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新撰組異聞 〜 朝靄に露草が咲いて 〜


〜 第三版 〜


ここは、京の町。


暑い日が続いている。


沖田総司は、任務の最中に体調を崩したため、一時的に任務に就く時間が減っている。

沖田総司は、体調を崩した直後から、外出の時間が減り、部屋を訪れる人物が減り、一人で過ごす時間が多くなった。

沖田総司は、人前では明るく振舞うが、部屋の中に居る時は寂しい表情になってしまう。

沖田総司の詳しい事情を知らない隊士の一部は、沖田総司について陰でいろいろと話し始めた。


ここは、屯所。


沖田総司の部屋。


沖田総司は寂しい様子で居る。


沖田総司は寂しく呟いた。

「最近、私と話してくれる人物は減り、私の部屋に来る人物も減ったな。斉藤さんも、話す時間が減ったし、部屋に来る時間が減ったな。ほとんどの人物が私の病について知らない。もしかして、斉藤さんは私の病について知っているのかな? 詳しい事情を知らない隊士達が、陰でいろいろと話しているから、斉藤さんは躊躇しているのかな?」

沖田総司は寂しくため息をついた。


幾日か後の事。


ここは、京の町。


暑さは続いている。


斉藤一は、空色の羽織を着て普通の表情で歩いている。

三番組の隊士達は、空色の羽織を着て真剣な表情で歩いている。


斉藤一は、京の町の様子を普段の表情で確認しながら歩いている。

三番組の隊士達は、京の町の様子を真剣な表情で確認しながら歩いている。


斉藤一は、沖田総司と良く遊ぶ子供達が、斉藤一を隠れるように見る姿を確認した。


子供達は、沖田総司と斉藤一の任務中は、滅多に話し掛けない。

今日の子供達は、斉藤一に話したい様子が強く伝わる。


斉藤一は三番組の隊士達を普通の表情で見た。


三番組の隊士達が斉藤一の元から突然に離れて、別の場所へと歩き出した。


斉藤一は子供達の傍に普通に来た。


斉藤一は子供達に普通に話し出す。

「俺に話しがあるのか?」

子供達が斉藤一に心配して話し出す。

「総司お兄ちゃんと突然に遊べなくなりました。何か起きたのですか?」

斉藤一は子供達に普通に話し出す。

「少しの間になるが、任務から離れている。」

子供達は斉藤一に心配して話し出す。

「総司お兄ちゃんは大丈夫ですか?」

斉藤一が子供達を普通の表情で見た。

子供達が斉藤一に心配して話し出す。

「はじめお兄ちゃん。お願いがあります。長く話すと、はじめお兄ちゃんの仕事の邪魔になります。詳しい話は明日でも良いですか?」

斉藤一は子供達に普通の表情で頷いた。

子供達は斉藤一を僅かに安心して見た。

斉藤一は子供達を普通の表情で見た。


翌日の事。


ここは、沖田総司と子供達が良く一緒に遊ぶ寺。


境内。


子供達は僅かに落ち着かない様子で居る。


斉藤一は普通に来た。


子供達は斉藤一に心配して話し出す。

「総司お兄ちゃんは本当に大丈夫ですか?」

斉藤一は子供達に普通に話し出す。

「上役からも総司からも、詳しい説明は無い。総司はみんなの前では笑顔で過ごしている。」

子供達は斉藤一を僅かに安心した表情で見た。

斉藤一は子供達を普通の表情で見た。

子供達が斉藤一に微笑んで話し出す。

「はじめお兄ちゃん。耳を貸してください。」

斉藤一は子供達に普通の表情で頷いた。

子供達は斉藤一を微笑んで見た。


斉藤一は普通の表情でしゃがんだ。


子供達が斉藤一の耳元に微笑んで顔を近付けた。

斉藤一はしゃがんで、子供達を普通の表情で見た。

子供達は斉藤一の耳元から微笑んで顔を離した。


斉藤一は普通に立ち上がった。


子供達は斉藤一に真剣な表情で話し出す。

「はじめお兄ちゃん。よろしくお願いします。」

斉藤一は子供達に普通の表情で頷いた。

子供達は斉藤一に笑顔で話し出す。

「はじめお兄ちゃん! 近い内に一緒に遊んでください!」

斉藤一は子供達に普通の表情で頷いた。


子供達は山門を笑顔で潜って居なくなった。


斉藤一は山門を普通に潜って居なくなった。


翌日の早朝の事。


ここは、京の町。


空は暗さで覆われているが、陽の光が空を少しずつ染め始める気配を見せ始めた。


ここは、屯所。


沖田総司の部屋。


沖田総司は床の中で、ぐっすりと眠っている。


障子が音を鳴らさずにゆっくりと開いた。


沖田総司は床の中で、ぐっすりと寝ている。


沖田総司は床の中で、ぐっすりと寝る中で、沖田総司の肩を軽く叩かれる感触があった。


沖田総司は床から驚いた表情で体を起こした。

沖田総司は床の上に体を起こして、部屋の中を慌てて見た。


斉藤一が沖田総司を普通の表情で見ている。


斉藤一は沖田総司に普通の表情で静かに話し出す。

「総司。鈍過ぎだ。簡単に斬られるぞ。」

沖田総司は床の上に体を起こし、斉藤一に驚いた表情だが、静かに話し出す。

「斉藤さん。驚かせないでください。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は床の上に体を起こし、斉藤一に驚いた表情だが、静かに話し出す。

「斉藤さんが音を立てず障子を開けられる人物だと忘れていました。斉藤さんが、部屋の中に、音を立てず、気配を感じさせず、入れる人物だと忘れていました。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で静かに話し出す。

