鈴ちゃんの体調を考えて、逢わずに帰る事にしました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「今回は、総司と俺が直ぐに殺さない場面を見たから、美鈴さんの動揺と不安は想像より大きかったはずだ。」

沖田総司は斉藤一に辛そうに話し出す。

「鈴ちゃんの体調が悪くなったのは、私のせいですよね。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「自分を余り責めるな。」

沖田総司が斉藤一に不安そうに話し出す。

「鈴ちゃんは、私が斬り合いの中で行なった三段突きを見て辛い思いをしてから、やっと落ち着いたばかりです。今回は状況から考えると更に心配です。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は不安そうに軽く息をはいた。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺が美鈴さんに会う。悩むのは後にしろ。」

沖田総司は斉藤一に心配そうに頷いた。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し出す。

「斉藤さん。もう一つ頼みがあります。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。


その翌日の事。


ここは、京の町。


少女の家。


斉藤一は少女に逢うために訪ねてきた。


ここは、少女の部屋。


斉藤一は包みを持ちながら、部屋の中に静かに入ってきた。


少女は床からゆっくりと体を起こすと、斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は包みを脇に置くと、少女に普通に話し出す。

「無理するな。」

少女は床に体を起したまま、斉藤一に微笑んで話し出す。

「無理していません。斉藤さんとお話し出来て嬉しいです。」

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は床に体を起こしたまま、斉藤一の脇に有る包みを見ると、不思議そうに話し出す。

「花菖蒲を包むようにして持ってきたのですか?」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「美鈴さんと一緒に出掛けたい場所に咲く“雪嵐”と“美吉野”を、総司が頼んで分けてもらったそうだ。総司から美鈴さんに渡して欲しいと頼まれた。持ち難いと言ったら包みのようにして手渡された。」

少女は床に体を起こしたまま、斉藤一に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

斉藤一は少女に花菖蒲の包みを普通に手渡した。

少女は床に体を起こしたまま、斉藤一から花菖蒲の包みを微笑んで受け取った。

斉藤一は少女を普通の表情で見た。


少女は床に体を起こしたまま、斉藤一に申し訳なさそうに話し出す。

「総司さんに、ご迷惑をお掛けしている事と、花菖蒲を頂いた感謝と、早く元気になるように努力すると、伝えてください。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は床に体を起こしたまま、斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は床に体を起こしたまま、斉藤一に不安そうに話し出す。

「私が寝込んでいる時に、総司さんが訪ねてきてくださいました。総司さんは私に逢わずに帰られたそうです。私が体調を悪くしてしまったから、総司さんは呆れて逢わなかったように思います。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「あの状況は誰が見ても驚く。体調を悪くしても不思議ではない。いろいろと遭って疲れただけだ。気にするな。」

少女は床に体を起こしながら、斉藤一を不安そうに見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「総司は美鈴さんを心配している。総司が美鈴さんを呆れていたら、雪嵐と美吉野を分けて欲しいと頼む手間を掛けないだろ。総司が美鈴さんに会わなかったのは、呆れたからではない。心配するな。」

少女は床に体を起こしながら、斉藤一と花菖蒲を交互に微笑んで見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「花菖蒲の見頃が終わりに近づいてきた。総司も美鈴さんと出掛ける日を楽しみにしている。総司と俺は、数日ほど美鈴さんに逢えない。その間にゆっくりと休んで元気になれ。」

少女は床に体を起こしながら、斉藤一に微笑んで頷いた。

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。


斉藤一は少女の家から普通に去って行った。


それから何日か後の事。


ここは、京の町。


花菖蒲の見頃の場所が減り始めているが、綺麗に咲いている場所は何ヶ所もある。


ここは、少女の家。


沖田総司は少女の家を心配そうに訪れた。


少女は沖田総司の前に微笑んで現れた。


沖田総司は少女に心配そうに話し出す。

「大丈夫?」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「大丈夫です。」

沖田総司は少女を心配そうに見た。

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さんからお見舞いに頂いた花菖蒲の咲いている場所に行きたいです。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。


沖田総司と少女は、微笑んで話しをしながら出掛けて行った。


それから少し後の事。


ここは、京の町。


花菖蒲が綺麗に咲いている場所。


沖田総司と少女は、花菖蒲の咲く傍に来た。


沖田総司は少女に配そうに話し出す。

「この前の事だけど・・・」

少女は沖田総司の話し途中で微笑んで話し出す。

「総司さんは大変なお仕事をされていると思います。」

沖田総司は話しを途中で止めたまま、少女を困惑した表情で見た。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女の手を取ると、心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん。辛いのに無理して笑顔になる必要はないよ。」

少女は沖田総司を困惑した表情で見た。

沖田総司は少女の手を取りながら、真剣な表情で話し出す。

「鈴ちゃん。私は治安や政のために、これからも厳しい任務に何度も就くはずだ。だから、・・・」

少女は沖田総司の話しを遮ると、微笑んで話し出す。

「私は総司さんのお仕事について分からない事が多いです。総司さんが必要だと思う時に教えてください。」

沖田総司は少女の手を取りながら、微笑んで頷いた。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女の手を取りながら、微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。今日は花菖蒲をたくさん見ようね。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女の手を取りながら、微笑んで話し出す。

「実は、鈴ちゃんに私と二度と逢いたくないと言われた時の状況を想像しながら、何度も緊張していたんだ。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「私は総司さんと会いたくないと考えた事は一度もありません。」

沖田総司は少女の手を取りながら、笑顔になった。


沖田総司と少女は、手を繋ぎながら、花菖蒲を楽しそうに見始めた。




*      *      *      *      *       *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の雰囲気や展開を出来るだけ残しながら改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上の点、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正しながら書いていきます。

今回の物語を書いた時は、人を斬る場面が登場する予定はありませんでした。

沖田総司さんは「いつも明るい人。子供好き。」と「剣の腕は超一流。人をたくさん斬っている。」という二面性で表現されています。

斉藤一さんは「無口。無表情。冷たい性格。人斬り。剣の腕は超一流。大酒飲み。」と表現されています。

沖田総司さんと斉藤一さんを表す他の表現に、「二人は仲が良かった」があります。

沖田総司さんも斉藤一さんも、残忍な斬り方をしている時がたくさんあります。

沖田総司さんや斉藤一さんが人を斬る場面を書かないと、沖田総司さんの笑顔や明るさの意味、鈴ちゃんを大切に思う気持ち、斉藤一さんの無口の意味、などの表現が出来ないと思いました。

そういう事があって、今回の物語を書く事にしました。

今回の物語は、「新撰組異聞 中編 鳴神月に降る雫 鈴の音鳴って」より後の時間設定になります。

今回の物語に、逃げた隊士を直ぐに死なせずにそのまま放置した場面が登場します。

この場面には、元になっている説があります。

斉藤一さんは参加していないようですが、沖田総司さんは参加しているようです。

逃げた隊士を斬ったらしいのですが、止めを差さなかったそうです。

その隊士はその時の怪我が元で、直ぐに亡くなっているそうです。

止めを直ぐに差さなかった理由は、はっきりとしていないそうです。

脱走した人数は多かったそうですが、追っ手の隊士達は剣の腕が立ち、それなのり人数だったそうなので、斬り損じとは考えられませんでした。

説の一つに、瀕死の状態のまま放置して苦しませるというのがあるそうです。

この説は正しいかも知れないと思いました。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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