「今の総司ならば、簡単に斬れる。惜しい。」

沖田総司は床の上に体を起こし、斉藤一に苦笑して話し出す。

「斉藤さん。斬る内容を話す時に、惜しいと喩える表現は止めてください。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は床の上に体を起こし、斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「斉藤さん。今の時間に部屋に来る状況は、珍しいですね。何かありましたか?」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で静かに話し出す。

「総司の体調に問題がなければ、今から出掛けたい場所がある。」

沖田総司は床に体を起こして、斉藤一に苦笑して話し出す。

「出掛ける最中に斬り掛かりませんよね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で静かに話し出す。

「俺が総司を斬る理由が無いと分かるだろ。総司は俺を疑っているのか。」

沖田総司は床の上に体を起こし、斉藤一に不安な様子で話し出す。

「すいません。言い過ぎました。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で静かに話し出す。

「総司は俺を意味も無く斬る人物だと思うから謝るのか。」

沖田総司は床の上に体を起こして、斉藤一に心配して話し出す。

「斉藤さん。今後は発言を更に気を付けます。許してください。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で静かに話し出す。

「今回は許してやる。」

沖田総司は床の上に体を起こし、斉藤一を安心した様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通の表情で静かに話し出す。

「今の時間ならば、簡単な身支度で構わないだろ。出掛ける準備をしろ。」

沖田総司は床の上に体を起こして、斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。


少し後の事。


ここは、京の町。


朝靄が京の町を包んでいる。


ここは、広い空き地。


沖田総司は不思議な様子で来た。

斉藤一は普通の表情で来た。


斉藤一は前を指すと、沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は前を不思議な様子で見た。

斉藤一は前を指すのを止めると、沖田総司と前を普通の表情で見た。


一面に露草の花が咲いている。


露草の名前のとおり、露を受けて青色の花を咲かせている。


沖田総司は一面に咲く露草の花を見ながら、斉藤一に微笑んで話し出す。

「一面が綺麗な青色ですね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は一面に咲く露草の花を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「露草の青色は綺麗ですね。たくさん集まって咲く様子は綺麗ですね。露草が綺麗だと初めて知った気がします。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「露草は、花の色は綺麗、染料になる、歌に詠まれる。露草は、役に立つ、印象的な花、になる。」

沖田総司は斉藤一に感心して話し出す。

「斉藤さん。物知りですね。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司が勉強不足なだけだ。」

沖田総司は斉藤一を苦笑して見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に不思議な様子で話し出す。

「斉藤さん。露草のたくさん咲く場所を見付けた方法は何ですか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「子供達が総司と俺のために教えてくれた。子供達は秘密の場所だと話していた。」

沖田総司が斉藤一に微笑んで話し出す。

「子供達は私と斉藤さんのために、秘密の場所を教えてくれたのですね。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は一面に咲く露草の花を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「子供達は総司と遊べない日が突然に続いたから心配になった。総司は一時的に任務を離れていると話した。総司の居場所と総司の体調は、屯所に来て確認すれば、ある程度は分かるから、嘘を付かなかった。俺の話を聞いた子供達が、露草のたくさん咲く場所を教えてくれた。子供達は総司の体調が悪いならば、早く元気になって欲しいと話した。」

沖田総司は一面に咲く露草を複雑な表情で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「露草が綺麗に咲く様子は、早朝の間しか見られない。総司を早く起こした。」

沖田総司は斉藤一を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「子供達は私を心配してくれたのですね。斉藤さんは子供達のために私のめに詳しい内容を伏せて話してくれました。斉藤さんの気遣い。子供達の心遣い。感謝します。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「ある程度の日数が経ったら、子供達と一緒に遊びます。斉藤さんも子供達と一緒に遊びませんか?」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「私が体調を崩して任務に就く時間が減ってから、斉藤さんが私と話す時間は減ったし、斉藤さんは部屋に来る時間が減りました。斉藤さんと今までのように話せなくなると思いました。寂しくなりました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「忙しくて総司と話す時間が無かっただけだ。」

沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺は、総司の状況が変わっても、付き合い方を変える考えは無い。俺は以上のように思っていたが、総司に俺の思いは伝わっていなかった。総司が俺に抱く印象を、今更ながら思い知った。」

沖田総司は斉藤一に寂しく話し出す。

「私が体調を崩してから、部屋に来る人物も、私と話す人物も、とても少なくなりました。斉藤さんも、部屋に来る時間が減り、私と話す時間がへりました。みんなが私を避けているように感じて寂しくなりました。」

斉藤一が沖田総司に普通に話し出す。

「総司を避ける人物はいるらしいが、ほとんどの人物は、総司の様子が普段と違うから、遠慮していたと思う。俺は、いろいろと忙しくて、総司とゆっくりと話す時間が作れなかった。俺は総司を避けていない。」

沖田総司は斉藤一に拗ねて話し出す。

「斉藤さんは〜 今までは忙しくても〜 私に話し掛けてくれました〜 普段と違うから〜 いろいろと悩んでいました〜」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺は総司を避けていない。総司は一人で悩む前に、俺に話し掛ければ良かっただろ。」

沖田総司は斉藤一を困惑した様子で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「先程と重なる内容はあるが再び話す。俺は、総司の状況が変わっても、付き合い方を変える考えは無い。総司が俺との付き合い方を変えても、俺は総司との付き合い方を変える考えはない。」

沖田総司は斉藤一に悩んで話し出す。

「私も斉藤さんに何が遭っても態度を変える考えはないです。私も斉藤さんを信じ続けます。以上の内容を思いながらも、私は斉藤さんを信じ切れませんでした。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「体調が悪い時は、悪い方向に考える時が増える。落ち込むな。」

沖田総司は斉藤一を悩んで見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「今後は、総司に対して態度を変える人物が少しずつ現れると思う。覚悟が必要だ。」

沖田総司は斉藤一に不安な様子で話し出す。

「態度を変える人物は現れるのでしょうか?」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司が斉藤一に微笑んで話し出す。

「私の傍には斉藤さんが居ます。大丈夫です。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司が斉藤一に微笑んで話し出す。

「今日は斉藤さんと一面に露草の花の咲く様子が見られました。嬉しく楽しい時間が過ごせました。ありがとうございます。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「礼は子供達に言え。」

沖田総司が斉藤一微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「屯所に戻るぞ。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は辺りを微笑んで見た。


朝霧が少しずつ薄くなっている。


沖田総司は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。


斉藤一は普通に歩き出した。

沖田総司は微笑んで歩き出した。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の再改訂版です。

改訂前の雰囲気や展開を残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語は、「池田屋事変」で沖田総司さんが倒れた出来事を基にして考えました。

物語の時間設定は、「池田屋事変」の直後にしました。

「池田屋事変」以降の沖田総司さんは、体調の良くない時が多くなったようです。

「露草(つゆくさ)」についてです。

名前の由来は、「露を帯びた草」からきているそうです。

朝露を受けて咲き始め、午後になるとしぼんできます。

花は三枚あり、うち二枚は青で大きく、残り一枚は白で小さいです。

露草の綺麗な色と清楚な姿が好きです。

雑草として扱われる事が多いですが、万葉集に掲載された歌の詠まれる時代から、日本で見られる美しい青色の花です。

万葉集に掲載された歌の詠まれた時代を含めて、染料などに利用する事があります。

子供の頃は良く見ましたが、最近は余り見なくなりました。

大人になって、出掛ける場所や時間が変わり、気付き難くなったとは思いますが、露草の咲く場所が少なくなってきた事も原因のように思いました。

この物語では、斉藤一さんは沖田総司さんに露草を見せるために早朝に出掛けます。

後に体調の落ち着いた沖田総司さんは、斉藤一さんとたくさん話す、子供達と遊ぶ、などを含めた元の生活へと戻ったと思ってください。

この物語は、いろいろと悩みながらも元気で明るく過ごそうとする沖田総司さんを想像して書きました。

斉藤一さんは沖田総司さんに普段と変わらずに接しています。

子供達は、沖田総司さんの体調について詳しい内容を知りませんが、再び遊ぶ日を楽しみに待っています。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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